徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

新型コロナによる小児の死亡例解析

2024年08月22日 06時10分08秒 | 新型コロナ
「新型コロナに罹っても子どもは軽く済む」
「だからワクチンは必要ない」
という声が多い一方で、
やはり重症化して死亡する例も報告されているのも事実です。

関連記事を紹介します。
死因の第一位は「急性脳症」、第2位は「急性心筋炎」とのこと。
イメージされる肺炎は第3位でした。
季節性インフルエンザと似ていますね。

<ポイント>
・日本では、2022年にオミクロン株が初めて検出された後、小児COVID-19患者数が急増した。
・発症または死亡日が2022年1月1日~9月30日である0~19歳におけるSARS-CoV-2感染後に発生した死亡症例を集計したところ、53例と判明した。
・小児死亡例のうちワクチン接種対象者の88%が未接種。2回のワクチン接種済みの3例(12歳以上)のCOVID-19発症日は、最後のワクチン接種日から3ヵ月以上経過していた。
・発症から死亡までの期間は77%が7日未満。
・内的死因患者46例のうち、1歳未満が7例、1~4歳が15例、5~11歳が18例、12~19歳が6例であった。19例に基礎疾患が認められた。
・中枢神経系異常(急性脳症など)が16例(35%)、心臓異常(急性心筋炎など)が9例(20%)、呼吸器異常(急性肺炎など)が4例(9%)。小児の多系統炎症性症候群(MIS-C)は認められなかった。
・患者の46%は院外心停止で死亡。

■ 国内での小児の新型コロナ感染後の死亡、経過や主な死因は?
2024/08/16:ケアネット)より一部抜粋(下線は私が引きました);  
 2024年8月9日時点での新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の国内での流行状況によると、とくに10歳未満の小児患者が多い傾向にある1)。日本でCOVID-19発症後に死亡した0~19歳の小児・青年患者の特徴を明らかにするために、国立感染症研究所のShingo Mitsushima氏らの多施設共同研究チームは、医療記録および死亡診断書から詳細な情報を収集し、聞き取り調査を行った。その結果、53例の情報が得られ、ワクチン接種対象者の88%が未接種であったことや、発症から死亡までの期間は77%が7日未満であったことなどが判明した。・・・
 日本では、2022年にオミクロン株が初めて検出された後、小児COVID-19患者数が急増した。2021年12月までに0~19歳のSARS-CoV-2陽性患者数は24万例(0~9歳:8万4千例、10~19歳:15万6千例)だったが、2022年1~9月(オミクロン株流行期)には480万例(0~9歳:240万例、10~19歳:240万例)に増加し、死亡者数も増加した。
 本研究では、厚生労働省、地方自治体、保健所、HER-SYS、学会、メディアから小児・青年死亡症例の情報を収集した。症例は、発症または死亡日が2022年1月1日~9月30日である0~19歳におけるSARS-CoV-2感染後に発生した死亡症例と定義した。・・・
 主な結果は以下のとおり。
・COVID-19発症後に死亡した0~19歳の小児・青年患者62例が確認され、うち53例について詳細な調査を実施できた。46例(87%)は内的死因、7例(13%)は外的死因(新型コロナ感染後の溺水や窒息などの予期せぬ事故)であった。
内的死因患者46例のうち、1歳未満が7例、1~4歳が15例、5~11歳が18例、12~19歳が6例であった。19例に基礎疾患が認められた。
コロナワクチン接種対象者(5歳以上)は24例で、そのうち21例(88%)がワクチンを接種していなかった2回のワクチン接種済みの3例(12歳以上)のCOVID-19発症日は、最後のワクチン接種日から3ヵ月以上経過していた
・入院前は呼吸器症状よりも非呼吸器症状のほうが多く、疑われた死因は、多い順に、中枢神経系異常(急性脳症など)が16例(35%)、心臓異常(急性心筋炎など)が9例(20%)、呼吸器異常(急性肺炎など)が4例(9%)だった。小児の多系統炎症性症候群(MIS-C)は認められなかった
・基礎疾患のない患者(27例)では、最も多く疑われた死因は中枢神経系異常(11例)、次いで心臓異常(5例)だった。呼吸器異常は認められなかった。
・入院前に救急外来で確認された死亡者数は19例、入院後の死亡者数は27例であった。患者の46%は院外心停止で死亡した。
・中枢神経系異常を認めた16例では、発症から心肺停止までの中央値は2日(IQR:1.0~12.0)、発症から死亡までの中央値は3.5日(2.0~14.5)だった。5~11歳が最も多く(9例/56%)、1歳未満はいなかった。急性脳症の12例のうち、出血性ショック脳症症候群(HSES)が疑われたのは5例、急性劇症脳浮腫を伴う脳症が1例、分類不能脳症が 6例であった。
・心臓異常を認めた9例では、発症から心肺停止までの中央値は4日(IQR:2.0~4.0)、発症から死亡までの中央値は4日(2.0~5.0)だった。 8例に臨床的急性心筋炎が検出された。
 本研究の結果、小児・青年のCOVID-19発症後の死因として、中枢神経系異常、次いで心臓異常が多かったことが示された。徴候・症状への対処に加えて、臨床医は基礎疾患にかかわらず、COVID-19発症から少なくとも最初の7日間は小児・青年患者を注意深く観察すべきだ、と著者らはまとめている。

<原著論文>
<参考文献・参考サイト>
1)内閣感染症危機管理統括庁:新型コロナウイルス感染症 感染動向などについて(2024年8月9日)
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2024年10月、コロナワクチンが定期接種化します

2024年07月28日 07時47分25秒 | 新型コロナ
忘れた頃にやってくる、新型コロナ流行。
2024年夏、沖縄から始まった流行が九州に上陸し、
今や全国に拡大しています。

すると思い出すのがコロナワクチン。
「はて、最近話題にならないけど、どうなっているんだっけ?」
と皆さん思っていることでしょう。

2024年10月から、新型コロナワクチンは
「定期接種化」
されることが決まりました。

定期接種という言葉は、
子育て中の家庭と高齢者はおなじみですが、
労働世代では今ひとつ縁がなくピンとこないかもしれません。

国(厚生労働省)が推奨し、
接種対象を限定して行う予防接種事業です。
自治体からの補助があるのがふつうですが、
今回は無料(全額補助)にはならない様子。

今回の決定では、
・対象者:65歳以上と60〜65歳のハイリスク者
・年1回接種
となりました。

それ以外の方も接種は可能ですが、
“任意接種”扱いとなり自治体からの補助は基本的にありません。
自費(15000円程度)で接種することになります。

「年1回接種」はインフルエンザワクチンと同じペースですね。
現在「インフルエンザ&コロナの二価ワクチン」が開発中であり、
将来的にはこの種のワクチンを使用することになると思われます。

以下の記事を参考にしてください;

■ コロナ定期接種が10月開始 高齢者ら対象、年度末まで
 65歳以上の高齢者らを対象にした新型コロナウイルスワクチンの定期接種が10月1日から始まることが18日、厚生労働省への取材で分かった。準備が整った自治体、医療機関から順次、接種できる。具体的な接種期間は、来年3月31日までの間で各自治体が決める。 

 定期接種は、
・65歳以上の高齢者
・心臓や腎臓、呼吸器に機能障害があるなど基礎疾患を持つ60~64歳
 が対象となり、
・重症化予防を目的に、年1回接種

自己負担額は自治体によって異なるが、最大7千円となるよう、国が接種1回当たり8300円を各自治体に助成する。 
 インフルエンザや肺炎球菌などの他のワクチンとの同時接種は、医師が特に必要と認めた場合に受けられる。同時に打たない場合の接種間隔に制限は設けない。ワクチンには、オミクロン株の「JN・1」や、それに近い系統の変異株に対応したものが使われる見込み。 
 各自治体が定めた期間外の接種や、対象外の人が打つ場合は原則全額自費の任意接種となる。

...皆さんは接種しますか?
私は「60〜65歳のハイリスク者」に当てはまり、
日々、コロナ患者と接触しているので必須ですね。

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2024年夏、新型コロナ第11波の主役は「KP.3」株

2024年07月20日 08時02分18秒 | 新型コロナ
GW明け辺りから
「沖縄で新型コロナが流行」
というニュースを耳にしてきましたが、
7月に入り九州にも広がりはじめ、
7月下旬の今、日本全国で増加傾向にあります。

実は新型コロナは毎年、冬と夏に流行の山がありました。
今年も例外ではないようです。

その理由としていろいろ推察されていますが、
ひとつは「三密になりやすい」気候が指摘されています。
冬の寒い時期、夏の暑い時期は、
エアコンの効いた部屋で過ごす時間が長くなりがちです。

熱帯地方のインフルエンザ流行は雨季に発生するとされています。
外は雨なので、部屋で過ごす時間が長くなるためです。

さて、第11波(ともう呼ばなくなっている?)の主役は、
第10波の「JN.1」から派生した「KP.3」とのこと。
・感染力が強く
・今までの免疫が効きにくい
というイヤな性質を持ち合わせているらしい。
ただ幸いなことに、
・重症化リスクは大きくなっていない
…様子。

猛暑日のマスクはキツいから、
この夏もそれなりに流行すると思われます。

■ コロナ変異ウイルスKP.3 オミクロン株の一種 特徴は? “感染増の要因のひとつか”
2024年7月19日:NHK)より一部抜粋(下線は私が引きました);
 新型コロナウイルスの感染が広がっています。専門家は「夏場は冷房を効かせるために換気が行われにくく、マスクを外す人も増えることから感染が広がりやすい。さらに、オミクロン株の1種、「KP.3」と呼ばれる新しい変異ウイルスが広がっていることも要因の1つとみられる」としています。
・・・
 東京・北区のクリニックでは6月から患者が増え始め、最近は1日平均10人ほどが新型コロナへの感染が判明し、患者の急増に伴って先週から診察できる人数を制限しているといいます。
 医師によりますと、コロナの初期の症状は、発熱やけん怠感など熱中症と似ていて区別がつきにくい場合もあるということです。

▶ KP.3 新たな変異ウイルスも要因のひとつか
 新型コロナウイルスの感染が広がっていることについて、国内外の感染症に詳しい東京医科大学の濱田篤郎客員教授は次のように話しています。

〇変異ウイルス
 もともと夏場は冷房を効かせるために換気が行われにくく、マスクを外す人も増えることから感染が広がりやすい。さらに、オミクロン株の1種、「KP.3」と呼ばれる新しい変異ウイルスが広がっていることも要因の1つとみられる。
 「KP.3」は「JN.1」から派生したウイルスで、日本だけでなく、欧米などの北半球で流行の主流になっている。従来のウイルスよりも
▽過去の感染やワクチンによる免疫を逃れる能力が高い、
▽感染力がやや強い、
という報告もある。
 症状の重さなどについてはこれまでと変わらないとされているが、直近の厚生労働省のデータでは新型コロナによる入院が増えていることもあり注意しておく必要がある。

〇今後の注意点
 夏休みを行楽地などで過ごす人が増え、人の移動が盛んになることからお盆明けごろまでは患者の数は増え続けると考えられる。これから流行期に入っていくことを踏まえ、
▽換気や手洗いを徹底する、
▽重症化しやすいとされる高齢者は、人混みに出る際にマスクの着用の徹底する
▽症状が出た場合は、早めに医療機関を受診する
ことなど、これまでよりも少し強めの対策を心がけてほしい。

 厚生労働省によりますと、新型コロナウイルスの全国の感染状況は、7月14日までの1週間では1つの医療機関あたりの平均の患者数が11.18人、前の週の1.39倍で、10週連続で増加しています。

都道府県別では多い順に
 ▼鹿児島県が31.75人
 ▼佐賀県が29.46人
 ▼宮崎県が29.34人
 ▼沖縄県が28.57人
 ▼熊本県が26.33人
などとなっていて、45の都府県で前の週より増加しています。

関東地方の感染状況
・千葉県 12.77人 
・茨城県 10.83人
・埼玉県 9.97人  
・神奈川県 9.13人
・栃木県 8.18人  
・群馬県 7.75人
・東京都 7.56人

 厚生労働省は「例年お盆明けが感染拡大のピークで、今後夏休みで人の移動が多くなることが見込まれる時期となる・・・


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皆さん、マスクはしてますか?

2024年06月28日 06時37分05秒 | 新型コロナ
2023年5月に新型コロナが感染法上、“2類相当”から“5類相当”に格下げされてから、
巷の感染対策も随分、緩んできました。

街中ではマスクをしている人の割合が減少し、
コンビニではアルコール消毒を撤去している店舗も見かけるようになりました。

さて、医療の現場では?

私は診療中、医療用の「N95」マスクの使用をずっと続けています。
これは密閉性が高く、キチンと装着すると苦しくなるタイプ。

なぜかというと、以前は医療用簡易マスクである「サージカルマスク」を使用していたのですが、
子どもにも流行が始まった2022年8月、
マスクをできない乳幼児達が目の前で咳き込んでウイルス飛沫・エアロゾルをまき散らす状況下、
私も感染してしまいました。

一方、当時N95マスクを片時も外さなかった看護師スタッフの感染者はゼロ。
以降、私はN95マスクに切り替えて、ずっとそれを続けています。
看護師スタッフは逆に、サージカルマスクに切り替えていますね。

さて、なぜここまでやるかというと…私はハイリスクなんです。
年齢が還暦で、持病持ち → 重症化しやすいタイプです。
最後のワクチン接種から期間が空いている今、
2度目の感染をすると無事では済まないような気がしてます。

実際に隣町の開業医がこの春に新型コロナに感染して亡くなりました。
基礎疾患ありの60歳代…私と同じです。

同様にハイリスク者が多い老人施設では、
現在でも感染対策を弛めていないと思います。

さて、新型コロナパンデミックの際は、喧々顎学だった“マスクの効果”。
最近検証された報告が目に留まりました。
ポイントは以下の通り;

・マスクが強制でない場合、3時間未満の短いフライトと比較して、3〜5時間の中距離フライトでは感染リスクが約5倍、6時間以上の長いフライトでは26倍に及ぶ。
・マスクが強制でない場合、フライト時間が1時間長くなるごとに、罹患率が1.53倍増加。
・マスク必須の場合では、長時間のフライトでも感染が報告されなかった!


■ 飛行機でのコロナ感染リスク、マスクの効果が明らかに~メタ解析
ケアネット:2024/06/20)より抜粋(下線は私が引きました);
 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの拡大は、航空機の利用も主な要因の1つとなったため、各国で渡航制限が行われた。航空業界は2023年末までに回復したものの、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染の多い時期は毎年発生しており注意が必要だ。米国・スタンフォード大学のDiana Zhao氏らは、ワクチン導入前のCOVID-19パンデミック時の民間航空機の飛行時間とSARS-CoV-2感染に関するシステマティックレビューとメタ解析を実施した。その結果、マスクが強制でない3時間未満の短いフライトと比較して、マスクが強制でない6時間以上の長いフライトでは感染リスクが26倍に及ぶことや、マスク必須の場合では長時間のフライトでも感染が報告されなかったことなどが判明した。
・・・
 本研究では・・・2020年1月24日~2021年4月20日に発表されたCOVID-19と航空機感染に関連する研究のうち、SARS-CoV-2感染のインデックスケース(最初の感染者)がいることが確認されていて、フライト時間が明示されているものを対象とした。抽出されたデータには、フライトの特徴、乗客数、感染ケース数、フライト時間、マスクの使用状況が含まれた。フライト時間は、短距離(3時間未満)、中距離(3~6時間)、長距離(6時間超)に区分し、フライト時間と機内でのウイルス感染率の関係を負の二項回帰モデルを用いて分析した。主な結果は以下のとおり。

・15件の研究が解析対象となった。これらの研究には、合計50便のデータが含まれた。
・50便のうち、26便が短距離(2~2.83時間)、12便が中距離(3.5~5時間)、12便が長距離(7.5~15時間)だった。うち、長距離の6便はマスク必須であった。
・50便のうち、35便では機内での感染がなかった(短距離20便、中距離7便、長距離8便)。うち、マスク必須の長距離の6便ではすべて機内での感染がなかった
・15便で1件以上の機内感染が報告された。
・感染率は中央値0.67(四分位範囲[IQR]:0.17~2.17)、短距離では0.50(IQR:0.21~0.92)、中距離では0.29(IQR:0.11~1.83)、長距離では7.00(IQR:0.79~13.75)だった。
・いずれもマスクが強制でない短距離、中距離、長距離のフライトの機内感染リスクを比較したところ、短距離フライトに比べて、中距離は4.66倍(95%信頼区間[CI]:1.01~21.52、p<0.0001)、長距離は25.93倍(95%CI:4.1~164、p<0.0001)の感染リスク増加と関連していた。
・フライト時間が1時間長くなるごとに、罹患率が1.53倍(95%CI:1.19~1.66、p<0.001)増加した。

 本研究により、フライト時間が長くなるほど、機内でのSARS-CoV-2感染リスクが増加することが示された。とくに、マスクを着用しない場合、このリスクは顕著に高まる。一方で、マスクの徹底した使用は、長時間のフライトにおいても感染リスクを効果的に抑制することが示された。
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新型コロナは夏に流行…沖縄でその気配が…

2024年06月28日 06時22分03秒 | 新型コロナ
新型コロナの“新型”を省略してシンプルに“コロナ”と呼ぶようになった昨今、
当院の状況はというと…コロナ陽性者が少ないながら出ています。

以前のように「発熱者は全員検査」態勢ではなく、
「希望者には検査」というスタンスなので、
おそらく実際にはもっといるはず。

さて、沖縄でまた感染者の報告が増加しています。
以前から「コロナは冬と夏に流行する」と言われていました。
その原因の一つに「三密状態になりやすい」気候が挙げられます。
つまり、寒かったり暑かったりすると、エアコンの効いた部屋で過ごしがちなので、
感染のリスクが上がるのですね。

これは季節性インフルエンザでも従来指摘されてきたことです。
日本では冬に流行るというイメージがあるインフルエンザ、
冬のない熱帯地方ではどうなんでしょう?

…実は波がありながらも流行るんです。
そしてその時期は「雨季」に一致すると報告されています。
つまり、屋内で過ごすことが多くなる時期と言うこと。

過去のデータ通り、沖縄に遅れて本州他の日本でも夏に向けて増加するのかどうか、
注視する必要があります。

■ 沖縄でコロナ急拡大、首都圏での流行予測は…
2024/06/14:ケアネット)より抜粋(下線は私が引きました);
・・・
新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の感染症法上の5類移行後、この件は世間的にどこ吹く風になっている感がある。
国内の感染状況を見ると、2024年第22週(5月27日~6月2日)の全国平均の定点当たり発生数は3.52人。前週の第21週(5月20〜26日)の3.35人と比べ、微増である。
2024年に入ってからは徐々に感染者数は増加し、第5週(1月29日~2月4日)の16.15人をピークに、その後は第18週(4月29日~5月5日)の2.27人にまで徐々に低下していたが、そこから再び増加している状況である。
ちなみに5類移行後の最高値は2023年第36週(9月4~10日)の20.19人、最低値は2023年第46週(11月13~19日)の1.95人である。
さて、そうした中で最新の2024年第22週の定点当たり発生数が19.74人と“突出”しているのが沖縄県である。・・・
沖縄県を除く都道府県別で最も発生数が多いのは鹿児島県の7.11人。これに次ぐのが北海道の5.44人。沖縄県はこれらの約3~4倍となっている。
・・・
国的な推移は前述のように2023年第36週前後と2024年第5週前後をピークにした二峰性のグラフを描いている。そして都道府県別でもおおむね二峰性の推移だが、沖縄県だけは明確に異なる。とくに2024年第5週前後は沖縄県も発生数は多少増加しているものの、ピークを描くには至っていない。一方、5類移行後最初のピークは第25週前後と全国平均より10週ほど早い。
この辺は気候的な影響が少なくないだろう。まず、全国的な推移で見られた2つのピークは、それぞれ気温がかなり高い時期か気温がかなり低い時期つまり暑さや寒さゆえに温度管理が行き届いた室内にこもりがちな時期である。新型コロナの5類移行後でもウイルスそのものの性質に変化がないことを考えれば、室内にこもりがちでいわゆる三密(やや懐かしい響きだが)の状態が起こりやすいことが感染拡大に影響しているのだろうと読み解ける。
これに対して沖縄県那覇市の平均気温を見ると、5月時点で24.2℃。すでにこの時点の平均気温で夏日(25℃以上)に近い状況なので、暑さゆえに室内にこもりがちな時期となる。ちなみに東京で同じく平均気温が夏日前後になるのは7月である。5月末から7月末までは9週間あるので、前述した全国平均と沖縄の夏の発生数ピーク時期の差である約10週前後と整合性は取れる。
一方、冬の1~2月に関して言えば、前述の那覇市の平均気温を見ればわかる通り、17℃台。これは東京で言えば4~5月や10月くらいに相当するので、気候が原因で屋内にこもりがちにはならない。それゆえ沖縄県でこの時期にそれほど発生数が上昇しないことも説明できる。
・・・となると、首都圏などでの感染拡大はこれからが本格的になるという嫌な予想が成り立ってしまう。しかも、繰り返しになるが新型コロナに関しては、もはや彼方のことになっている人も多い。


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人類は新型コロナとどう対峙するのが“正解”だったのか?

2023年10月08日 12時01分01秒 | 新型コロナ
新型コロナとのつきあい方は、当初から国により様々でした。
“ゼロ作戦”の中国や台湾、ニュージーランド、
あえて受け入れる“ノーガード戦法”のフィンランド…。

3年経過した今、振り返って、
どれが“正しい方法”だったのか検証することは大切です。
次のパンデミックに備えるために。

そんな内容を扱った記事が目に留まりましたので、
私の視点で読み込んでみます。

<ポイント>
・日本の事情:まんぼう(まん延防止等重点措置)は緊急事態宣言と比べると、人流の減りが弱い。行動制限をした方が、しなかった場合よりも感染者数を抑え込める。
・2020年時点では“ノーガード戦法”のスウェーデンは隣国(ノルウェー、フィンランド、デンマーク)比較して患者数が多く、死者数も圧倒的に多かった(ノルウェーの約10.6倍、フィンランドの約8倍、デンマークの約4倍)。しかし2022年になると隣国の感染者が急増し、スウェーデンを追い抜いた。
・2020~2023の3年間の100万人あたり感染者数で見ると、スウェーデンは他3国に追い抜かれたが、100万人あたり死者数では1位。
・スウェーデンはワクチンが無い時期にノーガード戦法を取ったため、多くの死者を出してしまった。振り返ってみるとやはり無謀だったのではないか。
・スウェーデンと隣国との比較からすると、行動制限に効果はあったと言ってよいが、これをまたやるのは無理ではないか…人間の我慢力には限界がある。 

新型コロナ流行では、全人類を巻き込んだ壮大な臨床実験が行われたとみることもできます。
医学的な結論は「ノーガード戦法は死者が多い」ということに尽きると思います。
ただ、新型コロナ禍では想定より早期にワクチンが開発されたため、このような結果になりましたが、もしワクチン開発に1年以上かかっていたら、また違う結論になったかもしれません。
社会学的には経済活動の要素も考慮すべきなので、上記は限定的な結論になります。
さらに心理学的には制限された生活がヒトの心に及ぼす影響の検証も必要です。


▢ コロナ禍の行動制限には結局、何の意味があったのか
…日本の実態、ノーガード戦法をとったスウェーデンのその後
2023/10/7:集英社オンライン)より一部抜粋;

・・・発生から3年を経過した新型コロナウィルス。緊急事態宣言や、まん延防止等重点措置(まんぼう)はどのような効果をもたらしていたのか。3年分の蓄積されたデータから読み取ってみる。 『全検証 コロナ政策』 (角川新書) より、一部抜粋、再構成してお届けする。


◆ 緊急事態宣言とまんぼう、宣言のたびに人流は減った

コロナの感染経路は飛沫感染が主ですから、人流を抑制すれば、飛沫が飛ぶ機会も減り、その分感染も抑えられると考えられます。 そのような観点から、緊急事態宣言や、まん延防止等重点措置(まんぼう)が数次にわたって発令されました。 
都道府県によって回数や時期が異なりますので、全国をまとめて分析することができません。そこで、最も感染者数が多い東京都に絞って見ていきたいと思います。東京都における緊急事態宣言とまんぼうの発令状況は次のとおりです。緊急事態宣言が合計4回、まんぼうが合計3回です。
 第1回緊急事態宣言 2020年4月7日~2020年5月25日 
 第2回緊急事態宣言 2021年1月8日~2021年3月21日
 第1回まん延防止等重点措置 2021年4月12日~2021年4月24日
 第3回緊急事態宣言 2021年4月25日~2021年6月20日
 第2回まん延防止等重点措置 2021年6月21日~2021年7月11日
 第4回緊急事態宣言 2021年7月12日~2021年9月30日
 第3回まん延防止等重点措置 2022年1月21日~2022年3月21日   
これと、内閣官房のサイトにある人流データを重ねてみましょう。このデータは、主要地点の8時と15時の人出及び歓楽街の人出(21時と28時の差)を示したものです。 緊急事態宣言が出ると確かに人流が減っていることが分かります。事前にアナウンスされるからか、宣言期間の少し前から減少が始まります。第1回の緊急事態宣言の際に一番人流が減っており、その後、宣言のたびに人流が減りますが、第1回ほどではありません。

◆ では行動制限に効果があったのか検証しよう
まんぼうは緊急事態宣言と比べると、人流の減りが弱いです。 なお、第3回緊急事態宣言と第4回緊急事態宣言の間に、第2回まんぼうが挟まっていますが、ここだけむしろ人流が増えています。 ただ、第1回まんぼうの時は減っていますし、第3回まんぼうの際も減っています。緊急事態宣言と比べると相対的に見て増えてしまうということでしょう。 第3回まんぼう後、特に行動制限はされていませんが、主要地点の8時と15時の人出及び歓楽街の人出(21時と28時の差)のいずれも、2019年の水準には戻っていないことが分かります。 
では、緊急事態宣言とまんぼうによって人流が実際に減ることが判明したところで、今度は東京都の新規感染者数と重ねると何が見えるでしょうか。 
行動制限の効果を見極めるには、「行動制限をした状態」と「行動制限をしなかった状態」と比較する必要があります。さらに、行動制限の有無以外の条件を全て同じにする必要があります。これを現実世界で厳密に実現しようとすると不可能ですが、2022年はこれに近い状況がありました。 22年において行動制限があったのは第3回まんぼうのみであり、それ以降、行動制限はありません。そして、22年において流行したのはオミクロン株です。厳密にいうと、オミクロン株といっても変異を重ねているため全く同じとは言えないのですが、同じ種類の株ではあります。

