2025年年明けからインフルエンザ、コロナウイルスに混ざって嘔吐下痢も流行しています。
今の嘔吐下痢(=ウイルス性胃腸炎)の主役はノロウイルスのようです。
食中毒による集団発生も報告されていますね。
嘔吐物や下痢便の中に多量のウイルスが含まれ、
それを十分に感染対策を取って処理しないと容易に感染します。
小児のウイルス性胃腸炎には「隔離期間」が設定されていません。
これは「感染の危険がない」のではなく、
「ヒトに感染させる期間が長いため設定できない」という裏事情からです。
乳幼児がウイルス性胃腸炎に罹ると、
回復までにロタでは1〜2週間、ノロでは数日かかります。
「下痢が止まったから治った」と思いがちですが、
ウイルスは腸の中にしばらく居すわり、
数週間は感染力を維持し続けるのです。
ですからもし「感染力がなくなるまで隔離」というルールを作ると、
「嘔吐下痢の園児・生徒は3週間休んでください」
となってしまいます。
元気になった子どもたちが家庭で数週間過ごすのはちょっと困りますよね。
というわけで、
「元気になったら感染対策をしながら集団生活に戻しましょう」
というところに落ちついているのです。
ノロウイルスに関する記事を紹介します。
▢ ノロウイルス猛威 低温・乾燥で1か月生存も…“トイレでスマホ”も要注意
(2025年2月26日:TBSテレビ「ひるおび」)より一部抜粋(下線は私が引きました);
全国でノロウイルスの患者が急増しています。
スーパーで販売された生食用のカキにより37人が食中毒を起こしたほか、高齢者施設や学生寮など、さまざまな報告がなされています。
感染力が強く、身近なものにも潜むノロウイルス。特徴と感染防止対策を日本医科大学の北村義浩教授に聞きます。
スーパーで販売された生食用のカキにより37人が食中毒を起こしたほか、高齢者施設や学生寮など、さまざまな報告がなされています。
感染力が強く、身近なものにも潜むノロウイルス。特徴と感染防止対策を日本医科大学の北村義浩教授に聞きます。
▶ ノロウイルスによる食中毒 2月がピーク
年間の食中毒患者数のうちノロウイルスが原因のものは40.6%と、非常に多くを占めています。
さらに食中毒1件あたりの患者数は、他のウイルスなどの場合8.4人ほどですが、ノロウイルスの場合37.7人と大規模な食中毒が起こりやすいという特徴があります。
さらに食中毒1件あたりの患者数は、他のウイルスなどの場合8.4人ほどですが、ノロウイルスの場合37.7人と大規模な食中毒が起こりやすいという特徴があります。
▶ 感染から発症まで:24時間~48時間
主な症状:吐き気、下痢、腹痛、軽度の発熱
持病のある人や乳幼児・高齢者などは脱水症状を起こしたり、症状が重くなるケースもあります。
主な症状:吐き気、下痢、腹痛、軽度の発熱
持病のある人や乳幼児・高齢者などは脱水症状を起こしたり、症状が重くなるケースもあります。

(Medical DOGより)
ノロウイルスを病因物質とする食中毒患者数(2023年)のデータを見ると、11月頃から増え始めて2月にピークを迎え3月頃まで続いており、今の時期はまさにかかりやすいと言えます。
▶ 「わずかな数が入れば発症」強い感染力
ノロウイルスの厄介な特徴として、
◆ 低温と乾燥に強い
◆ 感染力・生存力が強い
◆ アルコール消毒が効きにくい
ことが挙げられます。
◆ 低温と乾燥に強い
◆ 感染力・生存力が強い
◆ アルコール消毒が効きにくい
ことが挙げられます。
気温10℃以下では約1か月、気温4℃では約1~2か月生存可能です。
日本医科大学の北村教授;
ノロウイルスは低温・乾燥した環境では感染力を強める。夏場よりも、冬場の方が危ない。
他のウイルスだと100匹、1000匹が体の中に同時に入らないと病気にはならないんですけど、ノロウイルスは5匹とか4匹とか本当にわずかな数が体内に入れば発症してしまう非常に厄介なウイルスですね。
日本医科大学の北村教授;
ノロウイルスは低温・乾燥した環境では感染力を強める。夏場よりも、冬場の方が危ない。
他のウイルスだと100匹、1000匹が体の中に同時に入らないと病気にはならないんですけど、ノロウイルスは5匹とか4匹とか本当にわずかな数が体内に入れば発症してしまう非常に厄介なウイルスですね。
▶ 主な感染経路はー
≪食事≫
・汚染されたカキなどの二枚貝を加熱調理せずに食べる
・ウイルスに感染した人が調理したものを食べる
≪食事≫
・汚染されたカキなどの二枚貝を加熱調理せずに食べる
・ウイルスに感染した人が調理したものを食べる
≪手・指≫
・感染者のおう吐物などに触れてしまって指にウイルスが付着
・感染者が触れたトイレのドアノブやタオルに触れる
・感染者のおう吐物などに触れてしまって指にウイルスが付着
・感染者が触れたトイレのドアノブやタオルに触れる
≪飛沫・空気感染≫
感染者の便やおう吐物が乾燥し、それが付着したホコリが空気中に漂い、吸い込むことで感染
感染者の便やおう吐物が乾燥し、それが付着したホコリが空気中に漂い、吸い込むことで感染
日本医科大学 北村義浩教授:
