徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

黄砂でも花粉症と同じ症状?

2015年02月28日 06時02分01秒 | 小児科診療
 連日スギ花粉症患者さんが来院する季節になりました。
 この時期にもう一つ気になるのが大陸から飛んでくる「黄砂」。
 
 以下の記事によると、スギ花粉症と同じような症状が出るようです。
 また、大きさがスギ花粉の1/8と小さく、花粉対策グッズが必ず真も有効でないところが悩ましい。

■ 花粉だけじゃない!この時期は、「黄砂」にもご注意!
2015年02月27日:日刊アメーバニュース

だんだんと気温も上がり、ついに花粉症の季節がきてしまいました。花粉症が流行っている中、「黄砂」のニュースもあったのもご存知でしょうか?
また、黄砂には、「黄砂症、黄砂アレルギー」などの症例もでてきているようです。
黄砂症、黄砂アレルギーについて、医師に聞いてみました。

Q1 黄砂症、黄砂アレルギーとは、どんな症状なのでしょうか?
黄砂症(黄砂アレルギー)は、花粉症など他のアレルギー性疾患と同じように目や鼻、気管支などに表れます。例えば、
・目のかゆみや違和感
・鼻水やくしゃみ
・頭がぼーっとしたりする

などが挙げられます。また、ぜんそくの引き金になることもあります。

Q2 原因は何が考えられますか?
中国のゴビ砂漠やタクラマカン砂漠、黄土地帯から偏西風に乗って運ばれてくる、黄砂が原因です。
日本では3月から5月にかけて多くみられ、外に置いたものの上に黄白色のホコリのようなものが積もって見えます。この黄砂に付着した有害物質が黄砂アレルギーの一因となっているといわれています。

Q3 花粉症との違いとは何でしょうか?
花粉症と黄砂アレルギーは多くの点でとてもよく似ています。
違う点としては、花粉よりもずっと粒子が小さく(スギ花粉が直径0.03㎜の大きさであるのに対し、黄砂は0.004㎜とおよそ8分の一の大きさ)肺の奥まで到達しやすいこと、また、吸い込まないためには非常に目の細かいマスクが必要だということでしょうか。

Q4 黄砂アレルギー対策などあれば教えてください。
黄砂の身体への侵入を防ぐことが一番の対策になると言えます。ただ、花粉よりもサイズが小さいため、花粉症用のマスクでは目を通り抜けてしまい、あまり効果がありません。PM2.5対策用の目の細かいマスクを着用し、必要に応じて眼鏡なども使用すると効果的です。黄砂が飛んでいる日は、窓なども出来るだけ開けないようにしましょう。

Q5 治療法などあれば教えてください。
残念なことに、現状のところ黄砂アレルギーの予防薬や特効薬はなく、発症してしまった場合はとにかく黄砂を避けることと、抗ヒスタミン薬で目のかゆみや鼻水を抑える、といった対症療法が中心になります。

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アレルギー性鼻炎の診療ガイドライン、米国版

2015年02月24日 07時28分47秒 | 小児科診療
 日本ではなく、米国版です。

米で新ガイドライン,舌下免疫療法の位置付けは?~米の専門学会がアレルギー性鼻炎診療ガイドラインを発表
[2015年2月6日:MTPro]
 米国耳鼻咽喉科頭頸部外科学会(AAO-HNSF)は2月2日,アレルギー性鼻炎の診療ガイドライン(GL)をOtolaryngol Head Neck Surg(2015; 152: S1-S43)で公表した。症状によりQOL低下が見られる患者には鼻噴霧用ステロイド薬(INS)を,くしゃみや瘙痒感を主症状とする患者には第2世代の抗ヒスタミン薬を「強く推奨する」と明記。この他,米国でも2014年に承認された舌下免疫療法の位置付けも示された。

