徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

2024年シーズンのスギ・ヒノキ花粉症は終了、飛散は多かった?少なかった?

2024年05月24日 06時05分29秒 | 小児科診療
みなさん、2024年シーズンのスギ花粉症はいかがでしたか?
私はくすり(抗アレルギー薬+漢方薬)を毎日服用し、
それほどひどい症状に悩まされずに済みました。
日中、突然くしゃみ&鼻水が出ること数回、
鼻づまりがつらい夜が1〜2回あった程度。

東京都から、2024年シーズンの花粉飛散データが公表されましたので、
紹介します。

ポイントは、
・今春のスギ・ヒノキ花粉の飛散数は、昨春の9割。
・2014年から2023年までの過去10年平均の1.3倍。
と例年と比べると多めですが、昨シーズンと比べるとやや少な目、
という結果でした。

■ 今春の飛散花粉数は昨春の9割 都内のスギ・ヒノキ花粉の観測結果(速報)


・・・
・今春のスギ・ヒノキ花粉の飛散数は、昨春の9割でした。
・2014年から2023年までの過去10年平均の1.3倍でした。
・例年、都内ではスギ花粉は4月下旬ごろ、ヒノキ花粉は5月上旬ごろに飛散終了日【注】を迎えます。
・今春におけるスギ・ヒノキ花粉の飛散数は、4月中旬から減少し、都内12観測地点のうち、スギ花粉については12地点、ヒノキ花粉については8地点で飛散終了日【注】を迎えました。
・これからの時期は、カモガヤなどのイネ科の花粉、夏の終わり頃からキク科のブタクサやヨモギなどの草本類の花粉が飛散するため、注意が必要です。

【注】飛散終了時期に、花粉の数が0個だった日が3日間続いた最初の日の前日
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

痛くない“貼る”ワクチン、もうすぐ登場!?

2024年05月20日 07時06分43秒 | 小児科診療
ワクチン接種には痛みを伴い、
昔から子どもが嫌がるイベントの一つでした。

以前から「貼るワクチン」の研究開発の話は耳にしていたのですが、
以下の記事を読むと、そろそろ実現しそうな雰囲気。
期待しましょう!

■ 腕に貼る麻疹・風疹ワクチンは乳幼児に安全かつ有効
・・・マイクロニードルと呼ばれる微細な短針を並べたパッチ(microneedle patch;MNP)を腕に貼って経皮ワクチンを投与する方法(マイクロアレイパッチ技術)で麻疹・風疹ワクチン(measles and rubella vaccine;MRV)を単回接種したガンビアの乳幼児の90%以上が麻疹から保護され、全員が風疹から保護されたことが、第1/2相臨床試験で示された。
 英ロンドン大学衛生熱帯医学大学院の医学研究評議会ガンビアユニットで乳児免疫学の責任者を務めるEd Clarke氏らによるこの研究結果は、「The Lancet」に4月29日掲載された。
 Clarke氏は、「マイクロアレイパッチ技術による麻疹・風疹ワクチン投与(MRV-MNP)はまだ開発の初期段階にあるが、今回の試験結果は非常に有望であり、多くの関心や期待を呼んでいる。本研究により、この方法で乳幼児にワクチンを安全かつ効果的に投与できることが初めて実証された」と語る。
・・・


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新型コロナ、次の流行はいつ?

2024年05月17日 06時43分47秒 | 小児科診療
新型コロナの第10波は過ぎ去り、落ちついた日々が続いています。
でも医師達はこれで終わりとは全然思っていません。
「次の流行はいつ?」
という思いが常に頭の片隅にあります。

