日本では2015年に「麻疹排除国」とWHOが認定しました。
が、ご存じの通り、現在も「輸入麻疹」があちこちでくすぶっています。
予防接種では先んじているアメリカでは、WHOが「麻疹根絶」を認定したというニュースが流れました;
■ 米大陸で世界初の麻疹根絶、WHOが宣言
(2016年09月28日:AFP)
【9月28日 AFP】世界保健機関(WHO)は27日、南北米大陸が世界初の麻疹(はしか)根絶地域となったと宣言した。数十年にわたる予防接種運動が奏功した形だ。
感染力が非常に強い麻疹は、世界の子どもの主な死因の一つで、WHOによると2014年には世界中で11万5000人近くの命を奪った。これは1時間に13人が亡くなった計算だ。予防接種が世界各国で実施されるようになる前は、年間の死者は約260万人に達していた。
WHOのマーガレット・チャン(Margaret Chan)事務局長は米大陸における「麻疹のエンデミック伝染の根絶」を宣言。これは、麻疹ウイルスが同地域内に広まっている状態ではなくなったことを意味するが、ウイルスが外から持ち込まれた場合には限定的に感染が広がることはあり得る。
ただ専門家らは、根絶に成功したとはいえ、予防接種を怠ってもよいということではないと警告。麻疹ウイルスを排除し続けるためには、予防接種を引き続き徹底していかなければならないとしている。
ん? 「根絶」と「排除」ってどう違うの?
こちら(麻疹排除に向けた進捗状況の評価-WHO、IASR)に定義がありました;
□ 言葉の定義
1.麻疹根絶(measles eradication)1) :質が高いと判断されるサーベイランス存在下での世界的な麻疹伝播の遮断
2.麻疹排除(measles elimination):質が高いと判断されるサーベイランスが存在するある特定の地域において12カ月以上にわたり麻疹の伝播がないこと
3.麻疹流行(endemic measles transmission):ある特定の地域において、12カ月以上にわたり固有のあるいは輸入例に起源する感染伝播が継続すること
4.麻疹流行の再興(re-establishment of endemictransmission):以前に麻疹が排除されていたある特定の地域において、ある麻疹ウイルス株2) の感染伝播の存在が、12カ月以上にわたり途切れることなく継続していると、疫学的かつ実験室的エビデンスが得られたとき
とりあえず「排除」状態が維持されると「根絶」に至るということでしょうか。
こちら(WHO西太平洋地域事務局における麻疹対策、IASR)にはもう少し詳しく記載してありました;
□ 麻疹排除の定義と判断基準
麻疹の排除(elimination)とは、2003年10月に行われたWHO/CDC/UNICEFによる麻疹専門家会議においての合意が定義として用いられる。そこには「広大な面積と十分な人口を有する地理的領域において、麻疹ウイルスの常在的伝播が起こり得ず、また輸入症例により麻疹ウイルスが再度持ち込まれても持続的伝播が起こり得ないような状態で、弧発例および連鎖的に伝播する症例はすべて輸入症例に関連づけられ、それを維持するために地域はワクチン接種による高いレベルの人工免疫を維持することが不可欠な動的な状態」とある。
この会議での提議、合意事項などを踏まえて、WPROでは以下のような麻疹排除のための判断基準を2004年に提案している。
確定麻疹症例数:1年間に報告される確定麻疹症例数が人口100万人当たり1未満であること(輸入症例を除く)。
集団免疫:すべての地区(district)の各年齢コホートにおいて、麻疹に対する集団免疫が95%以上に維持されていることが、以下の指標により証明されていること。
a)麻疹を含むワクチンによる2回の予防接種率が95%以上であること
b)輸入症例による集団発生が小規模なものであること(症例数100未満、持続期間3カ月未満)
サーベイランス:すべての発熱発疹症例およびウイルス伝播の連鎖を、包括的に報告し調査することのできる優れたサーベイランスが存在しているということが、以下の指標により証明されること。
a)80%以上の地区において、1年間に報告される麻疹疑い症例が人口10万当たり1以上であること
b)麻疹IgM抗体を検出するのに十分な血清サンプルが80%以上の麻疹疑い例から採取されていること(実験室診断による確定例と疫学的リンクの明らかな症例はこの百分率の分母の中には含まない)
c)(ウイルスの由来の同定に役立つ遺伝子配列解析のため)すべての確認された感染伝播の連鎖からウイルスが分離されていること
<参考>
□ 麻疹排除の基準に関する国際的な状況について(国立感染症研究所、2011年)
