徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

4歳以下の子どもへの新型コロナワクチン接種を迷われている保護者の方へ

2022年10月24日 06時40分39秒 | 新型コロナ
新型コロナワクチンはまず成人対象で始まり、
その有効性と安全性が確保された時点で、
徐々に小児へ降りてきました。

一般の医薬品と同じ経緯ですね。

2022年10月現在、
とうとう季節性インフルエンザワクチンと同じレベルの、
「生後6か月から」まで対象が広がりました。

乳幼児の保護者の方々は迷われていると思います。
「自分が経験した副反応はつらかった」
「子どもには経験させたくない」
という副反応を心配する声をよく耳にします。

また、
「子どもは重症化しないからワクチンを接種する必要がない」
という声もよく聞きます。
ただ、乳児に関しては「クループ症候群」で入院する例が報告されており、
私自身も数名の赤ちゃんで経験しましたので、
乳児に関しては「重症化しない」とは言えない印象を持っています。

ワクチンを製造している製薬会社は、
成人で問題視された副反応の強さを軽減するため、
子供用ワクチンの抗原量を減量しました。
・5歳~11歳用では、成人の1/3量。
・6か月~4歳用では、成人の1/10量。
そして発熱の副反応は10%程度まで下がっています。
成人より明らかに低くなりました。

以前から何度も書いてきましたが、
自然感染はウイルス全体が体に侵入して暴れまくる状態、
ワクチンはウイルスの一部を体に入れて「感染した」と誤認識させ、
症状は出さないで免疫が作られる医療技術、です。

ウイルス全部より、ウイルスの一部の方が安全である、
だから国が安全性を保障しているワクチンは打ってよし、
というのが私の基本的考え方です。

逆にワクチンの視点から自然感染を見ると、
症状(ワクチンでいう副反応)が100%出現する、
最強であるけど最悪のワクチンということになります。

ワクチンによる副反応は数日で治まりますが、
自然感染では体の不調が1週間くらい続きますし、
後遺症も報告されています。

私個人の経験では、
自然感染で熱と倦怠感が1週間以上続き、
その後熱は落ち着いたものの、
のどの痛みと倦怠感が半年続いてつらかった、
という小学生がいました。

乳幼児へのワクチンをどう考えるべきか、
という疑問に対して専門家が解説した記事を以下に紹介します。

乳幼児に対する新型コロナワクチンの効果・副反応は、
・発症予防:73.2%
・重症化予防:40~80%
・副反応の発熱:5~7%
と説明されていますね。

効果はmRNAワクチン初登場時の95%には劣りますが、
季節性インフルエンザワクチンより高く、
副反応は成人より低い数字に収まっています。


コロナワクチン 4歳以下の子ども どうしたらいい?
2022年10月21日:NHK)より抜粋;
(下線は私が引きました)

生後6か月から4歳の子どもを対象にした新型コロナワクチンの公的接種が10月24日から始まります。
幼い子どもへのワクチン接種。効果や副反応は? 専門家の見解は? 保護者の皆さんの気になる疑問に答えます。
(科学文化部 記者 池端玲佳 / 2022年10月21日現在)

Q. 生後6か月から4歳の子どものワクチンってどんなもの?
A. アメリカの製薬会社ファイザー社が作ったワクチンで、1回の接種に含まれる有効成分の量は大人のワクチンの10分の1、5歳から11歳の子どものワクチンの3分の1程度です。
5歳から11歳の子どものワクチンと同様に従来型のウイルスをもとにしたワクチンで、オミクロン株をもとにした成分も含んだワクチンではありません。

Q. 接種のスケジュールは?
A. 3回の接種が必要です。
1回目の接種から3週間あけて2回目を接種し、その後少なくとも8週間あけて3回目を接種するとされています。
原則として、市町村から接種券が届き、小児科のクリニックなどで個別接種となりますが、自治体によっては集団接種の会場を設けるところもあります。

Q. 国の方針は?
A. 厚生労働省は、
▽子どもの感染者が増えていて重症者数も増加していること、
▽オミクロン株流行下でのワクチンの有効性や安全性が確認されていることなどから、生後6か月から4歳以下に対しても接種を「努力義務」にする方針です。
「努力義務」というのは子どもがワクチンを接種するように保護者が努めなければならないということです。
ただ強制されたり罰則があったりすることはなく、ワクチンを接種するかどうかはあくまで本人と保護者が自分たちで決めることになっています。

Q. ワクチンの効果は?
A. ワクチンを接種することで新型コロナの発症を防ぐ効果が期待されています。
ファイザー社が生後6か月から4歳の子どもを対象に臨床試験を行った結果、3回接種後には、これより上の年代の子どもや大人で行われた臨床試験の結果と同じ水準まで、抗体ができることが確認されました。
また、主にオミクロン株が流行している時期に、アメリカやヨーロッパなどで、生後半年から4歳の子ども1100人余りを対象に・・・3回接種後の発症を予防する効果は73.2%だったということです。
重症化をどの程度防ぐかについては、ワクチン接種後の感染者が少なく、分析する上で十分なデータがありません。
しかし、臨床ウイルス学が専門でワクチンに詳しい北里大学の中山哲夫特任教授は「発症を予防できるということは、そのあとの重症化を予防する効果も十分期待できる。年代の近い5歳から11歳に対しての重症化を抑える効果は、研究によって差があるものの、40%から80%程度あることが確認されている」と話しています。

Q. ワクチンの主な副反応は?
A. ワクチンの副反応はほとんど軽度か中程度、かつ一過性のもので、安全性に重大な懸念は認められないとされています。
ファイザー社の臨床試験では、接種後1週間までの副反応を調べました。
その結果、2歳から4歳では、
38度以上の発熱があった人が1回目の接種で5.2%、2回目で4.9%、3回目で5.1%
▽けん怠感が1回目の接種で29.7%、2回目で25.7%、3回目で24.5%
▽おう吐が1回目の接種で3.0%、2回目で3.4%、3回目で1.6%
▽下痢が1回目の接種で7.7%、2回目で6.7%、3回目で5.1%などとなっています。
生後6か月から1歳では、
38度以上の発熱が1回目の接種で7.2%、2回目で7.4%、3回目で6.8%
▽食欲の減退が1回目の接種で22.2%、2回目で22.2%、3回目で20.2%
▽いらいらして機嫌が悪くなった子どもが1回目の接種で51.2%、2回目で47.4%、3回目で43.6%などとなっています。

日本小児科学会理事でワクチンに詳しい新潟大学の齋藤昭彦教授は「厳密な比較はできないが、生後半年から4歳の子どもでの副反応の頻度は大人よりも低く、かつ5歳から11歳、また12歳から15歳の子どもと比較した場合でも低いか同程度となっている」と話しています。

Q.ワクチンの重い副反応は?
A. 新型コロナワクチンの重い副反応として、主に10代と20代の若い男性で、心臓の筋肉や膜に炎症が起きる「心筋炎」や「心膜炎」がごくまれに報告されています。
生後6か月から4歳の子どもでの心筋炎や心膜炎の頻度について、まだ十分なデータはありません。
ただし、厚生労働省によりますと、アメリカで2022年8月21日までに同じファイザー社のワクチンを接種した生後6か月から4歳の子どもおよそ60万人からは心筋炎や心膜炎の事例は報告されていません。

