IS(Islamic state)が建国宣言をしてから、明日で1年になります。
この機会に、録画しておいたIS関連の番組をまとめてみてみました。
■ 「“イスラム国”から若者を救え~デンマーク ある町の試み~」(NHK-BS)
デンマークのオーフスという町では、ISに参加した若者が帰ってきたとき、メンターによる対話を通じて社会復帰できるよう支援しています。「オーフス・モデル」と称され、世界から注目されているシステムです。
オーフスは人口の10%が中東・アフリカからの移民でイスラム教徒。モスクもそれぞれの民族ごとに存在しますが、そのうちの一つのモスクに通うイスラム教徒からのみISに参加する若者が多く出ている・・・はじめは知らんぷりしていた責任者が、あるとき本性を現しました。
「デンマークは同盟軍に参加してISを攻撃すべく兵士を派遣している。同じイスラム教徒として共感できない。ISが強くなり国家を建設することを期待している。」と。
デンマーク人は危機感を覚える一方で、イスラム教に改宗してそのモスクに通うデンマーク人も出てきて、ちょっと話は複雑化しています。
フランスではISに参加した人物が帰国すると簡単に刑務所に入れられるような法律があるそうです。でもデンマークは「それでは解決しない」とカウンセリングを行い、実績を上げつつあるようです。
■ 「“天国には行かせない”~ISと戦うクルド人女性部隊~」(NHK-BS)
イスラエルのジャーナリストが取材したクルド人部隊。
中でも「女性部隊」はISに恐れられているそうです。
その理由を聞いて、唖然としてしまいました。
1.イスラム法では戦闘で死亡すると天国に行ける、そして褒美として処女を72人あてがわれる。
2.女性に殺されると天国に行けない、とうぜん処女72人もチャラ。
というとんでもない思い込み。
捕虜になったIS兵士は洗脳されて上記2点を信じ切っている様子でした。
なので、彼らは女性兵士を見ると逃げるのです!
そんなレベルだったのか・・・。
捕虜になったIS兵士へのインタビューでは恐ろしい事実も明るみに出ました。
数人の兵士は各々数十人を殺してきたとあっさり告白。
銃殺したり、首を切ったり・・・首を切るときはイスラム法に則り牛刀をつかうとのこと、それも苦しんで死ぬように「切れの悪い牛刀」を使うと言いました。
そして「人を殺すときは麻薬を使うことが多いんだ」という衝撃の事実。
これらのことを悪びれずに淡々と話すIS兵士に背筋が寒くなりました。
「麻薬を使って洗脳して死ぬために戦うことを是とする」システムなのですね。
人質の交渉で話が通じない理由がわかったような気がしました。
ISはイスラム教でもスンニ派の勢力です。
イスラム教スンニ派以外の宗教は異教徒として、すべて「殺す」対象と考えています。
スンニ派でもISを認めない団体は抹殺されます。
クルド人女性部隊の言葉;
「私たちはIS兵士にとっての悪夢よ」
「IS兵士は全然怖くない。なぜなら、私たちは生き抜くために戦い、彼らは死ぬために戦うから」
「国家を持たない最大の民族」であるクルド民族3000万人は、今の混乱期が独立国を持つチャンスと考えているようです。
■ 「鎌田實医師がみた“イスラム国”の脅威」(2015.4.2:日経プラス10)
鎌田先生は10年前から中東で医療支援をしてきたそうです。彼の目から見たIS問題へのコメントには説得力がありました;
「暴力で暴力を消すことはできないことは歴史が証明している。はじまりはソ連のアフガニスタン侵攻だった。このときにアフガニスタンにゲリラ部隊が生まれ、その後米国と敵対する勢力となりビンラディンやアルカイダを生み、紆余曲折を経て現在に至る。3つの戦争(アフガン戦争、イラク戦争、シリア内戦)がISを作ったのだ。
「欧米が介入しても解決しない。周辺のイスラム教徒達は「ISはイスラム教ではない」という空気でまとまりつつあり、IS問題はイスラム社会に任せた方がよい。」
鎌田先生は「イスラム国よ!」という本を書き、印税収入はすべて医療支援に回されるそうです。
次は 二部構成で、約2時間の番組です。第二部の方が印象に残りました。
■ 「追跡 過激派組織ISの闇」(NHK-BS)
場面はイギリス。社会に不満を持ち、居場所がない移民の子どもたちをISが言葉巧みに勧誘します;
「民主主義も資本主義も共産主義も何も解決してくれない、イスラム教だけが救いになる」
ISのリーダー、バグダディ登場の背景;
田舎から出てきて大学でイスラム教を勉強する物静かな神学生であり、博士号も取得している。
イラク戦争中の2004年と2006年に拘束され、キャンプ・ブッカに収容され、その際に過激派の思想に染まっていった。キャンプ内では過激派(のちにIS幹部となるアドナニ、ナイマ、ミシャダニなど)と旧フセイン政権の残党(アンバーリなど)の思惑が一体化し「米国とイラク政府を追い出してイスラム国家をつくる」考えが生まれた。
バグダディはアメリカ撤退の際に「危険人物」としてイラク政府に引き継がれたが、なぜかイラク政府は釈放してしまった。これが大きな誤算であり失敗となった。
アラブの春~シリア内戦に乗じてISは勢力を伸ばした。イラクのマリキ首相はシーア派であり、ISはスンニ派 vs シーア派という宗派対立を利用してさらに巨大化した。これはアルカイダのザルカウィの指南書にある手法を取り入れたモノであり、そこにはイスラム国家建設計画も記されていた。
