徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

インフルエンザの足音が・・・

2015年11月13日 08時24分04秒 | 小児科診療
 当院(群馬県)では今期まだインフルエンザ患者は出ていません。
 発熱&ゼーゼーしている乳児を検査するとRSウイルス陽性になる例が増えてきました。

 しかし、インフルエンザの足音は着実に近づいてきているようです。

■ インフルエンザ、教育施設で集団発生相次ぐ- 埼玉と和歌山で今季初の閉鎖措置
2015.11.11:CBNews
 インフルエンザの集団発生で学級閉鎖などの措置を取る教育施設が相次いでいる。和歌山県は10日、今シーズン初の集団発生の届け出があったと発表。埼玉県内でも小学校で初の学級閉鎖の措置が取られた。東京や大阪などでも集団発生の報告が目立ってきており、感染が広がりつつある自治体では警戒を強めている。

 こちらの情報では、群馬県も要注意です:

インフルエンザ対策特設ページ(MEDLEY)

 こちらではまだかな:

MLインフルエンザ流行前線情報DB(全国の小児科医有志)
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咳の止まらない風邪が増えてきました。

2015年11月11日 08時12分40秒 | 小児科診療
 小児科医にとって、毎年11月は「咳の止まらない風邪が流行る季節」です。
 1週間~2週間経ってもなかなか咳が治まらず、何回も通院する患者さんが目立ちます。
 その一因は「RSウイルス」。

■ 「RSウイルス」過去最悪 乳幼児や高齢者に重症化も
2015/11/10:テレビ朝日
 乳幼児や高齢者で重症化することもある「RSウイルス」の流行が拡大しています。1週間の感染者数が同時期で過去最悪となりました。
 国立感染症研究所によりますと、今月1日までの1週間で新たにRSウイルスの感染が確認された患者は全国で4740人でした。調査が開始された2003年以降、同時期では最悪です。初期症状はせきや鼻水など風邪と同じですが、乳幼児や高齢者は重症化するケースがあり、最悪の場合、死亡することもあります。冬にかけて、さらに流行が広がるとみられ、厚生労働省は「生後3カ月以内の乳児の感染は特に注意が必要。おもちゃや手すりも消毒する方が好ましい」と注意を呼び掛けています。


 このRSウイルス感染による咳の困るところは、特効薬がないことです。
 ウイルスなので抗生物質は効きません。
 生まれて初めて冬を迎える赤ちゃんが感染すると、30%はゼーゼーする気管支炎となり、3%は呼吸困難に陥り入院が必要になります。まあ、70%はふつうの風邪で終わりますが。

 ゼーゼーすると「気管支喘息では?」と心配になりますね。
 鑑別のポイントは、気管支拡張剤(ベネトリンやメプチンなど)を吸入した際の反応です。
 喘息発作は気管支平滑筋の収縮(けいれんというイメージ)で気道が細くなるのでベネトリンの吸入が有効ですが、RSウイルス気管支炎では粘膜のむくみや気道分泌物(=痰)がメインの病態なのでベネトリンを吸入してもゼーゼーが改善しません。

 保育園など集団生活の場で「RSウイルスが出た!」と情報が流れると、咳のひどい子どもが「検査してください」と来院しますが、診断しても特効薬はありません。
 そんな際は、園で咳・鼻症状がある子どもはみんなRSウイルス感染と考えて対策を立てた方がよいと思います。
 どうすればよいかというと・・・乳幼児にマスクをさせるのは困難ですし、手洗いも限界があるし・・・難しいですね。
 重症化徴候(息づかいが荒い、顔色不良、哺乳不良、睡眠障害)を見逃さないように注意して観察し、怪しかったら医療機関へ、ということになります。
 
 治療は対象療法(症状を和らげて治まるのを待つ)に尽きます。
 乳児では鼻水を取ってあげると楽になります。
 薬に関しては、当院では一般的な西洋医学の鎮咳去痰剤の他に、希望する方には漢方薬を処方しています。
 漢方薬では、咳の性質により使う薬が異なります;

・鼻汁/痰が多くゼロゼロし、自分の分泌物でおぼれてしまいそう
・ゼーゼーして呼吸が荒く咳き込む
・空咳が止まらず顔を真っ赤にして咳き込む

 の3パターンで私は使い分けています。
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