徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

インフルエンザワクチン情報-3:1回接種、それとも2回接種?

2015年08月31日 06時48分37秒 | 小児科診療
 小児に対するインフルエンザワクチン接種回数は、日本では2回が基本です(ただし13歳未満)。
 しかし外国を見回すと、これが世界標準ではないことに気づかされます。日本より接種回数が少ない方式が一般的なのです。
 特にアメリカはデータを元に細かくアップデートするので、毎年「今シーズンの接種スケジュールはどうなる?」と目が離せません。
 
 世界の接種スケジュールを比較してみましょう。
 日本推奨とWHO推奨、それから2015-16年シーズンのアメリカACIP推奨のスケジュールを列挙してみます;

<日本>
□ 6ヶ月~13歳未満:2回
□ 13歳以上:1回

<WHO>
□ 6ヶ月~3歳未満:2回
□ 3歳~9歳未満:1~2回(前年度ワクチン未接種者に対しては2回)
□ 9歳以上:1回

<米国>
□ 6ヶ月~8歳:1~2回(過去に2回接種歴があれば1回)
□ 9歳以上:1回


 米国のスケジュールを追加説明しますと、乳幼児に初年は2回、次の年からは1回が基本です。かつ、過去に2回接種歴があれば、それが同じ年でなくてもカウントしてよいことになっており、極端な話「3年前に1回、昨年1回接種した」のであっても今シーズンは1回接種でよいのです。


 では、日本より少ない接種回数で十分な効果が期待できるのでしょうか?
 前々項で記したように、もともとインフルエンザワクチンの「発症阻止効果」は低く期待できませんが、「症状軽減効果」は十分に期待できるデータがあります。
 つまり、日本の接種スケジュールを守っても「罹らないためではなく、軽く済ませるため」という目標になります。
 WHOや米国のスケジュールは、回数を減らしても上記の効果は変わらないというデータを元に作成されていると考えられます。

 ただし、ワクチンを接種しても重症化を100%防げるわけではありません。ワクチン接種者にもインフルエンザ性脳症の発生報告はあります。
 逆に、インフルエンザワクチンは2回接種してもまだ効果が不十分、と意地悪な見方をすることもできますね。

 今シーズンはワクチン接種料金が上がることが避けられず、兄弟の多い家庭では全員に2回接種すると経済的負担が重くのしかかります。
 その解決策・妥協策として、上述のWHO/米国方式の選択もありと開き直ってもいいのではないか、私は考えています。

 ただし、重症化のリスクを少しでもゼロに近づけたい方にはお勧めしがたく、重症化した場合に「2回接種しておけばよかった」と後悔してしまう方は日本式を選択すべきでしょう。
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インフルエンザワクチン情報-2:値上げ

2015年08月30日 17時01分49秒 | 小児科診療
 もう一つインフルエンザワクチン関連の話題があります。
 それは「値上げ」。
 今シーズンはインフルエンザワクチン価格が50%上がる(つまり1.5倍になる)ことがわかっており、それに伴い接種料金を上げなければならなくなりました。

■ ワクチンの大幅値上げでインフルエンザ大流行?
(2015年8月24日:日経メディカル)
 今冬のインフルエンザは大流行となるかもしれない。原因は、インフルエンザワクチン料金の値上げだ。厚生労働省は、ワクチンに盛り込む抗原量を増やして、計4種類のインフルエンザウイルスに対応できるようにした。だが、抗原が1種類増えたことで製造に必要なコストがかさみ、それが接種料金に跳ね返りそうな気配なのだ。値上げ幅によっては、接種率の大幅な低下につながる可能性がある。


 具体的な接種料金、接種スケジュールなどを目下検討中です。
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インフルエンザワクチン情報-1:無効?有効?

2015年08月30日 16時42分30秒 | 小児科診療
 毎年インフルエンザワクチンに振り回されますが、今回は有効性のデータがニュースで流れました。
 
 インフルエンザワクチンの有効性は、発症阻止率は他のワクチンと比べて低いことはすでに有名です。
 当院では「罹らないためではなく、軽く済ませるために接種しましょう」と説明しています。

 私は10年来、毎年2回ずつ接種してきました。しかし昨シーズンA型に罹ってしまいました(微熱が1日だけで済みました)。まあ、こんなものです。

 ですから、以下の記事の数字を見ても別に驚きません。
 むしろ注目すべきは「全年齢を対象に調べた結果、重症化の可能性がA型全体で76%減り、H1N1型では90%減ることが確認された」という文言であり、期待通りの数字です。
 というわけで、この報告が出たから当院の方針が変わることはありません。

■ インフルワクチン:乳児、中学生に予防効果なし
毎日新聞 2015年08月30日
インフルエンザワクチンの発症防止効果


 インフルエンザのワクチンを接種しても、6~11カ月の乳児と13~15歳の中学生には、発症防止効果がないとの研究成果を、慶応大などの研究チームが米科学誌プロスワンに発表した。4727人の小児を対象にした世界的に例がない大規模調査で明らかになったという。
 インフルエンザワクチンは、小児では生後6カ月以上の希望する人が受ける。チームは世界的なワクチンの効果を検証する方法に従い、2013年11月~14年3月、慶応大の22関連医療機関を38度以上の発熱があって受診した6カ月~15歳のデータを分析した。インフルエンザへの感染の有無とワクチン接種の有無を調べ、「A型」「B型」などインフルエンザの型ごとに発症防止効果を計算した。例えば、ワクチンを接種しても感染した例が多ければワクチンの効果は低く、ワクチンを接種して感染していなかった例が多ければ効果が高くなる。
 その結果、
□ 6~11カ月では、患者が最も多かったA型で発症防止効果がみられなかった。
□ 13~15歳は、A型もB型も効果がなかった。
□ 以前からワクチンの効果が低いとされるB型は、全年齢で26%しか効果がないとの結果になった。
 その他の年齢は、
□ A型の発症防止効果が
 ▽1~2歳=72%
 ▽3~5歳=73%
 ▽6~12歳=58%
□ A型の中で09年に世界的流行をしたH1N1型は
 ▽1~2歳=67%
 ▽3~5歳=84%
 ▽6~12歳=90%

 --だった。H1N1型については、6~11カ月と13~15歳は患者数が少なく分析できなかった。チームは「1~12歳では6~7割の発症防止効果が見込まれ、特にH1N1型では効果が高い」と説明する。
 インフルエンザワクチンには重症化を防ぐ効果が期待されるが、全年齢を対象に調べた結果、重症化の可能性がA型全体で76%減り、H1N1型では90%減ることが確認された。B型は、重症化を防ぐ効果も確認されなかった。
 チームが現在分析している14~15年の調査でも、同様の結果が出ているという。チーム代表の菅谷憲夫・けいゆう病院感染制御室部長は「乳児に接種が広がっているが、効果がないことが分かった。一方、小学生ぐらいまでの小児は積極的にワクチンを打った方がよいことが示された。13~15歳の中学生で効果がみられない理由は今後の検討課題だ」と話す。


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躍動する34歳、ロジャー・フェデラー

2015年08月30日 08時51分47秒 | テニス
 全米オープンの前哨戦であるウエスタン・アンド・サザン・オープン(米シンシナティ)で、世界ランキング2位のフェデラーが同1位のジョコビッチを決勝戦で破り、この大会7回目の優勝を勝ち取りました。

■ フェデラー ジョコビッチを一蹴!2年連続7度目V
2015年8月24日:スポニチ
 テニスのウエスタン・アンド・サザン・オープン(米シンシナティ)男子シングルス決勝が23日(日本時間24日)に行われ、第2シードのロジャー・フェデラー(34=スイス)が、第1シードのノバク・ジョコビッチ(28=セルビア)に7―6、6―2で快勝し、2年連続7度目の優勝を飾った。
 フェデラーはこれまで決勝に進出した7回とも優勝と、相性のいいこの大会で1度もブレークを許さない強さ。また、両者の対戦も、今年のウィンブルドン決勝など3戦続けてジョコビッチが勝っていたが、これでフェデラーの21勝20敗となり、勝ち越した。フェデラーは試合後「あと何年ここで試合をできるかわからないが、何回も戻ってこれるように、ベストを尽くす」と約束。
 一方、ジョコビッチはこの大会5度の決勝進出で一度も勝てず。この大会に勝てば、ATPマスターズ9大会すべてを制覇するところだったが、持ち越しとなったため「5回決勝を戦って、1度も勝てない。だから、ロジャー(フェデラー)が引退するのを待つことにするよ」と冗談めかして言うとフェデラーは「君がいつかこのタイトルを取ることを、本当に願っているよ」と返していた。


 フェデラーは既に34歳で体力のピークを過ぎています。
 しかしこの大会の彼は、躍動するアグレッシブ&エレガントなプレーで魅せてくれました。
 サーブの調子がよく、とくにキックするセカンドサーブが有効でブレークされたゲームはゼロ。
 長いラリーになると不利になるため、セカンドレシーブは前に出てネットを取る戦法。
 それがうまく行き得点に繋がるのは体調がよいのでしょう。

 しかしすごい34歳です。
 余談ですが、彼には男の子の双子と女の子の双子の計4人のお子さんが居るそうです。

■ フェデラーの驚異語るジョコビッチ「男子テニスを支配するプレー」
tennis365.net 2015年8月29日
 31日から開催する全米オープン(アメリカ/ニューヨーク、ハード)に第1シードで出場し、同大会の前哨戦であるシンシナティ決勝ではR・フェデラー(スイス)に敗れて準優勝に終わったジョコビッチが、対戦した34歳のフェデラーの変化について語った。
 ウィンブルドン後の最初の大会としてシンシナティ大会に登場したフェデラーは、特にそのサービスで目を見張る成果を出していた。
 5試合で10セットを戦ったフェデラーは、そこでプレーしたサービスゲーム39ゲームで1度もブレークを許さなかった。大会を通して相手に握られたブレークポイントもわずか3ポイントと、驚きの統計を叩き出していた。
 フェデラーは相手のセカンドサービスでは、より一層ネットへつめるプレーを見せ、相手にプレッシャーを与え1ポイントを短くするように努めていた。それを続けようとする彼の考えは、大会を通して上手くいっていた。
 「自分にとってよりチャレンジになるものに思えたし、対戦相手に集中するより自分にとってはより楽しくもあった。だからこれまでとは違うスタイルをトライしたんだ。それはあの大会だけかも知れないし、ニューヨークでもするかも知れない。ここからより前へ進むために、良いアイデアを与えてくれるかも知れないと思っている。」とフェデラーは自分のプレーに対する考えを述べていた。
 シンシナティの速いコートで新しいことを試すにはちょうど良いと感じていたフェデラーの変化を、ジョコビッチも察していた。
「そうさ、彼(フェデラー)はいつもより多くネットへ出てきて、ポイントを短くしようとしていた。そしてそれを上手くやっていたし、明らかに戦術的な変化を加えようとして、若い世代の選手にも対処しようとしていた。」とジョコビッチもフェデラーの変化を感じていた。
 シンシナティでのフェデラーのプレーを見ると、フェデラーが全米オープン前にあまり大会には出場しなかったものの、全米オープンで上位進出しても全く驚きはしないとジョコビッチは感じてた。
 ジョコビッチは「彼は未だに男子テニスを支配するだけのプレーをしている。グランドスラムや他の大きな大会の決勝の舞台へ勝ち上がっている。彼はしっかりレベルを上げて戦ってくるんだ。いつも彼に勝つためにはかなりの苦労を強いられるんだ。」と、未だ衰えを知らないフェデラーのテニスの凄さを実感していた。
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手足口病の流行が続いています。

2015年08月15日 07時48分28秒 | 小児科診療
 当院はお盆週間も診療をしており、本日が最終日。
 来院する患者さんでやはり目立つのが手足口病です。

 この夏に2回罹った子もいますね。
 これは、手足口病の原因になるウイルスが1種類ではないからです。複数のウイルスが似たような症状を発現し、症状だけでくくって診断していますのでこのような状況になります。

 だから、皮疹の出方・分布も微妙に異なります。
 口内炎がひどいと食事が取れずつらい思いをします。
 手の平/足の裏のみでなく、肘や膝に多く出るタイプ(コクサッキーA6)は、治癒後に爪が一過性に変形することがあります。
 エンテロウイルス71が流行すると脳炎の合併症が問題になるのですが、今シーズンはこの話題は出ませんね。

 手足口病は隔離義務はありません。
 大流行しているのになぜ?
 その理由は「感染力が数週間続くから」です。
 みんなお腹の中(消化管)で増殖して症状を出すウイルスであり、症状が消えた後も数週間お腹の中にいて便から排泄されます。
 つまり、ウンチの中に感染力のあるウイルスが居座るということ。
 ですので、厳密に「感染力が無くなったから登園/登校可能」という主旨の治癒証明書を義務づけると、3週間から1ヶ月間も集団生活ができないことになります。
 手足口病に罹ると1ヶ月間保育園へ行けない・・・これは現実的ではありませんね。
 これに手足口病の重症度を加味して、妥協しているのが現実なのです。
 ご理解いただけましたか?

■ 手足口病が猛威…患者数、過去最多に迫る
2015年8月12日 読売新聞
 乳幼児の手や足、口の中などに発疹ができる手足口病の患者数が、過去最多だった2011年7月中旬に迫る勢いで増えていることが11日、国立感染症研究所が発表した速報値でわかった。感染研は、流行が9月頃まで続く恐れもあるとみて警戒を呼びかけている。
 速報値によると、全国約3000か所の小児科から報告された患者数は、今年8月2日までの1週間で1か所あたり平均10・26人。過去最多だった11年7月11~17日の10・98人に次ぐ患者数に達した。
 都道府県別では、宮崎(19・61人)、新潟(19・59人)、宮城(18・73人)、山形(18・67人)の順に多い。全国平均を超えているのは、関東や北陸、東北にかけての各都県が中心だが、大阪(11・26人)も多めとなっている。
 原因となるウイルスには数種類の型があり、今年は重症化しにくい型が主流。ただ、7月以降に増えている型は、手足以外に発疹が広がることも多いという。
 感染研感染症疫学センターの藤本嗣人つぐと室長は「秋頃までは、流水とせっけんで小まめに手を洗い、おむつ交換時には便に触れないようにするなど、予防策を心がけてほしい」と話す。



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風疹流行による先天性風疹症候群は45例、そのうち7例死亡

2015年08月13日 05時38分08秒 | 小児科診療
 2012~2013年に社会問題化した風疹流行と先天性風疹症候群(CRS)。
 しばらく情報がありませんでしたが、先日久しぶりに報道されました。私が追ったのは40例目まででしたが、その後も5例発症していたのですね。
 45例のうち7例が乳児期に死亡した事実も明らかにされました。
 これまでなぜ公表されなかったのか、疑問に思います。

■ 風疹で障害の赤ちゃん7人死亡
2015年8月07日:NHK
 平成24年から25年にかけて、成人を中心に流行した風疹のため、生まれた時から心臓などに障害のある赤ちゃん45人のうち少なくとも7人が生後5か月までに死亡したことが国立感染症研究所などの調査で分かりました。
 風疹は、妊娠初期の女性が感染すると生まれてくる赤ちゃんの耳や目、心臓などに障害が出る「先天性風疹症候群」になるおそれがあります。
 平成24年から25年にかけての流行では、多くの成人が感染し、全国で45人の赤ちゃんに障害が出て、このうち4人は愛知県と三重県で生まれました。
 国立感染症研究所などの研究グループは、赤ちゃんの経過を把握するため、医療機関の協力を得て調査したところこれまでに21人について詳しい情報が報告され、このうち7人が肺炎や呼吸不全、それに心筋炎などを起こして生後5か月までに死亡していたことが分かりました。
 また、赤ちゃんの障害は、難聴が16人、心臓の疾患が15人、白内障が4人で、肝機能や精神発達の障害などもありました。


★ CRS関連の過去ログ
(2014年02月19日)「2013年,風疹が最も流行した国ワースト3」に日本
(2014年01月23日)40例目の先天性風疹症候群が発生
(2013年12月31日)34例目の先天性風疹症候群が発生
(2013年12月20日)33例目の先天性風疹症候群が発生
(2013年12月07日)30例目の先天性風疹症候群が発生
(2013年11月08日)26例目の先天性風疹症候群が発生
(2013年10月31日)22例目の先天性風疹症候群が発生
(2013年10月11日)20例目(19+2-1)の先天性風疹症候群が発生
(2013年09月21日)19例目の先天性風疹症候群
(2013年09月05日)18例目の先天性風疹症候群
(2013年08月29日)17例目の先天性風疹症候群
(2013年08月01日)14例目の先天性風疹症候群
(2013年04月26日)風疹流行止まらず・・・10人目の先天性風疹症候群
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HPVワクチンの副反応、EUで検討が始まる

2015年08月05日 09時52分49秒 | 小児科診療
 日本では「積極的勧奨停止」状態のHPV(子宮頸がん)ワクチンですが、欧米では現在でもふつうに接種されています。イギリスでは10代の90%が受けているそうです。
 そのヨーロッパでも副反応の検討が始まりました;

■ 子宮頸がんワクチンの安全性評価を開始―EU当局
(2015年7月17日 読売新聞)
 欧州連合(EU)の医薬品規制当局である欧州医薬品庁(EMA、ロンドン)は7月13日、子宮頸けいがんワクチン(HPVワクチン)の安全性をより明らかにするための評価を行うと発表した。有害事象(ワクチンとの因果関係がはっきりしないものも含めた副作用)の報告が集まっているデンマーク当局の要請によるものだが、欧州医薬品庁は今回の安全性評価について「子宮頸がんワクチンの効果と危険性のバランスに疑問を投げかけるものではない」と強調している。子宮頸がんワクチンの有害事象は日本でも報告されており、政府は積極的な接種の呼びかけを中止している。
◇結果は今秋に発表か
 今回の評価の対象は、欧州地域で承認されている「サーバリックス」(2価ワクチン)、「ガーダシル」(4価ワクチン)、「ガーダシル9」(9価ワクチン、日本未承認)の3種類。まれな頻度で報告されている「複合性局所疼痛症候群(CRPS)」と「起立性頻脈症候群(POTS)」に関する検討が行われるという。
 欧州医薬品庁によると、これまで報告されている子宮頸がんワクチン接種後の症状は、ワクチンとの因果関係が証明されていない。同庁は「CRPSやPOTSは子宮頸がんワクチンを接種していない人でも起こるものであり、接種したグループと接種していないグループでの頻度を比較することは重要」と指摘。また、現時点でこの2つのイベントに関する報告の大部分で十分な診断基準が示されていない問題もあるとしている。
 評価結果は今年の秋頃に示される見通し。なお、現時点で子宮頸がんワクチンの承認内容や勧告に変更はない。
◇海外メディアの反応は?
 この発表について、海外のメディアはどのように報じているのか。米紙「ワシントン・ポスト」は7月13日付の記事(電子版)で、子宮頸がんワクチンは世界各国で広く普及する一方、この数年でメキシコ、米国、日本、デンマークの研究グループによる、数例~数十例規模の接種後のCRPS、POTSに関する症例報告が集積してきたとした。
 米医療情報サイト「メドスケープ」は同日付記事で、「POTSについてはまだ実態がつかみにくい部分があるほか、子宮頸がんワクチンの接種推奨年齢がこうした症状が現れやすい年齢層でもあることから、原因の解明が難しい」というデンマークの研究者のコメントを紹介。この研究者は、ワクチンとの因果関係を評価するだけでなく、POTSなどが疑われる人のための診療体制を整えることが、予防接種への信頼性を維持するために重要との見解を示している。
 英国放送協会(BBC)は同日付記事(電子版)で、今回の評価で検討される2つの症状については「まれな(rare)」としつつ、HPVは「非常によく見られる(very common)」性感染症と紹介。また、英国内ではこれまでに12件のPOTS、10件のCRPSが報告されており、英当局関係者の「英国内では10代の子宮頸がんワクチン接種率は90%近くあり、これまでに800万回接種されている。こうした有害事象の報告が出てくることは予想外ではない」とのコメントを掲載している。


 対象は複合性局所疼痛症候群(CRPS)と起立性頻脈症候群(POTS)で、日本で提唱されているHANS症候群は入っていないようですね。
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当院HPの検索ヒット順位

2015年08月04日 18時20分24秒 | 小児科診療
 私は自分自身のための備忘録として、調べ物をするとそのまとめをプリントにしたり、HPにアップする習慣があります。患者さんに説明する際にも使用してます。
 先日、下記キーワードで Google 検索をしてみたところ、当院HPが以下の順位でヒットしました。

「便秘」「子ども」   →   1位/約 2,070,000 件
「漢方」「飲ませ方」  →   1位/約 565,000 件
「鼻のかみ方」「子ども」→   1位/約 403,000 件
「熱性けいれん」     →  3位/約 241,000 件
「スキンケア」「赤ちゃん」→  3位/約 906,000 件

 結構上位でヒットするので驚いてます。
 興味のある項目がありましたら、ご利用ください。
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「狂犬病」のお話

2015年08月04日 18時07分08秒 | 小児科診療
 日本では発生しておらず「過去の病気」の印象が強い病気ですが、外国(特に途上国)では蒸しできない頻度で発生しています。毎日新聞の記事から;