特に吐いたものを適切に処理しないと、床やテーブルの上に見えなくても結構残っていて、乾燥してふわっと舞い上がったときにちょうどそこにいた人が吸い込んだりすると、4匹5匹入るだけで感染が成立するので危ないですね。
特に吐いたものを適切に処理しないと、床やテーブルの上に見えなくても結構残っていて、乾燥してふわっと舞い上がったときにちょうどそこにいた人が吸い込んだりすると、4匹5匹入るだけで感染が成立するので危ないですね。
コメンテーター 水谷隼:
もう防ぎようがないじゃないですか。予防接種とか、免疫力を高める方法とか、何かないのかなって。
もう防ぎようがないじゃないですか。予防接種とか、免疫力を高める方法とか、何かないのかなって。
日本医科大学 北村義浩教授:
免疫を高めるワクチンは今開発中で、コロナのときに有名になった「モデルナ」という会社がノロウイルス対策のワクチンを去年の秋から3年ぐらいかけて世界中で治験をしようとしています。ですから、効果があれば3年後には我々の手元に届くと思うんですね。しかし今はない。
日本人だと大体生ガキを食べるということがリスクのある行為です。
加熱用として売っているものはやはりリスクがありますので、書かれているように十分加熱をして食べるということです。
免疫を高めるワクチンは今開発中で、コロナのときに有名になった「モデルナ」という会社がノロウイルス対策のワクチンを去年の秋から3年ぐらいかけて世界中で治験をしようとしています。ですから、効果があれば3年後には我々の手元に届くと思うんですね。しかし今はない。
日本人だと大体生ガキを食べるということがリスクのある行為です。
加熱用として売っているものはやはりリスクがありますので、書かれているように十分加熱をして食べるということです。
▶ 冷蔵庫やPCのマウスで長期間生存
ノロウイルスは生存力が強く、長期間生存します。
▼電話の受話器・PCのマウス⇒約1週間
▼気温20℃ほどの乾燥した室内⇒約2週間
▼冷蔵庫内の食品(ノロウイルスを持ったカキなどが入っていた場合)⇒約2週間から1か月
▼電話の受話器・PCのマウス⇒約1週間
▼気温20℃ほどの乾燥した室内⇒約2週間
▼冷蔵庫内の食品(ノロウイルスを持ったカキなどが入っていた場合)⇒約2週間から1か月
▶ トイレでスマホを使用し、その後食事中にスマホを触っていませんか?
自分の前に感染者がトイレを使用していた場合、感染リスクが高まるおそれがあります。
スマホの表面にウイルスが付着する可能性がありますので、トイレでのスマホ利用は控え、スマホ自体もこまめにふき取ることが大事です。
自分の前に感染者がトイレを使用していた場合、感染リスクが高まるおそれがあります。
スマホの表面にウイルスが付着する可能性がありますので、トイレでのスマホ利用は控え、スマホ自体もこまめにふき取ることが大事です。
恵俊彰:
アルコール消毒は効きにくいんですよね?
アルコール消毒は効きにくいんですよね?
北村義浩教授:
アルコールで消毒するのではなく、拭って捨てるということですね。
「トイレに入ったら手を洗う」「食事前に手を洗う」「調理前に手を洗う」、この3ポイントはぜひやっていただきたい。
アルコールで消毒するのではなく、拭って捨てるということですね。
「トイレに入ったら手を洗う」「食事前に手を洗う」「調理前に手を洗う」、この3ポイントはぜひやっていただきたい。
▶ ノロウイルスに感染したら
ノロウイルスには、現在基本的に有効な薬やワクチンはありません。
脱水症状を起こす可能性があるので、十分な水分と栄養の補給が大切です。
ご自身でなかなか水分を摂れず脱水になってしまっている場合は、医療機関での点滴が必要になります。
脱水症状を起こす可能性があるので、十分な水分と栄養の補給が大切です。
ご自身でなかなか水分を摂れず脱水になってしまっている場合は、医療機関での点滴が必要になります。
恵俊彰:
病院に行っても、何か検査をするわけではないんですか?
病院に行っても、何か検査をするわけではないんですか?
北村義浩教授:
抗原検査のキットはありますけど、肛門に綿棒を入れて検査する方法なので、一般的には外来でもやりません。多くの人たちに調理食品を提供する人たちはやる方が多いです。
基本的にはもう水を飲んでいれば3日で治ります。
問題は自分で水を飲めないような乳幼児やお年寄りです。早めに病院に行った方がいいと思います。
おう吐や下痢の場合は水やお茶だけでは駄目で、塩分や糖分はどうしても必要なので、可能ならスポーツドリンクをガブガブ飲んでもらうと良いと思います。
抗原検査のキットはありますけど、肛門に綿棒を入れて検査する方法なので、一般的には外来でもやりません。多くの人たちに調理食品を提供する人たちはやる方が多いです。
基本的にはもう水を飲んでいれば3日で治ります。
問題は自分で水を飲めないような乳幼児やお年寄りです。早めに病院に行った方がいいと思います。
おう吐や下痢の場合は水やお茶だけでは駄目で、塩分や糖分はどうしても必要なので、可能ならスポーツドリンクをガブガブ飲んでもらうと良いと思います。
(ひるおび 2025年2月25日放送より)