◇ 米国では国民のほぼ6人中1人にアレルギー性鼻炎
 GLによると,米国では国民のほぼ6人中1人にアレルギー性鼻炎があり,関連する医療費は20億~50億ドルに上るという。また,アレルギー性鼻炎による生産性の損失は年間で20億~40億ドル,学校の欠席日数は80万~200万日に達するとされている。
 一方,アレルギー性鼻炎の診断や治療には米国内でもばらつきが見られる。そこでAAO-HNSFは,現存するエビデンスを評価し,さまざまな診断・管理法の利益と不利益のバランスについて検討。「アレルギー性鼻炎患者のQOLを向上させる道筋を明らかにし,治療を至適化する」ことを目的に,今回のGLが作成された。
 GLの対象は,2歳以上の小児と成人。GLを作成した専門家委員会は,アレルギー性鼻炎を「抗原への曝露後に見られる鼻粘膜のIgEを介したアレルギー反応」と定義し,症状には鼻漏,鼻閉,瘙痒感,くしゃみなどの症状が含まれるとした。

◇ ルーチンの画像検査やLTRAによる初期治療は「実施すべきでない」との見解
 主な推奨項目(Key Action Statement;KAS)として示された14項目(表)のうち,「強く推奨」とされているのは,症状によりQOLの低下が見られる患者に対するINSの使用だ。また,主訴がくしゃみや瘙痒感の患者に対しては「第2世代あるいは鎮静作用の弱い抗ヒスタミン薬の経口薬を勧めるべき」とされた。



 舌下免疫療法(SLIT)を含むアレルゲン免疫療法に関しては,「環境の改善や薬物療法で十分な効果が得られない患者に実施するか,実施できる医師を紹介すること」が推奨された。この背景について,GLでは「アレルギー性鼻炎に対するSLITや皮下免疫療法(SCIT)の有効性は複数の大規模なシステマチックレビューで支持されている」と説明。直近のSLITのシステマチックレビューからは,SLITがアレルギー性鼻炎の症状を改善するとの中等度のエビデンスが得られているとしている。なお,米国では2014年にSLITの舌下錠が承認されたが,液剤は承認されていない。
 さらに,GLにはこれらのKASを含む診療フローチャートを掲載(図)。また,「主症状が鼻閉」「間欠的なくしゃみ,瘙痒感,鼻漏」「軽度の症状」「中等度~重度の症状」「補完的医療を希望」など患者の状態や希望に応じた治療ステップを示したクリニカルシナリオも掲載された。



 日本のガイドラインは2013年版が最新なので、舌下免疫療法の評価を含めたものはまだ出ていません。
 それ以外で日本との違いは・・・
・アレルギー検査は最初からは行わず「治療に反応が悪い時」に考慮する(日本では治療開始前からの患者さんの検査希望が多い)
・抗ロイコトリエン薬は第一選択薬として推奨していない(日本では鼻閉に対して最初から併用しがち)
 ・・・あたりでしょうか。

 私が多用している漢方薬(=ハーブ療法)に関しては「推奨なし」ですね(苦笑)。それより「鍼治療」を評価していることは意外です。
 漢方薬を上手く使えばQOLが上がること間違いなし! なのになあ。

<参考>
的確な花粉症の治療のために
鼻アレルギー診療ガイドラインのワンポイント解説
アレルギー性鼻炎ガイドライン2013年版の解説スライド
 ・・・妊婦さんに関する記述が充実し、民間療法を否定していることを強調しています。
アレルギー性鼻炎ガイド(2009年版)
 ・・・最新版は2013年ですが、購入する必要があります。
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地域差が大きい今年のスギ花粉の飛散状況

2015年02月21日 05時54分39秒 | 小児科診療
 関東地方では「今年は昨年の2倍飛散」と予想されているスギ花粉。
 でも、全国を見渡すと、結構地域差があるようです;