◆ 行動制限をした方が、しなかった場合よりも感染者数を抑え込めるのではないか
そこで、22年以降だけ見てみると、第3回まんぼうが発令された時は6波の最中でしたが、そのピークは2月8日の2万39人です。その後、今まで最大となる第7波がきましたが、1日のピークは6波の約2倍となる4万406人(7月28日)となりました。 さらにその後第8波がきましたが、ピークは12月27日の2万2063人です。 このように、行動制限のあった第6波と比べると、第7波はその約2倍、第8波は2000人ほど上回りました。 特に、何の行動制限も無かった第7波の感染者数ピークが約2倍となったところを見ると、全く同じオミクロン株ではないということを考慮しても、行動制限をした方が、しなかった場合よりも感染者数を抑え込めるのではないかと思います。 ここで、日本よりももっと厳しい行動制限を実施したヨーロッパに目を向けてみましょう。ヨーロッパの場合、当初全く行動制限をしないノーガード戦法をとったスウェーデンがありますので、それと他国とを比較すれば、行動制限の有無でどれくらいの違いが出るのかが分かりやすいでしょう。まずは2020年のヨーロッパにおける100万人あたり感染者数を多い順に並べたグラフを見てみましょう。

◆ ノーガード戦法のスウェーデンは正解だったのか
これを見ると、スウェーデンはデータのある49の国または地域のうち17位であり、やや上の方にはいますが、飛びぬけているわけでもありません。しかし、隣国であるノルウェー、フィンランド、デンマークと比較してみると、違った姿が見えてきます。違いが分かりやすい2020年1~8月のこの4か国における新規感染者数の推移を見てみましょう。 ・・・感染者数の推移が全く異なります。4か国いずれも同じくらいのタイミングで感染者増加が始まりましたが、スウェーデンを除く3か国は減少に転じた一方、スウェーデンは減らず、それどころかさらに高い感染の波を記録しました。隣国同士でこのような違いが生まれる原因は、行動制限の有無以外に無いでしょう。 
では、2020年1年間で見るとどうなったのか見てみましょう。・・・スウェーデンが他を大きく引き離して1位です。ただ、フィンランドとノルウェーに比べると、デンマークも多いです。スウェーデンとデンマークだけ文字通り「桁違い」になっています。 デンマークが多いのは、他と比較してPCR検査の回数が多いことも影響しているのではと思います。これは後ほど触れます。

◆ 20年の死者数はスウェーデンが圧倒的1位だったが…
死者数についてはどうでしょうか。 これもスウェーデンが圧倒的に1位です。感染者数よりも差が大きく、ノルウェーの約10.6倍、フィンランドの約8倍、デンマークの約4倍です。 では、この後はどうなったのでしょう。2020~22 年の各年の100万人あたり感染者数を並べて比較してみましょう。 このように、21年になると、この4か国の中ではデンマークが1位になりました。さらに、22年には、スウェーデンは最下位となり、デンマークが圧倒的1位になっています。
 20~22年の3年間の100万人あたり累積感染者数の推移を見てみましょう。このように、デンマークが急激に感染者数を伸ばし、他3国を大きく引き離しています。デンマークの伸びが凄すぎて霞かすんでしまうのですが、ノルウェーとフィンランドの伸びも凄まじく、結局スウェーデンを追い越しています。 線の推移を見れば分かるとおり、当初ノーガード戦法で臨んだスウェーデンが他3国を大きく引き離していましたが、2022年になって急激に他3国が伸び、累積でスウェーデンを追い越す、という結果となりました。 では、100万人あたりの死者数についてはどうでしょうか。これも、各年ごとに並べて見てみましょう(図35)。 2020年はスウェーデンが圧倒的1位、21年も1位です。21年でも2位のデンマークの2倍近くありますので、その差は非常に大きいです。ところが、22年になると、フィンランドが急激に増えて1位になりました。スウェーデンは下から2番目になりました。

◆ 3年間の累積でみるとどうなるのか
では、3年間累積で見てみるとどうなるでしょう。 累積で見ると、まだスウェーデンが1位であり、かつ、他3国との差も大きいです。 このように、100万人あたり感染者数で見ると、スウェーデンは他3国に追い抜かれましたが、100万人あたり死者数ではまだ1位です。ワクチンも無い時期にノーガード戦法を取ったため、多くの死者を出してしまったことが影響していると言えるでしょう。振り返ってみるとやはり無謀だったのではないかと思います。 このように、スウェーデンと隣国との比較からすると、行動制限に効果はあったと言ってよいでしょうが、これをまたやるのは無理ではないかと思います。本書では詳しく分析していますが、客観的に見て財政的・金融的に無理なのですが、何よりも気持ちの面で無理でしょう。 私がコロナ禍で学んだのは、「人間の我慢には限界がある」ということです。今後感染状況がどれだけ悪化しても、強い行動制限は国民から支持されないでしょう。


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新型コロナが5類感染症になった今、ワクチンはどうする?

2023年06月19日 06時38分18秒 | 新型コロナ
まだワクチンを打つ必要があるの?
という素朴な疑問が生まれている昨今。

答えは「各個人のリスクを考えて接種を考慮すべし」というところでしょうか。
当初95%だった発症阻止率は、徐々に低下してきました。
現在のオミクロン株対応ワクチンを繰り返し接種しても70%止まりで、かつ数か月で50%未満に下がってしまいます。
しかし重症化阻止率は約半年間は80%程度保たれています
…これが現在のワクチンの効果です。

私は今年還暦で、かつ心臓に基礎疾患があるため、ハイリスク者です。
なので自分のためにも、家族のためにも半年ごとの接種を続けるつもりです。

リスクのない人はどうでしょう、
重症化しにくい子どもは個人的には接種しなくてもよいかもしれません。
しかし、子どもが感染すると家族に広がりますので、その影響をどう評価すべきか、まで考える必要があります。

参考になる記事を紹介します。
子どもに関しても「感染するデメリットよりワクチン接種のメリットが上回るので推奨される」という論調ですね。
第5類に格下げされて「インフルエンザ並みの感染症」とイメージされるようになりましたが、ワクチン接種に励んでようやくこの状況を作れたことを忘れてはなりません。
ワクチン未接種者ではいまだに初期のCTで肺が真っ白になる肺炎が発生しているのですから。

新型コロナワクチン接種は今後どうすればよいか? 子どもへのワクチンは?
倉原優 呼吸器内科医
2023/6/17:yahooニュース)より一部抜粋;
・・・
足元でじわじわと感染者数は増えていますが、以前のように重症者が急増していないため、全国的にはまだ医療逼迫にまで至っていません。
これは、ウイルスが変異し続けていることに加えて、すでに感染した人やワクチン接種が行きわたった人が増えて、国全体で免疫が底上げされているからだと考えられます。
従来株と比較すると、現在の変異ウイルスは以前ほど感染予防効果が期待できませんが、集団としては十分に機能する有効性はあり、また重症化予防効果は半年~1年程度は期待できるとされています。
しかし、半年~1年以上前に接種をやめてしまった人は、感染あるいは重症化しやすい状態になっていく懸念があります。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は、最終接種から1年以上が経過した場合、追加で接種することを推奨しています。
・・・
現在、無料で接種可能な新型コロナワクチンは以下の通りです。
① 令和5年春開始接種(オミクロン株対応2価ワクチン)
② 未接種者の初回接種(従来型ワクチン)
③ 乳幼児(生後6か月~4歳)初回接種(従来型ワクチン)
④ 小児(5~11歳)初回接種(従来型ワクチン)
⑤ 小児(5~11歳)追加接種(小児用オミクロン株対応2価ワクチン)

5月8日から「令和5年春開始接種」がすすめられています。流行初期の従来株と直近流行していたオミクロン株のBA.1やBA.5に対応した2価ワクチンを接種しています。

この春接種の対象となっている人は、
「1、2回目接種済の65歳以上の高齢者」
「1、2回目接種済の基礎疾患を有する12歳~64歳」
「1、2回目接種済の医療従事者・高齢者施設等従事者」
です。
あまり知られていませんが、現在、健康な12~64歳は接種対象外です。

・・・
令和5年9月1日から「令和5年秋開始接種」が始まります。このとき、現在接種対象外である基礎疾患を有さない12歳~64歳も接種対象になる予定です。
昨日厚労省の専門家分科会で導入が決定されたのが、オミクロン株派生型「XBB」に対応したワクチンです。
アメリカ食品医薬品局(FDA)でも、従来株の成分は不要と判断し、XBB対応1価ワクチンへの転換を推奨しています。

