以前から米国で使用(2003年認可)されてきた「鼻に噴霧するインフルエンザワクチン」が、
2024/25年シーズンからようやく日本でも使えるようになりました。
その名は「フルミスト®」。
最大の特徴は鼻にスプレー噴霧するだけなので、痛くありません!
これまでインフルエンザが心配だけど、
とにかく注射が恐くてワクチン接種を避けてきたお子さんに朗報です。
ただし、鼻に噴霧するという性質からの注意点もあります。
・鼻炎で鼻水・鼻づまりがあるお子さん、
・鼻に噴霧した後に大泣きするお子さん、
・「フン!」と鼻をかむように出してしまうお子さん、
は効果が落ちますのでオススメできません。
同じ理由から以下のタイプのお子さんも無理だと思います。
・医院内、診察室に入るだけでギャン泣き幼児
・「予防接種」と聞いただけで拒否る子ども
その際に一つ気になるのが、ワクチンが入っている容器の形です。
…「注射器」そのものなのですよね。
もちろん注射針はついていませんが、
「注射器 → 恐い!」という先入観があると、
それを鼻に差し込むことに抵抗する子どもが出てきてもおかしくありません。
もっと子どもが受け入れやすいかわいい形にすればよかったのに…残念。
(@DIMEより)
それから注射のインフルエンザワクチンは“不活化ワクチン”ですが、
経鼻ワクチンは“生ワクチン”です。
これは、弱毒化したウイルスをあえて鼻粘膜にくっつけることにより、
症状が出ない程度に感染させ、免疫だけつけるというシステム。
なので中には軽い風邪症状が出るお子さんがいます。
また、免疫不全状態のヒトは危険なので接種できません。
では、フルミストのポイントを概説します。
【名称】フルミスト
【性質】経鼻生ワクチン
【接種方法】両鼻に0.1mLずつ噴射
【接種回数】1回
【効果持続】1年間
【接種対象】2歳〜18歳
※ 鼻水等の症状のある方、泣いてしまって鼻汁でワクチンが流れ出てしまう可能性のあるお子様は接種できません(噴霧しても十分な効果が期待できません)。
【接種できない方】
【性質】経鼻生ワクチン
【接種方法】両鼻に0.1mLずつ噴射
【接種回数】1回
【効果持続】1年間
【接種対象】2歳〜18歳
※ 鼻水等の症状のある方、泣いてしまって鼻汁でワクチンが流れ出てしまう可能性のあるお子様は接種できません(噴霧しても十分な効果が期待できません)。
【接種できない方】
・2歳未満、19歳以上。
・5歳未満の方で喘鳴(ゼーゼー)の歴があった方や、1年以内に喘息発作のあった方。
・免疫不全患者(抗がん剤治療を受けている人)や、免疫不全患者様をケアする立場にいる介護者の方
・心疾患、肺疾患・喘息、肝疾患、糖尿病、貧血、神経系疾患などの慢性疾患を持つ場合
・アスピリンを服用中の方
・妊婦の方
・重度の卵白アレルギーやゼラチンアレルギー、ゲンタマイシン、アルギニンアレルギーの方
・今風邪をひいていたり、鼻炎のひどい人
【有効率】発症予防効果は3〜7割(注射ワクチンと同等)
【副反応】
・小児:鼻水、喘鳴、頭痛、嘔吐、筋肉痛、発熱、喉の痛み
その他の副反応についてはこちらでご確認ください。
【有効率】発症予防効果は3〜7割(注射ワクチンと同等)
【副反応】
・小児:鼻水、喘鳴、頭痛、嘔吐、筋肉痛、発熱、喉の痛み
その他の副反応についてはこちらでご確認ください。
生ワクチンというと、有効率(発症予防効果)が高いというイメージがあります。
麻疹・風疹ワクチンは90%以上ですから。
でもこの経鼻生ワクチンの有効率は不活化ワクチンとそう変わりません。
ちょっと残念・・・
ただ、有効期間が長く、不活化ワクチンの5ヶ月と比較して1年です。
これはいいですね。
最後に厚生労働省の説明会(2024年6月)で使用されたスライドから表を引用させていただきます。
表にあるように、米国では2003年、EUでは2012年に認可済みです。
日本は米国から遅れること20年で、ようやく認可されました。
厚労省というより日本の国民性でしょうか。
小児科医としては重症化が心配な乳児に接種したいところですが、
2歳未満では接種後の入院例・喘鳴頻度が上昇したため、「適応外」とされました。
日本もこれに準じています。
・・・当院でも導入を準備中です。
<参考>
<医療者用>