NHKBSプレミアムでやってたのをつい見てしまいました。「ノストラダムスの大予言」というとNONブックスのベストセラーでしたが、我が家にもありました。発売は1973年の11月だそうですが、当時は本当に大ヒットしててどこの家にもあったような気がします。多分、年を越した74年の正月に金沢へ連れて行った貰った際に兄がお年玉で買ったのではないかと。
当時小4だった私も一応読んでみたものの、結局なんだかわからなかった記憶があります。とはいえ、漠然と「1999年というと35歳だから、結婚してたり子どもがいたりするかなぁ。その年に本当に人類滅亡するのかなぁ。」と思ってたくらい。
つい何年か前までは、この本の作者の五島勉氏のことを極悪人だと思ってたのですが、今はまぁそういう商売だったのだろうとそんなに怒りも感じなくなりました。あんなデタラメな本に踊らされた世間も悪いし、いろいろ便乗しようとした世の中の大人たちがいかに浅はかだったかと思う気持ちの方が強いです。
BSのその番組も最初は祥伝社の事情から始まって、とにかくヒットを出さなければならないということから、この本の企画が通ったというあたりの事情をやってました。(別に面白い話ではなかったです。) ちなみにNONブックスの「NON」は、世間のあらゆるものに「NON」と言うということだったそうです。
あの本について今になって考えてみると、ノストラダムスが生きてた頃の逸話については、実際に見て来たような描き方をされてたので、今だったら読んだ瞬間「お前、知り合いか? 見て来たんか?」とツッコミを入れつつ「インチキ!」と一言で切って捨てたことでしょう。それに、ノストラダムスの話なのに「猿の惑星」の映画の写真を挿入したり、核戦争がテーマの映画「渚にて」の話をぶっ込んだりしたのは反則だろうと。
今からすると、なんでみんなあんな簡単に引っ掛かったんだろうと思いますが、当時は公害による大気汚染だとか、水俣病とかイタイイタイ病とかの病気が世間で注目されてたし、米ソの冷戦時代とはいえソ連は今のロシアとは比較にならないほど事情がわからない国で一触即発、核戦争もありうるという雰囲気はありました。終末の予感が漂ってたというか。おまけに他のベストセラーは「日本沈没」、中東もきな臭い雰囲気でオイルショックで景気が打撃を受けたということもあって、世間全般が妙な空気だったのでしょうね。
そういういろいろな事情が重なってのことだったでしょうが、やっぱりみんな未来を知りたい、その未来が衝撃的であればあるほど惹かれるのでしょう。当時小学生だったのでそれほど真剣には考えなかったですが、なんかいつも心の底にこの件が横たわってる気がして、精神衛生上よくないことではあったかもしれません。そんな中、翌年に発売された「あのねのね 今だから愛される本」の中で、「1999年7の月には何が起きますか?」という質問に、あのお二人は「嘘つきがばれる」と答えてました。いたいけな小学生としてはあれで結構救われたものです。
いやしかし、何が問題かといって今回見たそのBSの番組がまたつまらなかったのがなんとも。ノストラダムス先生もそこまでは予言できなかったか、自分をテーマにした番組が受けないというのは予言の詩にあえて書かなかったか。