■ 関東の花粉 前年比230% 気象協会予想 最悪は東北の360%
2015年2月20日:東京新聞



 スギやヒノキの花粉の飛散が、二月下旬から各地でピークを迎えていく。日本気象協会(東京)は二十日までに予想を発表。飛散量は東北で昨年の三倍以上となるなど、東日本で多くなるとみられ、花粉症を抱える人にとっては悩ましい季節になりそうだ。
 協会によると、主な都市のスギ花粉のピークは、福岡が二月下旬~三月上旬と予想。その後は、東京や名古屋、大阪、広島、高松が三月上~中旬、仙台と金沢が三月中~下旬と北上する。
 スギ花粉の後は、四月中旬にかけてヒノキ花粉が飛散するが、仙台と金沢は量が少ないため、ピークはないと見込まれている。北海道は四月下旬~五月上旬にシラカバ花粉が飛ぶとしている。
 花粉の量は、前年の夏の天候が大きく影響するとされる。
 地方別では、東北が昨年比で360%と非常に多くなると予想。関東甲信も230%、北陸は200%、東海は150%と、東日本で飛散量が増えるとみられている。
 一方、昨年夏に気温が低く、日照時間が短かった四国と九州は昨年比30%と非常に少ない。中国はやや少なく、北海道と近畿は昨年並み。


 当地館林市は、昨年8月に「最高気温第一位」を独走した酷暑地。
 やはりたくさん飛ぶんだろうなあ。
 くわばらくわばら・・・。
 「四国と九州は昨年比30%」と激減することに驚きました。ずいぶん偏った分布なのですね。

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スギ花粉症に使用する「抗アレルギー薬」の種類と注意点

2015年02月20日 06時19分15秒 | 小児科診療
 スギ花粉症治療は抗アレルギー内服+局所療法が基本です。
 その抗アレルギー薬のわかりやすい解説記事を見つけました;

■ アレグラ、ザイザル、アレジオン――花粉症に有効な薬は、症状や時期によって違う? 副作用や飲むときの注意点は?
2015.2.19:ITmedia HealthCare
 くしゃみや鼻水、目のかゆみなど、やっかいな症状に悩まされている人も多い花粉症。治療に用いられる薬にはどんな種類があるのでしょう。
 実際に花粉症と診断された場合、医師からはどのような薬が処方されているのでしょうか。今回は、花粉症治療に用いられる薬について耳鼻咽喉科の医師に聞きました。

◇ 鼻症状の治療は、抗アレルギー作用をもつ第二世代抗ヒスタミン薬
 花粉症の症状として多く見られる鼻水・くしゃみの処方薬には、次のような抗アレルギー作用を持つ抗ヒスタミン薬が挙げられます。

・ゼスラン、ニポラジン(メキタジン)
・ザジテン(ケトチフェンフマル酸塩)
・アレグラ(フェキソフェナジン塩酸塩)
・アレジオン(エピナスチン塩酸塩)
・ジルテック(セチリジン塩酸塩)
・クラリジン(ロラタジン)
 など

 これらの薬は「第二世代抗ヒスタミン薬」と呼ばれ、花粉症の基本処方薬です。初期治療段階から軽症~重症に至るまで、あらゆる花粉症の治療に用いられます。
 花粉症では花粉からの刺激によって、細胞からアレルギー反応を起こすヒスタミンやロイコトリエン、トロンボキサンといったケミカルメディエーターという物質が出てきます。第二世代抗ヒスタミン薬にはこれを抑える働きがあり、鼻水・くしゃみはもちろん、花粉による皮膚のかゆみや気道の炎症も抑制します。
 さらに鼻粘膜細胞のヒスタミン受容体をブロックし、細胞から出てきたアレルギーを誘発するヒスタミンと反応しないように抑える働きも。花粉症で医療機関を受診すると、まずこの第二世代抗ヒスタミン薬が処方されるでしょう。さらに目に症状がある場合は、抗アレルギー成分が入った目薬であるインタール(クロモグリク酸ナトリウム)等が、症状が少しひどいと鼻に噴霧するステロイドが処方されます。

