備 忘 録"

 何年か前の新聞記事 070110 など

サハリン2 提訴の真意は何なのか

2007-07-21 21:54:11 | 評論
‘06/09/14の朝刊記事から


サハリン2
提訴の真意は何なのか


日本の大手商社などが参加するロシア・サハリン沖の石油、天然ガス開発事業「サハリン2」に対し、ロシア天然資源監督局が事業の停止を求める訴訟を起こした。

サハリン2から輸入を予定する日本国内の電力・ガス会社は突然の訴訟に戸惑いを隠せない。
ロシア側は、提訴に至った経緯をきちんと説明する必要があるだろう。

資源監督局は提訴の理由として、液化天然ガス(LNG)などを日本に輸出するパイプライン建設が深刻な環境破壊につながることを挙げている。

しかし、具体的に何が問題になっているかは明らかにされていない。

エネルギーの需要が国際的に逼迫する中、ロシア政府がサハリン2への介入を強め、主導権を確保しようとしているとの見方もある。
ロシア側にこうした思惑はなかったのだろうか。  ――――社説抜粋



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

効率悪く汚染の恐れも リサイクルは浪費

2007-07-03 22:15:07 | 評論
‘06/06/11の新聞記事から

効率悪く汚染の恐れも
リサイクルは浪費


名古屋大学大学院 工学研究科教授 武田邦彦(63)

「リサイクルしてはいけない」(青春出版社)
世間の“常識”に真っ向から挑戦する衝撃的なタイトルの本を出してから6年。
「問題はますます深刻になっている」と警告を続ける。

著しい効率の悪さと、毒物などによる汚染の危険。
武田さんが資源論の立場から指摘するリサイクルの問題点だ。

たとえばペットボトルのリサイクル。
まず分別して運搬し、貯蔵し、洗浄し・・・とさまざまな手間がかかる。
この際、トラックの燃料も必要だし、水も電気も使う。
「結果として、石油から新しく作るのに比べて、何倍もの新たな石油が必要です。これでは何のためのリサイクルでしょうか」

元の廃プラが毒物や放射性物質で汚染されていても、チェックするすべはないから、危険なリサイクル製品が出回る恐れがある。

それでは、現実に発生する大量のごみはどうするのか。
武田さんは「人工鉱山」を提唱している。
焼却して、残った灰を再利用しようというものだ。

廃棄物は紙もプラスチックも金属製品も分別せずにまとめて焼き、熱はエネルギーとして活用する。
残った灰には、かって製品として利用していた金属などの有用な元素が含まれているので,保管しておく。
現在、灰から金属を分離するのは難しいが、将来その技術を確立すれば、宝の山となる。
焼却の際のダイオキシンの発生は、高温で適切に処理すれば問題にならない。

「リサイクルにかかる莫大なエネルギーが節約できるうえに、資源が蓄積される。地下資源の乏しい日本にとって、貴重な存在になるでしょう」

リサイクルは国や地方自治体が政策として進めている。
これに積極的に応えて活動している民間の運動もある。
多くの人々がまじめに、また一生懸命にこれに取り組んでいる。

だが、まじめだから、一生懸命だから、正しいとは限らない。
この国には、そうした苦い経験がある。

「一生懸命戦争して、負けた。一生懸命金もうけをして、バブルが崩壊した。今度は一生懸命にリサイクルして、国が滅びるかもしれません」 ・・・・抜粋

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

竹島問題解決策

2007-06-19 20:40:22 | 評論
‘06/06/05の新聞記事から


竹島問題解決策
現状維持が最善の選択


       元駐日韓国大使 崔相龍


今、韓日関係は1965年の国交正常化以来、最も大きな困難に直面している。
韓日の過ぎたる葛藤は両国の国家利益の観点からも大きな損失であり、いかなる形態であれ、この危機状況を克服しなければならない。

両国の葛藤の最近の焦点は独島(日本名・竹島)問題だ。
独島に対しては、両国が公式に自国の領土だと主張している。
領土問題は極端な対峙状況になりやすく、戦争につながる場合も少なくない。しかし、韓日両国の国民は独島問題で関係が破たんすることを望まない。
従って、独島問題に対する実現可能な最善の解決は、現状の平和的維持だということができる。