■ 狂犬病:放置キケン 海外で感染リスク、多数「何もせず帰国」 サル、ネコも注意 かまれたら即ワクチン
(毎日新聞 2015年08月04日)
 日本から狂犬病に感染する危険性の高い国に行き、現地で動物にかまれるなどした人の半数以上が、発症を防ぐためのワクチン接種をしていなかったことが、成田空港検疫所の調べで分かった。狂犬病は確立された治療法がなく、発症するとほぼ100%死亡する。夏休みで海外旅行客が増える中、専門家は「狂犬病が発生していない地域は世界的にもまれ。適切な処置を忘れないで」と注意を呼び掛けている。
 狂犬病は感染前のワクチン接種で予防できるが、渡航半年前から計3回の注射が必要なため、厚生労働省は動物にかまれた後の速やかな対応を推奨している。すぐに水とせっけんで傷口を15分以上洗い流し、できるだけ早くワクチンを接種すれば発症を防げる。ワクチンは直後と3、7、14、28、90日後と計6回の接種が必要だ。
 成田空港検疫所の磯田貴義医師らは、2013年に寄せられた「動物にかまれるなどした」との健康相談192件を分析。その結果、フィリピンやインドなど世界保健機関(WHO)が狂犬病感染の危険性が「中等・高度」とする国での事例が81%の155人に上り、そのうち過半数の79人がワクチン接種を受けていなかった。ワクチンを受けた人でも、27%が接種回数が不足しており、36%はかまれるなどした後1日以上経過してからの接種だった。
 接触した動物は59%がイヌだったが、ネコ(18%)やサル(14%)もおり、イヌ以外の動物の狂犬病リスクを正しく理解していなかった可能性もある。
 国内の狂犬病発生例は、06年にフィリピンでイヌにかまれた2人が発症して死亡したのを最後に確認されていない。世界ではほとんどの国で発生し、WHOによると死亡者は毎年約5万5000人と推定される。国立国際医療研究センターの金川修造・トラベルクリニック医長は「日本でいつ発症者が出てもおかしくない状況。発生国で動物にかまれるなどしたら、かすり傷程度でも必ず対策を取らなくてはならない」と話す。


 実は、赤字の部分が問題なのです。
 日本では狂犬病ワクチンの流通量が少なく、“予防”接種を希望してもワクチンが入手できないのが現状です。
 厚生労働省のお役人、何とかしてください。
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小学4年生の1割は“メタボおじさん”。

2015年08月04日 07時28分57秒 | 小児科診療
 読売新聞から;

■ 小4の1割、おじさん化?…肝機能・脂質に異常
(2015年8月3日:読売新聞)
 小学4年生を対象に、香川県が昨年行った血液検査で、肝機能、脂質、血糖値の異常値を示した子どもの割合が、それぞれ1割に上ることが分かった。
 食生活や運動不足の影響が大きいとみられ、研究者は全国調査を求めている。
 調査は同県の17市町のうち、小学4年生の採血を行う16市町が対象。保護者が同意した8264人(全体の約96%)について、肝機能、脂質、血糖の検査値を集計した。肝機能は、肝臓の負担が増すと数値が上がるALTなど3項目を調べた。
 このうち一つでも異常値を示した割合は男子12・4%、女子9・5%だった。
 総コレステロールや、中性脂肪などの脂質が異常値となった子どもは男子10・2%、女子11・5%。高血糖状態が続いていることを示す「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」の高値は、男子12%、女子10・9%だった。各検査項目の小児基準値は、国内の研究や医師の意見を基に、同県が設定した。
 学校健診で血液検査を行う自治体は少ないが、同県は2012年、市町への補助を開始。同県の調査で、検査値異常の子どもは「腹いっぱい食べる」「早食い」「1日のゲーム時間が長い」「特別な運動をしない」などの生活習慣が多いことが分かっている。
 高松市では異常値の子どもの家庭に、養護教諭らが「肉を減らし野菜を多く」「お菓子やジュースを減らす」「休日は家族で運動を」などの生活指導を行い、数値が改善する例が相次ぐなど成果が表れている。
 取り組みを推進する香川短大の北川博敏名誉学長は「異常値の多くは生活習慣の見直しで改善できる。子どもの血液検査は、将来の病気予防のために重要で、国の主導で全国に広げてほしい」と話している。


 まあ、生活習慣が“おじさん”化してますから、当然の結果かと。
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