「わたしは、ダニエル・ブレイク」で2度目の
カンヌ国際映画祭の最高賞パルムドールを受賞した
イギリスの巨匠ケン・ローチ監督作品が始まり、
見逃せないと映画館へと足を運びました。
フランチャイズの宅配ドライバーとして独立し、
過酷な労働条件に振り回されつつも家族のために
懸命に働き続ける父と介護士の母、
高校生の息子と小学生の娘のイギリス、
ニューカッスルに暮らすターナー家。
現代の働き方と時代の波に翻弄される家族の姿が描かれ、
失われつつある家族の絆に胸を揺さぶられます。
家族が一緒に顔を合わせる時間が奪われる中、
事件に巻き込まれてしまうのです。
“名ばかり自営業”の実態は、あまりにも理不尽で、
イギリスの問題だけではなく、日本にもあり得る問題のよう。
あまりに過酷な生きざまに映画を観ては泣く私も
涙を流すことさえできなくなりました。
現代社会の片隅で苦しむ人々に心を寄せるのは、
簡単なことではないけれど、
誰もがもう少し家族を想うことで、
変わることもあるような気がしています。
監督:ケン・ローチ
出演:クリス・ヒッチェン/デビー・ハニーウッド/
リス・ストーン/ケイティ・プロクター
2019年/100分/イギリス・フランス・ベルギー合作
ヒューマントラストシネマ渋谷
2019.12.27