先日のフリーフライト社訪問の際、実は藤原氏の新しい考え方についても教えてもらった。
今までのフリーフライト社は、LARA250は進化したパラシュートで、傘の面積が大きくても安定して降下できるため、全てのパイロットにLARA250を進めていた。
ここで、パラシュートの特性を念のため紹介すると、面積の小さいパラシュートは降下速度が早いが、開傘が早く降下も安定する傾向にある。
反対に、面積の大きなパラシュートは、降下速度が遅いものの、開傘に時間がかかり、降下が安定しない傾向にあった。
しかし、技術の進化で、フリーフライト社のパラシュートは面積が大きくても降下が安定するようになったため、全てのパイロットに250を薦めていたわけである。
しかし、パラシュートのこの進化に対し、ハングハーネスの進化は別の方向に進んでいた。
近代のハングハーネスは、流線型化が進むと共に、ハーネスサイドの出っ張りがあると体重移動時にアップライトにパラシュートがぶつかってしまう、あるいは、出っ張りが大きいと、パラシュートがリアワイヤーに引っかかりやすくなる等の理由があったため、出来るだけパラシュートが出っ張らないように、ハーネス内にまでポケットを作って、そこにパラシュートを入れるなどの工夫がされるようになった。
しかし、ハーネス内にまでパラシュートが入り込む形式の場合、物理的にパラシュートの収納スペースに制約が発生してしまうため、大きなパラシュートは収納できない、あるいは、取り出しに時間がかかるものになってしまっていたのである。
この辺の問題について、ぶしつけながら私はユキさんに申し出て、実際に私のハーネス(LARA250使用)でパラシュートの取り出し具合等をみてもらったりした。
ユキさんの考えとしては、「安全を最優先に考えるなら、やはり、そのハーネスに一番適した
パラシュートを提供していくべき。実は、フリーフライトの実験で、軽い重量同士でLARA175とLARA250の降下速度を比較すると、その降下速度差はそれほどでない!つまり、LARA175とLARA250の降下速度に違いはない!
これが重量90キロを超えるあたりから、その降下速度に違いが生じ始め、LARA250の方がゆっくり降下しはじめる。
ハングの場合、グライダーも抵抗体としていっしょに降下するのだから、日本人の場合はLARA175でも降下速度はそれほど速くならない」
という回答をいただいた。
そして、フリーフライトジャパン社としても、これからはその人の体重を考えて、LARA175の販売も進めていくとの回答をいただいた。
この回答は、ハーネスメーカーとしての弊社としてはとてもうれしいことである。
そして、フリ-フライト社を訪問し、話し合った成果を十分感じることが出来た一日であった。