また日本国内のデータでは、ワクチンを接種した5歳から11歳の子どもで「心筋炎」や「心膜炎」の疑いがあった割合は、接種回数100万回あたり2件から3件程度となっています。
北里大学の中山特任教授は「10代や20代の男性と比べると、幼い子どもがワクチン接種後に心筋炎や心膜炎になる頻度は極めて低い。またほとんどの場合軽症で、回復している。一方で、新型コロナに感染して心筋炎になる頻度は、ワクチン接種後に心筋炎になる頻度よりはるかに高く、感染した子どもが心筋炎で死亡する事例も報告されている」と指摘しています。

Q. 長期的な影響は?生殖能力に影響はないの?
A. ファイザー社のワクチンは、「mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチン」と呼ばれる新しいタイプのワクチンです。
「mRNA」はたんぱく質を合成する「設計図」となる遺伝情報で、これを注射することで体内の細胞でウイルスのたんぱく質の一部が作られ、抗体をはじめとした免疫ができる仕組みです。
厚生労働省によりますと、この「mRNA」は体内で数分から数日で分解されます。
また「mRNA」はヒトの遺伝情報であるDNAに組み込まれることはありません。
体の中ではDNAからmRNAが作られる仕組みがありますが情報の流れは一方通行で、逆にmRNAからDNAはつくられません。
このため「mRNA」を注射しても、その情報が長期的に残ったり、精子や卵子の遺伝情報に取り込まれたりすることはないと考えられています。

Q. 海外での接種状況は?
A. 海外では生後6か月から4歳のワクチン接種について対応が分かれています。
アメリカでは2022年6月に緊急使用の許可が出され、CDC=疾病対策センターが「ワクチンの接種を推奨する」と発表しているほか、カナダなどでも接種が認められています。
各国の接種率は、
▽アメリカでは少なくとも1回接種した人が2歳から4歳で8%、2歳未満では5.2%となっています(2022年10月13日時点)
▽カナダでは少なくとも1回接種した人が6.5%、3回の接種を終えた人が1.0%となっています(2022年10月9日時点)

Q. 子どもは重症化しにくいのに接種は必要?
A. 日本小児科学会によりますと、新型コロナに感染した子どもの95%以上は軽症にとどまるとされています。
しかしオミクロン株が流行するようになってからは、感染する子どもの数が増加していて、それに伴って亡くなったり重症化したりする子どもが増えています。
国立感染症研究所は、オミクロン株が広がった2022年1月から8月までに、新型コロナに感染して亡くなった子どもなど20歳未満の41人のうち、詳しい状況を調査できた29人について分析しました。
その結果、亡くなったのは、0歳が8人、1歳~4歳が6人、5歳~11歳が12人、12歳~19歳が3人でした。
4歳以下で亡くなったのは14人で、このうち6人は基礎疾患のない子どもでした。
生後6か月から4歳だけを調べた重症化のデータはありませんが、日本集中治療医学会は子どもの入院施設がある全国の医療機関で、2022年3月10日から8月15日までに新型コロナに感染した20歳未満(主に高校生以下)の患者の症状や年齢を調べています。

その結果、酸素投与が必要だったり、人工呼吸器を装着したりして「中等症」や「重症」と登録された人は合わせて220人でした。
年齢別にみると▽1歳未満が15%、▽1歳以上の未就学児が43.6%、▽小学生が32.7%、▽中学生が4.1%、▽高校生以上が4.5%となっていて、小学校入学前の子どもが全体のおよそ6割を占めています。
また症状が重くなった人の詳しい症状を調べた結果、脳がむくんで意識に障害が出るなどする「急性脳症」や、肺炎、けいれんの割合が高かったということです。

Q. コロナに感染した子どもでもワクチン接種は必要?
A. 専門家は感染したことがあっても接種をすることを勧めています。
新潟大学の齋藤教授は「新型コロナに感染した経験があっても、症状が軽い場合には免疫が十分つかないことがある。また、新型コロナの場合、免疫が時間の経過とともに弱くなっていくことがわかっている。コロナに感染したことがあっても、ワクチンを接種することで、より確実な免疫を獲得することができる」と話しています。
また、感染後のワクチン接種の時期については「新型コロナの症状が治まり、普段通りの体調に戻ったら接種できる」としています。

Q. 子どもの時に接種するほかのワクチンと同時に接種はできる?
A. インフルエンザのワクチンと同時に接種することは可能です。
そのほかのワクチンについては、原則、接種の間隔を2週間あけることになっています。

Q. わが子の接種をどう考えれば?
A. 幼いわが子のワクチン接種をどう考えればよいのか。2人の専門家に聞きました。

齋藤教授
「生後6か月から4歳の子どもたちは、いわゆる感染対策がなかなかできない年齢です。マスクもきちんと着用できないし、十分な手洗いや手先の消毒を自主的にするのは困難です。こうした中で、唯一できる積極的な予防がワクチン接種になります。他の対策ができない分、ワクチン接種によって発症を防ぎ、万が一の重症化を防ぐことが大切です」

中山特任教授
「新型コロナのワクチンに限らず、肺炎球菌や、麻しん風しんのワクチンなど、子どもたちはいろんなワクチンを接種することによって、健康な日常生活を送ることができています。新型コロナのワクチンもそれと同じように考えればよいと思います。ワクチンを打つデメリットとして副反応のことがある。一方で、ワクチンを打たなかった場合のデメリットとして、感染したら重い脳症や心筋炎などの合併症にかかり亡くなるおそれもある。そうしたバランスをよく考えて科学的に判断してもらいたいです」

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第8波 〜オミクロン株 BA.5 の次に来るもの〜

2022年10月21日 21時17分07秒 | 新型コロナ
新型コロナはオミクロン株 BA.5 で終わりではありません。
現在も変異を続けています。

BA.5 後の予測をした記事を紹介します。
まずは私がポイントと感じた点を;

Q.  第8波は来るのか?
→ 来るでしょう。今後6〜8週で確実に来るであろうと専門家は考えています。

Q.  その主役になる株は何か?
→ アメリカで増え始めたBA.5の派生株・進化株である BQ.1  BQ.1.1 BF.7 等が候補です。
 これらは全て、スパイクタンパク質の同じ部分に変異を起こしており、
 過去の抗体を回避できるようになっており、
 数週間以内にBA.5を上回ると予測されます。

Q.  進化株の毒性は強くなってるのか?
→ 現時点ではデータはありません。免疫回避力(免疫をすり抜ける能力)は進化の常套なのでワクチンや薬としてのモノクローナル抗体の有効性は低下する可能性があります。

Q.  進化株に現行ワクチンは有効か?
→ 現時点ではまだデータはありませんが、2価ワクチン(BA.4/BA.5)は効果が期待されています。


 オミクロン株の新たな系統が米国で急増、一気に計15%超に
BA.5から派生したBQ.1、BQ.1.1、BF.7の3系統、6~8週以内に感染拡大は確実と専門家
(下線は私が引きました)

オミクロン株の亜系統であるBQ.1とBQ.1.1は、今は米国での新規感染例の10%に過ぎないが、今後数週間でBA.5と入れ替わって主流になる可能性がある。
 米国におけるオミクロン株の亜系統の急増に、科学者たちが警戒感を強めている。米疾病対策センター(CDC)が公表したデータによると、10月の第2週に米国内では、BQ.1とその兄弟株であるBQ.1.1による感染が新規感染者の10%以上を占め、BF.7が5%を占めていた
「数週間以内に、BA.5の割合を上回るでしょう」と、米カリフォルニア大学バークレー校公衆衛生学部の感染症およびワクチン学の専門家であるジョン・シュワルツバーグ氏は言う。急増した系統が同じ速さで拡大し続ければ、そのうちのどれか1つ、または3つ全てが現在主流のBA.5と完全に置き換わってしまう可能性がある(世界的にはシンガポールで拡大している、複数のBA.2亜系統が組み合わさったXBBが懸念されている)。
 これらの亜系統は、どのようなものなのか。これまでの変異株とどこが違うのだろうか。
◇ 勢力を増す3種のオミクロン株亜系統
 現在米国で急拡大している3種のオミクロン株亜系統、BQ.1、BQ.1.1、BF.7はどれもBA.5から進化した。BA.5は、今も米国の新規感染例の約3分の2を占めている。ナショナル ジオグラフィックでも既に報じているが、オミクロンの亜系統は全てそれ以前の株よりも感染が広がりやすく、既存の免疫をすり抜けやすいとされている。
 米ジョンズ・ホプキンス大学の感染症専門家であるスチュアート・レイ氏は、BQ.1、BQ.1.1、BF.7が持つ共通の性質には特に注意する必要があると話す。これらは全て、スパイクタンパク質の同じ部分に変異を起こしており、過去の抗体を回避できるようになっているのだ。
 レイ氏によると、これは異なる系統が同じ適応を示す「収斂(しゅうれん)進化」の一例であるという。「複数の異なる系統で、スパイクの同じ領域に同じ変化が起こっています。つまりこれは、ウイルスに非常に大きな恩恵をもたらす変化であることを示唆しています。それぞれが独立して進化しているはずなのに、同じ問題に対して同じ解決策を導き出しているわけです」
◇ 新しい亜系統はより強力になっているのか
 新しい亜系統は免疫をすり抜けやすくなっているかもしれないが、これまでの変異株よりも重症化しやすいという確たる証拠はない。
 ただし、免疫不全などで重症化リスクの高い人に使われるコロナ治療薬の作用を回避してしまう恐れはある。大統領首席医療顧問であるアンソニー・ファウチ氏はテレビインタビューで、BQ.1.1は治療に使われる「重要なモノクローナル抗体を回避できるようだ」と発言した。モノクローナル抗体の治療薬は、新たな亜系統で変異が起こった部位を狙うようデザインされている。
 レイ氏は、現在出てきている亜系統の強さを以前の株と比較するのは難しいと話す。同じ集団でも、免疫レベルが以前と異なっているためだ。ワクチンが普及する前であれば、こうした亜系統がより深刻な事態を引き起こしていた可能性は十分にある。
「今も、ワクチンを打って免疫力を上げておかないと、重症患者が増えてしまうかもしれません」と、レイ氏は警告する。軽症の場合でも、複数回の感染は心臓血管や脳の合併症、そして回復後の後遺症と関連付けられているため注意が必要であるという。「免疫を維持するには、ワクチンを打つことです。なかでも、今最も期待されているのが2価ワクチンです」
◇ ワクチンは亜系統に効くのか
 現在は、起源株(最初に流行した株)に加えてオミクロン株BA.4/5にも対応する2価ワクチンがあるが、これが他の亜系統にどの程度効くかは、まだ人間では確認されていない。それでも専門家がこれに期待する理由は、3つの亜系統が全てBA.5の子孫であるためだ。
 ホワイトハウス新型コロナウイルス対策調整官のアシシュ・ジャー氏は、10月11日の記者会見で次のように述べた。「ということは、アップデートされた2価ワクチンは従来型のワクチンよりはるかに高い有効性を示すはずです。もちろん、どこまで有効かは試験する必要がありますが、ワクチンが引き続き効果を発揮するという私たちの確信に変わりはありません。特に、重症化を防ぐという意味では」
 米ブラウン大学医学部准教授のフィリップ・チャン氏も同意し、新しい2価ワクチンを追加接種で打てば特に効果的であると話す。しかし、大多数の専門家は従来型のワクチンでも重症化や入院を防げると考えているとも付け加えた。これまでも、従来型ワクチンは新たに出現した様々な変異株に有効性を発揮してきた。
◇ 今後の見通し
 新たな亜系統が出てきたということは、ワクチンやマスクはまだまだ必要であるということだと、多くの専門家は指摘する。最新の株に対してモノクローナル抗体が効かないとなればなおさらだ。
「ウイルスはまだ終わりではないのだと、新たな亜系統の出現が私たちに警告しています」と、シュワルツバーグ氏は言う。新型コロナウイルスがこの先どうなるかは誰にも予測できないが、米国で今後6~8週間のうちに新たな感染拡大が起こることは間違いないだろうと、氏は考えている。
「今の小康状態が、感謝祭以降も続くとは思いません。私たちは、自分自身や家族、地域の安全を守るためにあらゆる手を尽くすべきです」

NHKの専門家会議報告では、流行株分析の書き方が少し異なりますね。
シンガポールの「XBB」は初耳です。

厚生労働省の新型コロナ専門家会合「新型コロナ “第8波”は来る? 来るならいつ?」専門家の分析は
2022年10月18日:NHK)より抜粋;
・・・
◇ “第8波”もオミクロン株?
次の感染拡大が起きるとしたら、どんな変異ウイルスが主流になるのでしょうか?
京都大学の西浦教授は9月21日の厚生労働省の専門家会合で、海外の研究をもとに、オミクロン株の変異が起きるスピードは異常に早いと報告しました。
そして「大きく変異した変異ウイルスが発生する可能性は常にあるが、次の流行の波はオミクロン株の派生型によって起こるだろうことが予測される」とコメントしています。
感染が再拡大しているドイツやフランスでは、10月上旬の段階で「BA.5」が90%ほどを占めています。
日本でも「第7波」の主流となり、ドイツやフランスでも数か月にわたってほとんどを占めていますが、再び感染の拡大を引き起こしています。

海外の感染状況に詳しい東京医科大学の濱田篤郎特任教授は「第8波」を引き起こす可能性がある変異ウイルスは主に2つあると言います。
1つは「第7波」を引き起こしたのと同じ、「BA.5」による感染拡大です。
「ヨーロッパでは『BA.5』の流行が再燃し、残り火が広がり始めている。日本では『第7波』での『BA.5』の流行が収まりきらないうちに季節が寒くなって流行が再燃し、『第8波』になることが予想される」
そしてもう1つは、海外から新たな変異ウイルスが流入し感染が拡大するケースです。
濱田特任教授は、懸念される変異ウイルスの1つとして、シンガポールなどで「XBB」と呼ばれるタイプのウイルスが広がってきていると指摘しました。
「XBB」はオミクロン株のうちの複数のタイプのウイルスが組み合わさったもので、シンガポールの保健省のデータでは、9月の時点で6%だったのが、10月9日までの1週間では54%を占めるようになったということです。
この変異ウイルスの影響もあり、シンガポールでは人口100万あたりの感染者数が9月上旬にはおよそ340人だったのが、10月中旬には1500人を超えるに至っています。
「日本にもオミクロン株の別のタイプの1つが入ってくると、これまでの『BA.5』よりも拡大することが可能性としてはある」
さらに、ほかの変異ウイルスも検出されてきています。
アメリカでは、CDC=疾病対策センターによると、10月15日の時点で▽オミクロン株の「BA.5」が引き続き最も多く67.9%を占めているものの、▽「BA.4」から派生した「BA.4.6」が12.2%、▽「BQ.1.1」と「BQ.1」がそれぞれ5.7%、▽「BA.2.75.2」が1.4%、「BA.2.75」が1.3%などと、いずれもオミクロン株の一種ですが変異ウイルスの種類が増えてきています。
このうち、「BQ.1」系統のウイルスは「BA.5」がさらに変異を重ねたウイルスです。
また、「BA.2.75.2」はアメリカやインド、ヨーロッパ各国などで検出されていて、「BA.2」が変異を重ねた「BA.2.75」にさらに3つの変異が加わっています。
これらの変異ウイルスの性質はまだはっきりしていませんが、人の血液を使って分析すると、「BA.5」よりも免疫の働きが下がるという報告が出されています。
濱田特任教授によりますと、これらの変異ウイルスは「BA.5」と比べて、感染した場合の重症度が大きく変わるとは考えにくいものの、感染力が高まることや、欧米などで広がるのとほぼ同時に日本国内でも広がるおそれがあることに注意が必要だとしています。
今出てきている変異ウイルスはオミクロン株の中で変化しているものなので、重症度が大きく高まることはあまりないと考えられる感染力が高くなる、免疫を逃避する能力が高くなることは予想されるが、ドラスチックな大きな変化というものは現在の状況からみると起きないのではないか。過去2年間は、ヨーロッパやアメリカで冬の流行が広がってしばらくしてから、変異ウイルスが日本に入ってくる状況が見られたが、今は水際対策が緩和されているので、欧米での流行が起きたあとに間を置かずに日本で流行が広がってしまうということも考えておかなければいけない」
・・・
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人類の中性化が止まらない。

2022年10月17日 07時49分14秒 | 小児科診療
私が子どもの頃(約50年前)は、
LGBTQという言葉は当然ありませんでした。
どう呼んでいたかというと、
女らしい男は「オカマ」、
男らしい女は「オトコオンナ」、
などと、今は差別用語扱いされる単語が使われていました。

近年、テレビタレントも男女グレーゾーンの人々が増えてきて、
これは最近の流れなんだな、
日本は、人類はどうなっちゃうんだろう、
と素朴な疑問が生まれてきました。

しかし今回、NHKのTV番組を見て目からうろこが落ちました。

「人類が絶滅の危機!?“中性化”と生殖の未来」
体や心の性差が縮まる「中性化」に最新科学で迫る。中性化の原因とされるのは男性らしい体や脳の形成に関わる性ホルモン・テストステロンの分泌の変化。先進国では、男性では分泌が減少、女性では増加している実態が見えてきた。中性化が進行した未来を見据えて、男と女によらない「新たな生殖の仕組み」を作り出そうという研究も始まっている。スペシャルナビゲーターの井上咲楽さんと「中性化」という人類の大課題を考える。

なんと、人類の中性化は数万年前に始まっていたというのです。
最近じゃないんだ・・・。

そのきっかけは「共同作業」。
具体的には複数の人間が協力して大きな獲物を捕る「狩猟」です。
力仕事ですから、男性が対象となります。

それまでは個人の能力、野性的嗅覚や攻撃性が強い人間が生き残れる世界でした。
しかし共同作業では、“協調性”が必要とされます。
ただ攻撃性が強いだけの人は、
連携を乱すので必要とされなくなり淘汰されるというのです。

頭蓋骨から、男性の中性化兆候が読み取れると解説がありました。
それは眉毛部分の骨の盛り上がり程度。
これは男性ホルモンであるテストステロンの分泌が多いと、
盛り上がりが強くなる場所とのこと。

数万年前から現代までの頭蓋骨を並べて比べてみると、
確かに眉毛部分がだんだん平らになっていることに気づかされます。

つまり、人間の生活文化が変われば、必要とされる性質も変わる、
ということなのですね。
テストステロンは男性なら多く女性なら少ないという単純なものではなく、
いろんな状況で分泌量が変化するホルモンであるという解説も、
驚きでした。

単純な肉体労働中心の時代は、
男女をはっきり分けることが秩序を保ちやすかったので、
テストステロンも男女差の分泌がはっきりしていたはず。

肉体労働からデスクワークに移行した現代社会では、
マッチョさは必要とされませんので、
男性のテストステロンは減るばかり・・・。

一方の女性は、
会社の管理職になったりすると、
テストステロンの分泌量がどんどん増えていきます。

現代社会でのテストステロン分泌は、
男女でオーバーラップするのが当たり前になってしまいました。

そういえば、これもNHKのドキュメンタリーで、
という番組がありました。
その中で、ガミガミ子供を叱る母親と、
それを見守る草食系男子の夫のテストステロン値を測定したところ、
なんと母親の方が高値だったのです。
つまり、テストステロン値が男女逆転していた・・・。

さてここで、世界の各民族社会の調査報告を紹介します。

(joyjoy83:2021年8月23日 )より抜粋;
(考察として)
・女性の社会的地位が高くなるほど、性的二型性は低下し、食料リスクがその傾向に関与することが示された。
・人類は、その長い歴史の中で、過度に攻撃的な個体を殺害・排除していく中で、全体的に穏やか性質を持つようになった。このプロセスは自己家畜化と呼ばれる。
・食料リスクに晒されている地域では、より男性性の強い男性が女性によって選択される。
・しかし安定して食料が確保できる状況では必ずしもそうではないと考えられる。
・女性の男性選択基準が人類の自己家畜化に影響していることが考えられた。
(原著)
・Female status, food security, and stature sexual dimorphism: Testing mate choice as a mechanism in human self-domestication.  Am J Phys Anthropol. 2018 Nov;167(3):458-469. doi: 10.1002/ajpa.23642. Epub 2018 Aug 29
(女性の地位、食料安全保障、および身長の性的二形性:人間の自己家畜化のメカニズムとしての配偶者選択の検証)

なるほど。
その人が要求される仕事や立場により、
男女にかかわらず、
テストステロン値は変動するのですね。

手の指の長さを見ると、
テストステロンの分泌量の多い少ないがわかるそうです。
人差し指と薬指の長さを比べてみてください。
ふつう、
男性は人差し指<薬指
女性は人差し指>薬指
なのですが、性別にかかわらず逆転している人が一定数います。
つまり、女性らしい男性、男性らしい女性ということになります。

このグラデーションがいいことなのか、悪いことなのか・・・
単純に判断はできませんが、
異性との恋愛、結婚、妊娠、出産が減ってきていることは事実です。
つまり、この傾向が続くと再生産~子孫を残すことが難しくなってくることから目をそらすわけにはいきません。

番組の中ではiPS細胞を使った無性生殖を紹介していました。
マウスではすでに実現しており、
人類では倫理上ストップがかかっていますが、
理論的には可能だとのこと。

精子と卵子がいらない生殖、
父親も母親もいない子ども、
いのちを創れるかもしれませんが、
哺乳類でちゃんと育つのかどうか、私には疑問です。

哺乳類の子どもが育つためには、
愛情がたくさんたくさん必要です。

両親が揃っていても「愛着障害」が社会問題化しているのに、
両親がいない哺乳類の子どもを創ってしまうと・・・。

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“性教育”は誰が担う?

2022年10月10日 20時37分25秒 | 小児科診療
近隣の中学校の校医を引き受けることになりました。

小児科医院には中学生はあまり来ません。
そこで、予習もかねて日本思春期学会に参加してみました。
新型コロナ禍以降、学会がWEB配信されるようになったので、
現地に行かなくてもお金を払えば簡単に視聴できるのです。
これは持病を抱えたアラ還のおじさんにとって朗報です。

今まで縁のなかった“性教育”に関するレクチャーを中心に視聴しました。
すると、ある問題が浮かび上がってきました。

日本の学校では“性教育”が禁止されているのです。
具体的には性交渉について授業で教えてはならない、
性交渉に付随すること(避妊や性感染症)についても触れてはならない、
というルールがあることを初めて知りました。

少し詳しく説明すると、
日本の「学習指導要領」には以下のように学年で教えるべき内容が決められています。

(小学2年生)へそ
(小学4年生)月経・射精
(小学5年生)ヒトの誕生
(小学6年生)二次性徴
(中学1年生)生殖にかかわる働きの成熟、性への関心と行動
(中学3年生)性感染症・コンドーム
(高校生)  避妊

「な~んだ、ちゃんと教えてるじゃん」
と思うなかれ。

上記内容には「はどめ規定」というモノが存在し、
「セックス・性交渉・性行為」は扱ってはならないんだそうです。

つまり、セックスの説明抜きにコンドームの使い方を教えろということ。
誰が考えても無理ですよね。

思春期学会のシンポジウムでも、
性犯罪対策や性感染症対策を子どもに教えなければならないのに、
このジレンマの解決法が見いだせず、悩みに悩んでいる様子でした。

実は、昔の日本には“性教育”システムがありました。
そのことについて書いてみます。

私はふつうの人々の歴史を研究する民俗学が好きで、
ときどきその系統の本を読んでいます。

江戸時代まで、村々には「若者組」という組織があったそうです。
基本的に15歳で入り、結婚すると抜けるシステムで、
その間、農業・林業を担い、
祭りの実働部隊や、村の警備なども担当したようです。

その中で、年長者から新入りに“性教育”も施されました。
昔の日本では、性の知識の入手先は、
家庭でもなく、学校でもなく、悪友からでもなく、
当然、メディアでもなく、
人生の先輩からだったのです。
まあ、自然ですよね。

若者組を卒業すると、一人前の大人として見なされ、
村の中で一定の役割を担うようになりました。

勉学は学校で、社会性は若者組で育んだのですね。

このようなシステムは、世界を見渡すと各民族に存在するようです。
アフリカの草原に生きる某民族では、
思春期になると“若者組”に似た組織に入り、集団で旅に出ます。
狩猟や生活の知識をそこで育み、一人前の男になって帰ってくるのです。

そのドキュメンタリーでは、
「思春期のほとばしるエネルギーと創造力は、
大人や既存社会とぶつかることは目に見えている」
「それを避けつつ、逆にいかす方法を編み出した」
と説明されていました。

ああ、やはり思春期男子を家庭内に囲ってはいけないんだ、
家族の殻を突き破ろうとするエネルギーを押さえつけてはいけないんだ、
外に向かって放出し、創造力を生かすべきなんだ、
とそのとき感じました。

女性はどうだったか?
女子にも「乙女組」というシステムがあり、
13歳頃に入り、結婚すると抜けるルール。
その間、裁縫や手仕事を習い、
やはり性の知識も伝授されたものと思われます。

明治維新以降、若者組も乙女組も解散されました。
一部は「青年団」へ移行しましたが、
悲しいことにそれは富国強兵政策に利用されました。
戦後、青年団が機能している自治体は見聞きしませんね。

地域での縦の繋がりが存在しない現在、
学校も家庭も性教育に躊躇している現在、
子ども達はインターネット上の怪しい性の情報に翻弄され、
誤った知識で頭がいっぱいになりがちです。

無理解と誤った知識は、誤った行動に繋がりがちです。

どうすればいいのでしょう?

ひとつの答えとして、SNSを利用した啓蒙があります。
学校における性教育の「はどめ規定」の範囲外であることを、
逆に利用するのですね。

学会レベルでの活動を報告しておきます。
世界標準から遅れに遅れ、何とかせねば、という動きはあり、
こんなHPが作られました。


日本に合うようアレンジした内容で、
年齢で分けられた各ステージ別に学習目標が掲げられています。

(レベル1)5~8歳
(レベル2)9~12歳
(レベル3)12~15歳
(レベル4)15~18歳
(レベル5①)18~40歳代前半
(レベル5②)40歳以上

ぜひ一度、覗いてみてください。
すごく充実していて、各レベルに複数の、

イラスト絵本(まなぶっく)+解説動画復習動画

が用意され、至れり尽くせり。

ただ、レベル2~4は鋭意製作中で、2023年度に完成予定だそうです。
肝心の性交渉も扱い、コンドームの正しい装着方も「別冊」としてイラスト入りで解説される予定です。

こうご期待。

<参考>
・三重県答志島の青年宿・寝屋子制度と青年期発達に関する基礎的資料
・若者・青年組織の民俗 ― 近代愛媛の事例 ―


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オミクロン株(BA.5)対応ワクチン登場(2022年10月)

2022年10月08日 07時53分27秒 | 小児科診療
新型コロナワクチンに関するニュースが目まぐるしく更新されています。
オミクロン株(BA.1/2)対応ワクチンが2022年9月下旬に始まったと思ったら、
早くも現在流行中のオミクロン株(BA.5)対応ワクチンが登場しました。

現在のBA.1/2対応ワクチンを接種するか、
BA.5対応ワクチンを待つか・・・悩ましいですね。

どう考えればよいのでしょうか?

