徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

今年のインフルエンザワクチンは子どもに高い効果

2014年12月25日 20時08分37秒 | 小児科診療
 日本で採用されている不活化インフルエンザワクチンは有効率が低く「罹らないためではなく軽く済ませるために接種しましょう」という説明がされてきました。
 が、今年のワクチンは想定外に有効らしい(失礼!)、という記事を見つけました;

インフルエンザワクチン、小児に効果大 流行のA香港型で6割
(毎日新聞社 2014年12月25日)
 この冬に流行中のA香港型インフルエンザについて、15歳以下の小児でワクチンの効果が予想以上に高いことが、慶応大の研究グループの調べで分かった。接種を受けた小児の約60%に発病を抑える効果が見られるという。グループ代表でけいゆう病院小児科の菅谷憲夫医師は「予想外の結果だ。未接種の人は早めにワクチン接種を受けてほしい」と呼び掛けている。
 グループは、11月中旬~12月中旬、関東を中心とした14医療機関の生後6カ月~15歳の受診者を分析。迅速診断でA型のインフルエンザ陽性だった109人のうち、67%に当たる73人がワクチン接種を受けていなかった。陰性の人の接種の有無の割合なども考慮し、統計学的にA型に対するワクチンの効果を60%と算出した。
 菅谷医師によると、ワクチン接種により、ウイルスを攻撃するヒトの抗体が、標的となるウイルスに対して幅広く効果を示すようになる。今季の流行の主流はワクチンの効果が低いとされるA香港型(H3N2)だが、ワクチンによって得られる抗体の効果が今回のウイルスに有効だと考えられるという。


 といっても有効率6割ですけどね。
 麻疹ワクチンの9割以上に比べると、まだまだ改善の余地あり!

 ちなみに「有効率6割」とは、接種した人の6割が罹らないという意味ではありません。
 接種していない人と比較して、感染者が6割減る/抑えられるという意味です。
 これは統計学の常識ですので、欺しているわけではありません。
 誤解なきよう。

 また、今年はすでにA香港型が流行しているから「もう遅い・・・」とあきらめることはありません。
 ワクチンには3種類のインフルエンザに対応できるよう3種類の株が入っています。
 A香港型には間に合わなくても、2009年のパンデミック由来のもう一つのA型と、B型対策として接種する意味があります。

 と言うものの・・・すいません、当院ではすでに締め切ってます。
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2 コメント

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Unknown (わたる)
2014-12-25 22:56:54
はじめまして、こんばんわ。
いつも先生のブログを拝見しております。
大変勉強になりありがとうございます。

子供で有効率60%ということは、成人は有効率がもうちょっと良いのでしょうか?

ご意見頂ければ幸いです。
よろしくお願いします。
返信する
インフルエンザワクチンの有効率について (管理者)
2014-12-26 06:23:18
ご質問ありがとうございます。
「インフルエンザ診療ガイド2013-14」(菅谷憲夫編:日本医事新報社)から発症予防率を引用します;

・高齢者:34-55%
・65歳未満健常成人:70-90%
・6歳未満小児:22-25%

なお、高齢者の「死亡回避率」は80%です。
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