徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

沖縄ではしか(麻疹)が流行しています。

2018年04月08日 08時03分12秒 | 小児科診療
 日本では制圧されたはずの麻疹が、沖縄で流行しています。

■ 沖縄県内のはしか患者、5人増え31人に
2018年4月7日:沖縄タイムス
 沖縄県地域保健課は7日午前、県内で麻疹(はしか)の患者が新たに5人確認され、4年ぶりに確認された3月下旬から合計31人になったと発表した。新たな患者は名護市の10代男性2人と30代の男女、那覇市の40代女性。
 県は、感染防止のため無料で受けられる定期予防接種対象(第1期=1~2歳、第2期=小学校入学前)の子どもの接種を呼び掛けるとともに、生後6カ月~1歳未満の乳児の接種についても市町村から積極的に勧奨するよう呼び掛けている。


 はじまりは、外国からの持ち込みなのでしょうか?
 この記事だけではわかりません。
 国立感染症研究所(NIID)のHPによると、台湾からの旅行客が発生源のようです。

■ 沖縄県における麻疹患者の発生状況について(平成30年4月5日現在)
国立感染症研究所 感染症疫学センター
(掲載日 2018年4月6日)
 2018年3月23日、沖縄県内を旅行中の台湾からの旅行客が麻疹と診断されたと報告がありました。以降、この患者(初発例)と接触歴のあった二次感染例を中心に、沖縄県内では麻疹患者の発生が続いています。初発例は、感染性のある期間中に広く沖縄県内を移動していたこと、二次感染例が沖縄県内の広い地域から報告されていることから、今後、沖縄県内及び県外での感染拡大が懸念されます。


 想定内です。
 もう少し詳しい情報が上記HP内にありました。





 これらの図表を見ると、子どもより大人に感染者が多いですね。
 さらに予防接種を受けていても発症していることがわかります。
 予防接種を受けた人は、典型的な症状に至らず、軽く住む傾向があるので診断に至らない可能性があり、今後報告例が増えるかもしれません。

 1-9歳で予防接種を受けていない2名がいることに驚きました。
 沖縄では全国に先駆けて「はしか“0”プロジェクト」が成功したことが有名だからです。
 いずれにしても、沖縄に旅行した日本人が地元に帰ってから発症し、周囲に感染を広げる危険があります。
 上記HP内の注意喚起情報を以下に示します;

 麻疹は麻疹含有ワクチンの接種によって予防可能な疾患です。定期接種の対象者は接種対象期間になったら速やかに接種を受けることが重要です。
 また、1 歳以上で 2 回の接種歴 (記録)または検査診断された麻疹の罹患歴がない方は麻疹含有ワクチン(麻疹単抗原(単味)ワクチン、麻疹風疹混合ワクチン(MR ワクチン))を接種することを検討してください。
 沖縄県内を 3 月 17 日以降に旅行されている方は麻疹ウイルスの曝露を受けた可能性があります麻疹未罹患で、かつ麻疹含有ワクチン未接種、1 回接種あるいは接種歴不明の人で、 この期間に沖縄に滞在しており、発熱を認めた場合は、あらかじめ医療機関に電話をし、沖縄県での滞在歴と麻疹含有ワクチン接種歴・麻疹罹患歴を伝え、麻疹にかかった可能性があることを伝えたうえで、受診方法(受診時間や入り口など)を確認してから受診してください
 なお、麻疹の典型的な症状としては、発熱以外に咳、鼻汁、眼の充血、眼脂など、追って発疹などが出現します。


 世界でもあちこちで麻疹が発生し、子どもの命を奪っています。

■ ベネズエラ東部ではしか流行、先住民の子ども54人死亡
2018年4月6日:AFP

 「全ての確認された感染者はワクチン接種を受けていない、9か月から18歳までのベネズエラ人」だそうです。
 予防できるはずの感染症で未来が奪われる現状は悲しいです。
 持ち込んだ台湾の状況は?

■ はしか、新たに5人発症 感染拡大/台湾
2018/04/06:フォーカス台湾
 衛生福利部(衛生省)疾病管制署は5日、新たに5人の麻疹(はしか)感染が確認されたと発表した。先月末に台湾で今年初めて確認されて以来、患者は11人になった。健康観察が必要な接触者は3000人以上に上っている。
 新たに発症した5人のうち2人は、最初に感染が確認された30代男性が先月17日に搭乗した桃園発沖縄行き旅客機の乗客と航空会社地上職員。残る3人も同日、桃園空港を利用し、そのうち40代女性と20代男性の2人はマカオに、30代男性1人はタイに向けて出発していた。この30代男性の弟もすでに感染が確認されている。


 な、なんと航空会社の客室乗務員が疑わしい症状がありながらも搭乗していた!
 世界に広げる最悪のパターンですね。
 なお、この客室乗務員は法的に処分されています。

■ 高雄市、はしか感染のCAに過料 発疹でも乗務/台湾
2018/04/07:フォーカス台湾)より
 高雄市政府衛生局は7日、タイガーエア台湾の男性客室乗務員(CA)に対し、伝染病予防治療法に違反したとして台湾元3000元以上1万5000元以下(約1万1000円~5万5000円)の過料を科すと発表した。男性CAがはしかに感染していたにもかかわらず、周囲に感染させる期間中に高雄国際空港入りするなどしたためとしている。男性CAと接触した人は102人に上り、感染の拡大が懸念されている。
 同局の調べによると、このCAは4月2日にマカオから高雄入りした。前日の1日からすでに発熱の症状があり、2日に発疹が発生。3日、衛生福利部(衛生省)疾病管制署による確定診断を受け、感染が判明した。
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