◆ 子どものワクチンは?
現在、子どもの新型コロナワクチン接種率は約2割と低い状況です。正確な感染率は不明ですが、成人の自然感染率は32.1%とされていることから、多くの子どもがまだ新型コロナに罹患していないと推察されます。
実際、学校でクラスターが発生しているという報道も、最近によく耳にします。
日本小児科学会は、「生後6か月~17歳のすべての小児に新型コロナワクチン接種(初回シリーズおよび適切な時期の追加接種)を推奨する」と、追加の提言を今月ホームページ上で提言しています。
・・・
子どもが感染しても多くが軽症で終わるのは事実ですが、未接種で感染する場合の重症化リスクと後遺症リスクのほうが、接種の副反応よりもメリットが大きいというのが、公的機関の見解です(図2)。


子どもの新型コロナワクチン接種における副反応は、含まれているメッセンジャーRNAの量が少なく、成人よりも頻度が低く程度が軽いことが分かっています。
しかしこれらについて、政府・学会と国民の対話がうまく進んでいない印象を持っています。SNSなどでも、「子どもはそもそも重症化しない」「ワクチンの副反応が大きい」という見解の親は少なくないと感じています。

◆ まとめ
すでに接種をやめてしまった人は、今後ワクチンの恩恵が減衰していく可能性があるので注意してください。
インフルエンザワクチンと同じように、今後は高齢者や基礎疾患がある人、妊婦、子どもへの接種が優先的にすすめられていくでしょう。
基礎疾患のない12~64歳も9月1日からの「令和5年秋開始接種」でXBB対応ワクチンが接種可能です。
コロナ禍前、少なくともインフルエンザワクチンを接種していたような人は、インフルエンザより手ごわい感染症を前にしていることから、引き続き接種を検討してください。

私はすでに「2023年春の接種」を予約しました。
今後も推奨されるワクチンと時期に従い、自分と家族を守るために接種を続ける予定です。

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子どもの新型コロナ感染症~軽い?重い?ワクチンは必要?

2022年11月20日 07時24分40秒 | 新型コロナ
子どもの新型コロナ感染症(COVID-19)の情報が錯綜・迷走しています。
もともと「子どもは軽く済むからワクチンはいらない」と言われてきましたが、
2022年に入ってからの子どもの死亡数は41名と無視できない数字ですし、
急性脳症MIS-C(小児多系統炎症性症候群)という合併症も報告されています。

情報を整理してみました。
小児でも成人同様、オミクロン株とそれ以前(デルタ株まで)では症状が微妙に違ってきているようです。

オミクロン株(BA.1/2)とそれ以前の症状の比較すると・・・
オミクロン株(BA.1/2)の特徴は、
・発熱、咽頭痛、悪心/嘔吐、意識障害/けいれんが多い。
・味覚/嗅覚障害は少ない。
という報告がありましたので紹介します。
ここでの「意識障害/けいれん」は急性脳症ではなく、熱性けいれんであることが確認されています。

小児コロナ、オミクロン株流行期の臨床的特徴
 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患した患児では、2021年12月から2022年4月までのオミクロン株の流行期において非オミクロン株の流行期よりも、発熱、咽頭痛、悪心/嘔吐、意識障害/けいれんが有意に多かったことが報告された。東京都立豊島病院小児科の鳥海俊氏らが第54回日本小児感染症学会学術集会(2022年11月5~6日、開催地福岡)で発表した。
・・・
 対象は、オミクロン株流行前(2020年1月から2021年11月)の205例とオミクロン流行後(2021年12月から2022年4月)の266例の計471例。2群間で性別、平均年齢に有意差はなかったが、有症状者はオミクロン株流行後群において有意に多かった(p<0.001)。
 症状別に比較検討したところ、オミクロン株の流行期においては、発熱、咽頭痛、悪心/嘔吐、意識障害/けいれんが、非オミクロン株の流行期よりも有意に多かった。一方で、味覚/嗅覚障害は、オミクロン株流行後で有意に少ないという結果だった。
・・・

次に、オミクロン株(BA.5)流行で話題になった“急性脳症”の記事を紹介します。
子どものオミクロン株感染では、肺炎(呼吸器系の重症化)よりも、
急性脳症(痙攣や意識障害などの中枢神経症状)に要注意
という事実が浮かび上がってきます。

小児コロナ患者に、急性脳炎のリスク浮上
※下線は私が引きました。
 全国の新型コロナウイルス感染症の第7波は、収束傾向にある。だが、感染者数の動向ばかりに注目が集まり、小児コロナ患者の病像に変化が表れていることはあまり知られていない。国立感染症研究所が毎週公表している感染症発生動向調査によると、2022年に入ってから、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を原因とする急性脳炎の報告が目立つようになったその全てが10代以下の子どもの例なのだ。
・・・
 感染症法で5類感染症全数報告の対象となっている急性脳炎(脳症を含む)の報告例の推移を見ると、2022年に入ってから、SARS-CoV-2の症例が目立つようになり、第31週(8月1~7日)以降、2例、5例、3例、4例と報告例が多くなっている。過去はどうかというと、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが始まった2020年以降は、2021年第41週(10月11~17日)に1例(4歳)の報告があるのみだった。それが2022年は第34週(8月22~28日)までに26例に上り、急性脳炎総数226例の11%を超えている。
 気になるのは、SARS-CoV-2を原因とする急性脳炎26例の年齢分布だ。・・・全てが10代以下の子どもの例となっている。
 もう一つの調査結果も見ておきたい。日本集中治療医学会小児集中治療委員会が発表している「新型コロナウイルス関連小児重症・中等症例発生状況速報」(2022年9月6日現在)だ。これを見ると、小児コロナ重症・中等症例(152例)の入院理由で最も多いのが「急性脳症疑い」だった。全体の25%を占めており、COVID-19肺炎の19.7%を上回る。

◇ 小児コロナ、第6波から急性脳症疑いが増加
 実は第6波から、専門家の間では小児コロナ重症・中等症例の入院理由として「急性脳症疑い」が注目されていた。
 日本集中治療医学会小児集中治療委員会と日本小児集中治療連絡協議会の新興再興感染症ワーキンググループが2022年5月に、「新型コロナウイルス感染症第6波における、中枢神経系の異常発生状況速報骨子」を公表している。ポイントは、第6波の入院例(入院日2022年1月8日〜4月30日)において、入院理由が「中枢神経系の異常(けいれん・意識障害・急性脳症疑いなど)」とする報告件数が増加したこと。この間の入院191例のうち、「中枢神経系の異常」を入院理由とする症例が56件(29%)も確認された。内訳を見ると、けいれん48 件、意識障害5件、急性脳症疑い11 件、その他 1 件だった(重複あり、自由記載欄からも収集)。
 なぜ、小児コロナで急性脳炎(脳症)が増えているのだろうか。前出の「骨子」では「けいれん・意識障害・急性脳症疑いなどの中枢神経症状とSARS-CoV-2との関係性については不明である」とされている。2022年に入ってから変わったことといえば、COVID-19流行の主流がSARS-CoV-2のオミクロン株に移行したこと。第7波では亜種のBA.5が主役となっている。こうしたウイルス側の変化が、小児コロナの病態に何らかの影響を与えているのではないだろうか。
 確かなことは、オミクロン株流行下で、小児コロナ例の病像に変化が出ているという事実だ。前出の骨子では、「けいれんや意識障害を主訴に受診した症例では、軽症ではない病態の可能性を念頭においた診療計画(検査内容、入院適応、治療開始しきい値、外来経過観察計画など)を心掛けるべきだ」などと結論している。第7波はピークアウトを迎えてはいるが、まだまだ患者がいなくなったわけではない。小児コロナでは、新たに急性脳炎のリスクを考慮した診療が求められている。

新型コロナ感染の合併症に「MIS-C」(小児多系統炎症性症候群)という病態が報告されています。
これは、成人では見られない小児だけの疾患で、
従来の「川崎病」に症状が似ていて、
心臓に後遺症が残ることも似ています。
また、急性期ではなく、感染後約1か月(2~6週間後)に発症することも特徴です。
日本ではまだ死亡例は報告されていませんが、
アメリカでは74名の子どもが命を奪われたと報告されています。

NHKで取り上げられた時のニュース記事を紹介します;

 コロナ感染数週間後の子どもに心臓など働き悪くなる「MIS-C」
2022年11月16日)より抜粋;
 新型コロナウイルスに感染した子どものうち全国で少なくとも64人が、感染から数週間後に心臓の働きなどが悪くなる「MIS-C=小児多系統炎症性症候群」と診断されていたことが、自治医科大学附属病院などの調査で分かりました。
 「MIS-C=小児多系統炎症性症候群」は、新型コロナに感染した子どもにまれに見られ、感染の2週間から6週間後に心臓など複数の臓器の働きが悪くなるなどして、欧米では死亡するケースも報告されています。
 これについて自治医科大学附属病院の小児科医のグループなどが、全国のおよそ2000の医療機関を対象に、ことしの夏から行った調査の結果がまとまりました。
 それによりますと、国内ではこれまでに子どもが死亡したケースはないものの、「MIS-C」と診断された子どもは全国で少なくとも64人に上ることが分かったということです。
・・・
◇「MIS-C」米では9073人診断 うち74人死亡
 アメリカのCDC=疾病対策センターによりますと、「MIS-C=小児多系統炎症性症候群」は、新型コロナウイルスに感染した子どもなどに見られ、心臓や肺、消化器系統など複数の臓器に炎症が起きることが知られています。
症状は、
 ▽発熱
 ▽腹痛
 ▽目の充血
 ▽下痢
 ▽おう吐など
重症化すると、心臓の働きが低下し死亡するケースもあるとしています。

