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NHKスペシャル「ロッキード事件の真実」 ② 事件は判り易い構造で!アメリカンマジックからの覚醒を!

2016年12月21日 | 世間話し

前回の続きです。

前回は国内の新証言でした。

検察も、政権中枢も、田中の側近も、誰も彼もが、ロッキード事件は、民間機トライスターに関わる疑獄事件ではなく、対戦哨戒機・早期警戒機の売り込みに関わる軍用機疑獄事件と証言。

そして、

『軍用機は、日米の軍事・政治同盟に、国家体制の基本を揺るがす問題で、我々の手の及ばない所で、背後に巨大な闇があり、真相究明に対して大きな圧力が』

『事件を民間機トライスター導入疑惑だけにとどめ、軍用機に関する疑惑解明には、何処かの、誰かの、大きな圧力がかかり、田中角栄ひとりに事件を背負わせた』

そんな処が、前回までのお話でした。巨大な闇とは、大きな圧力とは、いったい何なの?この解明が、今回の番組の売りなのです。

それで、アメリカ側の新証言とスクープで、ハッキリ、スッキリ解明されるのです?

先ずは、事件当時の駐日大使ジェームス・ホッジソンが本国政府に送った極秘報告書で軍用機関連を隠蔽する工作が明らかになるのです。

この極秘報告書ですが「新たな資料から明らかになった」と、さらった語られているのです。外交機密文書の公開期限がきたのでNHKが入手したようでもなく、何らかのルートで入手? 誰かが?ある意図を持ってしたリーク?

そのあたりは、兎に角、置いといて、この駐日大使の“ホッジソン”ですが、大使になる直前は、何と、何と、“ロッキード社の副社長”をやっていた方なのです。完全に利害関係者なのでした。

このホッジソンが、

「P3Cに疑惑が及ぶと、P3Cの導入がすべて台無し、日米関係が破綻する」とか、

「日本の“政界筋”からも、P3C疑惑の解明は政界が大騒動となり、制御できなくなる、との非公式の働きかけがあった」とか、

本国に報告しているのです。

番組の冒頭で、当時ロッキード社はベトナム戦争の終結(75年)で赤字経営に陥り経営危機だった。起死回生の一手がP3Cだった、と、語られていました。

ホッジソンの警告により、アメリカから日本に送られた調査資料には、軍用機関連は無く、トライスター関連のみで、事件は民間機導入の賄賂事件として、田中逮捕で収束したのでした。

これらの事実からは、いま考えると、政界大騒動とは自民党政権の危機と云う程度を、日米同盟の危機として大騒ぎして、単にロッキードの商売を守っただけ?と、そんな思いに駈られるのでした。 

でも、しかし、ここまでですと、駐日大使ホッジソンがロッキード社の利害代弁者としての、ロッキード社の利益を守る為の、軍用機疑惑隠しの工作が、巨大な闇で、大きな圧力の正体?

それで、兎も角、ロッキード事件発覚の翌年の77年から、自衛隊はP3Cの導入を開始し、これまで100機を購入、費用は総額で1兆円を越え、今やアメリカに次ぐ第2位の保有国だそうです。

でも、しかし、ロッキード社の経営危機を救うのが目的だけでは、話しのスケールとして小さすぎるのです。もっと、他の要因が・・・と、云う事で、アメリカの対ソ軍事戦略が絡んでいたと、話しは展開します。

当時、ソ連が新たに開発配備した原潜は、桁違いのスピードと1ヶ月以上の潜行能力を持ち、アメリカの脅威であった。その対抗策として対戦哨戒機P3Cが開発された。

そう云う事情ですから、

新証言⑥として、ニクソン政権のメルビン・レアード国防長官が当時佐藤内閣の防衛庁長官の中曽根に対して、P3Cの導入を働きかけていたと証言。

そして、ニクソンの個人的事情として、ロッキード社の本社があったカリフォルニア州をニクソンは地盤としていて、ロッキードから巨額の献金を受けていて、深い繫がりがあったそうです。

と云う事で、ロッキード社の事情に、アメリカの軍事戦略の事情に、ニクソン個人の事情が絡んでの、P3Cの売り込みだったようです。

ここまでの話しから、児玉誉士夫の出番など何処にあるのか?と思うのです。ロッキードは経営危機で、あらゆるルートを使い、“藁をも掴むおもい”で、児玉に政界工作を頼み、児玉に上手いことを云われ、工作資金として21億円をだまし取られた・・・。そんな気がするのです。

児玉は政界工作らしき事はしたのでしょうが、21億円のほとんどは自分の懐にいれてしまったと思います。いかにもそれらしいことを装い相手を瞞す、この筋の方が良くやる手です。

児玉ルートは、そもそも無かったのですから、児玉は検察に尻尾を捕まれる事も無かった、と、考えます。この新説は、かなり確実?

証言⑦

そして、そして、最大の新証言として、ニクソン大統領当時、国家安全保障担当補佐官のリチャード・アレンの登場です。今回はじめてテレビカメラの前で証言。

「1972年8月31日、ハワイでの田中・ニクソンの日米首脳会談で、貿易不均衡の是正として、これまでは、日本が民間航空機、原子力発電所などをアメリカから導入する事が議題だったとされてたが、実は、裏ではP3CとE2Cの売り込みを大統領自らおこなった」と証言。

そして、ハワイ会談の一ヶ月後の10月に対戦哨戒機と早期警戒機の国産化が白紙に戻される。

そして、ロッキード事件とは、トライスターでも、P3Cでも、E2Cでも、単なるの疑獄事件でも、ましてやお決まりの「政治と金の問題」でもなく、日本が米国にとって、どう云う役割を担わされている国なのか、その一端が、ほんの少し垣間見られた出来事なのです。

リチャード・アレンの証言です。

「日本がアメリカの軍用機を購入すれば、わたし達の懐を痛めることなく、日本の金で我々の軍事力を増大することができる。加えて、わたし達がのぞんでいた日本の軍事的役割の強化にもつながるのです」

日本の軍備はアメリカの軍事力と云っているのです。日本の自衛隊は米国の指揮下にあるのです。

いまでは、その関係はより進化し、人員もアメリカの指揮下となり、世界中で武器を持ち、戦闘に参加する条件が整ったのです。

ロッキード事件は、世界情勢から、日米関係から、読み解くと、実に判り易い構造なのでした。

番組は、日商岩井の売り込み担当者が、軍用機ビジネスの不条理な世界を“魑魅魍魎”との、四文字熟語をノートに記して、事件を締め括りました。

でも、しかし、これは、渦中に居た者が“感じた事”であり、事件の本筋からは逸れた、枝葉末節の結論です。

番組として、NHKとして、仕込まれたネタとして、無難な結論として、世論誘導です、いつまでも、どこまでも、“政治と金の問題”で括るのは、誰の利益になるの?

ロッキード事件の構造は、いまも、より進化して存続している、そのことが、とても、とても、大問題なのです。

そして、いま、大統領がトランプに変わろうとしています。

在日米軍の駐留経費の増額を選挙中に叫んでいましたが、絶好のチャンスです。

日米関係の、構造をハッキリ、スッキリ、させましょう。

いつまでも、どこまでも、アメリカの核の傘が無ければ生きて行かれないとの、敗戦以来の“アメリカンマジック”から覚醒するチャンス!です。

と、云うことでおしまい。

そして、本日の更新を持って、年末休暇に入ります。

来年もよろしくお願いします。

皆さん良いお年を!

では、また。

 

 

 

 

コメント (1)
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