徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

日曜朝の万葉集

2009年06月26日 04時39分09秒 | 日記
 日曜日朝6時からNHK教育で「日めくり万葉集」を放映しています。
 平日放映しているものを週末に一括放映しているようです。
 番組の特徴は、壇ふみさんの朗読のあと、一人の万葉集研究家が解説するのではなくいろんな人が様々な視点から「私の好きな一首」への思い入れを映像付きで語ることです。万葉集研究家をはじめ、俳優だったり、お坊さんだったり、漫画家だったり、登場する人物はバラエティに富んでいます。
 少々敷居の高い古典を身近に感じることができ、「フ~ン、こんな見方もあるんだあ」と新鮮な驚きがあります。

 例えば、万葉集は中国から輸入したばかりの漢字を「万葉仮名」として使用し記録されましたが、音で拾ったその漢字にも遊び心が配されていたり。
 万葉集を英語に訳した外国人から見た日本の風景も興味深い。美しい表現からどんなに素晴らしい風景だろうとワクワクして実際に見に行ったら大したことはなくガッカリした・・・しかしその後、その風景をあのように歌って後世に残したことはすごいこと何じゃないかと気づいた(リービ英雄さん)、「匂い立つ女性」という当時の表現には嗅覚のみでなく視覚的要素があったのではないか、などなど。

 でも何より驚いたのは、歌われたその感性です。
 1300年前の日本人も現代に生きる我々も同じように自然や物事を感じているんだなあ。
 これってすごいことかもしれない。
 むしろ人と人との絆、親子の絆は昔の方が強かった、と思わせる歌もたくさんあります。

 このシリーズ、まだまだ続きます。楽しみです。

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「日本アレルギー学会」に参加しました。

2009年06月06日 20時08分42秒 | 小児科診療
6月4-6日に岐阜で行われた「日本アレルギー学会春期臨床大会」に参加してきました。
一泊二日のとんぼ返りでしたが、それでもちょっとだけ新しい知見を仕入れてきました。

・アトピー性皮膚炎について;
 乳児期のアトピーはミルクや卵の食物アレルギーが関与している比率が高く、その後も湿疹が遷延するとダニ・ホコリなどの吸入性アレルゲンにも反応するように(これを「感作」と言います)なってきます。
なぜなのか?
実は皮膚からアレルゲンが侵入してくるらしいのです。
ですから、環境整備と共に皮膚の湿疹をよい状態にコントロールしていく治療・管理が重要です。

・食物アレルギーについて;
 この10年間、日本における食物アレルギーの医学・医療は著しく進歩しました。
 この春に「食物経口負荷試験ガイドライン」が発表され、標準治療の材料が一通り揃った感があります。
 ただし、病院が扱う重症患者を対象とした治療・管理の設定が多く、開業医の私には敷居が高い印象が拭えません。軽症~中等症もカバーしたガイドラインの整備を今後に期待したいと思います。

・喘息治療について;
 この15年間は吸入ステロイドの全盛期でした。
 しかし、吸入ステロイドの限界も見え始め、今は反省・検証の時期にさしかかっています。
 今回聴講した「吸入ステロイドは喘息の自然経過を変えることができるか?」というシンポジウムでの答えは「できない」とのこと。
 吸入ステロイド導入以前の30年前の治癒率と、現在の治癒率が同じなのです!
 ちょっとショックを受けました。
 今後は遺伝子解析によるテーラーメイド治療や、ダニの減感作療法などが注目される治療法として紹介されました。
 
 アレルギー診療に15年以上関わっている私ですが、長い目で見るといろいろな治療法が登場しては消えていきます。
 常に最先端の情報をアップデートする必要性を今回も感じました。

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