徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

新型コロナ検査の最適タイミングは発症後2日目以降?

2024年07月19日 06時18分36秒 | 小児科診療
インフルエンザの検査のタイミングは、
「発症当日より翌日の方が感度がいい」
ということは社会的な常識となっています。

ではコロナは?
…はっきりしないまま、今まで来ていますね。

でも私は知っていました。
発症当日より、翌日以降の方が感度がよいことを。
理由は、私自身が2022年に罹った際の経験からです。

発症当日、咽頭に違和感(痛みまでいかない) → PCR検査を行い陰性。
発症翌日、咽頭違和感悪化+微熱が出てきた → 抗原検査を行い陰性。
発症2日目、上記症状が続く → PCR検査を再検査して初めて陽性。

という経過でした。なので、
「発症日に検査陰性でも否定はできない」ことを患者さんにも説明してきました。

その後、こんな記事が目に留まりました。
約1年前(2023年)の記事です。

迅速検査はPCRより感度が劣るため、
コロナ感染を否定するには2回の検査が必要という内容。
私の経験、そのものですね。
では2回目はいつ?という疑問に関しては「2,3日以降」とはっきり述べていません。

■ 迅速抗原検査での新型コロナ感染の除外には2回以上の検査が必要
ケアネット:HealthDay News:2023/08/09)より抜粋(下線は私が引きました);  
 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック中に、医師は患者に、自宅での迅速抗原検査で陰性の結果が出ても、48時間後に再検査するよう伝えてきたが、どうやらこの助言は正しかったようだ。新たな研究により、症状の有無にかかわらず、迅速抗原検査で新型コロナウイルス感染を除外するには、陰性判定から48時間後の再検査が必要であることが示された。米マサチューセッツ大学(UMass)チャン医科大学のCarly Herbert氏らによるこの研究の詳細は、「Annals of Internal Medicine」に7月4日掲載された。
 この研究は、有症状と無症状の新型コロナウイルス感染者における、新型コロナウイルスの迅速抗原検査であるAg-RDTの性能を検証するために実施された。試験参加者には、48時間の間隔を空けて自宅でAg-RDTを複数回実施してもらうとともに、RT-PCR検査用の鼻腔ぬぐい液も採取してもらった。鼻腔ぬぐい液は研究室に送られ、RT-PCR検査で感染の確認が行われた。試験に登録された7,361人のうち、試験1日目には症状がなく、検査結果も陰性だった2〜90歳の5,353人(平均年齢37.4歳)が解析対象とされた。このうちの154人は、試験期間中にRT-PCR検査で1回以上、新型コロナウイルス陽性と判定されたが、このうちの97人は無症状だった。
 RT-PCR検査で感染が確認された日にAg-RDTを行った場合の感度は、有症状の人で59.6%、無症状の人で9.3%であった。Ag-RDTの感度は48時間の間隔を空けて検査を繰り返すごとに向上し、2回目の検査では有症状の人で92.2%、無症状の人で39.3%、3回目の検査では同順で93.6%、56.4%であった。さらに、リアルワールドでは、感染が確認されたその日にAg-RDTで検査をするとは限らないため、RT-PCR検査での陽性確定から2、4、6、8、10日後にAg-RDTを行った場合の検査性能を割り出した。その結果、感染確認後0〜6日の間のいずれかの日に48時間の間隔を空けてAg-RDTを2回行った場合の感度は、有症状の人で93.4%、無症状の人で55.3%と推定された。無症状の人の中から1回目のテストで陽性が判明した人を除くと、この感度は62.7%に、Ag-RDTを3回行った場合には79.0%に向上した。なお、初回の検査で陽性と判定された場合は、偽陽性率が低かったため、再検査は必要なかったという。
 Herbert氏は、「迅速抗原検査の結果が陰性でも、体内のウイルス量が検査で検出される量に達していないだけの可能性があり、迅速抗原検査で検出されるまでには2、3日かかるかもしれない。この検査でのウイルス検出には、RT-PCR検査より多くのウイルス量が必要となる」と話す。
 COVID-19は今でも公衆衛生上の問題であり、1回の迅速抗原検査での陰性の結果だけに頼ると、深刻な事態を招きかねない。「もし、その結果が偽陰性だった場合、ただのアレルギーだったと思って仕事に復帰することで、ウイルスを他の人にうつしてしまう可能性がある」とHerbert氏は言う。・・・

さらに最近、以下の記事が目に留まりました。

こちらは「発症2日目以降の検査が望ましい」とはっきり述べています。
つまり、インフルエンザ同様、
「発症日に急いで検査しても偽陰性(罹っていても陽性に出ない)可能性がある」、
ということです。

しかし…陽性率が妙に低いことが引っかかります。
その説明として、
「新型コロナウイルスの抗原検査の場合疑陰性率が高過ぎると思うかもしれないが、
抗原検査はウイルス量が多く、周囲の人にうつす可能性のある人を検出する目的で作られたもの」
と言い訳(?)してます。

あれ、でもこの論文、
「インフルエンザは発症後すぐに検査をすべき」
と書いてありますね。
日本の常識と名違う…近年、迅速検査の感度が上がったということかな?

それからアメリカでは「オールインワン」検査、
つまりインフルエンザ+コロナ+RSウイルスが一度にわかる検査が存在している様子。
日本ではまだですね。

それからそれから、米疾病対策センター(CDC)が最近、
検査と予防のガイドラインを変更したことに言及しています。

以前の方針の『発症後5日間の隔離』
 ↓
・今回の改訂は「仕事や社会に復帰しても安全かどうかを判断する前に、もう一度、検査をするべき」

 …発症後5日間はほとんどのケースで必要以上に長かった。
 今回の改訂で「より理にかなった内容になった」と。

さて、日本は変わりますかね…

■ 新型コロナの抗原検査は発症から2日目以降に実施すべき
ケアネット:HealthDay News:2024/07/17)より一部抜粋(下線は私が引きました);
 今や、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)やインフルエンザなどの迅速抗原検査はすっかり普及した感があるが、検査は、症状が現れてからすぐに行うべきなのだろうか。この疑問の答えとなる研究成果を、米コロラド大学ボルダー校(UCB)コンピューターサイエンス学部のCasey Middleton氏とDaniel Larremore氏が「Science Advances」に6月14日報告した。それは、検査を実施すべき時期はウイルスの種類により異なるというものだ。つまり、インフルエンザやRSウイルスの場合には発症後すぐに検査を実施すべきだが、新型コロナウイルスの場合には、発症後すぐではウイルスが検出されにくく、2日以上経過してから検査を実施するのが最適であることが明らかになったという。
 Middleton氏らは、呼吸器感染症の迅速抗原検査がコミュニティー内での感染拡大に与える影響を検討するために、患者の行動(検査を受けるかどうかや隔離期間など)やオミクロン株も含めたウイルスの特性、その他の因子を統合した確率モデルを開発した。このモデルを用いて検討した結果、新型コロナウイルスの場合、発症後すぐに迅速抗原検査でテストした際の偽陰性率は最大で92%に達するが、発症から2日後の検査だと70%にまで低下すると予測された。発症から3日後だとさらに低下し、感染者の3分の1を検出できる可能性が示唆された。
 この結果について研究グループは、「すでにほとんどの人が新型コロナウイルスへの曝露歴を有しているため、免疫系はウイルスに曝露するとすぐに反応できる準備ができている。そのため、最初に現れる症状は、ウイルスではなく免疫反応によるものだと考えられる。また、新型コロナウイルスの変異株は、ある程度の免疫力を持つ人に感染した場合には、オリジナル株よりも増殖スピードが遅い」と説明している。
 一方、RSウイルスとインフルエンザウイルスに関しては、ウイルスの増殖スピードが非常に速いため、症状の出現後すぐに検査を実施するのがベストであることが示唆された。
 Larremore氏は、最近では新型コロナウイルス、A型およびB型インフルエンザウイルス、およびRSウイルスへの感染の有無を1つの検査で同時に調べることができる「オールインワンテスト」が売り出されるようになり、また、薬局や診察室でも複数のウイルスを一度に調べるコンボテストが行われていることを踏まえ、「これは悩ましい問題だ。発症後すぐの検査だと、インフルエンザウイルスとRSウイルスについてはある程度のことが明らかになるが、新型コロナウイルスについては時期尚早だろう。だが、発症から数日後では、新型コロナウイルスの検査には最適のタイミングだが、インフルエンザウイルスとRSウイルスの検査には遅過ぎる」と話す。
 また、Larremore氏は、「新型コロナウイルスの抗原検査の場合、疑陰性率が高過ぎると思うかもしれないが、抗原検査はウイルス量が多く、周囲の人にうつす可能性のある人を検出する目的で作られたものだ」と指摘。その上で、「感染者の3分の1しか検出できなくても、最も感染力の強い3分の1を診断できれば、感染を大幅に減らすことができる」と説明している。
 一方、Middleton氏は、最近、米疾病対策センター(CDC)が検査と予防のガイドラインを、「仕事や社会に復帰しても安全かどうかを判断する前に、もう一度、検査をするべき」という内容に改訂したことについて、「より理にかなった内容になった」との見方を示す。同氏は、「以前の方針の『発症後5日間の隔離』は、ほとんどのケースで必要以上に長かったと思う」と話している。

<原著論文>


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