「東京ブギウギ」「買物ブギー」などのヒットで知られる笠置シズ子の半生を描いた朝ドラ「ブギウギ」が終了しました。
前作の「らんまん」が朝のドラマとしては雰囲気もストーリーも良く満足してたので、今作のプロモーションで見たヒロインの濃いメイクのビジュアルを見るにつけ「どうかなぁ」と懸念はあったのですが、結果として凄く面白かったです。
ヒロインの実家は大阪の銭湯で、子役時代からテンポ良く展開され、梅丸少女歌劇団に入団し激しい踊りの稽古が受けるあたりはすごく見応えありました。
最後は服部良一をモデルとする「羽鳥善一」作曲のブギウギシリーズで大ヒット歌手となり、若くして引退するまでで終了。何しろ活動してたのが昭和32年くらいまでなので笠置シズ子の歌う姿は今や誰も見たことなく、そこをいかに再現するかというのが焦点だったかと思います。
そういう点で、ヒロインの趣里さんは100点満点以上の大活躍でした。バレエで海外留学してた位なので踊りはできるけど歌はどうなのだろうと思ってたら、これがまた見ててびっくりするほどのレベル。音楽担当の服部隆之が「あさイチ」のゲストで出た時に裏話を語ってましたが、最初に顔を見ず声だけでオーディションをした時にはこの人は1番ではなかったとか。
その後、実際に本人を見ながら演技と合わせて選考した結果、この人が選ばれたとか。歌う事を前提で集まった人たちだから、そもそもオーディションに応募したのは凄いメンバーだったのかも。
それで撮影に先駆けて昨年の2月くらいから本格的に歌のレッスンが始まったそうですが、数か月であそこまで歌えるようになるというのは本当に素晴らしい。特に最終回のラストコンサートの映像はガチでステージでの生歌だったというし、あそこまでできるようになるんですね。
趣里という女優は私にとっては未知数だったのですが、「笠置シズ子という歌手を演じる」ということに徹した演技の一環だったのでしょう。それであそこまでできるようになったのは、本人の努力もあったのでしょうし、歌えるようにしたスタッフにもアッパレをあげたいです。
主役以外では、伊原六花がダンスのシーンも含めて輝いてました。この人は今後大スターになるかもと思ってます。
それはそうとして、ドラマとしてはやや評価が難しい点はあって、脚本は「なんか適当だなあ」とか「羽鳥先生がそんなこというかな?」とか思う部分はありました。細かくはあげませんけど、脚本家の名前が二人あったのでメインの人とサブの人での連携の問題かも。わかりませんけど。
まあ実在の人物の半生を追うものなので、実際あったエピソードを盛り込まなければならない部分で苦労したのかもしれません。パンパンの人たちとの関わりとか、子供の誘拐事件などは無理やりねじ込んだ感じもあって、「その話いります?」というのはちょくちょく。
私は音楽が好きなので、やはり羽鳥先生と出会って「ラッパと娘」が誕生するあたりが一番の盛り上がりだったと思ってます。その辺は見る人によっては様々に評価がわかれるドラマかもしれません。かなり特殊な位置づけの朝ドラだったといえましょう。
それはそうと、とにかく力作だったことには違いありません。今回は最後まで一話も見逃さず楽しませていただきました。主演の趣里さんにあらためてアッパレと、すべてのスタッフに賞賛の言葉を贈りたいと思います。素晴らしい!
そして茨田りつ子とのライバル関係も良かったです。
美空ひばりをモデルにした水城アユミに関しては史実とかなり違いますが、まあいいか・・・。
なお、水城アユミは私も美空ひばりかと思ってたら、あれは江利チエミだそうです。江利チエミのプロフィールを見るとバッチリはまりますし、父親とも知り合いで蒼井優の娘だった(?)のも本当だそうです。さすがに美空ひばりとの話はスルーなのでしょうね。
スズ子とライバル茨田りつ子との関係性が好きでした。
最後でオープニングの踊る人形の意味に納得!見事伏線回収でした。