'08/08/27の朝刊記事から
北朝鮮 核施設の無能力化中断
「合意違反」と米を非難
【ソウル26日井田哲一】北朝鮮の外務省報道官は26日、米国による北朝鮮のテロ支援国家の指定解除延期の対抗措置として、北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議の合意に基づく寧辺の核施設の無能力化作業を中断、施設復旧の措置も考慮するとの声明を発表した。
朝鮮中央通信が伝えた。
報道官は指定解除の延期について「合意に対する明白な違反」と米国を批判。
米国が解除を履行しない場合、「(同協議の)行動対行動の原則に基づき、対応措置を取らざるを得ない」と述べた。
対応措置について報道官は、寧辺の核施設無能力化作業を「直ちに中断する」とした上で「この措置は14日に効力が発生し、関係国に通知した」と言明。
また「(北朝鮮の)該当機関の強力な要求で寧辺の核施設の原状回復を考慮する」と述べ、無能力化に対し軍部などの強い反発があることを示唆した。
これに関し、韓国の外交通商省報道官は26日、無能力化中断について同協議の他の関係国に北朝鮮が通報したことを認めた上で、「(関係国は)北朝鮮の措置はふさわしくないとの認識で一致している」と述べた。
今回の声明については「米国に圧力を加えるための交渉用」(韓国の北朝鮮専門家)との見方が強い。
ただ、指定が解除されないままなら、北朝鮮が「瀬戸際戦術」をエスカレートさせる可能性がある。
今後、任期末のブッシュ米政権と北朝鮮が、激しい駆け引きを繰り広げそうだ。
北朝鮮は同協議の合意に基づき6月末に核計画の申告書を提出。
見返りとして米国も指定解除を表明したが、申告内容の検証措置に北朝鮮が合意しなかったため、今月11日の解除を延期していた。
撮影機材
Kodak DC4800
‘08/06/24の朝刊記事から
対北朝鮮 「テロ解除」26日手続き
米、核申告受け即日
【北京23日共同】北朝鮮が、六か国協議合意に基づく「すべての核計画申告」を26日に行い、これを受けて米国が同日中にテロ支援国家指定解除の手続きを取り、対敵国通商法の適用除外を実施することが23日分かった。
複数の六か国協議筋が明らかにした。
米政府高官も23日、北朝鮮が26日に申告を行うと米政府に伝えてきたことを明らかにした。
高村正彦外相は京都で開かれる主要国(G8)外相会合のため来日するライス米国務長官と27日に会談、解除に慎重対応するようあらためて要請する方針だが、この前に解除手続きが取られる見通しとなった。
協議筋によると、無能力化が進む寧辺の核施設の冷却塔爆破は27日に予定。
爆破の様子は協議参加国の報道機関も現地で取材予定で、米国などは、非核化進展を内外にアピールし、核廃棄に向けた次の段階の議論に拍車が掛かることを期待している。
テロ支援国家
国際テロを支援したり実行犯をかくまったりしているとして、米国が国内法に基づき指定する国家。
武器や関連品目の輸出禁止、経済援助禁止などの厳しい制裁が科される。
現在指定されているのは北朝鮮、キューバ、イラン、スーダン、シリアの5か国。
北朝鮮の解除に当たっては、北朝鮮が①過去半年間にテロを支援していないこと②今後テロを支援しないと保証したことーを証明する報告書を、解除の少なくとも45日前までに、大統領が議会に提出する必要がある。
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‘08/06/21の朝刊記事から
北朝鮮 来週に核申告か
【ソウル20日井田哲一】韓国の聯合ニュースは20日、北朝鮮が核計画の申告書を26日ごろ、六カ国協議議長国の中国に提出すると報じた。
韓国外交筋の話として伝えた。
米朝両政府は、申告書の提出直後に米国が、北朝鮮のテロ支援国指定の解除に向けた作業に着手することで合意しているという。
北朝鮮の同協議首席代表・金桂冠外務次官が北京を訪れ、議長である中国の武大偉外務次官に申告書を提出する可能性が高い。
同ニュースは、申告書が26日ごろ提出された場合、7月の第1週に六カ国協議を再開する方向で米国、日本など関係国が調整を進めていると伝えた。
また北朝鮮が、申告書提出後の27日から28日ごろ、寧辺にある核施設の冷却棟を爆破する計画を進めていると報じた。
北朝鮮は関係国に爆破費用の支出を要求しており、日本を除く各国は受け入れたという。
冷却棟の爆破は、六カ国協議で合意した非核化の「第2段階」手順には含まれていないが、米国が、非核化の進展を対外的に示すため、核計画申告の前後に実施するよう求めていた。
平壌に支局のある米通信社系ニュース映像配信会社APTNは、爆破場面の生中継を検討している。
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’08/06/12の朝刊記事から
北朝鮮 拉致問題対応「きょう回答」
【北京11日橋本克法】日本と北朝鮮による公式実務者協議が11日午後、北京の北朝鮮大使館で2日間の日程で始まった。
初日は拉致問題が議題となり、日本側は拉致被害者の早期帰国、事件の真相究明などをあらためて要求し、北朝鮮側は「考え方は明日の協議で述べる」と応じた。
双方は2002年の日朝平壌宣言の有効性を再確認し、同宣言に基づく日朝関係前進の必要性で一致した。
協議は日本側から外務省の斎木昭隆アジア大洋州局長、北朝鮮側は宋日昊日朝国交正常化交渉担当大使らが出席した。
斎木氏が「双方の関心・懸念事項、懸案を解決していく際、よって立つ基本的文書は日朝平壌宣言である」と指摘。
宋氏は「平壌宣言は極めて重要な朝日間の文書。これに即して、さまざまな懸案解決を図り、究極的には国交正常化に向かって努力することが重要だ」と応じた。
また斎木氏は日航機「よど号」乗っ取りメンバーの引き渡しをあらためて要求した。
12日午前の協議は北京の日本大使館で行われ、拉致問題に加えて、日本の植民地支配など「過去の清算」について協議。
長引けば同日午後、北朝鮮大使館に移り協議を続ける。