そんな中、近隣の高校で小流行がありました。
気になって、最近の情報を検索し、
以下の記事が目に留まりました。

新しい株、FLiRT(フラート)が出現し、勢いを増しているという情報です。

■ 新型コロナが再流行か…米国で変異ウイルス拡散の兆し
 この夏、新型コロナウイルス感染症が再び流行する可能性があるという警告が出た。 
 米週刊誌ニューズウィークが8日(現地時間)に報道したところによると、新型コロナウイルスの変異ウイルスであるオミクロン株の亜系統「FLiRT(フラート)」が最近広がっているとのことだ。 
 英ウォーリック大学のローレンス・ヤング教授(分子腫瘍学)は同誌の取材に対し、「FLiRTは米国の下水道で初めて発見されたが、正確な起源は分からない。FLiRTは米国はもちろん、国境を越えて国外にまで広がっている」と語った。 
 ヤング教授は米疾病予防管理センター(CDC)のデータを引用し、「KP.2」というFLiRTの一種が米国国内の新規感染の25%を占めていると説明した。  KP.2はこれまでの亜系統より感染力が強い可能性もあるが、さらに危険性が高いかどうかを判断するには時期尚早とみられている。 
・・・「FLiRTにより今年の夏、新型コロナウイルス感染症が再流行する恐れがあるという懸念が高まっている。今後数カ月間、変異ウイルスによって小規模感染が拡散する可能性がある」と話した。 
 だが、ヤング教授は「現在使用可能なワクチンでも変異ウイルスをある程度予防できる」としている。 そして、「現在使用可能なワクチンは新たな変異ウイルスを完璧に防ぐことはできないが、追加接種をすることにより、ある程度の予防効果が得られるだろう」と展望した。 
 この変異ウイルスが感染した場合の症状は、従来のオミクロン株亜系統の症状と似ている。CDCによると、発熱や悪寒、咳、呼吸困難、筋肉痛や体の痛み、頭痛、喉の痛み、鼻水、吐き気や嘔吐(おうと)、下痢、味覚または嗅覚の喪失などの症状が現れることがあるという。 
・・・

国内の各地で、コロナ陽性者が増えてきたという情報もあります。

■ 新型コロナ6週ぶり増加 先週の三重県内感染状況
■ インフルエンザと新型コロナウイルスの感染状況 いずれも増加に転じる
■ 新型コロナ沖縄県定点報告数2週間で約1.7倍に ゴールデンウイーク後に再び増加か? 医師「沖縄・九州での流行に懸念」

新型コロナはふつうの風邪になった…という認識が広まる中、
人類はこのウイルスとどうつき合っていくべきなのか、模索が続いています。
今後はインフルエンザとコロナの混合ワクチンが一般化すると思われます。

■ 新型コロナ・インフル混合ワクチン、今冬にも国内臨床試験
2024/5/15:毎日新聞)より抜粋;
 米モデルナ社の日本法人モデルナ・ジャパンの長山和正社長がインタビューに応じ、メッセンジャーRNA(mRNA)技術を活用した、新型コロナウイルスとインフルエンザの混合ワクチンの臨床試験について、今冬の開始を目指すことを明らかにした。順調に進めば、数年以内にも日本国内での実用化が期待できるという。日本でのワクチンの供給体制を強化するため、国内での生産拠点整備を進めていることも明らかにした。
 混合ワクチンについて米モデルナは2023年10月、初期と中期の臨床試験で、安全性と効果を確認したと発表していた。これを受け、モデルナ・ジャパンは日本国内で最終の臨床試験を今冬から、数百例規模で実施したいとしている。結果がまとまれば、できるだけ早く承認申請を行う予定という。 
・・・

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「修飾麻疹」を知っていますか?

2024年05月01日 15時31分15秒 | 小児科診療
日本では麻疹(俗称:はしか)患者が1人発生しただけでもニュースになります。
ピンとこない人も多いと思いますが、それだけ要注意な感染症なのです。
江戸時代にはこんな言葉があったそうです。
「天然痘は器量定め,麻疹は命定め」

私は四半世紀前に麻疹の流行を目の当たりにしました。
麻疹に罹ると、子どもでは半分くらい入院治療が必要になります。
病棟ではこじれて肺炎になった患者が一晩中咳き込む音が響いていて、
「この感染症を流行らせてはいけない」
と危機感を感じたものです。

