徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

食物アレルギー検査希望・・・

2011年05月26日 06時17分44秒 | 小児科診療
 といって受診する患者さんが後を絶ちません。
 でも、実際に血液検査(特異的IgE抗体=ラスト)するのはそのうち数割程度。そのからくりを説明します。

 実はみなさんが思っているほど食物アレルギーの検査は役に立たちません。
 つまり『ラスト検査陽性=食べて症状が出る』とは限らないということ。逆にある食べ物のラスト陰性でも食べて症状が出ることもあり、やっかいです。

 なので、兄弟や親がアレルギー体質だからまだ症状はないけど心配なのでこの子も調べて欲しい、という方にはお勧めしません。
 だって、ラストがいくつも弱陽性に出たらどうします?
 症状がなくても全部制限するんですか?

 ・・・10年以上前までは私も患者さんの希望通り検査していたのですが、結果に振り回されて家族がノイローゼになってしまう例を何件か経験してから対象を絞るようになったのでした。

 それから、「保育園(あるいは幼稚園)で検査結果を提出するよう云われた」と来院する方もいます。
 食べても無症状なら「検査は必要ありません」とお断りしています。
 食べるとじんましんなどの皮膚症状が出る場合は、未検査なら行いますし、すでに診断が付いていればやはり行いません。

 それでもなお希望される方には「医師が不必要と判断した検査を希望する際は自由診療(つまり費用自己負担)になりますがよろしいですか?」と説明します。強要されるようなら保育園・幼稚園が費用を負担すべきかもしれませんね。
 昨年から「食物アレルギー連絡票」が公的につくられ、その内容は必ずしも検査を必須としていないので便利になりました。
 
 乳児期発症の食物アレルギーは、その半分以上が3歳くらいまでに治ることがわかっています。でも無症状となった3歳時点で検査をしてもまだ陽性のことが少なくないのです。検査が陽性だからという理由だけでずっと食事制限しているのは間違いです。

 食物アレルギーについてさらに知りたい方は、当院HP「食物アレルギーについて」をご参照ください。

 それから、ダニやスギの検査を希望される方もいらっしゃいます。
 喘息や花粉症の症状が出る方は当然行っていますが、「何となく心配だから・・・」という方にはお勧めしていません。

 驚くべきデータがあります。
・1歳前後の乳児を対象に卵白のラスト検査すると3~4割が陽性。
・小学1年生を対象にダニ・スギのラスト検査をすると3~4割が陽性。

 なんということでしょう!
 当然ですが、その3~4割の子どもたちがみなアレルギー症状を有するわけではなく、治療が必要な患者さんはほんの一部です。残念ながら国民の3~4割がアレルギー予備群という時代になってしまったのですね。

 以上の理由から、当院では患者さんの生活上あるいは診療上役に立つ場合のみ検査をしている次第です。
 真実は「検査結果」ではなく「症状」です。
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閑古鳥と予防接種

2011年05月20日 05時33分30秒 | 小児科診療
 GW明けから患者さんが減ってきて今週は閑古鳥が鳴き始めました。
 毎年こんな感じで、夏が終わるまでは小児科は暇な期間が続きます。おかげさまで医院の庭の草むしりがはかどります(笑)。

 さて、昨年からこの暇な期間には一般外来の時間内に予防接種を入れています。
 ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチンなど予防接種の数が増えたので、この4月から午後の予防接種枠を30分延長して2:30~4:00に行ってきました。
 しかしそれでもさばききれず、予約を希望されても1ヶ月以上先まで埋まっている状態が慢性的に続いています。
 この状況を少しでも解消すべく、来週~6月あたりから”一般外来内予防接種”を開始する予定ですので、携帯予約画面に注目していてください。

 本日5/20から”夏の暑さ対策”の工事が始まります。内容は、庭の樹木を南面の窓に近く移動、窓の庇取り付け。ちょっとうるさくなりますが、何とぞご了承ください。
 もう一つ、節電対策に”当院オリジナルうちわ”の作成も検討中です。
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イネ科花粉症始まる?

2011年05月17日 13時58分57秒 | 小児科診療
 GW開け、そろそろスギ・ヒノキ花粉症は落ち着く頃・・・と思いきや、最近朝起きるとくしゃみ連発&水様鼻汁が止まりません。
 おかしいな~と感じていたら、患者さんが答えを教えてくれました。

 その患者さんは、春のスギ・ヒノキ花粉症はなく、初夏中心のイネ科花粉症持ちの方。「GW開けから症状が出始めました」と先日受診されました。

 数年前に血液検査したときは、イネ科花粉には反応していなかったはずなのに・・・私自身、今年がイネ科花粉症デビュー?

※ イネ科花粉の原因は、ハルガヤカモガヤホソムギオオアワガエリなどです。田んぼのあぜ道に生えている、イネに似た雑草をみかけたら怪しいと思ってください。
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今シーズンのスギ花粉症を振り返って

2011年05月04日 07時18分30秒 | 小児科診療
 懲りずに花粉症関連の話題を。

 「ウェザーニュース」という会社から、今シーズンの花粉症の概況が発表されました。
 飛散量はほぼ予想通りで例年より多かったようです。添付図では昨年と比較して群馬県は5-7倍、栃木県は7-10倍だったことが読み取れます。

 私自身も花粉症ですが、今年は漢方薬に抗アレルギー薬(西洋医学の薬)を併用しないと症状が治まりませんでした。
 通院してくる患者さんも、一つの薬では「去年は効いたのに今年は効かない」と訴える方が多く、2剤(中には3剤)併用治療が必要になることが少なからずありました。
 また、下記記事にもあるように、新たに”花粉症デビュー”する患者さんも多い印象がありました。初めてなのにウサギの目をして来院される小学生もいました。

 国民の3-4割がスギ花粉症であり、その主因は戦後大量に植林したスギの木である・・・明らかに人災の要素があり、国策が間違いだったと云わざるを得ません。
 こんな状況、外国にあるでしょうか?
 それでも未だに「スギを計画的に伐採して減らします」という方針が聞こえてきません。
 製薬会社は抗アレルギー薬の販売が好調で潤っていますけど・・・。

 へんなニッポン。

今シーズンデビュー組大幅増 花粉症日本人2人に1人間近(2011.4.18)
ウェザーニューズでは、11年春の花粉飛散量は、前年に比べ関東で5~8倍、近畿で7~11倍になると予想していた。夏の猛暑による日照時間の増加で、スギの木が成長して雄花がたくさん付いたからだ。フタを開けると、11年3月末現在の飛散量は、関東、近畿ともに前年の5倍を観測した。
同社によると、飛散量は、局地的に多いところと少ないところがあるが、その増加ぶりでは、ほぼ当初の予想通りだという。3月中旬がピークだったスギ花粉は、4月いっぱいで終わる一方、ヒノキ花粉は、5月上旬の連休明けまで続き、さらに飛散量が積み増す見通しだ。
11年の特徴は、花粉症55 件デビュー組が多くなっていることにある。
ウェザーニューズが4月7~10日に行った調査で携帯サイト利用者約2万3000人から寄せられた回答では、約8%の人が今シーズンから発症したと答えた。飛散増加で耐久量の限度を超えた人が多かったのが原因といい、昨シーズンからとの回答が約5%だったのに比べても多い。前年の調査では、約3割の人が花粉症であることを明かしており、単純に計算すると、今回のデビュー組を加えれば、約4割の人が花粉症であることになる。
つまり、発症者が日本人の3人に1人から、2人に1人にまで近づいているわけだ。
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「インフルエンザ(H1N1)2009」の遺伝子解析結果

2011年05月04日 06時49分40秒 | 小児科診療
 2009年に登場した新型インフルエンザ(ただしこの4月からは「インフルエンザ(H1N1)2009」と表記され季節性と同じ扱い)の遺伝子解析結果が報告されました。

 最初に関西で発生したウイルスと、その後ジワジワ日本全国に広がったウイルスとは起源が異なるそうです。それから従来のA型インフルエンザウイルス同様、新型ウイルスも日々変化しており、一部にタミフル耐性株(タミフルが効きにくいタイプ)も確認できたとのこと。

 今後、細菌と抗生物質のイタチごっこのように、ウイルスの変異と抗ウイルス薬の開発競争という構図が続くのですね。

■ 理化学研究所、2009年新型インフルエンザの遺伝子変異を解析
(2011.4.26:日本経済新聞)

 独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)は、2009年から2010年にかけて国内で感染拡大した新型インフルエンザウイルス(2009 pandemic A/H1N1)遺伝子の塩基配列解析を行い、このウイルスが多様な遺伝子変異を引き起こしていることを発見しました。発見したこれら変異の系統を解析したところ、感染初期と感染ピーク時ではウイルスの起源が違うこと、タミフル耐性遺伝子変異が発生していたこと、交通手段の発達により変異ウイルスが国内で急速に拡散したこと、などが分かりました。
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フクロウに会いました。

2011年05月01日 22時27分11秒 | 日記
 巨樹を求めて、先週末も「鎮守の森巡り」をしてきました。
 今回は渡瀬遊水池周辺を探索し、一番の目的地は野木神社(栃木県下都賀郡野木町)の大銀杏です。

 途中大きな樹木をみつけると探検してしまうので、幾度となく寄り道をしながらようやくたどり着きました。
 第一の鳥居からの参道脇にも大木が並んで迎えてくれます。
 第二の鳥居をくぐると、右手に風格のある大銀杏が・・・樹齢1200年、幹周9.7m、樹高17mの歴史を刻んだ巨樹です。
 複雑な形をして気根も発達し、樹木を超越した存在感です。
 言い伝えによると、蝦夷征伐に成功した坂上田村麻呂が凱旋途中でこの地に寄り植えたとのこと。

 しかし私の目を奪ったのは、大銀杏の東10mほどにあるケヤキの巨樹でした。
 ネット上のデータでは樹齢650年、幹周6.2m、樹高40m。
 気持ちよさそうに枝を伸ばした樹勢も美しく、見ているだけですがすがしい気持ちになってきます。
 
 ふと気がつくと、ケヤキのまわりに何人かカメラを構える人がいました。
 巨樹マニアってこんなにいたっけ?
 でもみんなの視線は巨樹の上の方・・・何が見えるのか三脚をセットしているおじさんに尋ねると「フクロウの雛がいるんですよ」との答えにビックリ。
 一眼レフのファインダーを覗かせてもらったら、確かにフクロウがこちらを見てました。
 
 実はこれ、知る人ぞ知る穴場なんだそうです(書くのはまずかった?)。
 渡瀬遊水池にフクロウが棲息していることは知っていましたが、ほとりの鎮守の森にも住んでいるとは・・・。
 ダメ元で私のコンデジで撮影してみました。何とか写ってますね(苦笑)。

 その他にも野木神社の鎮守の森には巨木が林立し、別世界の雰囲気を漂わせていました。

★ こちらもどうぞ→「野木神社の大イチョウ&ケヤキ(フクロウ付き)」
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