年が明け2022年となり、今年最初の更新です。
前回の続きになります。
『人新世の「資本論』を読んでいます。
タイトルが小難しいですが、中味もそれなりに小難しい。
それでも、惚け防止対策としてページを捲っていきます。
それでは第一章「気候変動と帝国的生活様式」です。このタイトルも、かなり小難しい。帝国的生活様式なんて言葉は、ふつうの人は日常的には使いません。
紹介が遅れましたが、著者は「斉藤幸平」さんと云い、1987年生まれですから現在34歳、大阪市立大学大学院経済学研究科准教授で、専門は経済思想、社会思想だそうです。
出版は2020年9月22日で、私が購入したのは21年9月14日の第15刷りです。一年で15刷り、かなりのベストセラー本です。たぶん40万部近く売れていると思います。
※斉藤幸平さん、このところTV出演が続いています。いずれもNHKで、一本は1月1日放送のBS1スペシャル「欲望の資本主義2022 成長と分配のジレンマ」、もう一本は1月3日Eテレの「100分deパンデミック論」、どちらもこと録画はしましたが、未だ観ていません。
それでは、本論に入ります。
先ずは、冒頭から2018年にノーベル経済学賞を受賞した、イェール大学のウィリアム・ノードハウス批判です。この方の専門は気候変動の経済学で、気候変動を経済学に取り入れた先駆者で、炭素税導入を提唱した方だそうです。
「経済成長と新しい技術があれば、現在と同じ水準の自然環境を将来の世代のために残しておく必要はない」と主張していた方がノーベル賞。
かなり、かなりの楽観論で、一部の?環境運動家から受賞決定に対して、厳しい批判の声が上がったそうです。
それで、そもそもですが、気候変動とか、異常気象とか、温暖化が世界的に問題となりつつあった1988年、「ICPP・・・気候変動に関する政府間パネル」が、「UNFP・・・国連環境計画」と「WMO・・・世界気象機関」によって設立されたのです。
1988年と云えば、いまから34年も前の話しです。私が未だ30代後半の頃です。ずっと、ずっと昔の事だったのです。
そして、気候変動に注目した世界は、手に手を取って対策に取り組むことに・・・、とはならなかったのでした。
それは、何故だったか?と云えば、答えは、翌年1989年に「ベルリンの壁」が崩壊し、ソ連が崩壊し、共産圏が崩壊し、資本主義の勝利で冷戦が終結しからです。
これが、とても、とても、環境を悪化させる原因となったそうです。なるほど、そうか、そうかのお答えです。
わたしも、かねてより、社会主義という競争相手があってこそ、資本主義はその本性を「もろだし」せず、それなりに社会に、労働者に、富を分配していたのだ、と考えます。
競争相手が居なくなれば、資本はやりたい放題になり、市場原理が、競争原理が、アメリカ型の新自由主義が、世界を覆い、日本も覆い、構造改革とか、郵政民営化とか、「アベノミックス」何て政策も生まれたりしたのです。
データ的には、人類がこれまで使用した化石燃料の、なんと、なんと、約半分は、冷戦が終結した1989年以降のものだそうです。当然、結果として二酸化炭素の排出量も急拡大したのです。
それで、タイトルにある「帝国的生活様式」なのですが、簡単にバッサリと云えば、強い表現としては「強い国が弱い国を支配し富を奪いとる」事です。
弱い表現では「弱くて貧しい国の犠牲の上に成り立っている、強くて豊かな国の生活」の事です。
日本も当然、帝国的生活様式なのです。ガソリンも、衣類繊維、食料、牛肉・豚肉・鶏肉から、バッテリーの希少金属まで、海外へ依存する日本。その末端では、長時間、低賃金、危険な労働環境、そして児童労働等で支えられているのです。
いわゆる、「南北問題」、そして中心と周辺、資本主義の拡大・成長には常に、未開の地、未開の市場、未開の低賃金の労働力が必要なのです。
翌年1989年に「ベルリンの壁」が崩壊し、ソ連が崩壊し、共産圏が崩壊し、資本主義の勝利で冷戦は終結。
資本主義は、新たに共産圏の市場と低賃金の労働力を手に入れ、経済はグローバル化し、金融化し、アメリカに一極化したのです。
そして、30年の歳月を経過し、世界は米中の二極化へと向かい、貧困と格差は拡大し、二酸化炭素の排出量は増加し、百年に一度の災害が毎年起き、世界は対策を迫られているのです。
ところで、欧米と云うか、特にヨーロッパでは、気候変動・温暖化への関心が高く、政権選挙において気候変動・温暖化対策が大きな政策課題となっています。
それに比べて、我が日本では、それほどと云うか、あまりと云うか、気候変動で大変な事に、と、云うよりも、それよりも、二酸化炭素の削減対策で経済が大変な事に、と、受け取られている風に見えます。
まあ、二酸化炭素削減の筆頭、車のEV化を巡る争いですが、これは明らかに米、欧、中は、日本の自動車産業を標的にした、覇権争いが絡んでいると思います。
欧米の自動車メーカーは、化石燃料の排ガス対策でも、ハイブリッドでも、日本に後れを取り市場を奪われてきました。EV化は巻き返しのチャンスなのです。
この争いには、後発の中国も加わり、世間で危惧されているように、EV化シフトで日本自動車産業は追い詰められ、追い越される、家電、半導体と同じ運命を辿る予感がします。
これからは、日本は中進国として、それなりに、目立たず、温和しく、ゆっくりと、静かに、こころ豊かな国を目指しましょう。
話しを戻し、それで、欧米は温暖化で、熱波で、毎年死者が発生したりしていますが、日本で一番心配される自然災害は、地震と津波です。まあ、そんな、こんなで、気候変動・温暖化への関心が薄いのかも知れません。
兎に角、欧米は気候変動で、日本は地殻変動なのです。
話しが、あっち、こっち、と、いつものように飛んで、本の内容から幾分それてしまいました。
長くなったので、ここらで終わります。
最後までお付き合い頂きありがとう御座います。
この続きは次回と致します。
れでは、また。