当然、現在流行中の株に対するワクチンの方が感染予防効果としては有利だと思います。
しかし、重症化予防率はそう変わりませんし、
ワクチンを接種しても3か月後には免疫が消えて感染リスクが戻ることは同じです。

なので、私の意見は、
「接種できるワクチンを速やかに接種すべし!」
です。

 オミクロン株 BA.5対応ワクチンの使用承認 厚生労働省
2022年10月5日:NHK)より抜粋(下線は私が引きました
  新型コロナウイルスのオミクロン株のうち、感染の主流になっている「BA.5」に対応するワクチンについて、厚生労働省は国内での使用を正式に承認しました。
 今後、必要な手続きを進め、早ければ10月中旬にも接種が始まる見通しです。
・・・
◇接種の計画は
 厚生労働省はオミクロン株対応のワクチンについて、年末年始に懸念される感染拡大に備えて希望する人が年内に接種を終えられるよう体制の整備を進めています。
 オミクロン株の「BA.1」と従来のウイルスに対応する成分が含まれたワクチンはすでに9月20日から接種が始まっていて、4日までにおよそ56万人がファイザーとモデルナのワクチンを接種しています。
 一方、今回了承された「BA.5」「BA.4」などに対応するワクチンの自治体への配送計画もすでに示されています。
 10月10日から11月上旬にかけてファイザーのワクチンおよそ4300万回分が配送される計画で、無料で受けられる公的接種に位置づけたうえで、今月中旬以降に接種が開始できる見込みです。
 また、2種類のオミクロン株対応ワクチンをあわせた11月上旬にかけての配送量はおよそ8000万回分で、厚生労働省はどちらのワクチンもオミクロン株に対して従来のワクチンを上回る効果が期待されるほか、今後の変異株にも効果がある可能性が高いとしています。
 厚生労働省は、接種の時期が来た時点で接種できるオミクロン株対応のワクチンを接種してほしいとしています。
◇専門家「接種できる機会を逃さずに接種を」
 新型コロナウイルスのオミクロン株の1つ、「BA.5」に対応する成分を含むワクチンについて、臨床ウイルス学が専門でワクチンに詳しい北里大学の中山哲夫特任教授は「現在、主流となっている『BA.5』に対しては感染や発症を防ぐ効果は、今回のワクチンのほうが高いと思われる」と話しています。
 すでに接種が始まっている「BA.1」対応のワクチンと「BA.5」対応のワクチンのどちらを接種するかについては「『BA.1』と『BA.5』の違いは従来のウイルスとその後の変異ウイルスの違いと比べると大きなものではない。『BA.1』対応のワクチンでも重症化を防ぐ効果は十分期待できる。今、『BA.1』対応のワクチンを予約しているのならそれを接種すればいいのではないか。前回の接種から5か月たつころに『BA.5』対応のワクチンが実際に出回るなら『BA.5』対応のワクチンを接種すればいいだろう。接種できる機会を逃さずに接種するというのが基本だと思う」と述べました。 


 オミクロン株「BA.5」対応ワクチン 13日から無料接種開始へ
2022年10月7日:NHK)より抜粋;
 新型コロナウイルスのオミクロン株のうち、感染の主流になっている「BA.5」に対応するワクチンについて、厚生労働省は今月13日から無料で受けられる公的接種を開始する方針を決めました。
 オミクロン株対応の新型コロナウイルスのワクチンは、先月20日から「BA.1」と従来のウイルスに対応するワクチンの接種が始まっています。
・・・
 今後は必要な手続きを経たうえで今月13日から接種を開始する方針で、厚生労働省はおよそ4300万回分のワクチンを来週以降、自治体に配送する計画です。
 一方で、「BA.1」などに対応するワクチンの接種も続けられ、厚生労働省は2つのワクチンの効果を比較するデータが現時点では確認できていないとして、接種の時期が来た時点で接種できるオミクロン株対応のワクチンを接種してほしいと呼びかけることにしています。
◇オミクロン株「BA.5」対応ワクチンの接種計画は
 厚生労働省はオミクロン株対応のワクチンについて、年末年始に懸念される感染拡大に備えて、希望する人が年内に接種を終えられるよう体制の整備を進めています。
 オミクロン株の「BA.1」などに対応するファイザーとモデルナのワクチンは、先月20日から4回目の接種を行っていない60歳以上の高齢者などから接種が始まっています。
 これに加えて今後は「BA.5」などに対応するファイザーのワクチンの自治体への配送も始まり、厚生労働省はこれら2つのオミクロン株対応ワクチン合わせておよそ8000万回分を来月上旬にかけて配送する計画です。
 厚生労働省は先月と今月の2か月間で接種の対象となる人数をおよそ6850万人と想定していて、

▽60歳以上の高齢者の4回目の接種としておよそ1500万人、
▽12歳以上60歳未満の4回目の接種としておよそ3470万人、3回目の接種としておよそ1800万人などが対象となるとしています。
また、
▽60歳以上の高齢者で5回目の接種としておよそ1万人も、今月25日以降、接種できるとしています。

厚生労働省は、5か月としている前回の接種からの間隔を短縮するかどうかについても今後検討することにしています。 
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生後6か月~4歳児へ新型コロナワクチンの適応拡大(2022年10月)

2022年10月08日 07時39分05秒 | 小児科診療
新型コロナワクチン関連のニュースが続いています。

5~11歳児へのワクチンが始まったばかりですが、
さらに低年齢の生後6か月~4歳児へ適応が拡大されました。

私の意見は前項目同様「Go!」です。

小児は重症化しないから、
自分を守るというより周囲と社会を守るのが目的、
と前ブログで書きましたが、
乳児は重症化しやすく「クループ症候群」で入院する例が報告され、
私自身も経験しています。

なので乳幼児に関しては、
「子ども自身の重症化予防」
という強力な理由が生まれました。

有効性や安全性の細かいことは、
こちらの記事を参考にしてください。

新型コロナワクチン 生後半年~4歳も対象に 厚生労働省
2022年10月5日:NHK)より抜粋(下線は私が引きました)
 新型コロナウイルスのワクチンについて、厚生労働省は生後6か月から4歳までの子どもを対象にしたワクチンの使用を正式に承認しました。今後、必要な手続きを進め、早ければ10月下旬にも接種が始まる見通しです。
 子どもへの接種をめぐっては、ことし1月に対象が5歳以上に拡大され、ことし7月には、生後6か月から4歳の子どもも対象に加えるようファイザーから承認の申請が行われました。
 5日夜に開かれた厚生労働省の専門家による部会では、生後6か月から4歳の子どもを対象にしたワクチンについて、体の中で作られるウイルスの働きを抑える「中和抗体」の値の上昇など有効性が確認されたと評価しました。
 また安全性については、臨床試験の結果から重大な懸念は認められないとしてこのワクチンを使用することを了承し、その後、厚生労働省が正式に承認しました。
 これまでワクチンの対象年齢は、モデルナとノババックスが12歳以上、ファイザーが5歳以上となっていて、5歳未満の子どもへの接種は初めてとなります。
 有効成分の量は大人のワクチンの10分の1で、3回の接種が必要とされ、3週間あけて2回目を接種した後、少なくとも8週間あけて3回目を接種するとしています。
 厚生労働省は10月下旬から11月下旬にかけておよそ700万回分のワクチンを自治体に配送する計画で、今後、無料で受けられる公的接種に位置づけたうえで、早ければ10月下旬以降接種が始まる見通しです。

◇専門家「利益と副反応リスク 比べて接種するか決定を」
 ファイザーが開発した生後6か月から4歳までの子どもに対する新型コロナウイルスワクチンは、アメリカではことし6月に緊急使用の許可が出され、接種が進められています。
 ファイザーの発表や、アメリカのCDC=疾病対策センターの会議で示された臨床試験の結果を分析した資料によりますと、3回接種したときのオミクロン株に対する効果は、
・生後6か月から4歳の子どもで80.3%で、このうち、
・2歳から4歳では82.3%、
・生後6か月から1歳では75.5%
だったということです。