◇ 花粉症治療の基本薬、第二世代抗ヒスタミン薬の使用上の注意
 抗アレルギー作用を持つ第二世代抗ヒスタミン薬は、飲んですぐ効くというものではありません。効果が安定するまで2~4週間程度かかりますので、通常は花粉が悲惨する1~2週間前から服用し、花粉の飛散が終わるまで飲み続ける必要があります。
 主な注意点は、これらの薬が持つ抗ヒスタミン作用と抗コリン作用です。抗コリン作用からはのどの渇きが起きることがあり、緑内障や前立腺肥大等がある方は控えた方がよい薬があります。該当する場合は、あらかじめ医師や薬剤師にその旨伝えてください。
 また、抗ヒスタミン作用からは眠気が起きることがあります。多くの薬が眠気を催すため、車の運転や機械の操作を行う機会が多い方は、その旨を相談しましょう。すると、眠くなりにくいアレグラ(フェキソナフェナジン塩酸塩)やクラリジン(ロラタジン)といった薬が処方されます。尚、たとえ薬を飲んでいないときでも、眠気を感じた際には無理をしないことが大切です。
 アレグラ(フェキソナフェナジン塩酸塩)は、グレープフルーツジュースやオレンジジュース、アップルジュース等と一緒に飲むと、薬の効果が弱まってしまうので注意しましょう。また抗ヒスタミン薬の中には、アルコールと飲むと薬の作用が強く出てしまうものが多く要注意となります。さらに妊婦については禁忌のものもあり、クラリジン(ロラタジン)は授乳も可能で妊婦にも比較的安全です。

◇ 市販でも買えるようになった従来の処方薬
 花粉症をはじめとするアレルギー性鼻炎に効く市販薬として、抗アレルギー成分を主体としたものは販売されていませんでした。しかし1990年、初めてメキタジンがアルガード鼻炎内服液としてスイッチOTC薬になり、処方箋なしで薬局やドラッグストアでの購入が可能となっています。
 その後、1997年に抗アレルギー成分クロモグリク酸を配合した外用薬インタールがスイッチされ、点眼薬「エージーアイズ」・点鼻薬「エージーノーズ」として発売されるようになりました。花粉症で目がかゆい、目が充血するといった人や、眠気が気になる人にとって市販薬での選択肢となっています。さらに以後、花粉症の治療として使われていた第二世代抗ヒスタミン薬と呼ばれる成分が次々とスイッチ。ハイガード(アゼラスチン塩酸塩)やアルガード抗アレルギーカプセル(エメダスチンフマル酸塩)、アレジオン(エピナスチン塩酸塩)等が、次々と医療用から市販薬へとスイッチされました。
 そして近年になり、花粉症患者に多く処方されていたアレグラがアレグラFXとして、さらにジルテックがストナリニZとしてスイッチされ、セルフメディケーションが推奨されています。


 上記のように、ほとんどの薬は「車の運転をしてはいけません」と添付文書に記されていますのでご注意ください。
 アレグラ®(フェキソフェナジン)とクラリチン®(ロラタジン)だけがその注意事項の記載がない薬です(パイロットにも許可されています)。しかし、残念ながらこの二つの効果は“それなり”なんですよね。
 処方しても「もっと効く薬はないんですか?」と患者さんに言われてしまうのです。
 学会講演では、専門家は「眠気の副作用と効果は比例しない」とは言うのですが、実際に飲んでみると・・・。

 ところで、ベストセラーのアロテック®、ザイザル®の名前がないのは何か意味があるのかな?
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スギ花粉症が始まりました。

2015年02月17日 07時23分52秒 | 小児科診療
 寒い日が続く中、ポツリポツリと温かい日が混じるようになりました。
 それとともにインフルエンザの患者さんが減少し、入れ替わるように花粉症患者さんが受診されるようになりました。

 私自身もスギ花粉症患者であり、もう症状が出ています。
 鼻はグズグズするし、目は涙がネバネバしてきました。
 この季節、外での活動をひたすら避けるように生活していますので、症状は軽いのかもしれません(笑)。
 薬は西洋医学の抗アレルギー薬の中で眠気が少なく、車の運転にも差し支えがないとされているものをベースに、症状がつらい時は漢方薬を上乗せするパターン。それに局所療法である点眼薬/点鼻薬を併用して乗り切るつもりです。

 当院スタッフには、私より重症のスギ花粉症患者が数人いるのですが・・・あれ、あまりつらそうにしていない!?
 ・・・そうなんです。
 スタッフは昨年秋から「スギ花粉舌下免疫療法」をはじめたのです。
 今のところ、いい感じですね~。
 ハイシーズンになっても例年より楽に過ごせたら、効果はホンモノ。