この場合の現状とは、今まで日本が事実上、黙認してきた韓国による独島実効支配の現状を意味する。
従って、独島問題の平和的解決のためには、今からでも、現状維持を破壊する言動や政策を相互に自制することが最も賢明な選択であろう。- 抜粋
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

軍事超大国の戦争

2007-05-15 23:08:28 | 評論
‘06/08/28の朝刊記事から


             米社会学者 イマニュエル・ウォーラーステイン

軍事超大国の戦争
地位揺るがす長期化


米国は今日、世界最大の軍事大国であり、イスラエルは今日、中東地域で最大の軍事大国だ。
軍事的に優位にある国はしばしば、政治的にうまく運ばない物事を軍事的に解決しようという誘惑に駆られる。

米国は2003年、イラクに対して、イスラエルは今年、レバノンに対して、それぞれ軍事力を行使した。
いずれの場合も、政府は素早く勝利できると計算して、開戦の決定を下した。

世界や地域における軍事超大国は通常、こうした武力衝突に速やかに勝利する。だからこそ、われわれはそうした国を軍事超大国と呼ぶ。

しかし、勝利には敵対二国間の軍事力の差が圧倒的であることが必要だ。
そうでない場合、開戦決定は最悪の結果を生み出しかねない。
理由は五つある。

第一に、もし弱い方の国が事態の進行を遅らせたり、泥沼化させるに足る武力を持っていれば、武力衝突は軍事超大国が持つと想定された強大な軍事力に限界があったということを世界にさらす結果となる。
世界の他の国々は、軍事超大国の軍事力が圧倒的とは言えないということを知ってしまい、そのことによって自分たちの政治的な動きを決めるようになる。

失われる大義

第二に、戦争が長引けば、それは必ず厄介な戦争となる。
軍事超大国は道義的に問題のあるような軍事行動にも出るが、戦争が短ければ、そうした問題点は速やかに忘れ去られる。
しかし戦争が長引けば、道義的な問題点は次第に両当事国のみならず、世界にとっての共通認識となる。

軍事超大国は、何であれ、その主張する大義、それによって世界世論の信用を集めていた大義を失い始める。
それまで大なり小なり軍事大国に寄り添っていた国々が、ゆっくりと、しかし着実に距離を取るようになり、時には政治的あるいは道義的な怒りの声を上げ始める。

三つ目の理由は次の通りだ。
軍事大国の国内世論は通常、政府の開戦決定を圧倒的に支持する。
この支持は愛国的熱狂と政府への強い精神的支援という形を取る。
こうした国内世論の支持は、戦争が彼らの目から見て正しいのみならず、速やかな勝利が可能であり、従って自分たちの痛みが少ない、という確信を基礎としている。

戦争が長引くと、国内には二つのグループが出現する。
一つのグループは、政府が全力を尽くしておらず、無能だと考える。
彼らは軍事攻勢を強めるよう求め、それが何らかの理由で不可能だということになれば、戦争から完全に手を引くべきだと主張するようになる。

もう一つのグループは戦争に対して道徳的な疑いを抱き、政府が無能だからというのではなく、戦争ガ道徳的に間違っているという理由で、撤退を要求し始める。

撤退への内圧

こうした二つの政府批判派は正反対のことを言っており、互いに対立しているが、内側から政府に政策変更を求める強い圧力となる。

軍事超大国はこうして、軍を撤退させれば、それはもちろん敗北であり、たとえ撤退させなくても、結局は敗北するという八方ふさがりの状況に陥る。
そこでは通常、現状維持が選択され、その結果として屈辱が拡大する。

第四に、こうした状況が長引けば長引くほど、軍事大国の側の人命にとっても、経済にとっても、事態は高くつくことになる。
それが高くつけばつくほど、国民の政府支持は低下する。
軍事超大国がこうむる被害は経済基盤の破壊という形を取ることは少ないにせよ、甚大なものとなる。

そして最後に、五番目の理由はこうだ。
当初考えられていたよりも軍事的な優位が小さいことが暴露され、戦争の大義が失われ、国内の支持が低下し、コストが増大する-軍事超大国の側で起きる、こうした事態の総決算として、世界システムの中での軍事超大国の政治的地位が低下する。
その低下は時には急激なものとなる。