副反応の程度はほとんどが軽いか中程度で、偽の薬を投与された場合とほとんど変わらなかったとしています。

具体的には、2歳から4歳では、
▽けん怠感が1回目の接種で29.7%、2回目で25.7%、3回目で24.5%
▽38度以上の発熱が1回目の接種で5.2%、2回目で4.9%、3回目で5.1%
などとなり、生後6か月から1歳では、
▽いらいらして機嫌が悪くなった子どもが1回目の接種で51.2%、2回目で47.4%、3回目で43.6%、
▽食欲の減少が1回目の接種で22.2%、2回目で22.2%、3回目で20.2%、
▽38度以上の発熱が1回目の接種で7.2%、2回目で7.4%、3回目で6.8%
だったとしています。

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子どもへの新型コロナワクチンが「接種勧奨」から「努力義務」へ(2022年10月)

2022年10月08日 06時20分11秒 | 小児科診療
2022年8月に子どもへの新型コロナワクチンが制度上、
「接種勧奨」→「努力義務」
に変更されました。
わかりにくいお役所言葉ですが、どういうことなのか考えてみましょう。

接種勧奨」とは、文字通り「接種をお勧めする」という意味です。
「このワクチンは有効で安全であることを保障します、お勧めですよ」
という感じ。

努力義務」は、
「現在の状況を考えると、
 個人を守る・社会を守るという視点から
 このワクチンを接種することが必要です、
 接種を積極的に検討してください」
と、一歩踏み込んだレベル。
しかしあくまでも「努力義務」であり、義務・強制ではありません。

微妙なニュアンスの違いです。

厚労省の「新型コロナワクチンQ&A」の以下の事項もお読みください。

Q. なぜ小児(5~11歳)の接種に「努力義務」が適用されるようになったのですか。

A. 小児の接種について、オミクロン株流行下での一定の科学的知見が得られたことから、
小児についても努力義務の規定を適用することが妥当であるとされました。
ただし、接種は強制ではなく、ご本人や保護者の判断に基づいて受けていただくことに変わりはありません。

<初回(1回目・2回目)接種に関するエビデンス>
  • 発症予防効果は中等度の有効性、入院予防効果は接種後2か月間で約80%の有効性が報告されている(※1)
  • 米国の大規模データベースによる解析で、安全性に関する懸念はないと報告され(※2)、日本での副反応疑い報告の状況からも、ワクチンの接種体制に影響を与えるほどの重大な懸念はないとされている
<3回目接種に関するエビデンス>
  • 時間の経過とともに低下した感染予防効果が3回目接種により回復することが、近接した年齢層(12~15歳)で確認され(※3)、日本において薬事承認されている
  • 3回目接種による局所及び全身反応について、その頻度は、2回目接種と比較して有意な差がなかったことが海外で報告され(※4)、日本の薬事審査でも、そのほとんどが軽症又は中等症であり大きな懸念はないとされている

厚労省は必要性より効果と安全性を強調していますね。
医師としての私の視点からは、
安全性は既に問題ないことがわかっていたので、
あとは社会が受け入れるタイミングを計ったという印象です。

では「努力義務」に変更された現時点で、
子どもへの接種をどう考えるべきか?

私の意見は「Go!」です。

ワクチンは病原体(この場合はウイルス)の一部を取り出して、
体をだまして症状なしに免疫だけつけるという高度な医療技術です。
つまり、ウイルスそのもの全部が体に入るより、
体の反応・ダメージは低く抑えられるのが基本です。

実際にウイルスに感染すると、症状が出て後遺症も心配になります。
ワクチンも接種後の副反応やワクチン後遺症が話題になりますが、
実際の感染と比較すると、
・感染症状 → 接種後副反応
・感染後遺症→ ワクチン後遺症
となり、実際の感染の方がハイリスクであることは明らかです。

今回の新型コロナワクチンは接種後の発熱・全身倦怠感などが問題視されていますが、
これはワクチンを強力に作りすぎたためです。
何しろパンデミック当初はどれだけ危険なウイルスかわからなかったため、
人類を救うために強力なワクチンが必要と判断され作成されました。
なんと常識を覆して、接種後の抗体価は自然感染より上がるのです。

そのため、小児用ワクチンは成人用より抗原量を減らしました。
5~11歳用では1/3へ、6か月~4歳用では1/10へ。
そして副反応としての発熱は成人用より少なく抑えられ、
有効性&安全性のバランスが取れたワクチンになりました。

有効性・安全性のほかに「必要性」も考えねばなりません。

Q.子どもは自然感染しても軽く済むことが多いと聞こえてくるけど、
接種する必要があるんですか?

という素朴な疑問ですね。私の答えは、

A. 
・ワクチンを1回接種することは、1回感染することと同じと考えてください。
・子ども本人は感染しても軽く済むため「感染すると重症化して心配」という視点では必ずしも必要ではありません。
・でもワクチン接種後はふつうに生活できますが、自然感染の際は隔離が必要になり、家族に広げること(家庭内感染)が必発で、一家全滅すると生活が大変、高齢者が同居している場合は命の危険・・・と周囲・社会への影響・負担が大きく、どちらがいいかよく考えてみてください。

つまり「情報提供」と「選択」です。
言葉の微妙な違いを考えるより、自分の置かれた状況について考え、
状況を把握してどちらを選択するか、家族でよく話し合ってください。

こちらの記事も参考になります。

 子どもの新型コロナワクチン接種が「推奨」から「努力義務」へ 困惑の声「親も子も周りから白い目で見られることになるんじゃないか」
 子どもに対する新型コロナワクチン接種が「推奨」から「努力義務」に変わることに伴い、各所から困惑の声が上がっている。 
◇「努力義務」この言葉をみなさんは正しく理解していますか?
 5歳から11歳への新型コロナウイルスのワクチン接種について、オミクロン株に対する有効性などの科学的知見が十分示されたとして、厚労省の分科会では8月8日に「努力義務」とすることが了承された。 
・・・
 厚生労働省のホームページの説明では「『接種を受けるよう努めなければならない』という予防接種法の規定のことで、義務とは異なります」と掲載されている。難しい説明だが、厚労省は「接種は強制ではなく、あくまで本人が納得したうえで判断してください」とも補足している。 
 長崎大学病院 小児科・森内浩幸教授は「できるだけ接種してくださいということを、文字通り『接種することを努力してください』と保護者の方にも呼びかけるということになる。決して強制力を持つわけではないが、言葉の響きとしては“かなり強いもの”になります。有効性のデータがでてきたことと、安全性についての治験も積み重なってきたということを踏まえて、今回はより強い推奨になったとは思う」と述べた。そのうえで、接種の意義については「重症化を防ぐという点では、十分に期待することのできるワクチンであり、メリットの方がほとんどの子どもさんにとっては大きいということを、かかりつけの先生にきちんと確認をしていただきながら、どうするかを決めていただきたい」と対策案を出している。
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人類の新型コロナ対策は成功?失敗?