 さて、当院におけるスギ花粉症治療の基本方針を提示します。
 特徴は、西洋医学で限界を感じた時に漢方薬を導入しているところ。
 すべて局所療法(点眼/点鼻薬)を併用します。

1.眠気の少ない抗アレルギー薬(アレグラ、クラリチンなど)
 ・・・眠気は少ないのですが、効き具合は今ひとつ。これでもつらい症状が続く際は、

2-①.眠くなるけど効きのよい抗アレルギー薬(アレロック、ザイザルなど)へ変更
 ・・・開始当初は眠くても1-2週間で慣れることも多いので。しかし「睡魔に絶えられない」という方もいます。その場合は、
2-②.漢方薬へ変更
 ・・・漢方薬は基本的に眠くなりません。しかし、その患者さんの体質、症状により使い分ける必要があります。私が花粉症に使用している漢方薬は以下の通り;
 小青竜湯、苓甘姜味辛夏仁湯、葛根湯加川芎辛夷、清上防風湯、越婢加朮湯/麻黄湯、柴胡桂枝湯など
★ 小青竜湯が有名になりましたが、誰にでも合うわけではありません。虚弱体質の方(鎮痛剤で胃が荒れるなど)、循環器疾患(高血圧、狭心症など)のある方が使用すると、副作用でつらい思いをすることになりますのでご注意を。
 これでも、つらい症状が抑えきれない場合は、

3.抗アレルギー薬と漢方薬の併用
 ・・・抗アレルギー薬の眠気を漢方薬が吹き飛ばしてくれるので、眠くなる効果の強い薬も使えます。併用することにより効果倍増が期待されます。

 花粉症治療にステロイド内服/注射を多様している医療機関もあるようですが、副作用が強いので学会レベルでは推奨されていません。
(例)セレスタミンケナコルト注射、など
 しかし、症状が強い重症患者さんには使用せざるを得ない場合があることも事実であり、私はそれを漢方薬併用で減らせないものかと考えて診療しています。

<参考>
本格スギ花粉!花粉症は漢方で治療可能?(漢方デスク)
花粉症(Kampo-View)
アレルギー性鼻炎(花粉症)によい漢方薬Q&A(漢方ナビ)
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タミフルを飲むと「時間にして2割早く症状がよくなる」

2015年02月10日 08時39分36秒 | 小児科診療
 従来、タミフルを含めた抗インフルエンザ薬の評価は、
「自然経過より1日早く解熱する、重症化予防に関しては不明」
 というのが一般的でした。

 先日、件名の報告が某学会誌に載ったそうです。
 それによると、タミフル投与により
・病悩期間が21%短くなる。
・重症化予防効果もある。
・嘔気/嘔吐の副作用が出やすい。
 という結果でした。

 実際に処方している私の印象でも、抗インフルエンザ薬を投与した場合、解熱が速やかで長引かない、それに伴い遷延/悪化例も少ない傾向があり、この報告と一致しています。
 嘔気/嘔吐については、今年のA香港型インフルエンザは消化器症状(嘔吐/下痢)も多いので、病気のせいなのか、薬のせいなのか判定は困難です。

インフルエンザのタミフル、症状軽減2割早く、肺炎や入院減少も確認、英グループ確認~吐き気や嘔吐のリスクは増加
(2015.2.9:Medエッジ)
 インフルエンザに対する治療薬のタミフル(一般名オセルタミビル)が、症状の緩和するまでの時間を2割短縮する効果がこのたび新しい分析により確認された。副作用として吐き気や嘔吐のリスクが高まることも確認された。
 英国のロンドン・スクール・オブ・ハイジーン・アンド・トロピカル・メディスンを中心とする研究グループは、その結果をランセット誌オンライン版で、2015年1月29日に報告した。
◇ 吐き気と嘔吐は増加
 研究グループは、成人のインフルエンザ感染者にタミフル75mgを1日2回投与した臨床試験やその他の文献を検討し、合計4328人の成人でのデータを集め、効果と副作用に関する検討を行った。製造販売元のロシュ社が実施した臨床試験の発表、未発表の全てのデータを分析対象としている。
吐き気と嘔吐は増加。
 その結果、ニセ薬(プラセボ)のグループと比較して、タミフル投与によって症状が緩和するまでの時間が加速し、21%短縮していた。
 肺炎などの呼吸器合併症のリスクも低下しており、タミフルのグループでは4.9%、ニセ薬は8.7%となっていた。
 さらに入院率についてもタミフルのグループは0.6%、ニセ薬は1.7%と低下していた。
 一方で、ニセ薬のグループと比べて、吐き気と嘔吐は増えていた。吐き気はタミフルは9.9%、ニセ薬は6.2%。嘔吐は、タミフルのグループが8.0%、ニセ薬のグループが3.3%だった。統計学的に意味のある差が付いていた。
 神経障害または精神障害、重症の有害事象に対する影響は認められなかった。
 治るまで2割は早まるといった効果など参考になりそうだ。

<文献情報>
Dobson J et al.Oseltamivir treatment for influenza in adults: a meta-analysis of randomised controlled trials.Lancet. 2015 Jan 29



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「リンゴ病」に御用心!

2015年02月05日 07時30分29秒 | 小児科診療
 当地域でも、2014年秋からリンゴ病(=伝染性紅斑)が小流行しています。
 ほっぺたが真っ赤になるので目立ちますが、皮膚症状が目立つ頃には感染力(人にうつす力)はほとんどなくなっているので隔離は必要ありません。
 子どもはそれで済むのですが、問題はお母さん方です。
 大人が罹ってしまうと熱が出て関節痛がつらくてインフルエンザのような状態になります。子どもからうつされたお母さんが、関節痛があまりに強いので内科を受診したらリウマチの検査をされた、という笑えない話もあります。
 大人の中でもとくに注意すべきは「妊婦」さん。
 妊婦さんが罹ると、お腹の赤ちゃんに影響が出ることがあるのです。
 ですから、当院で「リンゴ病」と診断した場合は、必ず「周囲に妊婦さんはいませんか?いたら産科の主治医の先生に必ず相談するよう伝えてください」と説明しています。
 前述のようにつらい症状が出る一方で、典型的な症状が出ないこともあるとされており、「ほっぺが赤くはならなかった」状態でも否定できないのです。

<参考>
かぜのお話(当院HP)

 下記記事では、「流産のおそれ」と脅していますね。

■ 流産恐れの「リンゴ病」、各地で感染拡大- 全国最多の宮城県、4保健所で警報値超過
(2015.2.3:CBNews)
 ほおが赤くなることからリンゴ病とも呼ばれる「伝染性紅斑」の感染拡大に伴い、東北地方や首都圏などで警報基準値を上回る地域が相次いでいる。1月19日から25日までの週の全国の患者報告数は28道府県で前週より増えた。都道府県別で最多となった宮城県は、4つの保健所管内で警報基準値を超過。妊婦が感染すると胎児の異常や流産を引き起こす可能性があるため、患者が増加傾向の自治体では警戒を強めている。【新井哉】
 伝染性紅斑の原因はヒトパルボウイルスB19感染で、10―20日ほどの潜伏期間の後に、ほおに赤い発疹が現れた後、手や足にも網目状の発疹が現れる。小児が感染してもほとんどが重症化せずに軽快する。
 一方、成人では、ほおの赤い発疹などの特徴的な症状が出ることは少ないが、強い関節痛のために歩けなくなることもある。妊婦が感染すると、本人には全く症状がなくても胎盤を介して胎児に感染し、流産や死産となる可能性があるという。

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スギ花粉症、始まる?

2015年02月03日 07時57分06秒 | 小児科診療
 昨年のブログを見ると、1/31に「例年より1週間早くスギ花粉が飛散開始」と記していました。

 今年もそろそろ、と思っていたところ、風邪の病み上がりの私の鼻から水がたら~り。
 ん、はじまったかな?

 例年、2月に入ると各団体からの花粉飛散情報も始まります;
はなこさん(環境省花粉観測システム)
花粉情報(weathernews)
花粉予報(アステラス)

 今年は、従来の薬物療法に加えて、舌下免疫療法を開始した患者さんがはじめて迎えるシーズンでもあります。
 手応えはあるかな?
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