’08/03/11の朝刊記事から
ヘパリン製剤回収
米で副作用 中国産成分 国内3社「予防的」
厚生労働省は10日、人工透析や手術などで広く使われる血液抗凝固剤「ヘパリンナトリウム」を製造、販売しているテルモ(東京都)、大塚製薬工場(徳島県鳴門市)、扶桑薬品工業(大阪市)の三社が同剤の自主回収を始めたと発表した。
国内では副作用報告の増加はないが、三社に原料を供給している米企業が、ヘパリン製剤で重い副作用が相次いだ米バクスター社にも原料を供給していたことが判明したため、「予防的な措置」として回収を決めた。原料には中国産の成分が使われていた。
ヘパリン
血液を固まりにくくする抗凝固剤。注射液などとして製薬各社から販売されている。手術中や手術後に血の塊(血栓)ができて血管が詰まる血栓塞栓症の予防や治療、血管にカテーテルを挿入する際の血液凝固防止などに広く使われている。ショックなどの副作用が起きることがある。使用上の注意として、血液の固まりやすさを検査するなど出血管理を十分にすることなどが求められている。
Kodak DC4800
’08/03/10の朝刊記事から
校長 元教え子脅迫 容疑で逮捕
埼玉の高校 交際求め職場でメール
埼玉県警捜査一課などは8日、元教え子で交際していた20代の女性に「人を殺すことは平気だよ」とメールを送ったなどとして脅迫容疑で、同県川口市立川口高校の校長、市川和夫容疑者(56)=同県上尾市仲町1=を逮捕した。「脅迫するつもりはなかった」と容疑を否認しているという。
8日は川口高校の卒業式で、市川容疑者も出席し、あいさつしていた。
県警は9日、同校や市川容疑者宅を家宅捜索、校長室からパソコン2台を押収。校長室のパソコンからメールを送ったとみられ勤務時間中に送信した疑いもあるという。
調べでは、市川容疑者は昨年11月下旬から12月中旬までに、埼玉県内の女性に「何があっても知らないよ。人を殺すことは平気だよ」などとするメールや「私生活を他人にばらす」などと書いた手紙を送った疑い。この時期に送ったメールは十数通に及ぶという。
市川容疑者は県北部の県立高校の教頭だった2002年1月ごろから、在校生だった女性と交際を始めた。昨年3月に女性から別れ話を切り出されたため、メールや手紙で交際を続けるよう迫っていたとみられる。昨年12月、女性が大量の睡眠薬を飲み自殺を図ったことがきっかけで、家族などが市川容疑者との関係に気づき、県警行田署に相談していた。
’08/03/09の朝刊記事から
マウスから血管、心筋、血球 京大成功
マウスの皮膚から作製した万能細胞「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」から、血管や心筋、血球など多様な細胞をつくることに、京都大の山下潤准教授と山中伸弥教授らが8日までに成功した。
立体的に培養すると、血管によく似た組織ができることも確認。すでに人のiPS細胞を用いた研究も始めており、山下准教授は「血管や心臓の病気の治療法開発に向けた新たな一歩だ」と話している。
13日から名古屋市で開かれる日本再生医療学会で発表する。
山下准教授らは、マウスのiPS細胞から、心血管組織のもとになる前駆細胞を誘導。異なる条件で数日培養し、血管内皮や血管壁、赤血球や心筋細胞などに分化させた。また、この前駆細胞をゼラチンの中で立体的に培養すると、細い管が四方八方に伸びて毛細血管に似た組織ができたという。人に応用できれば、将来は動脈硬化や心筋梗塞などの治療に役立つと期待される。
’08/03/09の朝刊記事から
遺伝子組み換え 本格栽培12年 23カ国に拡大
作付け面積 70倍
生産性優先 新興国の伸び顕著
世界で遺伝子組み換え作物の栽培が本格的に始まってから2007年までの12年間で生産国が23カ国に増え、作付面積も約1億1430万ヘクタールと約70倍に急拡大したことが8日、遺伝子組み換え作物の普及を推進する米非営利団体の国際アグリバイオ事業団(ISAAA)の調査で分かった。
遺伝子組み換え作物は、消費者の健康や生態系への影響に対する不安が根強い。しかし、世界的に穀物価格が高騰する中で①異常気象や病虫害に強い②除草剤の使用量が減る③収穫量も増える―とされる点など生産性向上を優先し、インドや中国など新興市場国、途上国を中心に作付け面積が著しく伸びている。
日本は商業栽培はしていないが、食用、飼料用に輸入している。
遺伝子組み換え作物の普及は、収穫量を増大させて穀物価格を引き下げ、食品インフレの沈静化につながるとの見方もある。石油代替エネルギーのバイオ燃料の原料にも活用されている。
ISAAAによると、遺伝子組み換え作物の作付面積は商業栽培が始まった1996年に米国、カナダ、アルゼンチン、オーストラリアの4カ国などで166万5千ヘクタールだった。その後拡大を続け、07年は世界の耕地面積の8%を占めるまでになった。
07年の国別の作付面積は米国が5770万ヘクタールと世界の約半分を占め、100万ヘクタール以上はアルゼンチン、ブラジル、カナダ、インド、中国など8カ国を数える。
遺伝子組み換え作物の全作付面積中の比率は、大豆が51%で最も多く、トウモロコシ31%、綿花13%の順。それぞれの農作物の全作付面積で遺伝子組み換え作物が占める割合は大豆64%、綿花が43%、トウモロコシが24%だった。
遺伝子組み換え作物の栽培による経済的効果はこれまでに総額340億ドル(約3兆5千億円)に及ぶという。生産国以外に世界有数の食品輸入国の日本、ニュージーランドなど29カ国が輸入を認めている。
Kodak DC4800
’08/03/08の朝刊記事から
調査捕鯨船にまた妨害
海保、警告弾で応酬
海上保安庁に7日入った連絡によると、南極海を航行中の調査捕鯨船団の母船「日新丸」が同日、米環境保護団体シー・シェパードの抗議船から薬品入りの瓶などを投げ込まれた。けが人はなかった。
シー・シェパードは3日にも薬品入りの瓶などを投げ付け、日新丸の乗組員ら3人がけがをしている。
海上保安庁によると、抗議船は7日午後零時35分ごろ(日本時間)、薬品入りの瓶や白い粉の入った袋を投げ込む妨害活動を始めた。薬品は異臭を放つ化学物質「酪酸」とみられる。
シー・シェパードは散発的に妨害を続けたため、同乗する海保の保安官が抗議船に対し、爆発音を出す「警告弾」を7発投げたという。
シー・シェパード側は「船長が胸に衝撃を感じ、防弾チョッキを調べたところ、弾が見つかった」と主張しているが、海保は「警告弾は威嚇のため上空へ投てきし、空中で破裂するため、人に命中することはあり得ない。投てきで乗組員が負傷するような状況は発生していない」と説明している。
海保は3日の事件などで、「公海上で活動する乗組員に不当な危害を与えた」として、威力業務妨害などの疑いで捜査をしている。