PENTAXのボディを選択したからには「いつかは」と思っていたFA31です。
人によっては夏期連休に入ったかと思われますが、いかがお過ごしでしょうか。
森のなかま夫婦も人並みにお休みに入りました。
月曜日から旅行でもと考えていましたが、のきなみ宿は満杯です。
サマータイムになってからというもの、一度もサマータイムの恩恵を受けた事がありませんでした。
しかし、一ヶ月近く苦しめられたモジュールが前日より試験稼働できるようになったこともあり連休前最終日の金曜日に悲願の16時退社をしてみました。
休み前に念願のFA31を購入するため、仕事帰りに横浜にまで出てみました。
いやはや暑い。人いっぱいでありますが、こころは軽やか、頭もフラフラなので雲の上を闊歩するようです(笑)。そして一度は言ってみたかった台詞を心のなかで連呼してみました。
マジ、サマータイム最高!!
Limitedシリーズでは前玉が58mmと異色のFA31です。一体となった花形フード。アルミ切削ボディと良質なガラスが詰まった寸胴なボディは345gとかなりと重量があります。
このレンズですが一度は購入を諦めていました。
なぜか?
高いからです。
高いとは言っても他メーカの同じクラスのものに比べれば、比較的手を出し易いのかもしれませんが、かなり勇気、根性、体力が必要になるには違いありません。
31mmの画角は35mmフィルムでの話で、APS-Cサイズのイメージャでは1.5倍の47.5mmと50mm標準画角より少し広め。
最短撮影距離も30cmと意外に寄れるのでかなり使い出がありそうです。
そもそもPENTAXを選択した理由は、ボディに手ぶれ補正機構を持っている為でした。
森のなかまは、結構手ぶれが酷くホテルでバイトをしていた時に背の高いカクテルグラスをお客さんに出す時は私も含め、見ているお客さんもヒヤヒヤドキドキものでした。
当時はKonica-MinoltaからSonyに変わったαシリーズがボディ内手ぶれ補正を持っていました。またそれらを支える素晴らしいレンズも揃っていたのですが、かなり高価。。
調べてみるとPENTAXというメーカはボディ内手ぶれ補正を筆頭に、エントリークラスから欲しい機能があったり、上位クラスのレンズが他社よりも比較的手が出し易いということからK100Dという機種を購入しました。
FA77が市場になく、調べるうちに魅力に取り憑かれてしまったという一番最初に購入したLimitedレンズ FA43 F1.9です。
軽量でコンパクトですが持った時の質感や絵はLimitedシリーズのそれであります。64mm相当になるので標準画角より撮りたいものを整理する事になりますので随分と勉強させてもらいました(今もですが)。
当時は単焦点レンズの存在意義も分からず、27mmから300mmをカバーする高倍率のズームレンズを購入しました。
レンズを交換する事無く殆どの画角を得られるため非常に便利なのですが暗いレンズのためホッカリとボケたような絵を得る為には結構条件が厳しいのです。
お客さんでステキな写真を撮る人がいます。一眼を購入したけど高倍率ズームはとこぼすと「取りあえず大口径の50mmで勉強してみたら?」ということで50mm F1.4を購入しました。
解放で撮影すると本当にピントを合わせた所からちょっとでも外れたところからボケていきます。こ、これは!スゴイです!