 アメリカでは、おととしから先月末までに9073人が「MIS-C」と診断され、このうち74人が死亡しているということです。
 日本小児科学会などによりますと、これまでに国内での死亡例はありませんが、ことしに入り、子どもの感染が増えてからは、各地の医療機関で「MIS-C」と診断される症例が目立つようになったということです。
 このため、新型コロナに感染した子どもの体調に異変が起きた際は、「MIS-C」かどうか早期に診断したうえで、専門的な治療を始められるかが重要になります。

<参考>
小児 COVID-19 関連多系統炎症性症候群(MIS-C/PIMS)診療コンセンサスステートメント 

最後に、日本における症に死亡例の報告を提示します。
2022年に入ってから8/31までに41名の子どもが新型コロナで命を奪われています。
この数字は、季節性インフルエンザと同等以上の死亡数です。
この報告の中でも、
小児の重症化は肺炎(呼吸器症状)ではなく急性脳症(神経症状)
と注意喚起されています。
さらに注目すべきは、
小児死亡例はすべてワクチン未接種だった
という事実です。

新型コロナウイルス感染後の20歳未満の死亡例に関する積極的疫学調査
(第一報):2022年8月31日現在
※下線は私が引きました。
・・・
【考察】
 2022年8月31日時点における、2022年1月1日から2022年8月31日までに報告された小児等の死亡例、41例について暫定的な報告を行った。症例数は、7月中旬から増加していた。
 今回の実地調査で内因性死亡が明らかとされた小児等の死亡例において、基礎疾患のなかった症例も死亡していることから、SARS-CoV-2感染後は、基礎疾患のある者はもちろん、基礎疾患のない者においても、症状の経過を注意深く観察することが必要であると考えられた。新型コロナワクチンは、接種対象でも多くの小児の死亡例では未接種であった。また、症状は、日本小児科学会による国内小児におけるCOVID-19レジストリ調査と比較して、呼吸器症状以外の症状のうち、悪心嘔吐(52%)、意識障害(45%)、経口摂取不良(31%)、痙攣(28%)の割合が高かった新型コロナウイルス感染症における重症度分類は、主に呼吸器症状等により分類されているが、小児においては、痙攣、意識障害などの神経症状や、嘔吐、経口摂取不良等の呼吸器症状以外の全身症状の出現にも注意を払う必要があると考えられた。発症から死亡までの日数は、1週間未満が73%を占めており、特に発症後1週間の症状の経過観察が重要であると考えられた。
・・・

ここまで読み終えた方、ご苦労様でした。
いかがでしたしょうか。
「子どもは軽く済むからワクチンはいらない、と言えない」
と私は感じています。

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4歳以下の子どもへの新型コロナワクチン接種を迷われている保護者の方へ

2022年10月24日 06時40分39秒 | 新型コロナ
新型コロナワクチンはまず成人対象で始まり、
その有効性と安全性が確保された時点で、
徐々に小児へ降りてきました。

一般の医薬品と同じ経緯ですね。

2022年10月現在、
とうとう季節性インフルエンザワクチンと同じレベルの、
「生後6か月から」まで対象が広がりました。

乳幼児の保護者の方々は迷われていると思います。
「自分が経験した副反応はつらかった」
「子どもには経験させたくない」
という副反応を心配する声をよく耳にします。

また、
「子どもは重症化しないからワクチンを接種する必要がない」
という声もよく聞きます。
ただ、乳児に関しては「クループ症候群」で入院する例が報告されており、
私自身も数名の赤ちゃんで経験しましたので、
乳児に関しては「重症化しない」とは言えない印象を持っています。

ワクチンを製造している製薬会社は、
成人で問題視された副反応の強さを軽減するため、
子供用ワクチンの抗原量を減量しました。
・5歳~11歳用では、成人の1/3量。
・6か月~4歳用では、成人の1/10量。
そして発熱の副反応は10%程度まで下がっています。
成人より明らかに低くなりました。

以前から何度も書いてきましたが、
自然感染はウイルス全体が体に侵入して暴れまくる状態、
ワクチンはウイルスの一部を体に入れて「感染した」と誤認識させ、
症状は出さないで免疫が作られる医療技術、です。

ウイルス全部より、ウイルスの一部の方が安全である、
だから国が安全性を保障しているワクチンは打ってよし、
というのが私の基本的考え方です。

逆にワクチンの視点から自然感染を見ると、
症状(ワクチンでいう副反応)が100%出現する、
最強であるけど最悪のワクチンということになります。

ワクチンによる副反応は数日で治まりますが、
自然感染では体の不調が1週間くらい続きますし、
後遺症も報告されています。

私個人の経験では、
自然感染で熱と倦怠感が1週間以上続き、
その後熱は落ち着いたものの、
のどの痛みと倦怠感が半年続いてつらかった、
という小学生がいました。

乳幼児へのワクチンをどう考えるべきか、
という疑問に対して専門家が解説した記事を以下に紹介します。

乳幼児に対する新型コロナワクチンの効果・副反応は、
・発症予防:73.2%
・重症化予防:40~80%
・副反応の発熱:5~7%
と説明されていますね。

効果はmRNAワクチン初登場時の95%には劣りますが、
季節性インフルエンザワクチンより高く、
副反応は成人より低い数字に収まっています。


コロナワクチン 4歳以下の子ども どうしたらいい?
2022年10月21日:NHK)より抜粋;
(下線は私が引きました)

生後6か月から4歳の子どもを対象にした新型コロナワクチンの公的接種が10月24日から始まります。
幼い子どもへのワクチン接種。効果や副反応は? 専門家の見解は? 保護者の皆さんの気になる疑問に答えます。
(科学文化部 記者 池端玲佳 / 2022年10月21日現在)

Q. 生後6か月から4歳の子どものワクチンってどんなもの?
A. アメリカの製薬会社ファイザー社が作ったワクチンで、1回の接種に含まれる有効成分の量は大人のワクチンの10分の1、5歳から11歳の子どものワクチンの3分の1程度です。
5歳から11歳の子どものワクチンと同様に従来型のウイルスをもとにしたワクチンで、オミクロン株をもとにした成分も含んだワクチンではありません。

Q. 接種のスケジュールは?
A. 3回の接種が必要です。
1回目の接種から3週間あけて2回目を接種し、その後少なくとも8週間あけて3回目を接種するとされています。
原則として、市町村から接種券が届き、小児科のクリニックなどで個別接種となりますが、自治体によっては集団接種の会場を設けるところもあります。

Q. 国の方針は?
A. 厚生労働省は、
▽子どもの感染者が増えていて重症者数も増加していること、
▽オミクロン株流行下でのワクチンの有効性や安全性が確認されていることなどから、生後6か月から4歳以下に対しても接種を「努力義務」にする方針です。
「努力義務」というのは子どもがワクチンを接種するように保護者が努めなければならないということです。
ただ強制されたり罰則があったりすることはなく、ワクチンを接種するかどうかはあくまで本人と保護者が自分たちで決めることになっています。

Q. ワクチンの効果は?
A. ワクチンを接種することで新型コロナの発症を防ぐ効果が期待されています。
ファイザー社が生後6か月から4歳の子どもを対象に臨床試験を行った結果、3回接種後には、これより上の年代の子どもや大人で行われた臨床試験の結果と同じ水準まで、抗体ができることが確認されました。
また、主にオミクロン株が流行している時期に、アメリカやヨーロッパなどで、生後半年から4歳の子ども1100人余りを対象に・・・3回接種後の発症を予防する効果は73.2%だったということです。
重症化をどの程度防ぐかについては、ワクチン接種後の感染者が少なく、分析する上で十分なデータがありません。
しかし、臨床ウイルス学が専門でワクチンに詳しい北里大学の中山哲夫特任教授は「発症を予防できるということは、そのあとの重症化を予防する効果も十分期待できる。年代の近い5歳から11歳に対しての重症化を抑える効果は、研究によって差があるものの、40%から80%程度あることが確認されている」と話しています。