2022年10月02日 09時07分13秒 | 小児科診療
新型コロナが登場してから、約3年が経とうとしています。
人類はこのパンデミックに対して右往左往しながら
その時のベストを思われる選択をして対処してきました。

3年経った今、振り返ってみると、
その対策は成功したのでしょうか、
それとも失敗したのでしょうか。
検証して次のパンデミックに役立てることが、経験した者の務めです。
(まだ新型コロナは終息していませんが)

WHOは当初、発生源や初期の情報を隠蔽した中国をかばう姿勢が批判されました。
初期から十分な情報開示が行われていれば、
他国の水際対策はもっとうまくいったはず、
初期の死亡者数を抑制できた可能性があります。

しかし、水際対策はいずれ突破され、
世界各国でパンデミックが発生することは防げなかったでしょう。

そしてmRNA ワクチンの開発。
これは医療者にとって、驚きと感動を持って迎えられました。
短期間で開発されたこととその有効率の高さは、
従来のワクチン開発の常識を打ち破る高いレベルでした。

実は、コロナウイルスはもともと“風邪ウイルス”として小児科医にとってはなじみ深い名前でした。
幼少期から繰り返し感染し、だんだん軽症化し、かつかかりにくくなるタイプです。
つまり高齢者は、それまで何回もかかっているので軽く済むため、
今まで注目されず、また迅速検査キットも開発されませんでした。

しかしふつうの風邪ウイルスだったものが大きな変異の結果、
「新型」と呼ばれるようになり、
今までかかって獲得した免疫が効かなくなってしまいました。

つまり日本国民の老若男女全員がまっさらな免疫状態。
すると、加齢とともに免疫力が低下した高齢者は、
その年になって初めてコロナウイルスに感染することになるため重症化しやすくなります。
それが初期に問題となった“高齢者の重症化”の正体です。

mRNAワクチンが開発され、その接種が進むとともに高齢者の重症化が話題にならなくなりました。
死亡しても、もともとの病気が悪化してという経過が多く、
新型コロナウイルスによる肺炎で亡くなることは減りました。

これは、mRNAワクチンを1回接種すると、1回感染したのと同じ免疫が得られるからです。
3回接種=3回感染、4回接種=4回感染とみなせるので、
前述のように「感染を繰り返して軽症化し罹りにくくなる」が実現できたのです。

ただし、ワクチンだからどれでも同じ効果が得られるとは限りません。
mRNAワクチンはスパイク蛋白をヒトの体内で増殖させて強力な免疫を得ることができます。
従来の「生ワクチン」に近く、すると細胞性免疫+液性免疫の両方が獲得されます。
細胞性免疫が獲得されると、長期間記憶されるため、重症化予防に役立ちます。
このワクチンのおかげで、世界の1000~2000万人の命が守られたと試算されています。

しかし中国が開発して使用したワクチンは「不活化ワクチン」なので、
液性免疫しか得られません。
短期間で発症予防効果も重症化予防効果も弱くなってしまいます。

もしmRNAワクチンの登場がなかったら・・・
今でもパンデミックが抑制できない状況だったかもしれません。

著名な科学雑誌「Lancet」が「新型コロナ対策は失敗だった」と論じていることを知りましたので紹介します。

私が失敗と感じる点は、下線を引いた「インフォでミックの制御ができなかった」こと。
ソーシャルメディアが発達し、情報があっという間に世界中に広まる現代社会。
偽情報もインパクトがあればあるほど広まる速度が速く、翻弄される人々が多くなります。

これに対応する手段があるでしょうか?
それは常日頃から、“信用できる”情報源が“わかりやすく”発信し続けることだと思います。

“信頼できる”とカッコ付けにしたのは理由があります。
現在でも厚生労働省とか各学会が情報を出しています。
しかし文章がわかりにくかったり、量が多かったり、科学的根拠のみで実現不可能だったり・・・とにかくとっつきにくい。
さらに、日本国民の中には厚生労働省を信用していない人々もいますし。

政府・学会・市民が参加して感染症に立ち向かう団体を作り、
科学的根拠に基づいた、政治的判断も含めた、市民感覚で実現可能な情報を、
そこから発信する必要があります。

「困ったとき、迷ったときにあそこのサイトを見れば解決する、安心できる」ことが習慣づけられれば、新たなパンデミックが発生しても現在のように振り回されることはなくなるはずです。

アメリカではずいぶん前にそれを実現していて、
ACIPという団体が実働しています。
それを見習って、日本も鋭意製作中・・・というニュースが10年以上前から聞こえてくるのですが、まだ実現していません。

ただ、今回の新型コロナ禍ではアメリカも大混乱しましたので、
猿マネではあまり効力が期待できないかもしれませんね。


COVID-19対策は「世界的失敗」 Lancetの委員会がレポートを作成
※下線は私が引きました。

・・・全世界における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関連する推定死亡者数は1,720万人とされている。Lancet誌のCOVID-19委員会は新たにレポートを作成し、この驚異的な死亡者数について「重大な悲劇であり、COVID-19対策の大規模な世界的失敗」と表現。レポートではCOVID-19に対する包括的な調査、分析、対応策を示し、COVID-19パンデミックの終息と次なるパンデミックへの対策として3分野11項目から成る勧告を提示している。

▢ 10の要因によりパンデミック制御に失敗
 レポートでは「多くの政府が組織の合理性と透明性に関する基本的な規範を遵守できず、また多くの人が(しばしば誤った情報に影響されて)基本的な公衆衛生上の予防策を軽視し、世界の主要国はパンデミックを制御するための協力に失敗した」としている。
 その具体例として、
1.COVID-19パンデミック発生時の適時な通知の欠如
2.新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の重要な空気感染経路の認識や、拡散抑制のための世界的、国家的な適切な措置の遅延
3.抑圧戦略における各国間の調整不足
4.各国政府における経済的・社会的影響を踏まえたパンデミックの制御に対するベストプラクティスの欠如
5.低・中所得国に対する資金提供の不足
6.防護具、診断薬、医薬品、医療機器、ワクチンなどの世界的供給と公平な分配の欠如(特に低・中所得国)
7.感染、死亡、ウイルス変異、保健システム、間接的な健康被害などに関する適時、正確かつ体系的な情報の欠如
8.バイオセーフティに関する規制の不足
9.組織的なインフォデミックに対する敗北
10.脆弱性を有する人々を保護するための世界的、国家的なセーフティネットの欠如
の10項目を挙げている。

▢ 多国間主義の強化を呼びかけ
 COVID-19パンデミックの終息と次なるパンデミックへの対策は
①現在のパンデミックを制御および理解するための実際的な手順
②将来のパンデミックに対する防御体制を強化するために必要な投資
③多国間主義を強化する野心的な提案
―から成る。
①については
・世界的、国家的なワクチン接種戦略の確立
・SARS-CoV-2の起源に対する調査を強化」
②に関しては
・国家保健システムの強化、プライマリヘルスケアと公衆衛生への増資
・国家的なパンデミック対策計画
・持続可能な開発および『Good Health and Well-Being※』復興計画のための資金調達」から成る。
③では
・新興感染症対策の主導機関として世界保健機関(WHO)の維持
・WHOのガバナンス改革
・グローバル・パンデミック協定の確立と国際保健規則の強化
・パンデミック予防のための規制
・低・中所得国の金融、研究開発、生産能力に対するG20の支援
・『Good Health and Well-Being』、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ、機能的な保健システムを確保するための新たな世界保健基金
ーを挙げている。
 その上で、「政治、文化、制度、財政など、全ての重要な側面で多国間主義を強化すべき。特に裕福かつ強大な国に対し、国際連合への活動の支持・維持・強化を呼びかける」と結論している。詳細はLancet(2022年9月14日オンライン版)に報告されている。

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