しかし、今まで立ちん坊でズームをシャーッ、シャーッと変えて適当に撮っていたものからすると、固定された画角で何をどう撮るの?という苦しみも合わせて経験し、しばらく写真を撮るのが苦痛に感じたぐらいです。
それも数を経るごとに何となく「こんな感じで撮れるかな?」というイメージが沸き出し、足を使ったり違う角度から撮ってみるような工夫をするようになりました。
レンズそのものに恋をしてしまったFA77 F1.8です。
115mm相当の画角になり解放側では「とろん、とろ~ん」とボケつつもピントがあった所はピシっと決まってくれます。
FA77この記号を見るだけで胸がキュンキュンしてきます(笑)。
色々な方のサンプルを見ては、「あぁ」「うぅ」と声を漏らしつつLimitedシリーズのこの1台だけでも手にしたいという気持ちに駆られて何ヶ月も過ごしました。
本当はFA43の前に欲しかったのですが、市場から殆ど無くなってしまい4ヶ月程探しまわってようやく流通したものをみつけ電話で押さえてもらったという経緯も恋の病に拍車をかけていたのかと思います。
FA77はポートレイトレンズとして「美人レンズ」の異名を持ちます。
バストアップくらいなら普通に会話が出来るくらいですが、全身を入れようとすると結構被写体と離れなければなりません。でも300mmのように遥か彼方の存在ではありません。
ちょっと距離を置きながら、濃密なファインダー越しで見る被写体はちょっと違います。無防備に構えていると被写体を勝手に恋してしまう魔法にかかってしまいます。
レンズに恋して、手にしてからは被写体に恋してと、とても情熱的(笑)な気持ちになってしまうのであります。やれやれ。
このレンズで随分とワイフを撮影しました。いやいや。こういう時はハニーと呼ぶのでしょうか。。
若い男の子が使うには色々な意味で危険なレンズかと思います。
ファインダー越しの世界だけを求めると現実との落差を感じてしまうのかもしれません。
ハッピーな始まりになるか残酷な結末になるのかは分かりませんが、その時見えていたものはその瞬間では真実なのだと思います。そんな思いを巡らしたくなるような、そんなレンズであります、FA77は(思わず倒置法)。。
FA Limitedではありませんが DA35 F2.8 Macro Limitedです。FAは35mmフィルムにもデジタルにも使用できますが、DAはデジタル専用です。心なしか形状がFA77に似ています。
FA77もFA43もステキなレンズなのですが、いささか画角が狭いのでおさんぽにはテンションが高過ぎます(笑)。
実際の画角では52mmとほぼ標準画角(50mm)に近く、一番使っている時間が長いです。
撮影距離も短くマクロレンズとしても使えるため、このブログの殆どの写真はこのレンズによるものです。
解放側からでも結構シャープに映りますし、軽いしカッコイイしい。もう良い事尽くめなので、画角の近いFA31は無くても大丈夫かな?と2-3年過ごしていたのであります。
でも、やっぱり駄目でした(笑)。
この先何年生きるのか分かりませんが、生きている間に撮れる写真も有限なのだと思います。
ワイフと過ごす楽しい時間、そんな時をパシャっと撮る時間はどんどんと過去となってしまい、二度と同じ瞬間はやってこないのかと思うと、高価で重たいレンズですが使ってみたいと思い始めたのは震災後、サマータイムに残業などなど。もろもろもが絡み合っての購入だったのかと思います。
正直買ったその日は疲れもあったのか、思ったより興奮していませんでした。この事にはそれほど驚いていません。多分徐々奥深い幸福感に満たされるのだと思います。
まだ数日ですが、細く繊細な線とクリクリ、クルリンと被写体が浮かび上がる描写、コクのある色。。
集中する事で恋に落ちてしまうFA77と違い、その時の空間を含めて時間を切り取ってくれるような予感がしています。
一番高いFA31が最後になってしまいハードルが高かったですが(笑)。。遂にFA Limitedシリーズ三姉妹が揃ってしまいました。。
PENTAXという会社もHOYAに吸収され、RICHOに買収されるという道筋を辿りけっして安穏(あんのん)ではないかと思います。
でもカラーバリエーションや「
PENTAX Q」等他社には無い試みでこれまでイメージングに興味が無かった人を惹きつけるような事業を展開してくれるメーカーです。
これからデジタル一眼の購入を考えられている方、既に持っているけれどLimitedレンズ興味がある方は、是非実際に触れるお店でDA/FA Limitedレンズに触れてみて下さい。
AEモードで絞り解放、またはポートレイトモードで彼女やお子さんの目にピントを合わせてパシャとやってみて下さい。
あれ?。。。きゅん?
と思ったら、Limitedシリーズだけの為にPENTAXのボディを購入することで得られるステキな時間と思い出が待っていますよ。