Q. ワクチンの主な副反応は?
A. ワクチンの副反応はほとんど軽度か中程度、かつ一過性のもので、安全性に重大な懸念は認められないとされています。
ファイザー社の臨床試験では、接種後1週間までの副反応を調べました。
その結果、2歳から4歳では、
38度以上の発熱があった人が1回目の接種で5.2%、2回目で4.9%、3回目で5.1%
▽けん怠感が1回目の接種で29.7%、2回目で25.7%、3回目で24.5%
▽おう吐が1回目の接種で3.0%、2回目で3.4%、3回目で1.6%
▽下痢が1回目の接種で7.7%、2回目で6.7%、3回目で5.1%などとなっています。
生後6か月から1歳では、
38度以上の発熱が1回目の接種で7.2%、2回目で7.4%、3回目で6.8%
▽食欲の減退が1回目の接種で22.2%、2回目で22.2%、3回目で20.2%
▽いらいらして機嫌が悪くなった子どもが1回目の接種で51.2%、2回目で47.4%、3回目で43.6%などとなっています。

日本小児科学会理事でワクチンに詳しい新潟大学の齋藤昭彦教授は「厳密な比較はできないが、生後半年から4歳の子どもでの副反応の頻度は大人よりも低く、かつ5歳から11歳、また12歳から15歳の子どもと比較した場合でも低いか同程度となっている」と話しています。

Q.ワクチンの重い副反応は?
A. 新型コロナワクチンの重い副反応として、主に10代と20代の若い男性で、心臓の筋肉や膜に炎症が起きる「心筋炎」や「心膜炎」がごくまれに報告されています。
生後6か月から4歳の子どもでの心筋炎や心膜炎の頻度について、まだ十分なデータはありません。
ただし、厚生労働省によりますと、アメリカで2022年8月21日までに同じファイザー社のワクチンを接種した生後6か月から4歳の子どもおよそ60万人からは心筋炎や心膜炎の事例は報告されていません。

また日本国内のデータでは、ワクチンを接種した5歳から11歳の子どもで「心筋炎」や「心膜炎」の疑いがあった割合は、接種回数100万回あたり2件から3件程度となっています。
北里大学の中山特任教授は「10代や20代の男性と比べると、幼い子どもがワクチン接種後に心筋炎や心膜炎になる頻度は極めて低い。またほとんどの場合軽症で、回復している。一方で、新型コロナに感染して心筋炎になる頻度は、ワクチン接種後に心筋炎になる頻度よりはるかに高く、感染した子どもが心筋炎で死亡する事例も報告されている」と指摘しています。

Q. 長期的な影響は?生殖能力に影響はないの?
A. ファイザー社のワクチンは、「mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチン」と呼ばれる新しいタイプのワクチンです。
「mRNA」はたんぱく質を合成する「設計図」となる遺伝情報で、これを注射することで体内の細胞でウイルスのたんぱく質の一部が作られ、抗体をはじめとした免疫ができる仕組みです。
厚生労働省によりますと、この「mRNA」は体内で数分から数日で分解されます。
また「mRNA」はヒトの遺伝情報であるDNAに組み込まれることはありません。
体の中ではDNAからmRNAが作られる仕組みがありますが情報の流れは一方通行で、逆にmRNAからDNAはつくられません。
このため「mRNA」を注射しても、その情報が長期的に残ったり、精子や卵子の遺伝情報に取り込まれたりすることはないと考えられています。

Q. 海外での接種状況は?
A. 海外では生後6か月から4歳のワクチン接種について対応が分かれています。
アメリカでは2022年6月に緊急使用の許可が出され、CDC=疾病対策センターが「ワクチンの接種を推奨する」と発表しているほか、カナダなどでも接種が認められています。
各国の接種率は、
▽アメリカでは少なくとも1回接種した人が2歳から4歳で8%、2歳未満では5.2%となっています(2022年10月13日時点)
▽カナダでは少なくとも1回接種した人が6.5%、3回の接種を終えた人が1.0%となっています(2022年10月9日時点)

Q. 子どもは重症化しにくいのに接種は必要?
A. 日本小児科学会によりますと、新型コロナに感染した子どもの95%以上は軽症にとどまるとされています。
しかしオミクロン株が流行するようになってからは、感染する子どもの数が増加していて、それに伴って亡くなったり重症化したりする子どもが増えています。
国立感染症研究所は、オミクロン株が広がった2022年1月から8月までに、新型コロナに感染して亡くなった子どもなど20歳未満の41人のうち、詳しい状況を調査できた29人について分析しました。
その結果、亡くなったのは、0歳が8人、1歳~4歳が6人、5歳~11歳が12人、12歳~19歳が3人でした。
4歳以下で亡くなったのは14人で、このうち6人は基礎疾患のない子どもでした。
生後6か月から4歳だけを調べた重症化のデータはありませんが、日本集中治療医学会は子どもの入院施設がある全国の医療機関で、2022年3月10日から8月15日までに新型コロナに感染した20歳未満(主に高校生以下)の患者の症状や年齢を調べています。

その結果、酸素投与が必要だったり、人工呼吸器を装着したりして「中等症」や「重症」と登録された人は合わせて220人でした。
年齢別にみると▽1歳未満が15%、▽1歳以上の未就学児が43.6%、▽小学生が32.7%、▽中学生が4.1%、▽高校生以上が4.5%となっていて、小学校入学前の子どもが全体のおよそ6割を占めています。
また症状が重くなった人の詳しい症状を調べた結果、脳がむくんで意識に障害が出るなどする「急性脳症」や、肺炎、けいれんの割合が高かったということです。

Q. コロナに感染した子どもでもワクチン接種は必要?
A. 専門家は感染したことがあっても接種をすることを勧めています。
新潟大学の齋藤教授は「新型コロナに感染した経験があっても、症状が軽い場合には免疫が十分つかないことがある。また、新型コロナの場合、免疫が時間の経過とともに弱くなっていくことがわかっている。コロナに感染したことがあっても、ワクチンを接種することで、より確実な免疫を獲得することができる」と話しています。
また、感染後のワクチン接種の時期については「新型コロナの症状が治まり、普段通りの体調に戻ったら接種できる」としています。

Q. 子どもの時に接種するほかのワクチンと同時に接種はできる?
A. インフルエンザのワクチンと同時に接種することは可能です。
そのほかのワクチンについては、原則、接種の間隔を2週間あけることになっています。

Q. わが子の接種をどう考えれば?
A. 幼いわが子のワクチン接種をどう考えればよいのか。2人の専門家に聞きました。

齋藤教授
「生後6か月から4歳の子どもたちは、いわゆる感染対策がなかなかできない年齢です。マスクもきちんと着用できないし、十分な手洗いや手先の消毒を自主的にするのは困難です。こうした中で、唯一できる積極的な予防がワクチン接種になります。他の対策ができない分、ワクチン接種によって発症を防ぎ、万が一の重症化を防ぐことが大切です」

中山特任教授
「新型コロナのワクチンに限らず、肺炎球菌や、麻しん風しんのワクチンなど、子どもたちはいろんなワクチンを接種することによって、健康な日常生活を送ることができています。新型コロナのワクチンもそれと同じように考えればよいと思います。ワクチンを打つデメリットとして副反応のことがある。一方で、ワクチンを打たなかった場合のデメリットとして、感染したら重い脳症や心筋炎などの合併症にかかり亡くなるおそれもある。そうしたバランスをよく考えて科学的に判断してもらいたいです」

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第8波 〜オミクロン株 BA.5 の次に来るもの〜

2022年10月21日 21時17分07秒 | 新型コロナ
新型コロナはオミクロン株 BA.5 で終わりではありません。
現在も変異を続けています。

BA.5 後の予測をした記事を紹介します。
まずは私がポイントと感じた点を;

Q.  第8波は来るのか?
→ 来るでしょう。今後6〜8週で確実に来るであろうと専門家は考えています。

Q.  その主役になる株は何か?
→ アメリカで増え始めたBA.5の派生株・進化株である BQ.1  BQ.1.1 BF.7 等が候補です。
 これらは全て、スパイクタンパク質の同じ部分に変異を起こしており、
 過去の抗体を回避できるようになっており、
 数週間以内にBA.5を上回ると予測されます。

Q.  進化株の毒性は強くなってるのか?
→ 現時点ではデータはありません。免疫回避力(免疫をすり抜ける能力)は進化の常套なのでワクチンや薬としてのモノクローナル抗体の有効性は低下する可能性があります。

Q.  進化株に現行ワクチンは有効か?
→ 現時点ではまだデータはありませんが、2価ワクチン(BA.4/BA.5)は効果が期待されています。


 オミクロン株の新たな系統が米国で急増、一気に計15%超に
BA.5から派生したBQ.1、BQ.1.1、BF.7の3系統、6~8週以内に感染拡大は確実と専門家
(下線は私が引きました)