この機会に、録画しておいたIS関連の番組をまとめてみてみました。
■ 「“イスラム国”から若者を救え~デンマーク ある町の試み~」(NHK-BS)
デンマークのオーフスという町では、ISに参加した若者が帰ってきたとき、メンターによる対話を通じて社会復帰できるよう支援しています。「オーフス・モデル」と称され、世界から注目されているシステムです。
オーフスは人口の10%が中東・アフリカからの移民でイスラム教徒。モスクもそれぞれの民族ごとに存在しますが、そのうちの一つのモスクに通うイスラム教徒からのみISに参加する若者が多く出ている・・・はじめは知らんぷりしていた責任者が、あるとき本性を現しました。
「デンマークは同盟軍に参加してISを攻撃すべく兵士を派遣している。同じイスラム教徒として共感できない。ISが強くなり国家を建設することを期待している。」と。
デンマーク人は危機感を覚える一方で、イスラム教に改宗してそのモスクに通うデンマーク人も出てきて、ちょっと話は複雑化しています。
フランスではISに参加した人物が帰国すると簡単に刑務所に入れられるような法律があるそうです。でもデンマークは「それでは解決しない」とカウンセリングを行い、実績を上げつつあるようです。
■ 「“天国には行かせない”~ISと戦うクルド人女性部隊~」(NHK-BS)
イスラエルのジャーナリストが取材したクルド人部隊。
中でも「女性部隊」はISに恐れられているそうです。
その理由を聞いて、唖然としてしまいました。
1.イスラム法では戦闘で死亡すると天国に行ける、そして褒美として処女を72人あてがわれる。
2.女性に殺されると天国に行けない、とうぜん処女72人もチャラ。
というとんでもない思い込み。
捕虜になったIS兵士は洗脳されて上記2点を信じ切っている様子でした。
なので、彼らは女性兵士を見ると逃げるのです!
そんなレベルだったのか・・・。
捕虜になったIS兵士へのインタビューでは恐ろしい事実も明るみに出ました。
数人の兵士は各々数十人を殺してきたとあっさり告白。
銃殺したり、首を切ったり・・・首を切るときはイスラム法に則り牛刀をつかうとのこと、それも苦しんで死ぬように「切れの悪い牛刀」を使うと言いました。
そして「人を殺すときは麻薬を使うことが多いんだ」という衝撃の事実。
これらのことを悪びれずに淡々と話すIS兵士に背筋が寒くなりました。
「麻薬を使って洗脳して死ぬために戦うことを是とする」システムなのですね。
人質の交渉で話が通じない理由がわかったような気がしました。
ISはイスラム教でもスンニ派の勢力です。
イスラム教スンニ派以外の宗教は異教徒として、すべて「殺す」対象と考えています。
スンニ派でもISを認めない団体は抹殺されます。
クルド人女性部隊の言葉;
「私たちはIS兵士にとっての悪夢よ」
「IS兵士は全然怖くない。なぜなら、私たちは生き抜くために戦い、彼らは死ぬために戦うから」
「国家を持たない最大の民族」であるクルド民族3000万人は、今の混乱期が独立国を持つチャンスと考えているようです。
■ 「鎌田實医師がみた“イスラム国”の脅威」(2015.4.2:日経プラス10)
鎌田先生は10年前から中東で医療支援をしてきたそうです。彼の目から見たIS問題へのコメントには説得力がありました;
「暴力で暴力を消すことはできないことは歴史が証明している。はじまりはソ連のアフガニスタン侵攻だった。このときにアフガニスタンにゲリラ部隊が生まれ、その後米国と敵対する勢力となりビンラディンやアルカイダを生み、紆余曲折を経て現在に至る。3つの戦争(アフガン戦争、イラク戦争、シリア内戦)がISを作ったのだ。
「欧米が介入しても解決しない。周辺のイスラム教徒達は「ISはイスラム教ではない」という空気でまとまりつつあり、IS問題はイスラム社会に任せた方がよい。」
鎌田先生は「イスラム国よ!」という本を書き、印税収入はすべて医療支援に回されるそうです。
次は 二部構成で、約2時間の番組です。第二部の方が印象に残りました。
■ 「追跡 過激派組織ISの闇」(NHK-BS)
場面はイギリス。社会に不満を持ち、居場所がない移民の子どもたちをISが言葉巧みに勧誘します;
「民主主義も資本主義も共産主義も何も解決してくれない、イスラム教だけが救いになる」
ISのリーダー、バグダディ登場の背景;
田舎から出てきて大学でイスラム教を勉強する物静かな神学生であり、博士号も取得している。
イラク戦争中の2004年と2006年に拘束され、キャンプ・ブッカに収容され、その際に過激派の思想に染まっていった。キャンプ内では過激派(のちにIS幹部となるアドナニ、ナイマ、ミシャダニなど)と旧フセイン政権の残党(アンバーリなど)の思惑が一体化し「米国とイラク政府を追い出してイスラム国家をつくる」考えが生まれた。
バグダディはアメリカ撤退の際に「危険人物」としてイラク政府に引き継がれたが、なぜかイラク政府は釈放してしまった。これが大きな誤算であり失敗となった。
アラブの春~シリア内戦に乗じてISは勢力を伸ばした。イラクのマリキ首相はシーア派であり、ISはスンニ派 vs シーア派という宗派対立を利用してさらに巨大化した。これはアルカイダのザルカウィの指南書にある手法を取り入れたモノであり、そこにはイスラム国家建設計画も記されていた。