が、ご存じの通り、現在も「輸入麻疹」があちこちでくすぶっています。
予防接種では先んじているアメリカでは、WHOが「麻疹根絶」を認定したというニュースが流れました;
■ 米大陸で世界初の麻疹根絶、WHOが宣言
(2016年09月28日:AFP)
【9月28日 AFP】世界保健機関(WHO)は27日、南北米大陸が世界初の麻疹(はしか)根絶地域となったと宣言した。数十年にわたる予防接種運動が奏功した形だ。
感染力が非常に強い麻疹は、世界の子どもの主な死因の一つで、WHOによると2014年には世界中で11万5000人近くの命を奪った。これは1時間に13人が亡くなった計算だ。予防接種が世界各国で実施されるようになる前は、年間の死者は約260万人に達していた。
WHOのマーガレット・チャン(Margaret Chan)事務局長は米大陸における「麻疹のエンデミック伝染の根絶」を宣言。これは、麻疹ウイルスが同地域内に広まっている状態ではなくなったことを意味するが、ウイルスが外から持ち込まれた場合には限定的に感染が広がることはあり得る。
ただ専門家らは、根絶に成功したとはいえ、予防接種を怠ってもよいということではないと警告。麻疹ウイルスを排除し続けるためには、予防接種を引き続き徹底していかなければならないとしている。
ん? 「根絶」と「排除」ってどう違うの?
こちら(麻疹排除に向けた進捗状況の評価-WHO、IASR)に定義がありました;
□ 言葉の定義
1.麻疹根絶(measles eradication)1) :質が高いと判断されるサーベイランス存在下での世界的な麻疹伝播の遮断
2.麻疹排除(measles elimination):質が高いと判断されるサーベイランスが存在するある特定の地域において12カ月以上にわたり麻疹の伝播がないこと
3.麻疹流行(endemic measles transmission):ある特定の地域において、12カ月以上にわたり固有のあるいは輸入例に起源する感染伝播が継続すること
4.麻疹流行の再興(re-establishment of endemictransmission):以前に麻疹が排除されていたある特定の地域において、ある麻疹ウイルス株2) の感染伝播の存在が、12カ月以上にわたり途切れることなく継続していると、疫学的かつ実験室的エビデンスが得られたとき
とりあえず「排除」状態が維持されると「根絶」に至るということでしょうか。
こちら(WHO西太平洋地域事務局における麻疹対策、IASR)にはもう少し詳しく記載してありました;
□ 麻疹排除の定義と判断基準
麻疹の排除(elimination)とは、2003年10月に行われたWHO/CDC/UNICEFによる麻疹専門家会議においての合意が定義として用いられる。そこには「広大な面積と十分な人口を有する地理的領域において、麻疹ウイルスの常在的伝播が起こり得ず、また輸入症例により麻疹ウイルスが再度持ち込まれても持続的伝播が起こり得ないような状態で、弧発例および連鎖的に伝播する症例はすべて輸入症例に関連づけられ、それを維持するために地域はワクチン接種による高いレベルの人工免疫を維持することが不可欠な動的な状態」とある。
この会議での提議、合意事項などを踏まえて、WPROでは以下のような麻疹排除のための判断基準を2004年に提案している。
確定麻疹症例数:1年間に報告される確定麻疹症例数が人口100万人当たり1未満であること(輸入症例を除く)。
集団免疫:すべての地区(district)の各年齢コホートにおいて、麻疹に対する集団免疫が95%以上に維持されていることが、以下の指標により証明されていること。
a)麻疹を含むワクチンによる2回の予防接種率が95%以上であること
b)輸入症例による集団発生が小規模なものであること(症例数100未満、持続期間3カ月未満)
サーベイランス:すべての発熱発疹症例およびウイルス伝播の連鎖を、包括的に報告し調査することのできる優れたサーベイランスが存在しているということが、以下の指標により証明されること。
a)80%以上の地区において、1年間に報告される麻疹疑い症例が人口10万当たり1以上であること
b)麻疹IgM抗体を検出するのに十分な血清サンプルが80%以上の麻疹疑い例から採取されていること(実験室診断による確定例と疫学的リンクの明らかな症例はこの百分率の分母の中には含まない)
c)(ウイルスの由来の同定に役立つ遺伝子配列解析のため)すべての確認された感染伝播の連鎖からウイルスが分離されていること
<参考>
□ 麻疹排除の基準に関する国際的な状況について(国立感染症研究所、2011年)