以前の日本は「麻疹輸出国」という汚名を着せられていましたが、
MR(麻疹・風疹)ワクチン2回接種が定期化すると程なくして「麻疹撲滅国」「麻疹輸入国」へ変わりました。

そしてみんなの頭から麻疹が消えていきました。

しかし、MRワクチン定期接種化以前に子ども時代を過ごした人々は免疫が不十分です。
麻疹そのものに感染した人はほぼ100%免疫がつきますが、麻疹ワクチンを1回接種しただけの人は、有効率95%なので感染することがあります。

そしてこの場合(ワクチン1回接種者が麻疹に罹ること)、症状は軽く済む傾向があります。どういうことかというと…まずは麻疹の典型的な経過を取らないのです。このタイプを「修飾麻疹」と呼びます。

一般的な麻疹の経過は、
・高熱+咳嗽鼻汁結膜炎が3〜4日間(顔がグシャグシャ)
〜この間は皮疹はありません〜
・一旦熱が下がりかけますが、その日のうちに再上昇
〜ここで首回りあたりから皮疹が出現〜
・皮疹は身体全体に広がり、末端に達するまで高熱が続く

一方の修飾麻疹は「高熱にならない」「皮疹が少ししか出ない」のです。
…となるとほかのウイルス感染症と診断されてしまう可能性があります。
患者にとってはありがたいことですが、医師にとっては「典型的な症状が出ないので診断が難しい」というデメリットでもあります。
しかし他人にうつす感染力はあるため、やっかいです。
本人は修飾麻疹で軽く済んでも、うつした人が重症化する可能性は十分にあります。

このような混乱を解決する予防策があります。
それは“麻疹ワクチン(≒MRワクチン)2回接種”の徹底です。
以下の記事をご参照ください;

 麻しん(はしか)ワクチン「1回だけ接種」の人は注意! 気付かないうちに発症する「修飾麻しん」とは
倉原優(呼吸器内科医)
2024/3/15:Yahooニュース)より抜粋;
・・・
子どもの頃に1回だけワクチンを接種しているなど、麻しんに対して中途半端な免疫を持っている場合、麻しんウイルスに感染すると、軽症で典型的ではない麻しんを発症することがあります。こういった麻しんを「修飾麻しん」と呼びます(図1)。

図1.修飾麻しんとは


症状は軽症になり、経過が通常の麻しん(図2)と異なるため、他の発疹性疾患である風しんなどと誤診されやすくなります。

図2.麻しんの典型的な経過


修飾麻しんの感染性は通常の麻しんよりも劣りますが、それでも感染性があることには間違いなく、微熱とブツブツがある場合、一度は疑う必要があります。とはいえ、実際に診断することは難しく、疑った医師が麻しんの抗体検査やウイルスゲノムを検出する検査を行うことで診断できます。
・・・
麻しん風しん(MR)ワクチンは定期接種に位置付けられているとはいえ、実は2回接種率は100%ではありません。
感染性が高い感染症であるため、地域や国から麻しんを排除するために必要なワクチン接種率は95%という目標値になっています。しかし、令和4年度の第2期接種率は92.4%と目標値を下回っており、北海道、鹿児島県、沖縄県にいたっては2回接種率は90%を下回っています。
・・・
定期接種化されて、現在ではほとんど感染者がいないのに、なぜ麻しんが数例報告されただけで報道されるのでしょうか。
理由の1つとして、「子どものありふれた感染症」「幼少期に感染しておけば大丈夫」という誤解が過去にあったことから、軽視している人が多いためです。麻しんは免疫を有さない状態では感染率が100%の病毒性が高いウイルスで、脳炎などの合併症を起こしたり、場合によっては亡くなったりすることもある、怖い病気です。
・・・
2000年よりも前に生まれた人のうち、まだ1回しか接種していない世代は、2回目のワクチン接種を検討ください(図4)。

図4.生年月日別の麻しんワクチン接種歴



<参考>
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする