‘08/08/24の朝刊記事から
白紙から再調査 拒否
拉致で北朝鮮 過去の見解維持か
拉致被害者に関する再調査の実施方法などで合意した先の日朝実務者協議で、過去にも北朝鮮が行なったとしている再調査内容を白紙に戻すよう日本が求めたのに対し、北朝鮮が拒否していたことが23日、分かった。
このため日本政府内の一部で再調査方法をめぐる協議を継続すべきだとの主張が強まったが、首相官邸の意向で合意を優先した。
日朝関係筋が明らかにした。
北朝鮮は2004年の再調査でも「横田めぐみさんら8人死亡」との見解を変えず、その後の協議が難航した経緯がある。
日本側は今回「白紙からの再調査」を認めさせることで拉致被害者全員の安否確認と帰国につなげる考えだった。
しかし、北朝鮮の対応は過去の調査結果を維持する姿勢をうかがわせたものとなり、今後の再調査の実効性に疑念を生じさせる可能性がある。
関係筋によると、8月11日から中国・瀋陽で行われた実務者協議で北朝鮮側は「生存者を発見し帰国させるための全面的な調査」との表現についても同意を拒否。
中山恭子拉致問題担当相は「合意は時期尚早」と慎重な対応を求めた。
しかし再調査期限を「可能な限り今秋」とし、日本側が随時検証する仕組みを北朝鮮が受け入れた点を官邸側が評価、合意に踏み切った。
外務省は「生存者を発見し帰国させるための全面的な調査」を実施することになったと公式発表。
拉致被害者家族へも、斎木昭隆アジア大洋州局長が「これまでの結果を白紙に戻す」と説明した。
ただ、日朝間で協議の合意文書は作成しておらず、どこまでが正式な合意事項なのか不明確となっている。