これら五つの論点から導き出される政治的な結論は、軍事超大国はこうした否定的な事態に陥る前に、自らの軍事的優位が本当に圧倒的なものなのかどうかをしっかり見極めるべきだ、ということだ。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

いびつさ増す 日米関係

2007-02-18 21:18:05 | 評論
‘06/05/1の新聞記事から

いびつさ増す 日米関係
「史上最良」実態は従属化


京大大学院教授 佐伯啓思

アメリカの対イラク戦争から3年になる。
3月20日に攻撃が開始され、5月1日には戦闘終結宣言が出された。
3年前には、アメリカの有無を言わせぬ圧倒的な強さだけが目立っていた。

しかし、それ以降の動きはといえば、大量破壊兵器は発見されず、武装勢力による攻撃は収まる気配はなく、米軍の撤退のめども立たない。
アメリカは、イラク戦争の名目を、大量破壊兵器の発見から、イラク民主化へと変更したが、その民主化も期待通りに進行しているとはいえない。

民主的選挙の結果として、皮肉なことに、本来は反米的なイスラム主義の傾きを持つシーア派が権力を握るとともに、宗教的対立が顕在化することとなった。

これらのことは、決して予想を超えた変則的事態というわけではない。
当初から十分に予想されていたことだったのである。
さすがのブッシュ政権も、大量破壊兵器についての情報の誤りを認め、イラク攻撃の不適切さを事実上認めざるを得なくなってしまった。

3年前には70%あったブッシュ支持率は、4月上旬には30%台後半にまで落ち込んでいる。
3年間の間に状況は大きく変わってしまったのである。

「イラク」問わず

にもかかわらず、日本では、イラク戦争についての判断の是非はほとんど政治的問題にもならない。
ブッシュ政権のイラク攻撃をいち早く支持して以来、「歴史上最良の日米関係」が形成された、という論点へ収束してしまった感がある。

本来ならば、アメリカのイラク戦争の失敗は、たちまち小泉政権の判断に対する疑念をも呼び覚ますはずであろう。
日本は、イラク戦争をただ傍観していたわけではない。
「日米同盟」のもとで、アメリカを支援して、主体的にかかわったのであった。

日本では、イラク戦争を誰もが自らの問題だとは感じていない。
イラク戦争への支持も、戦争そのものの判断というより、「日米の史上最良の関係」を維持するためのものであったからだ。
関心の中心はあくまで「日米関係」なのである。

しかし、いうまでもなく、日米関係は、決して対等な「同盟関係」ではない。
戦後の占領政策の延長上に生み出された変則的な関係というべきもので、アメリカは日本の防衛を肩代わりし、極東の秩序維持を請け負うとともに、日本を「同盟国」という名目で、なかば「従属国」として扱う、というものであった。

そして、対テロ戦争以降、この変則的な「日米の史上最良の関係」は、いっそう露骨に変則的な姿をとろうとしている。

世界観もって

現在、日米間で合意に向けた最終調整が進められている在日米軍再編計画においても、沖縄の基地移転や海兵隊削減と同時に、日米の防衛協力をいっそう緊密化するために、自衛隊を米軍のなかに統合して機動的に一体化することが目指されている。

アメリカの意図は明らかだ。
長期にわたる、しかも世界的規模の対テロ戦争、大量破壊兵器の拡散に対して、できるだけアメリカの負担を減らしつつ、日本の協力を要請しようというのである。

北朝鮮や、中国という「脅威」があることは事実である。
日米安保体制を解消することができないことも間違いない。
しかし、この変則的事態を「最良の日米同盟」などと胸をはって言うわけにはいかない。

「同盟」においては、両国が共通の価値観を持つことこそが大事だと小泉政権は言う。
ブッシュ大統領は、3月に発表された新たな安全保障戦略において、あらためて世界の民主化を唱え、そのためには、脅威に対して先制攻撃も辞さないとする「ブッシュ・ドクトリン」を確認した。

その上で、イラン、北朝鮮、ミャンマー、キューバなど七カ国を脅威の対象として指名した。
だが、日本は、本当に、この点でアメリカと共通の認識にたっているのだろうか。
そうではあるまい。

日本は、まずは、日本の立場にもとづく世界観と、それに依拠した安全保障体制の見取り図を描くことが先決である。
日米関係が最初にあって、それにあわせて世界観が形成されるわけではないのである。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする