揖夜神社を参拝し、「
最後の神社・熊野神社に向かう前に、1箇所だけ寄り道します。
前日の山陰本線からの車窓から見えた、気になる看板。
黄泉比良坂 Yomotsu-hirasaka 0.4km ⇒
黄泉比良坂って、たしかあの世との境目だったよな・・・・・・あの世の入口って、島根県にあったのか?
そしてこの日、「意宇六社めぐり」で揖夜神社を参拝するにあたり、この不可思議な黄泉比良坂なる場所にも行ってみようと考えたわけです。
看板にあるとおり、山陰本線の踏切をわたったら400メートルほど進みます。
要所要所に看板があるので、迷わずに行けます。
道中には、黄泉比良坂の御朱印所もあるそうな。
このまま道を進み、黄泉比良坂の伝説地・
ちょっとした駐車場もあり、車が数台停まっていました。
神話の伝承地というだけあって、観光客もそこそこいるようだな・・・そう思っていたら、一台の車から釣竿を持ったおじさまが下りました。
どうやら黄泉比良坂に来たのではなく、すぐそばのため池で釣りをしに来たようでした。
【揖夜神社 → 黄泉比良坂伝説地 のルート】
揖夜神社 10時58分発
島根県道191号揖屋停車場線経由
黄泉比良坂伝説地 11時08分着
*移動距離 1.2km
*所要時間 10分 (平均の速さ 7.2km/h)
ママチャリさんを停め、伝説地に足を踏み入れます。
石柱2本にしめ縄が拵えられています。
神社の鳥居の原型のようなものでしょうか。
鳥居と同じく結界を示すものだと思われますが、ここのものはなんとも雰囲気がおどろおどろしいです。
「神蹟 黄泉平坂・伊賦夜坂伝説地」の石碑。
国父の神・
伊弉諾尊は激怒して軻遇突智を殺すと、伊弉冉尊の遺体を比婆山(現在の島根県安来市とされています)に埋葬しました。
しかし、伊弉諾尊が伊弉冉尊に逢いたい気持ちは日増しに募っていき、ついに伊弉諾尊は死者の世界・
黄泉国で再会した二柱ですが、伊弉冉尊は「黄泉国の食事をとった」という理由で、伊弉諾尊のもとに戻ることをためらいます。
伊弉諾尊がなおも願うと、伊弉冉尊は了承して、
「黄泉国の神の許しを得るので、しばらく待ってほしい。その間、決して私の姿を見てはいけない」
と告げました。
伊弉諾尊がしばし待っても、伊弉冉尊はその姿を現しませんでした。
待ちきれなくなった伊弉諾尊はついに伊弉冉尊のところへ向かうと、そこには最愛の妻が腐敗した姿があったのです。
驚いた伊弉諾尊は、あまりのことにその場から逃走しました。
変わり果てた姿を見られてしまった伊弉冉尊は、夫に恥をかかされたと激怒。
一飛びで千里を走るという
伊弉諾尊が自らの髪飾りを投げると、ブドウが生えてきました。
泉津醜女はブドウの果実を食べるのに夢中になりましたが、やがて我に返り、再び伊弉諾尊を追い始めました。
伊弉諾尊が自らのくしを投げると、タケノコが生えてきました。
泉津醜女はタケノコを食べるのに夢中になり、その間に伊弉諾尊は逃げおおせました。
しかし黄泉国の軍が伊弉諾尊を追いかけてきます。
伊弉諾尊はその場に生えていた桃の実を投げると、その霊力により黄泉国の軍勢は撤退していきました。
しかしついには、伊弉冉尊自身が伊弉諾尊を追いつめていきます。
伊弉諾尊は辛くも黄泉比良坂まで逃れると、地上の出口を千引きの岩という巨岩で塞いでしまい、伊弉冉尊との離縁を宣言しました。
千引きの岩の向こうから伊弉冉尊は呪詛し、
「わたしはおまえの国の人間を1日1000人殺してやる」
というと、伊弉諾尊は、
「だったらわたしは、1日に1500の産屋を建ててやろう(人間を1日1500人産ませてやろう)」
と答えたのでした。
この世とあの世の境界・黄泉比良坂。
『古事記』によれば、その黄泉比良坂は出雲国にある伊賦夜坂を指すのだといいます。
その伊賦夜坂があるのが、この地だというのです。
石碑の近くに横たわっている岩が、千引きの岩なのだそうです。
こんなところに千引きの岩が転がっているってことは、黄泉国との境界が塞がっていないということ・・・?
黄泉軍を追い払う?ためのヤマモモの木が植えてありました。
おどろおどろしいしめ縄の結界を出ました。
こちらにも桃の木が植わっているようです。
(桃の実よ、私を助けたように、この世の人々が苦しみに流されて、悩み事に呆然となっていたら助けてやってくれ)
虎口を脱した伊弉諾尊はこのように仰せになり、桃の実に「
そしてこちらが、伊賦夜坂の入口。
いざ、黄泉国へ!
これは・・・水準点でしょうか?
国土地理院の職員さんは、黄泉国にまで測量のためにやってきているのでしょうか。
どこまでも続きそうな下り坂です。
大小の石がまとまっている箇所がありました。
こちらが
「さえ」の神とはすなわち「遮る」神ということで、地域の境界にあって外界の悪霊や疫病を遮るものとされています。
・・・ん? ここでいう「境界」って?!
無事に蘇った私は・・・・・・
黄泉比良坂の御朱印をいただくことのできる平賀公会堂へ。
まさか黄泉比良坂の御朱印があるとは思いませんでした。
伊弉諾尊と伊弉冉尊に関係するから、神社の御朱印帳に書き入れてもらうのかな?
そう考え、公会所におわす齢70ばかりと思われる媼に、300円を支払って御朱印帳を手渡しました。
私は媼の言うまま公会所の中に入り、御朱印帳の書入れを待っていました。
「どちらからいらっしゃったんですか?」『千葉県の柏です』
旅人の出身地の話を皮切りに、媼との会話が盛り上がっていきます。
神跡地、黄泉比良坂!
主祭神?の
ご本尊を中央に筆記するお寺さんの御朱印に倣っているかのようですね。
桃の実の朱印も、また面白いですね。
こちらの御朱印だけ、なんと金墨汁で筆記してくださいました。
達筆なる媼曰く、「今日は即位の礼だから、特別ですよ」。
有難い金色の御朱印を頂戴したところで、公会堂を退出・・・・・・。
「映画のロケ地にもなりましてねぇ」「北川景子さんもいらっしゃったんですよ」
有難い金色の御朱印を頂戴したところで、公会堂を退出・・・・・・・・・・・・。
「私も80歳を超えましてねぇ」「もうそろそろ坂の向こうに行くかもしれませんけど」
話好きなる媼の口は止まず、私は40分ほど、公会堂で腰を下ろすこととなったのでした。
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