オミクロン株の亜系統であるBQ.1とBQ.1.1は、今は米国での新規感染例の10%に過ぎないが、今後数週間でBA.5と入れ替わって主流になる可能性がある。
 米国におけるオミクロン株の亜系統の急増に、科学者たちが警戒感を強めている。米疾病対策センター(CDC)が公表したデータによると、10月の第2週に米国内では、BQ.1とその兄弟株であるBQ.1.1による感染が新規感染者の10%以上を占め、BF.7が5%を占めていた
「数週間以内に、BA.5の割合を上回るでしょう」と、米カリフォルニア大学バークレー校公衆衛生学部の感染症およびワクチン学の専門家であるジョン・シュワルツバーグ氏は言う。急増した系統が同じ速さで拡大し続ければ、そのうちのどれか1つ、または3つ全てが現在主流のBA.5と完全に置き換わってしまう可能性がある(世界的にはシンガポールで拡大している、複数のBA.2亜系統が組み合わさったXBBが懸念されている)。
 これらの亜系統は、どのようなものなのか。これまでの変異株とどこが違うのだろうか。
◇ 勢力を増す3種のオミクロン株亜系統
 現在米国で急拡大している3種のオミクロン株亜系統、BQ.1、BQ.1.1、BF.7はどれもBA.5から進化した。BA.5は、今も米国の新規感染例の約3分の2を占めている。ナショナル ジオグラフィックでも既に報じているが、オミクロンの亜系統は全てそれ以前の株よりも感染が広がりやすく、既存の免疫をすり抜けやすいとされている。
 米ジョンズ・ホプキンス大学の感染症専門家であるスチュアート・レイ氏は、BQ.1、BQ.1.1、BF.7が持つ共通の性質には特に注意する必要があると話す。これらは全て、スパイクタンパク質の同じ部分に変異を起こしており、過去の抗体を回避できるようになっているのだ。
 レイ氏によると、これは異なる系統が同じ適応を示す「収斂(しゅうれん)進化」の一例であるという。「複数の異なる系統で、スパイクの同じ領域に同じ変化が起こっています。つまりこれは、ウイルスに非常に大きな恩恵をもたらす変化であることを示唆しています。それぞれが独立して進化しているはずなのに、同じ問題に対して同じ解決策を導き出しているわけです」
◇ 新しい亜系統はより強力になっているのか
 新しい亜系統は免疫をすり抜けやすくなっているかもしれないが、これまでの変異株よりも重症化しやすいという確たる証拠はない。
 ただし、免疫不全などで重症化リスクの高い人に使われるコロナ治療薬の作用を回避してしまう恐れはある。大統領首席医療顧問であるアンソニー・ファウチ氏はテレビインタビューで、BQ.1.1は治療に使われる「重要なモノクローナル抗体を回避できるようだ」と発言した。モノクローナル抗体の治療薬は、新たな亜系統で変異が起こった部位を狙うようデザインされている。
 レイ氏は、現在出てきている亜系統の強さを以前の株と比較するのは難しいと話す。同じ集団でも、免疫レベルが以前と異なっているためだ。ワクチンが普及する前であれば、こうした亜系統がより深刻な事態を引き起こしていた可能性は十分にある。
「今も、ワクチンを打って免疫力を上げておかないと、重症患者が増えてしまうかもしれません」と、レイ氏は警告する。軽症の場合でも、複数回の感染は心臓血管や脳の合併症、そして回復後の後遺症と関連付けられているため注意が必要であるという。「免疫を維持するには、ワクチンを打つことです。なかでも、今最も期待されているのが2価ワクチンです」
◇ ワクチンは亜系統に効くのか
 現在は、起源株(最初に流行した株)に加えてオミクロン株BA.4/5にも対応する2価ワクチンがあるが、これが他の亜系統にどの程度効くかは、まだ人間では確認されていない。それでも専門家がこれに期待する理由は、3つの亜系統が全てBA.5の子孫であるためだ。
 ホワイトハウス新型コロナウイルス対策調整官のアシシュ・ジャー氏は、10月11日の記者会見で次のように述べた。「ということは、アップデートされた2価ワクチンは従来型のワクチンよりはるかに高い有効性を示すはずです。もちろん、どこまで有効かは試験する必要がありますが、ワクチンが引き続き効果を発揮するという私たちの確信に変わりはありません。特に、重症化を防ぐという意味では」
 米ブラウン大学医学部准教授のフィリップ・チャン氏も同意し、新しい2価ワクチンを追加接種で打てば特に効果的であると話す。しかし、大多数の専門家は従来型のワクチンでも重症化や入院を防げると考えているとも付け加えた。これまでも、従来型ワクチンは新たに出現した様々な変異株に有効性を発揮してきた。
◇ 今後の見通し
 新たな亜系統が出てきたということは、ワクチンやマスクはまだまだ必要であるということだと、多くの専門家は指摘する。最新の株に対してモノクローナル抗体が効かないとなればなおさらだ。
「ウイルスはまだ終わりではないのだと、新たな亜系統の出現が私たちに警告しています」と、シュワルツバーグ氏は言う。新型コロナウイルスがこの先どうなるかは誰にも予測できないが、米国で今後6~8週間のうちに新たな感染拡大が起こることは間違いないだろうと、氏は考えている。
「今の小康状態が、感謝祭以降も続くとは思いません。私たちは、自分自身や家族、地域の安全を守るためにあらゆる手を尽くすべきです」

NHKの専門家会議報告では、流行株分析の書き方が少し異なりますね。
シンガポールの「XBB」は初耳です。

厚生労働省の新型コロナ専門家会合「新型コロナ “第8波”は来る? 来るならいつ?」専門家の分析は
2022年10月18日:NHK)より抜粋;
・・・
◇ “第8波”もオミクロン株?
次の感染拡大が起きるとしたら、どんな変異ウイルスが主流になるのでしょうか?
京都大学の西浦教授は9月21日の厚生労働省の専門家会合で、海外の研究をもとに、オミクロン株の変異が起きるスピードは異常に早いと報告しました。
そして「大きく変異した変異ウイルスが発生する可能性は常にあるが、次の流行の波はオミクロン株の派生型によって起こるだろうことが予測される」とコメントしています。
感染が再拡大しているドイツやフランスでは、10月上旬の段階で「BA.5」が90%ほどを占めています。
日本でも「第7波」の主流となり、ドイツやフランスでも数か月にわたってほとんどを占めていますが、再び感染の拡大を引き起こしています。

海外の感染状況に詳しい東京医科大学の濱田篤郎特任教授は「第8波」を引き起こす可能性がある変異ウイルスは主に2つあると言います。
1つは「第7波」を引き起こしたのと同じ、「BA.5」による感染拡大です。
「ヨーロッパでは『BA.5』の流行が再燃し、残り火が広がり始めている。日本では『第7波』での『BA.5』の流行が収まりきらないうちに季節が寒くなって流行が再燃し、『第8波』になることが予想される」
そしてもう1つは、海外から新たな変異ウイルスが流入し感染が拡大するケースです。
濱田特任教授は、懸念される変異ウイルスの1つとして、シンガポールなどで「XBB」と呼ばれるタイプのウイルスが広がってきていると指摘しました。
「XBB」はオミクロン株のうちの複数のタイプのウイルスが組み合わさったもので、シンガポールの保健省のデータでは、9月の時点で6%だったのが、10月9日までの1週間では54%を占めるようになったということです。
この変異ウイルスの影響もあり、シンガポールでは人口100万あたりの感染者数が9月上旬にはおよそ340人だったのが、10月中旬には1500人を超えるに至っています。
「日本にもオミクロン株の別のタイプの1つが入ってくると、これまでの『BA.5』よりも拡大することが可能性としてはある」
さらに、ほかの変異ウイルスも検出されてきています。
アメリカでは、CDC=疾病対策センターによると、10月15日の時点で▽オミクロン株の「BA.5」が引き続き最も多く67.9%を占めているものの、▽「BA.4」から派生した「BA.4.6」が12.2%、▽「BQ.1.1」と「BQ.1」がそれぞれ5.7%、▽「BA.2.75.2」が1.4%、「BA.2.75」が1.3%などと、いずれもオミクロン株の一種ですが変異ウイルスの種類が増えてきています。
このうち、「BQ.1」系統のウイルスは「BA.5」がさらに変異を重ねたウイルスです。
また、「BA.2.75.2」はアメリカやインド、ヨーロッパ各国などで検出されていて、「BA.2」が変異を重ねた「BA.2.75」にさらに3つの変異が加わっています。
これらの変異ウイルスの性質はまだはっきりしていませんが、人の血液を使って分析すると、「BA.5」よりも免疫の働きが下がるという報告が出されています。
濱田特任教授によりますと、これらの変異ウイルスは「BA.5」と比べて、感染した場合の重症度が大きく変わるとは考えにくいものの、感染力が高まることや、欧米などで広がるのとほぼ同時に日本国内でも広がるおそれがあることに注意が必要だとしています。
今出てきている変異ウイルスはオミクロン株の中で変化しているものなので、重症度が大きく高まることはあまりないと考えられる感染力が高くなる、免疫を逃避する能力が高くなることは予想されるが、ドラスチックな大きな変化というものは現在の状況からみると起きないのではないか。過去2年間は、ヨーロッパやアメリカで冬の流行が広がってしばらくしてから、変異ウイルスが日本に入ってくる状況が見られたが、今は水際対策が緩和されているので、欧米での流行が起きたあとに間を置かずに日本で流行が広がってしまうということも考えておかなければいけない」
・・・
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