徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

風疹被害 繰り返さぬために

2014年03月22日 23時11分48秒 | 小児科診療
 3/21に放映されたNHKのニュースです。

風疹被害 繰り返さぬために動画はこちら



 今、人気漫画雑誌に、医療関係者が注目する作品が連載されています。妊娠や出産といった産科医療の現場を描いたこの漫画。風疹の影響で赤ちゃんに障害がでる現実が描かれました。おととしから去年にかけて大流行した風疹。その結果43人の赤ちゃんが目や耳、心臓などに障害が出る「先天性風疹症候群」と診断されました。一度流行ると2、3年流行が続くといわれ今年も注意が必要です。大勢の人に自分のこととして考えてほしい。マンガに込められたメッセージです。

<参考なるHP>
ストップ風疹~赤ちゃんを守れ~(NHK)
カニサンハウス(たえこのへや)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日本の小学生の2人に1人はスギ花粉に感作されている。いや、おとなは70%?

2014年03月19日 06時09分24秒 | 小児科診療
 もう10年以上前になるでしょうか、アレルギー関連学会で「小学1年生にアレルギー血液検査を行うとダニとスギ花粉陽性率は40%」と聞き衝撃を受けた記憶があります。
 検査での陽性率は「感作率」とも呼ばれ、これは実際に症状が出る「有病率」とは異なりますので誤解なきよう。「検査陽性、でも症状はない」状態は「スギ花粉症予備軍」とでも申しましょうか・・・。
 さて、近年の検討報告を見つけました。
 小学1年生では感作率31.4%、それが6年生になると45.9%に上昇。有病率は15.8%。ダニにも感作されている子どもの方が発症率が高かった、という内容です;

日本の小学6年生、2人に1人がスギ花粉に感作
(ケアネット:2014/03/19)
 日本の小学1年生220例を6年間追跡し、スギ花粉感作の既往および新規発症について調べた結果、1年生時点で31.4%がスギ花粉への感作を有しており、卒業までに14.5%が発症、未感作であった児童は54.1%であったことが、大阪医科大学耳鼻咽喉科学教室の金沢 敦子氏らにより報告された。スギ花粉症有病率は15.8%で、スギ花粉感作はハウスダスト感作と強く関連していることなども明らかになったという(Allergology International誌2014年3月号の掲載報告)。
 日本では1980年代からスギ花粉症が増加している。これまで、小学生においてスギ花粉症IgEの陽性率が増えていること、1992~1994年において中学生の有病率が17.1%であったとの報告はあるが、小学生の有病率および発現率については明らかにされていなかった。
 研究グループは、スギ花粉感作およびスギ花粉症発症の予防可能な因子を明らかにすることを目的に、小学生を対象とした6年間の追跡観察研究を行った。1994年~2007年にかけて、毎年5~6月に、血清スギ花粉IgEとハウスダストIgEを測定し、また鼻炎症状の有無について調べた・・・。

<原著論文> Kanazawa A, et al. Allergol Int. 2014; 63:95-101.


スギ花粉症関連で、もう一つ興味深い記事を;

日本にスギ花粉症が出現した3つの原因
(2014年03月16日:ビーカイブ)
 イギリスにおけるカモガヤ花粉症出現の経緯とほぼ同じことが、戦後の日本でも起こりました。それがスギ花粉症の出現です。第二次世界大戦前には見られなかったスギ花粉症が、戦後になって激増したおもな原因として、次の3つの原因が考えられます。

1.アレルゲンであるスギ花粉そのものの増加
2.動物性タンパク質や動物性脂肪の摂取量が増加して、栄養条件が改善されたため、人体内の抗体産生能力が強くなったこと
3.アレルゲンであるスギ花粉を人体まで運ぶ媒体である大気が、車社会の進行のために絶えず撹拌されて、落下した花粉が何回も空中へ巻き上がるようになったこと

◇1950年代に行なわれたスギの一斉植林が原因
 ではアレルゲン量の増加についてみていきましょう。日本では、第二次世界大戦中に、各種戦争機材の原材料としてスギなどの樹木が日本国中で伐採されました。そのうえ、終戦の直後からは、復興のためにさらに山々の樹木が切り倒されたため、1947年のキャサリン台風などの大雨のときだけではなく、ちょっとした雨でも大洪水となりました。
 このため、1950年代から、治山や治水の目的で森林を再建しようと、成長が早いスギを植樹しはじめたのです(※)。同様に成長が早いヒノキも、1960年代から1970年代にかけて植林量が増加しました。
 しかし、その後の国内復興、経済発展に伴って、安い輸入材が国内に多く流入したため、せっかく植林したスギやヒノキが成長しても伐採されなくなりました。人々が山林の手入れを怠ると、スギやヒノキは樹木に花粉を多くつけ、これを飛散させるようになったのです。
 日本では一般的に、スギは樹齢30年前後から大量に花粉を飛散させます。スギ花粉症が1976年に激増し、大飛散年である1979年には大きな社会問題になったのはこのためです。すなわち、アレルゲンの絶対量が増加したため、アレルギーの発症率も増えたのです。スギ、ヒノキの花粉量の2000年の測定値を見ると、35年前(1965年)の3倍ほどにまで増加しています。

◇交通量の増加そのものが真の原因
 車両通行量の多い地域ほど、いったん地面に落下した花粉が巻き上げられて、二度三度と繰り返して人の鼻粘膜に触れるためであろうと考えられます。


※ 当時「杉」は戦後復興のキーワードの一つでした。「お山の杉の子」という童謡の歌詞にその雰囲気が残っていますね。


・・・その後、以下のようなニュースを見つけました。国民の70%がスギ抗体を保有する時代なんですねえ。

日本国民の約70%がスギ花粉症? 日本人とスギ花粉症の関係性
(2014年03月29日:ビーカイブ)
 日本国民の約70%がスギ花粉症の抗体を持っていることを知っていますか? 日本人とスギ花粉症の関係性について紹介します。

◇スギ花粉症の発見
 スギ花粉症は、齋藤洋三先生が栃木県日光地方の耳鼻科に勤務していた1963年の3月から4月にかけて鼻、眼、咽頭のアレルギー症状を訴える21人の患者さんに出会ったのが発見のきっかけです。
 齋藤先生は、患者さんに対する皮膚反応検査、誘発反応検査、血清抗体検査、病理組織検査や空中花粉検査などを実施し、患者さんの症状はアレルギー性のものであり、その原因アレルゲンは花粉であることを証明しました。
 現在、スギの天然林は、本州最北端の青森県から九州の屋久島にかけて点々と存在するにすぎません。それ以外のスギ林はすべて植林されたものです。日本全体では、山林や平地林などを含めると約450万ヘクタールものスギが植栽されており、主に東北地方や九州地方に多く見られます。
 1950年代に行なわれたスギの一斉植林から約30年経過した1979年以降、スギ花粉症は、北海道と沖縄を除く全国で社会問題となっています。第二次世界大戦以前にはほとんど見られなかったスギ花粉症でした。
 しかし、ここ10~20年の間に非常に増加し、いまや日本人の約15パーセントがスギ花粉症を発症していると推定されており、国民病という不名誉な名前がついているほどです。ヨーロッパにおけるイネ科の花粉症、アメリカのブタクサ花粉症、日本のスギ花粉症をあわせて、世界の三大花粉症と呼ぶ人もいます。

◇日本国民の約70%がスギ花粉症?
 現在、日本国民の約70%の人がスギ花粉の抗体を持っていると推定されています。スギ花粉症予備軍といえる人たちがこれほどまでに多いのですから、花粉症を発症していない人といえども安心することはできません。
 2月から4月にかけて大量のスギ花粉が飛散した後、ヒノキなどヒノキ科の樹木の花粉が3月中旬から5月中旬頃まで飛散します。スギとヒノキ科樹木の花粉にはアレルギーを起こす成分に共通したものがあり、スギ花粉で花粉症症状を起こす人の約80パーセントは、ヒノキ科樹木の花粉でも花粉症の症状を起こします。このため、「スギ・ヒノキ科花粉症」と呼ぶ花粉症学者もいます。
 首都圏にはスギもヒノキもありますから、2月から5月頃まで花粉症に苦しむ人が多いようです。関西より西ではスギよりもヒノキによる花粉症が多いところが増えています 。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

子どもの便秘対策

2014年03月16日 08時09分49秒 | 小児科診療
 子どもの便秘の相談が多いので、患者さん用のプリントを作ってみました。
 全文を記載しますので、ご参考にどうぞ;

<子どもの便秘対策>

「便が硬くて出にくい状態」を便秘と呼びます。それによりつらい症状(腹痛、腹満、吐き気、食欲低下)が出て日常生活に支障が出ると治療の対象になり、慢性化している場合は薬物治療でコントロールするのみでなく、生活習慣の見直しも必要です。

どのくらいウンチが硬いと便秘なの?
 下図(ブリストル・スケール)の1と2が便秘で治療が必要です(3-5が正常、6と7が下痢)。


子どもの便秘の特徴
 子どもの便秘の原因は大人と異なり、乳幼児期はウンチを出す力が弱いことによる便秘がほとんどです。便秘になりやすい時期は以下の3つ;
① 乳児期の母乳→ ミルクへの移行時期、あるいは離乳食開始期
② 幼児期のトイレ・トレーニング(一番多い!)
③ 学童期の通学開始や、学校での排便ガマン体験
 これらがきっかけとなり、便が硬くなる→ 排便に苦痛を伴う→ ガマンする→ ますます硬くなる、という「便秘の悪循環」に陥ってしまうのです。
 学童期以降はそれに過敏性腸症候群が加わります。ストレスにより自律神経のバランスが崩れることが原因。リラックス状態(副交感神経優位)では腸の動きが活発になり良いウンチがつくられますが、緊張状態(交感神経優位)が続くとそれができません。

赤ちゃんの便秘(乳児排便困難症):肛門刺激法で乗り切ろう
 赤ちゃんがウンウンうなっていきむ、かといって出るウンチは硬くない状態。教科書には 食欲・機嫌が悪くなければ離乳食開始後に軽快するので治療の必要はないと書かれていますが、気になる方は3日を目安に肛門に人肌程度のぬるま湯をスポイトでぴゅっぴゅっとかけて刺激してみてください。
 それでもダメなら「綿棒浣腸」。綿棒の先にワセリンを塗り、肛門から1-2cm入れて肛門を広げるイメージでゆっくりやさしく「の」の字を4-5回描くとウンチが・・・。

薬物療法;悪循環を断ち切り「痛くつらい排便」を「楽しく快便」へ
 下剤は大きく2つに分けられ、これらを単独あるいは組み合わせて使用します:
浸透圧性下剤( 便を軟らかくする)モニラック®、マルツエキス®、カマ®
刺激性下剤(腸の動きをよくする)浣腸、ラキソベロン®、テレミンソフト®
 慢性化している場合は一度出たからといって安心せず、最低2週間は毎日出すよう調節します。その後減量・中止していきますが、多くは数ヶ月~年単位の治療が必要です。

★ 下剤がやめられなくて心配/お腹が痛くなってしまうという場合は漢方薬がお勧め;
・「食が細い、線が細い、お腹のトラブルが多い」→ 小建中湯が有効
・「冷え症でお腹が張りやすい」→ 大建中湯が有効

★ 肛門が切れて痛がるとき・・・人肌くらいのぬるま湯で湿らせた柔らかい布で押さえるとじきに出血は止まります。繰り返すときは塗り薬を処方しますのでご相談ください。

生活習慣で気をつけること;
・トイレ・トレーニング:失敗しても叱らず忍耐強く見守る、できたときはごほうびを与える、トイレを楽しい場所にするなどプラスイメージを持たせる工夫をしましょう。
・朝起きたらコップ1杯の水を飲み、必ず朝食を。腸が目覚めて動き始めます。
・学童では登校前にトイレへ行く十分な時間(15分)の確保を。
・夜更かしは便秘の大敵・・・興奮状態(交感神経優位)では良いウンチはできません。

食生活の注意点;最終目的は食事内容を見直して便秘解消
水分・・・無理にたくさん摂る必要はありません。飲みたいときに飲みたいだけどうぞ。
乳酸菌・ヨーグルト類・・・有効・無効の両方の報告があり、実は評価は一定しません。一般に子どもの腸内細菌は善玉菌(乳酸菌、ビフィズス菌)優位とされ、悪玉菌(大腸菌、ウェルシュ菌)が多い中学生~大人ほどには効かないようです。
食物繊維・・・大きく不溶性と水溶性に分けられますが、共に便秘に有効です。
不溶性食物繊維・・・野菜に多く含まれ、水分を吸収して膨張し便量を増やす効果
水溶性食物繊維・・・海藻やネバネバ系食品に多く含まれ、大腸に到達すると善玉菌のエサになり腸内環境を改善する効果があります。

便秘によい食品例
玄米ご飯、ソバ、海藻(昆布、わかめ、海苔、もずく)、なめこ、 枝豆、納豆、小豆、寒天、カボチャ、サツマイモ、里芋、オクラ、ゴボウ、モロヘイヤ、 ニンジン、切り干し大根、バナナ、プルーン、リンゴ、キウイフルーツ、ナッツなど


便秘によくない食品例
プリン、ゼリー、ケーキ、アイスクリーム、牛乳、甘いヨーグルト、市販の野菜ジュース、ポテトチップスなど


※ 野菜ジュースには食物繊維がほとんど含まれていません。
※ 子どもは牛乳を飲み過ぎると便が硬くなりがちなので注意してください。



 今回、作成過程でいろいろ調べてみて「フ~ン」と感じたこと;

野菜ジュースは便秘対策にならない。
 市販の野菜ジュースには食物繊維はほとんど含まれていないそうです。
 「えっ、そうなの?」って感じですよね。

「牛乳を飲むと便がゆるくなる」は子どもには当てはまらない。
 これはおとなだけに当てはまること。その理由として、子どもは乳糖分解酵素が十分あるので牛乳をたくさん飲んでも便がゆるくなることはなく、おとなになると日本人は同酵素活性が低下する民族なので下痢をするようになる、とのこと。ちなみに酪農で生きてきたヨーロッパ民族は、おとなになっても乳糖分解酵素活性が保たれるので問題ないそうです。
 逆に「牛乳は便を硬くする」と断言するベテラン小児科医もいました。
 確かに、母乳栄養より人工栄養の赤ちゃんの方が便が硬めですね。また、牛乳アレルギーでは下痢だけでなく便秘になることも報告されており、ふつうの治療で便秘が解消しない場合は牛乳制限を試す価値があると考えられています。
 そのベテラン小児科医は「野菜嫌いに野菜ジュース、便秘気味だから牛乳多飲が子どもの便秘を作っている」と力説しています。

「便秘には乳酸菌・ビフィズス菌が有効」も子どもには当てはまらない。
 腸内細菌をわかりやすく分類すると善玉菌(ビフィズス菌、乳酸菌など)と悪玉菌(大腸菌、ウェルシュ菌など)に分けられます。食生活が乱れたおとなは悪玉菌優位になり、その影響で便秘/下痢などに悩まされるのでビフィズス菌や乳酸菌を増やすと改善することが期待されます。しかし、子どもはもともと善玉菌優位なので、おとなほどには効果が期待できまないそうです。

「便秘によい食材」番外編
 として、オリーブオイル、オリゴ糖を挙げておきます;
オリーブオイル
 オレイン酸を含むオリーブオイルは一時的に比較的多めの量を摂った場合、小腸であまり吸収されずに小腸を刺激します。また小腸に残った食物と混ざり合うことで腸内の滑りがよくなることがわかっています。イタリアでは子どもたちの便秘予防として、ティースプーン1杯のオリーブオイルを摂ることが推奨されているそうです。
オリゴ糖
 オリゴ糖は単糖(ブドウ糖など)が2-20個結合したもので、分解されることなく大腸まで届き、善玉菌であるビフィズス菌のエサになります。
 口から入ったオリゴ糖は大腸に到達し、腸内細菌に食べられます。腸内細菌には善玉菌の他、悪玉菌や日和見菌などもありますが、オリゴ糖を食べた善玉菌が乳酸などの酸を出すため、この酸を苦手とする悪玉菌は死滅し、善玉菌だけが増えるので腸内環境が整い、便秘改善に高い効果があるのです。
 オリゴ糖というと甘味料を連想する人が多いのですが、実は様々な食品に含まれています。
(例)乳糖(牛乳、母乳)、イソマルトオリゴ糖(ハチミツ、味噌、醤油など)、フラクトオリゴ糖(ヤーコン、玉ねぎ、バナナなど)、ラフィノース(ビート、キャベツ、アスパラガス等)、乳果オリゴ糖(ヨーグルト)

子どもの便秘の原因はおとなの態度?
 デリケートな性格の子どもは、おとなの態度で追いつめられて便秘になっている例が最近問題視されるようになりました。
 とくにトイレ・トレーニングの時期に「失敗すると叱られる」ことを繰り返し経験すると、自己評価が低くなり便秘の悪循環が始まると解説している啓蒙書が目立ちました。「良い子しか認めない」社会の風潮が母親を追いつめ子どもを苦しめている状況が、ここにも存在するようです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「サンプラス vs アガシ」(World Tennis Day, 2014)

2014年03月16日 07時26分16秒 | テニス
 テニスの話です。
 「ワールド・テニス・デイ」とは、現役&往年の名選手がエキシビジョンで対戦する企画。
 私が見たのはロンドン大会で、対戦カードは2つ;

1.「パット・キャッシュ vs イワン・レンドル
 1980年代に活躍した往年の名選手です。
 現在はアンディ・マレーのコーチとしても有名なレンドル。彼は8回の4大大会優勝を果たすものの、ついにウィンブルドンだけは勝てなかった悲劇のヒーロー。
 そのチャンスの一つをつぶされた相手がキャッシュであり、因縁の対決(?)。
 そして、キャッシュが4大大会を制したのは、その時のウィンブルドンだけです。
 「カモシカのように長い手足でアグレッシブなプレイ」というイメージがあったレンドルは、今や体型が大きく変わり、メタボの中年おじさん(53歳)化してました。フットワークもヨボヨボフラフラ・・・でも引きつけて振り切ったときのフォアに往年の輝きが垣間見えました。

2.「ピート・サンプラス vs アンドレ・アガシ



 40歳以降のテニスファンには垂涎のカードではないでしょうか。
 幾多の名勝負伝説を生んだ対戦です。
 とくにサンプラスはシニア参戦していないので彼がテニスをしている姿を見るだけでも価値がありそう。
 猫背で入場するサンプラスが昔を思い出させます。大分髪の毛が薄くなったなあ。
 一方のアガシはスキンヘッドでウェアもパンツも靴も全身真っ赤。なんだか還暦祝いの火野正平のよう(笑)。
 昔から奇抜なウェア・ファッションでファンを楽しませたことを思い出しました。
 内股でひょこひょこオモチャのように歩く姿も変わりません。

 さて、肝心のテニスは・・・。
 サンプラスのリターンの時の様子は昔のまま。ラケットをくるくる回して口を半開きにしてペロペロ舌を出す、は虫類のような仕草。
 プレイは年齢相応で、時折鋭いショット(当時は「ピストルショット」と呼ばれたらしい)を見せるものの、彼の持ち味である「サーブ&ボレー」は少ししか見ることができませんでした。
 現在のサンプラスはゴルフはやるけどテニスラケットを握ることはないらしい。
 試合後のインタビューでも「もうテニスはやらん」と言ってましたね。ちょっと残念。

 一方のアガシはフットワークもショットも切れ味抜群。
 ライジングで球を捉えてコンパクトなスイングで振り切る潔さは昔を彷彿とさせます。
 40歳過ぎても動体視力が落ちていない感じで、その鋭いショットにサンプラスが棒立ちになること多数。
 うん、こちらはバッチリ練習しているな。奥さんのグラフとやっているのかな。
 解説によると10歳代の子どもたちもテニスをしているらしい。アガシとグラフの子どもたち・・・最強のテニス遺伝子です。彼ら(彼女ら)が活躍する時代が来るかもしれませんね。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

麻疹集団感染により大学病院小児病棟が閉鎖!

2014年03月07日 08時15分09秒 | 小児科診療
 今年に入りアジアからの輸入麻疹が増えていると先月取りあげました(”輸入”麻疹に御用心)が、とうとう実害が出ました。
 大学病院小児病棟で集団発生し、病棟閉鎖に追い込まれたのです。
 入院治療を予定していた子どもたちにとって、多大の迷惑・被害が発生したことになります。

はしか院内感染の疑い、小児病棟を一時閉鎖- 日本医科大付属病院、医師や患者が発症
(2014.3.7 CB News by キャリアブレイン)
 日本医科大付属病院(東京都文京区)は5日、院内で麻疹(はしか)の患者が発生したとして、小児病棟を一時閉鎖したと発表した。医師1人と小児患者4人の感染を確認しており、厚労省や東京都、保健所に報告済み。院内感染の疑いがあるため、「感染防止と収束を確認するため、当分の間、小児病棟を一時閉鎖する」と説明。同病院の感染制御部が中心となって感染防止に努めているという。【新井哉】

□ 入院制限や早期退院措置などで感染防止徹底
 同病院によると、2月14日以降、小児病棟の医師1人と小児患者4人が麻疹を発症。予防接種が未接種だったり、抗体価が低かったりする患者や職員らの感染防止を図るため、新規の入院患者の受け入れを停止。退院が可能とみられる患者に対しては、早期退院の措置を取ったという。
 発生が判明した段階から同病院は、病棟の入院制限などの措置や部署の垣根を越えた情報共有を進めてきたという。3月4日からは感染防止の徹底を図るため、小児病棟を一時閉鎖した。同病院は収束が確認できるまでは、閉鎖措置を継続する方針。

□ 患者報告増加、救急外来で二次感染の事例も
 今年に入ってから全国的に麻疹の患者報告数が増加。国立感染症研究所のまとめでは、1月6日から2月23日までの7週間の報告数は、昨年同期に比べて約3倍の114人を記録。特に首都圏での報告数が伸びており、医療機関の救急外来で二次感染した疑いのある事例もあったという。
 免疫力を持っていない人が感染するとほぼ100%発症し、肺炎や脳炎などの重い合併症を起こす可能性もあるため、厚労省や患者が発生した自治体は「母子健康手帳などで予防接種歴の確認をしてほしい」などと呼び掛けている。


 ふつうの風邪の潜伏期(感染してから症状が出るまで)は数日間ですが、麻疹は長くて7-10日間。
 さらに特徴的な症状が出る数日前からヒトに感染させる能力が発生しますので始末に悪い。
 ウイルスをまき散らす状態で、本人も知らずに日常生活を続けているのです。
 その状態で、免疫力が低下している患者さんが多数入院治療している小児病棟へ・・・考えただけでも恐ろしい。

 それを回避するにはワクチン接種の徹底しかありません。
 ふだん「ワクチン反対!」と言っている人たちは、このニュースをどう捉えているのでしょう。
 きちんと意見を公開して欲しいものです。
 もし、見て見ぬ振りするなら・・・”無責任”としか言いようがありません。

 今後問題になることが予想されるのは「1歳未満の乳児への接種の可否」です。
 母親が麻疹に罹患済みであれば、生後10ヶ月頃までは胎盤由来の抗体が赤ちゃんを守ってくれますが、しかし麻疹の予防接種(MRワクチンとして)は1歳以降の定期接種として設定されています。
 さらに、今や母親自身がワクチン世代。ワクチンで感染を予防し罹患せずにいる場合は自然感染より免疫が弱いので、経胎盤抗体は赤ちゃんを守るほど十分には移行しない可能性があります。
 
 乳児の多い保育園で発生した場合のワクチン接種・診療マニュアルを厚労省か関連学会で出していただきたいものです。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スギ花粉症に対する「舌下免疫療法」・続報

2014年03月05日 08時19分54秒 | 小児科診療
 話題のスギ花粉症舌下免疫療法。
 スギ花粉症の時期に眠くなる薬を飲まなくてもよくなるかもしれない、という夢のような治療法ですが、有効な薬には副作用がつきものです。
 安易に導入しないよう、効果とともに副作用・注意事項も報道される傾向がありますね。
 わかりやすい記事を見つけたので引用します;

花粉症 飲み薬で体質改善 舌下免疫療法、保険適用へ
(2014年3月4日:中日新聞)
 スギ花粉エキスを少量ずつ口に含み、アレルギー反応が出ない体質への改善を目指す-。そんな花粉症の新しい治療薬が厚生労働省に承認され、六月以降に特定の医療機関で保険適用による処方が始まる。ただ、最低二年間は毎日、服用を続ける必要があるほか、服用法を誤れば症状を悪化させる恐れも。患者自身が治療内容を理解し、開始時期などを慎重に判断することが大事だ。
 東京都内の大学病院で働く女性看護師(47)は約二十年前から、スギ花粉症でくしゃみや鼻詰まり、湿疹などに悩まされてきた。内服薬や点鼻薬はほとんど効かず、反対に副作用の眠気に襲われて困ったという。
 八年前、少量の花粉エキスを舌の下に入れる「舌下免疫療法」の治験に参加。二度目の花粉シーズンから、症状が明らかに改善した。当時の治験のやり方に従い、三年目以降も花粉シーズン中だけは服用を続けたところ、現在は飛散量が多い日にくしゃみが数回出る程度で、鼻水はほとんど出なくなったという。
 「普通の生活が送れるようになった。副作用の眠気もない」と喜ぶ。
 これまでの花粉症治療薬の多くは、症状をもたらすヒスタミンなどの作用を一時的に抑えるといった対症療法だ。
 一方、免疫療法は患者の体を少しずつ花粉に慣らし、アレルギー反応が起こりにくい体質にするため、完治の可能性もある。臨床研究では、患者の七~八割が症状が全く出なくなるか、大幅に改善した。
 ただし、注意も必要だ。長年、舌下免疫療法を研究してきた日本医科大耳鼻咽喉科の大久保公裕教授は「この治療は病院ではなく、患者さん自身が自宅で行うのが特徴。そばアレルギーの人が、そば粉を持ち帰るのと同じで、『間違えてたくさん飲んでしまった』では済まない」と話す。
      ◇
 治療は十二歳以上を対象に、スギ花粉が飛散していない時期に開始。毎日、舌の下に花粉エキスを垂らし、二分間そのまま保持した後、飲み込む。その後、五分間はうがい、飲食をせず、最低二時間は激しい運動や入浴、アルコール摂取を避ける。血流が良くなると、重いアレルギー反応が出る恐れがあるからだ。
 当初は唇の腫れ、耳のかゆみなどの副作用が出ることがある。国内の臨床試験ではアナフィラキシーショックなどの重いアレルギー症状は報告されていないが、注意は必要だ。

 治療に要する期間は最低二年。途中で一週間でも飲み忘れがあれば、治療が振り出しに戻る可能性がある。「中途半端にやれば、かえって症状が悪化する」と大久保さん。長期の海外出張などが多い人は、開始時期の見極めが大事だ。
 このほか、原因物質に関係なく、さまざまな刺激で症状が出る鼻過敏症や、通年性のアレルギー性鼻炎の人には、スギ花粉症の舌下免疫療法は向かない。チェックリスト=表=などが判断の参考になる。
 鼻アレルギー診療ガイドラインの作成委員で、総合南東北病院アレルギー・頭頚部(とうけいぶ)センターの今野昭義所長は「これまでの花粉症治療には、満足していない患者さんが多かった。舌下免疫療法は症状の大幅な改善と、持続的な効果が期待できる」と評価する。
 その上で、「リスクが少ない治療法だが、アレルギー反応には個人差がある。治療を始めて体がおかしいと感じたら、早めに医療機関を受診してほしい」と話している。
 舌下免疫療法を受けられる医療機関は、治療薬を製造する鳥居薬品がインターネットなどで検索できるシステムを準備している。


 さて、この薬は医師なら誰でも処方できるわけではありません。
 「処方資格」というハードルがいくつも設定されています。
 まず、指定された講習を受けなければなりません(私の受講記)。すると製薬会社に登録されるのですが、その後にネット上の講義と試験を受け合格する必要があります。さらに申請時には、有事の際に救急医療を受け入れてくれる病院との契約が前提となっています。
 石橋を叩いて渡る、というスタンスが垣間見えます。
 使用を希望する患者さんにも、それだけリスクのある治療法と認識していただきたいと思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする