さて、ハングを辞めていく理由として、大きく考えられる理由を、私は三つあげ、そのうち前回までは環境の変化について述べさせていただきました。
今回は、二つ目の理由として、怪我、恐怖によるものについて考えてみたいと思います。
実は、これについては、私自身、四半世紀の間まったく休みなくハングを続けてきましたが、その結果、自分自身の中で出てきた結論は、
「やっぱりハングは安全」
ということです。
ただ、ハンググライダーも所詮は人間が作り出した乗りのも。その取り扱いを間違えてしまうと、とたんに危険な乗り物に変貌してしまいます。
もともと、私は飛行機の整備を学んだことがありますが、当時、先生は決まって授業のはじめに質問していたことがあります。
それは…。
「飛行機は落ちるものですか?それとも飛ぶものですか?」
この質問には必ず「落ちるもの」と答えないといけません。
航空機を扱うものが、飛行機は飛ぶものなどと考えたら、とたんに事故が起こるからです。
そういう意味で、ハングも常に「注意しなければならないもの」と、考えて扱えば、私はとても安全に空を飛ぶことが出来ると思います。
ハンググライダーのハード面に関してはそのように思うのですが、ソフト面に関しても、現在のレベルならば、当然、安全に管理できると思っています。
私は今まで、安全面に関しては、さまざまな記事を書いてきました。
もちろん、これは皆さんが安全に飛ぶことを願ったからです。
しかし、実は私が行ったこの行為は、あまり効果をあげていないと正直感じています。
大会等、それなりのレベルの選手のランディング等見ていても、正直、皆さんが安全に降ろしていると思えず、また、グライダーの管理等に関しても、かなり、ずさんなものを感じるからです。
これについていろいろ考えましたが、自分のなかでそれについて出てきた結論は、「飛びの方に興味が走ってしまい、基本的な安全面の方がおろそかになってしまっている方が多いのでは?」という考えです。
正直、空を飛ぶことはとても魅力的で楽しいことです。そして、そのことに興味を持ち学んでいくことは当然のことだと思います。
しかし、飛ぶことを楽しみ続けるには、まずはその基本と言える「安全面」に関して、しっかり学習しておかなければいけないのではないでしょうか?
ハングを辞めていく理由の一つ、「怪我や恐怖によるもの」は、このことがおろそかになってしまっているからおこってしまうのではないでしょうか?
私はそう感じています。