子どもの水分補給に何を飲ませていますか?
栄養ドリンクを多用する習慣は日本人には珍しいと思われますが、イオン飲料は運動後や嘔吐下痢の際の水分補給によい、というイメージで日常的に多用される傾向があります。この論文はそれにクギを刺す内容です。
イオン飲料には本来必要なミネラル分の他に、余分なカロリーが入っているので好ましくない、ふだんの食生活が充実していれば、スポーツ競技・選手レベル以外の運動後の水分補給は「水」が最適であると結論づけています。
■ 子どもに栄養ドリンクはダメ、スポーツ飲料も不要 米研究(CNN)
栄養ドリンクは10代までの子どもにふさわしい飲料ではなく、スポーツ飲料もほとんどの子どもにとっては必要ないとする研究報告を米国の専門家がまとめ、米小児科学会誌に発表した。
報告は同学会に所属する栄養学やスポーツ医学の研究者がまとめた。それによると、栄養ドリンクは集中力や精神力を高めるなどの効果をうたい、大量のカフェインやガラナ、朝鮮人参、タウリンなどの滋養強壮成分が配合されている。
こうした飲料を子どもが飲むことには危険が伴うと研究チームは解説。栄養ドリンクと心拍数や血圧の上昇、睡眠障害、不安神経症との関係を指摘した。
栄養学専門家のマーシー・シュナイダー氏は「多くの場合、ラベルを見ただけではどのくらいのカフェインが入っているのか分からない」「エネルギードリンクの中には、ソーダ14缶分に匹敵する500ミリグラム以上のカフェインが含まれているものもある」と警告する。
一方、運動で失われる水分や電解質の補給をうたって炭水化物やビタミンなどを配合したスポーツ飲料については、激しい運動や長期に及ぶ練習をする若者の場合は効果的な場合もあるとした。
しかし、そうでなければビタミンやミネラルはバランスの取れた食生活を通じて摂取すべきだと指摘、「定期的に運動しているほとんどの子どもにとっては普通の水が一番よい」(スポーツ医学専門家のホリー・ベンジャミン氏)とした。スポーツ飲料には子どもには不要な余分なカロリーが含まれており、肥満や虫歯の原因になりかねないという。「運動後には水を飲み、食事の時には推奨摂取量のジュースや低脂肪牛乳を飲んだ方がいい」とベンジャミン氏は助言している。
※ より詳しい内容はこちら
一部抜粋しますと・・・
米国小児科学会では、今回の調査研究をふまえて、次のことを推奨している。
・市販されているスポーツドリンクや栄養飲料の栄養成分について、小児科医は子供や親によく説明し、健康に与える影響について理解してもらった方が良い。
・清涼飲料の中には糖分が多く高カロリーのものがあり、過体重や肥満、虫歯を引き起こすおそれがある。子供や若者が毎日摂取するのは好ましくない。
・ただし、電解質が適量含まれたスポーツドリンクが運動中・後の水分補給に適していたり、糖分を摂取する必要がある場合などは、機能性をもたせた清涼飲料の利用を必要に応じて行った方がよい。
・子供や若者の水分補給にもっとも適しているのは水であり、運動時などに勧められるのは水を飲むことである。
イオン飲料と虫歯については日本小児歯科学会が声明を発表しています(「イオン飲料と虫歯に対する考え方」)。・・・嘔吐下痢の際の水分補給で役に立ったのでふだんも飲ませよう・・・という習慣はダメ、と注意を喚起する内容です。
この中から「乳幼児への対策」を抜粋します;
・過激な運動や極端に汗をかいたとき以外は,普通の水を与える。
・イオン飲料を水の代わりに使用しない。
・下痢や嘔吐でイオン飲料を飲ませたときは症状が軽快したら中止する。のどが渇いたときは普通の水を飲ませるようにする。
・寝る前や寝ながらイオン飲料を与えないようにする。夜中にのどが渇いたときには水を与える。
・入浴後は水を飲ませる。
・寝る前に歯を磨く。やむを得ず,寝る前や寝ながら与えるときは水を飲ませる。あるいは,与えた後に綿棒や指先にガーゼを巻き口腔内を清拭する。
当院では嘔吐下痢の際の水分補給に、医療用イオン飲料として「ソリタ-T3顆粒」を処方しています。脱水症の時に行う点滴の中身を粉にしたもので、水に戻してチビチビ与えると点滴と同じ効果が期待できます。市販のイオン飲料よりおいしくないので、ふだん飲む習慣はつきません(苦笑)。
具体的な使用法は当院HP(★ 嘔吐下痢の自宅療養 ~ 経口補液 ~)をご参照ください。
さて、梅雨もそろそろ終盤、熱中症が心配になる季節となりました。
最高気温が30℃となるあたり(いわゆる「真夏日」)から熱中症の患者の発生がみられ、33~34℃になると患者数が急激に増加する、といわれます。
熱中症対策の基本は、こまめな水分補給です。
補給する水分は、あまり汗をかいていない時は水や麦茶、たくさん汗をかいた時は塩分や糖分を含んだイオン飲料がおすすめです。
<追記>
2011年7月14日のNHK「ためしてガッテン」で熱中症予防としての水分の取り方を特集していました。
従来の「水分+塩分」はスポーツなどで大量に汗をかいた後によい方法で、ふだんの生活の中で発汗する程度では塩分は必要なく、高齢者が塩分を努めて取ろうとすると血圧が上がってしまいかえって問題になるとのこと。
まあ、上記の通りと云うことです。
栄養ドリンクを多用する習慣は日本人には珍しいと思われますが、イオン飲料は運動後や嘔吐下痢の際の水分補給によい、というイメージで日常的に多用される傾向があります。この論文はそれにクギを刺す内容です。
イオン飲料には本来必要なミネラル分の他に、余分なカロリーが入っているので好ましくない、ふだんの食生活が充実していれば、スポーツ競技・選手レベル以外の運動後の水分補給は「水」が最適であると結論づけています。
■ 子どもに栄養ドリンクはダメ、スポーツ飲料も不要 米研究(CNN)
栄養ドリンクは10代までの子どもにふさわしい飲料ではなく、スポーツ飲料もほとんどの子どもにとっては必要ないとする研究報告を米国の専門家がまとめ、米小児科学会誌に発表した。
報告は同学会に所属する栄養学やスポーツ医学の研究者がまとめた。それによると、栄養ドリンクは集中力や精神力を高めるなどの効果をうたい、大量のカフェインやガラナ、朝鮮人参、タウリンなどの滋養強壮成分が配合されている。
こうした飲料を子どもが飲むことには危険が伴うと研究チームは解説。栄養ドリンクと心拍数や血圧の上昇、睡眠障害、不安神経症との関係を指摘した。
栄養学専門家のマーシー・シュナイダー氏は「多くの場合、ラベルを見ただけではどのくらいのカフェインが入っているのか分からない」「エネルギードリンクの中には、ソーダ14缶分に匹敵する500ミリグラム以上のカフェインが含まれているものもある」と警告する。
一方、運動で失われる水分や電解質の補給をうたって炭水化物やビタミンなどを配合したスポーツ飲料については、激しい運動や長期に及ぶ練習をする若者の場合は効果的な場合もあるとした。
しかし、そうでなければビタミンやミネラルはバランスの取れた食生活を通じて摂取すべきだと指摘、「定期的に運動しているほとんどの子どもにとっては普通の水が一番よい」(スポーツ医学専門家のホリー・ベンジャミン氏)とした。スポーツ飲料には子どもには不要な余分なカロリーが含まれており、肥満や虫歯の原因になりかねないという。「運動後には水を飲み、食事の時には推奨摂取量のジュースや低脂肪牛乳を飲んだ方がいい」とベンジャミン氏は助言している。
※ より詳しい内容はこちら
一部抜粋しますと・・・
米国小児科学会では、今回の調査研究をふまえて、次のことを推奨している。
・市販されているスポーツドリンクや栄養飲料の栄養成分について、小児科医は子供や親によく説明し、健康に与える影響について理解してもらった方が良い。
・清涼飲料の中には糖分が多く高カロリーのものがあり、過体重や肥満、虫歯を引き起こすおそれがある。子供や若者が毎日摂取するのは好ましくない。
・ただし、電解質が適量含まれたスポーツドリンクが運動中・後の水分補給に適していたり、糖分を摂取する必要がある場合などは、機能性をもたせた清涼飲料の利用を必要に応じて行った方がよい。
・子供や若者の水分補給にもっとも適しているのは水であり、運動時などに勧められるのは水を飲むことである。
イオン飲料と虫歯については日本小児歯科学会が声明を発表しています(「イオン飲料と虫歯に対する考え方」)。・・・嘔吐下痢の際の水分補給で役に立ったのでふだんも飲ませよう・・・という習慣はダメ、と注意を喚起する内容です。
この中から「乳幼児への対策」を抜粋します;
・過激な運動や極端に汗をかいたとき以外は,普通の水を与える。
・イオン飲料を水の代わりに使用しない。
・下痢や嘔吐でイオン飲料を飲ませたときは症状が軽快したら中止する。のどが渇いたときは普通の水を飲ませるようにする。
・寝る前や寝ながらイオン飲料を与えないようにする。夜中にのどが渇いたときには水を与える。
・入浴後は水を飲ませる。
・寝る前に歯を磨く。やむを得ず,寝る前や寝ながら与えるときは水を飲ませる。あるいは,与えた後に綿棒や指先にガーゼを巻き口腔内を清拭する。
当院では嘔吐下痢の際の水分補給に、医療用イオン飲料として「ソリタ-T3顆粒」を処方しています。脱水症の時に行う点滴の中身を粉にしたもので、水に戻してチビチビ与えると点滴と同じ効果が期待できます。市販のイオン飲料よりおいしくないので、ふだん飲む習慣はつきません(苦笑)。
具体的な使用法は当院HP(★ 嘔吐下痢の自宅療養 ~ 経口補液 ~)をご参照ください。
さて、梅雨もそろそろ終盤、熱中症が心配になる季節となりました。
最高気温が30℃となるあたり(いわゆる「真夏日」)から熱中症の患者の発生がみられ、33~34℃になると患者数が急激に増加する、といわれます。
熱中症対策の基本は、こまめな水分補給です。
補給する水分は、あまり汗をかいていない時は水や麦茶、たくさん汗をかいた時は塩分や糖分を含んだイオン飲料がおすすめです。
<追記>
2011年7月14日のNHK「ためしてガッテン」で熱中症予防としての水分の取り方を特集していました。
従来の「水分+塩分」はスポーツなどで大量に汗をかいた後によい方法で、ふだんの生活の中で発汗する程度では塩分は必要なく、高齢者が塩分を努めて取ろうとすると血圧が上がってしまいかえって問題になるとのこと。
まあ、上記の通りと云うことです。