徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

(インフルエンザ情報:2016.10.30)学級閉鎖報告〜沖縄、静岡、山梨、岩手、神奈川、兵庫、長野、秋田県

2016年10月30日 08時03分19秒 | 小児科診療
 全国各地から流行による学級閉鎖情報が届く季節になりました。
 最近では、沖縄、静岡、山梨、岩手、神奈川、兵庫、長野、秋田県からの報告がありました。
 もう、あなたのそばでいつ患者さんが出てもおかしくない状況です。

■ 沖縄、インフルエンザで6校が学級閉鎖 例年より2カ月早い注意報発令
2016年10月26日:沖縄タイムス
 インフルエンザの流行が拡大する恐れがあるとして、沖縄県健康長寿課は26日、県内全域に今季初めてのインフルエンザ流行注意報を発令した。17~23日(2016年第42週)に、58定点医療機関から報告があった患者数は582人。1定点当たり10・03人で、注意報レベルの10人を超え、全国平均0・37人を大きく上回った。42週は中部と南部保健所内の小中学校計6校で学級閉鎖があった。
 保健所別では、南部の14・43人が最も多く、次いで那覇市11・67人、中部10・25人の順。年齢別では60代以上が106人(18・2%)で最多、10~14歳96人(16・5%)、20代59人(10・1%)で続いた。
 県内の流行は12月末ごろ始まり2月ごろピークを迎えるが、今季は例年より発令が2カ月ほど早く、12日の那覇市を皮切りに南部でも注意報が出ていた。


■ 伊東の幼稚園でインフル学級閉鎖
2016/10/28:静岡新聞
 静岡県は27日、伊東市の幼稚園でインフルエンザに感染したとみられる患者が多数発生し、同日までに学級閉鎖が行われたと発表した。患者数は4人。


■ インフルエンザ 山梨県内、今季初学級閉鎖 北杜・須玉中 /山梨
(毎日新聞2016年10月28日)
 県は26日、北杜市立須玉中学校の2年生の1クラスで、生徒がインフルエンザに集団感染したため学級閉鎖する措置を取ったと発表した。28日まで実施する。インフルエンザによる学級閉鎖は県内で今季初めて。
 県健康増進課によると、生徒24人のうち16人が発熱などの症状を訴えた。例年は11月下旬ごろから流行が始まるといい、同課は「手洗い、うがいを徹底するとともに予防接種を受けてほしい」と話している。


■ インフルエンザ 計60人学校閉鎖 宮古・津軽石中 /岩手
(毎日新聞2016年10月28日)
 県医療政策室は27日、宮古市立津軽石中学校(生徒数122人)で1~3年生の計60人がインフルエンザに感染し、26~28日を学校閉鎖にしたと発表した。重症者はいないという。県内の学校でインフルエンザによる休校は今季初めて。例年より時期が早いという。
 同室の担当者は「早めに予防接種を受けたり、マスクや手洗い、うがいをしたりして、予防や感染防止に努めてほしい」と話している。


■ インフルエンザ 今年は流行早めか 社会 川崎市が注意喚起
2016.10.28:タウンニュース
 インフルエンザ疾患による学級閉鎖などの報告数が9月中旬以降、全国的に増加する中、川崎市でも10月17日、麻生区内の小学校1校で学級閉鎖の報告があり、発生状況も昨年よりも高い数値で推移している。市は「例年に比べ、流行が早まるのではないか」と注意喚起している。
 市内のインフルエンザ患者報告数は、今年9月12日〜9月18日の間に15人(昨年同時期は0人)を記録したのを皮切りに、9月26日〜10月2日の間には19人に達したほか、10月3日〜9日に10人(昨年同時期は0人)、10月10日〜16日に9人(昨年同時期は5人)と高いレベルで推移。インフルエンザは、例年12月から3月ごろに流行し、1月から2月にピークを迎えるが、年によっては流行の開始が早くなることもあるという。
 川崎市健康安全研究所は「昨年よりも定点あたり報告数も多い状況から、早めの流行も推測できる。今年は夏場の発生状況が通常と違った感覚だったため、冬場もしっかりと見ていかなくてはならないと考えている。予防接種などの対策を早めに検討していただきたい」としている。
 インフルエンザワクチンは、2015・2016年シーズンからA型2種・B型2種の計4種類を含んだものが導入されている。A型2種は2009年以降の流行株「A/H1N1亜型」と、いわゆるA香港型「A/H3N2亜型」。B型は山形系統、ビクトリア系統。同研究所は「まだ検体数が少ないため、詳細はわからないが、A型の発症が増えるかもしれない」と予測している。そのほか、外から帰ってからの手洗い、うがいの徹底、人ごみを避けることや、マスクの着用などの予防を呼びかけている。


■ まだ10月なのに…インフルエンザで学級閉鎖 姫路
(2016/10/18:神戸新聞)
 兵庫県教育委員会は18日、インフルエンザ感染者(疑いを含む)が39人のクラス中9人で確認されたため、県立飾磨工業高校(全日制、姫路市)の3年1組を19日から23日まで学級閉鎖にする、と発表した。今季、県立学校の学級閉鎖は初めて。
 県教委によると、10月にインフルエンザで学級閉鎖となるのは極めて異例。ほかの学校からも感染の報告が上がっているという。
 例年、流行開始は12月以降で、学級閉鎖などの措置もその時期から始まる。
 県疾病対策課によると、県内199の医療機関から受けた報告では、10月3~9日の1機関当たりの患者数は0・01人。1人を上回ると流行開始の目安となるが、その段階には至っていない。


■ インフルエンザ、松本で集団発生 小学校が学級閉鎖
(2016.10.20:信州毎日新聞)
 県は20日、松本市内の小学校3年生1クラス(25人)でインフルエンザとみられる症状の集団発生があり、同日から21日まで学級閉鎖すると発表した。県保健・疾病対策課によると、県内での集団発生は今季初めてで、集団発生が確認されたのは、例年より半月から1カ月程度早いという。
 同課によると、このクラスでは19日、発熱などを訴えて5人が欠席。医療機関の簡易検査で複数の児童からインフルエンザの陽性反応が出た。同課は今後、全県で流行する可能性があるとして、手洗いの励行や外出時のマスク着用などの感染予防に努めるよう呼び掛けている。
 厚生労働省のまとめによると、学校などでの集団発生は9月上旬から関東地方で確認され、全国の定点医療機関から報告されたインフルエンザ患者数も増加傾向にある。


■ インフルエンザで学級閉鎖 秋田県内で今季初
(2016年10月22日:朝日新聞)
 秋田市立秋田南中学校(同市南通宮田)でインフルエンザが集団発生し、3年生1クラスが21日まで2日間、学級閉鎖した。インフルエンザによる学級閉鎖は、県内で今季初。本格的な流行を前に、関係者は手洗いやうがい、ワクチン接種などかぜの予防を呼びかけている。
 市保健所などによると、19日までに在校生393人のうち、3年生の5人が頭痛や発熱などかぜの症状を訴え、インフルエンザA型と診断された。重症者はなく、いずれも快方に向かっているという。県内のインフルエンザによる学級閉鎖の発生は昨季より約1カ月早い。


インフルエンザ以外の感染症(RSウイルス、おたふくかぜ)による学級閉鎖例も報告されています。

■ 岡山県:笠岡・金浦幼稚園で集団風邪 RSウイルス検出 年少組学年閉鎖
2016年10月28日:山陽新聞
 岡山県は28日、笠岡市吉浜の金浦幼稚園で集団風邪が発生したと発表した。患者は7人で、4人からRSウイルスが検出された。年少組が同日、学年閉鎖した。
 県健康推進課によると、RSウイルスは冬場に流行し、感染力が強い。せきやくしゃみを通じて拡大する。大半は鼻水やせきなど軽い症状で済むが、乳幼児や高齢者は重症化しやすい


■ おたふくかぜで学級閉鎖 綾瀬市立小
(2016年10月28日:神奈川新聞)
 綾瀬市教育委員会は27日、市立綾南小学校(同市上土棚中1丁目)でおたふくかぜによる欠席が相次いだため、4年3組を28日から30日まで学級閉鎖にすると発表した。
 この組では27日、在籍児童30人のうち8人がおたふくかぜと診断され、欠席した。
 同校では3年3組も、おたふくかぜによる欠席が相次ぎ、7日から10日まで学級閉鎖となっていた。
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2016年10月、B型肝炎ワクチン定期接種がスタートしました。

2016年10月26日 08時01分54秒 | 小児科診療
 B型肝炎は麻疹や水痘のように“流行”する病気ではありません。
 「身近に危険を感じないのになぜワクチン?」とピンと来ない方もいらっしゃると思います。

 基本的に血液・体液を通じてうつる感染症ですので、上記空気感染・飛沫感染する病気と比べると感染するリスクはとても低い。
 でも、小児期に感染してしまうと一生付き合っていかなければならないことが多く、その最後は肝臓がんという怖い病気なのです。
 つまり、ガン予防ワクチンの元祖。

■ 乳幼児期が肝心! B型肝炎から子どもを守る〜2016年10月から0歳児に定期接種がスタート
2016.10.24:メディカルトリビューン
 今年10月から公費での接種が可能となったB型肝炎ワクチン。2016年4月以降に生まれた0歳児を対象に定期接種化が始まった。B型肝炎ウイルスは、慢性化してキャリア(持続感染者)になると、数十年かけて肝臓がんや肝硬変などの命に関わる病気を引き起こす。厚生労働省によると、日本の感染者は約130万~150万人と推定され、肝硬変や肝臓がんに進んだのはその10~15%とされている。一度感染すると、現在の医学ではB型肝炎ウイルスを体内から完全に排除することが困難なため、一度たりともウイルスを体内に侵入させないように、乳幼児期にワクチンで予防することが何よりも大切だ。このほど、東京都内で開かれた「B型肝炎予防」のセミナーからの報告。

◇ なぜ今、定期接種化になったのか
 B型肝炎ウイルスは思春期以降に感染した場合、一過性で治癒することが多いものの、乳幼児期での感染には注意が必要だ。セミナーで講師を務めた済生会横浜市東部病院の乾あやの先生(小児肝臓消化器科部長)は「免疫機能が未熟な乳幼児期に感染するとキャリアとなりやすく特に5歳未満の子どもは持続感染となりやすい」と話す。
 B型肝炎ウイルスの感染経路は、出産の際に母親から産道で感染する「母子感染(垂直感染)」と、感染者の血液や体液に触れることによる「水平感染」の2つがある。1986年にはキャリアの妊婦から生まれた乳児に対して公費でのワクチン接種が行われるようになった。これ以降、母子感染による新規の感染者は大幅に減少したものの、その後の調査で子どものキャリア化が予想以上に進んでいることが分かり、母子感染だけでなく水平感染の防止のために予防ワクチン定期接種化が勧められた。
 B型肝炎ウイルスの水平感染では輸血や性行為といったイメージが強いが、家族間はもちろん、保育園・幼稚園などの集団生活の場でも感染する可能性はある。「尿、よだれ、涙、汗などが小さなキズに入りそこから感染するため、5歳以下の子どもたちが生活の場として多くの時間を過ごしている保育園や幼稚園などで感染するケースも考えられてきました」と乾先生。働く親の増加に伴い、多くの子どもが乳幼児の時期から保育園などに預けられるようになったことも予防ワクチン定期接種化につながったという。
 さらに、B型肝炎ウイルスに関連した死亡は特にアジアとアフリカに多く、海外からの渡航者が激増している日本では感染の危険性が高まっていることも、B型肝炎ワクチン定期接種の開始につながっている。感染者の多くは自覚症状がないので、自分が感染源であることを知らないのも問題だ。
 乾先生は「B型肝炎ウイルスキャリアの子どもが発がんすることも問題です。これまでの経験から、キャリアの90~80人に1人が発がんします」と話す。感染しやすい環境にある子どもをHBVから守るには、早めにワクチンを接種することが重要だ。

◇ ようやく世界基準に
 世界保健機関(WHO)に加盟する194カ国中184カ国が全ての乳児を対象にワクチン接種を行っており、台湾などでは定期接種化から30周年を迎えている。「日本以外では、ほとんどの国で乳児期のB型肝炎ワクチン定期接種がすでに行われています。キャリア化を防ぐためにも、B型肝炎ワクチンは乳児期に接種することが大切です」と乾先生は強調した。なおWHOでは、2011年から7月28日を「世界肝炎デー」とし、ウイルス性肝炎の蔓延まんえん防止のための正しい知識の普及や啓発活動を行っている。
 B型肝炎ウイルスの恐ろしさは、感染に気づきにくいこと。その感染力はC型肝炎ウイルスやHIV(エイズウイルス)よりも高い。症状がないため、大人になってからの献血や健診で、初めて自分がキャリアであることに気づくことが多いという。キャリアの子どもでは発がんの危険性が高くなり、大人になってから肝臓がん、肝硬変などを発症することも、抗がん剤、リウマチの薬などの投与をきっかけにウイルスが再活性化することもある。乾先生は「お子さんの健康を生涯にわたって守るためにも、きちんと接種してほしい」と話す。

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予防接種をしない集団〜アーミッシュでの麻疹流行2014

2016年10月26日 06時20分53秒 | 小児科診療
 アメリカには現代文明を拒否する、昔ながらの生活を信条とするキリスト教徒「アーミッシュ」の居住地域があり、そこでは予防接種率が低いことが指摘されています。
 その地域に2014年、麻疹ウイルスが持ち込まれ、感染者は384人を数えました。
 先日の日本におけるジャスティン・ビーバーのコンサートに端を発する麻疹集団発生の数を大きく上回っています。

 その昔、アラスカの某村に麻疹ウイルスが持ち込まれた際、壊滅状態に追い込まれたという歴史もあります(新田次郎『アラスカ物語』)。

 麻疹は江戸時代には「命定め」の病気として恐れられ、現在でも感染者1000人に一人の確率で死亡します。
 それを何とか避けられないか、と人類が知恵を絞って発明したのがワクチンです。
 自然感染による合併症なら諦められるけど、ワクチンによる副反応は許せない、とワクチンに反対する方がいらっしゃいますが、病気の恐ろしさを知り、ワクチンの効果と副反応を知った上で、冷静に判断していただきたいと思います。

■ アーミッシュの麻疹流行から予防接種の重要性が浮き彫りに
2016/10/26:ケアネット
 2014年に米国のアーミッシュ(キリスト教の一派)のコミュニティを襲った麻疹流行について、米国疾病管理予防センター(CDC)の研究グループが「New England Journal of Medicine」10月6日号で詳細を報告し、予防接種の重要性を訴えている。最終的に383人が感染したこの流行は、米国では過去20年で最大規模のものであった。
 この流行は米国内に端を発するものではなく、アーミッシュの難民救済ワーカー2名がフィリピンに渡航し、気づかずに麻疹ウイルスを持ち帰ったことで発生した。その後の4カ月で、オハイオ州の9つの郡で感染者が出ており、そのほとんどが予防接種を受けていないアーミッシュであった。周辺の地域では予防接種率が高かったために発症が少なかったと考えられると、報告の筆頭著者であるCDCのPaul Gastanaduy氏は述べている。
 米国では風土病(1つの地理的地域に絶えず存在する疾患)としての麻疹の根絶が宣言されているが、アフリカ、アジア、太平洋および一部のヨーロッパの国々では麻疹が未だよくみられる。また米国では近年、国外から持ち込まれた麻疹ウイルスにより比較的大規模な流行が発生している。昨年にはカリフォルニア州のディズニーランドを訪れた旅行者から流行が始まり、最終的に約20州に拡大した。
 米フィラデルフィア小児病院のPaul Offit氏は、「麻疹が脅威であることに変わりはない」と強調する。昨年のディズニーランドの流行はメディアの注目を集めたが、2014年のアーミッシュの流行ではほぼ2倍の人が感染したにもかかわらず、メディアではほとんど取り上げられなかった。麻疹ウイルスは感染力が強く、咳やくしゃみから空気を通して拡散する。麻疹に罹った小児の約5%が肺炎を発症するほか、約1,000人に1人は脳浮腫になり、同程度の比率で死亡例もみられるという。
 2014年の流行では、数カ月にわたり383人の患者が発生し、その99%がアーミッシュであった。流行が判明した際、地元の保健当局やCDCは封じ込めに取り組み、無料で予防接種を行う診療所が設置され、1万600人以上がMMRワクチン接種のために来院した。CDCによると、アーミッシュ教会は特に予防接種を禁じていないが、文化的・個人的信条のため予防接種率は低いという。
 Gastanaduy氏は、今回の流行をきっかけに状況が変わることを期待すると述べている。また近年、安全性への不安から子どもに予防接種を受けさせない親についても懸念されているが、「MMRワクチンは安全かつ有効である。疑問があれば小児科医に相談してほしい」と同氏は勧めている。


<原著論文>
Gastanaduy PA, et al. N Engl J Med. 2016; 375: 1343-1354.
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群馬県で今季初のインフルエンザによる学級閉鎖

2016年10月21日 08時22分50秒 | 小児科診療
 インフルエンザの足音が聞こえてきました。
 県北の沼田市(真田丸で有名になったところ)です。
 当院ではまだ迅速検査陽性者はゼロですが、“うわさ”は聞こえています(^^;)。

■ 群馬で今季初のインフル学級閉鎖
2016.10.18:産経新聞
 群馬県保健予防課は17日、沼田市の市立沼田南中学校で今季県内初となるインフルエンザによる学級閉鎖の報告があったと発表した。1年1クラス(33人)の7人が欠席し、うち5人からインフルエンザのウイルスが見つかり、18日と19日の2日間、学級閉鎖の措置が取られる。
 同課によると、26年度と27年度に県内で初めてインフルエンザにより学級閉鎖など臨時休業になったのは11月中旬。

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マイコプラズマ流行中(2016年10月)

2016年10月18日 18時40分11秒 | 小児科診療
 咳が続く風邪が流行っています。
 当院では、乳幼児はRSウイルス、年長児以降はマイコプラズマを思わせる患者さんが多い印象です。

 RSウイルスに罹ると、赤ちゃんはこじれて気管支炎(ゼーゼー)になりやすく、幼児期以降は咳のしつこい風邪で済むことが多い傾向です。

 マイコプラズマでは、熱が出はじめは喉が痛いなどふつうの風邪症状ですが、数日後から咳が始まりどんどん悪化するのが特徴です。赤ちゃんも罹るものの、重くならずにふつうの風邪症状で終わってしまい、年齢が長ずるとこじれて肺炎になりやすいという、ちょっと不思議な感染症です。

 つまり、RSウイルスは乳幼児でこじれやすく、マイコプラズマは年長児以降でこじれやすい、ということ。
 ただし、罹ると全員がこじれるわけではありません。
 RSウイルス感染症では、乳児でゼーゼーするのは3割、入院が必要になるのは3%程度。
 マイコプラズマ感染症では、大人が罹っても肺炎までこじれるのは数%程度です。

<参考>
□ 「肺炎マイコプラズマ感染症」(当院HP)

■ マイコプラズマ肺炎 過去10年で2番目
2016.10.18:日テレニュース24
 マイコプラズマという細菌が引き起こす肺炎「マイコプラズマ肺炎」が例年に比べて増え、過去10年で2番目の多さとなっている。
 国立感染症研究所によると、今月9日までの1週間に報告されたマイコプラズマ肺炎の患者数は1医療機関あたり1.33人で、過去10年で最も多かった2011年に次ぐ多さだった。
 マイコプラズマ肺炎は、初期症状は発熱や倦怠(けんたい)感、頭痛などで、その3日後から5日後に咳(せき)が始まることが多く、熱が下がった後も1か月ほど続く場合があるという。
 また、重症化することもあるため、厚生労働省は手洗いやうがい、マスクの着用を徹底して予防するよう呼びかけている。



■ マイコプラズマ流行拡大、過去最多レベルに- 集団感染で学級閉鎖も
2016.10.18:CBニュース
 乾いた咳や発熱などの症状が出る「マイコプラズマ肺炎」の1週間当たりの患者報告数が、感染症法に基づく1999年の調査開始以降で過去最多レベルになっていることが18日、国立感染症研究所の患者報告で分かった。流行の拡大に伴い、小学校などで集団感染が発生して学級閉鎖となるケースが相次いでおり、患者が増加傾向の自治体では手洗いなどの予防策の徹底を求めている。
 国立感染症研究所がまとめた3日から9日までの週の全国の基幹定点医療機関(約500カ所)当たりの患者報告数は、前週比13%増の1.33人。過去10年の同期と比べて最も多かった。2011年から12年にかけて大きな流行があった際、調査開始後で最多の報告数(1.51人)を記録していたが、その時とほぼ同じレベルになっている。
 この週の都道府県別の報告数は、岐阜が5.8人で最も多く、以下は群馬(3.13人)、北海道(3.0人)、福岡(2.67人)、兵庫(2.55人)、埼玉(2.4人)、東京(2.12人)、宮城(2.08人)、愛知(2.07人)、千葉と宮崎(共に2.0人)などの順だった。
 前週に比べて報告数が倍増した東京都は「過去5年平均と比較して高い値で推移している」と指摘している。都内では9月下旬ごろから集団感染による学級閉鎖が続出しており、茨城と鳥取の両県でも今月、小学校での学級閉鎖が報告されている。
 患者が急増している自治体では注意喚起に懸命だ。報告数が前週比3倍超となった兵庫県は「患者との濃厚な接触を避け、手洗い、うがいなどを励行することが重要」と指摘。1.5倍に増えた福岡県も、咳やくしゃみが出そうな時にハンカチやティッシュペーパーで口を覆う「せきエチケット」を心掛けるよう求めている。
 マイコプラズマ肺炎は、マイコプラズマを病原体とする呼吸器感染症。重症肺炎となるケースもあり、中耳炎や溶血性貧血、無菌性髄膜炎、脳炎、肝炎を併発することもある。飛沫感染や接触感染などで広がるとされている。

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インフルエンザ流行状況(2016.10.13)

2016年10月13日 08時52分40秒 | 小児科診療
 当院では昨日、今季のインフルエンザワクチン接種を開始したところ。
 と、そのタイミングで山形県と沖縄県での流行情報が入ってきました。
 両県ともA型が検出されています。

■ インフルエンザ 今季初集団発生 最上郡の小学校 /山形
毎日新聞:2016年10月12日
 山形県は11日、最上郡の1小学校でインフルエンザが集団発生し、6年が学年閉鎖すると発表した。集団発生は今季初で、過去5年で最も早いという。
 県薬務・感染症対策室によると、同校児童149人のうち、2年を除く全学年で計12人が発熱やのどの痛みなどの症状を訴え、11人が欠席したという。検査の結果、一部の児童がインフルエンザA型にかかったことを確認した。患者が5人に上った6年は、12〜14日に学年閉鎖する。


■ 「これほど早い発令は異例」 那覇市保健所がインフルエンザ注意報
2016年 10月13日:沖縄タイムス
 インフルエンザの流行が拡大する恐れがあるとして、那覇市保健所は12日、市内にインフルエンザ注意報を発令した。市内の8定点医療機関からの報告数は、第40週(10月3~9日)に1定点当たり11・17人となり、注意報レベルの10人を超えた。市内では第40週に高校1校で2クラスが学級閉鎖した。例年、12月下旬から2月ごろに流行のピークを迎えるため、市保健所は「これほど早い発令は異例。早めのワクチン接種を勧める」と呼び掛けている。
 患者を年齢別でみると、60歳以上が21・7%で最多、10~14歳19・3%、15~19歳12・1%で続いた。インフルエンザの型別ではA型が121人を占め、13人が不明だった。県全体でも患者数が増加傾向にあり、第40週は1定点当たり6・22人だった。


 私も早く接種しなくちゃ(^^;)。

<参考>
MLインフルエンザ流行前線情報DB
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受動喫煙の害について「JT vs. 国立がん研究センター」

2016年10月05日 07時49分01秒 | 小児科診療
 JTって、やっぱりタバコに賛成なのですね。
 自分たちの社運、生活に響くから否定するわけにはいかない・・・という視点が見え隠れ。
 喫煙者だけが肺がんになっても自己責任ですが、「他人への迷惑」という視点が欠けています。
 
 原発のある地域で「原発がなくなったら自分たちは生活ができなくなるから必要」というのと同じ論法かと。
 そこには、原発事故で被るマイナス面(自分たちだけではなく他人も巻き込む)という視点が感じられません。

 科学的・客観的に正しいことに反対する人たちは、どうしても自身の既得権益に縛られている印象が拭えません・・・人間の悲しい性?

■ 国がん、受動喫煙でJTと対立―肺がんリスクで見解相違
2016年9月28日 君塚靖・CBnews
 国立がん研究センター(国がん、中釜斉理事長)は28日、国がんが実施した研究で受動喫煙による日本人の肺がんリスクを「ほぼ確実」から「確実」に引き上げたことをめぐり、日本たばこ産業(JT)が「科学的に説得力のある形で結論付けられていない」とコメントしたことに対して、「全く異なる見解」などと反論した。
 国がんは先月31日、日本人の非喫煙者を対象とした受動喫煙と肺がんの関連について、複数の論文を統合、解析するメタアナリシス研究の結果を公表。受動喫煙のある人はない人に比べて、肺がんになるリスクが約1.3倍となり、国際的なメタアナリシス研究の結果と同じ水準だったため、肺がんのリスク評価を変更した。
 これに対して同日、JTは小泉光臣社長名でコメントを発表し、「今回用いられた複数の独立した疫学研究を統合して分析する手法は、選択する論文によって結果が異なるという問題が指摘されている」とした上で、「今回の選択された9つの疫学研究は研究時期や条件も異なり、いずれの研究においても統計学的に有意でない結果を統合したもの」とした。
 このJTのコメントに対して、国がんは28日、「JTのコメントは国がんの行った科学的アプローチに対し十分な理解がなされておらず、その結果として、受動喫煙の害を軽く考える結論に至っていると考えられます。これは、国がんとは全く異なる見解です」と反論し、国がんのウェブサイト上に、改めて見解を示した。


<参考>
□ 「受動喫煙で年間1万5,000人死亡―厚労省推計:女性が男性の2倍」(2016.5.31:Medical Tribune)
□ 「公共スペースの禁煙法制化で早産と小児の喘息による受診が減少」(2014.4.14:Medical Tribune)
□ 「受動喫煙で3歳時の虫歯リスクが倍増/BMJ」(2015/11/11:ケアネット)
□ 「受動喫煙で肺がんリスクが1.3倍~わが国のメタ解析」(2016/08/24:ケアネット)
□ 「携帯灰皿では煙まで回収できない!」(↓)(2016.5.27:ケアネット)

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関空従業員33人のはしか集団感染「終息」

2016年10月03日 16時13分38秒 | 小児科診療
 ジャスティンビーバーのコンサートに始まる関西国際空港の麻疹騒ぎは終息したそうです;

■ 関空従業員33人のはしか集団感染「終息」...大阪府が発表
(2016年9月30日 読売新聞)
 関西空港で麻疹(はしか)の集団感染が広がっていた問題で、大阪府は29日、関空従業員の集団感染は終息したと発表した。
 関空では、8月17日に20歳代の女性従業員の感染が確認されて以降、関空従業員計33人の感染が確認されていた。府によると、この33人のうち、最後に発症した女性従業員が、発症直前に出勤した今月1日から、麻疹の潜伏期間の倍以上の4週間が経過しても新たな発症者が出ていないという。


 しかし今回明らかになったことは、日本には“麻疹感受性者”(麻疹にかかるリスクの高い)がまだまだたくさんいること。
 これらの人々を、のど元過ぎれば・・・で放置すると、同じ事が繰り返されることでしょう。
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2017年シーズンのスギ花粉飛散予測

2016年10月01日 07時31分08秒 | 小児科診療
 まだ秋の始まりですが、早くもスギ花粉飛散情報です。
 東日本は少なめ、西日本は多め、と明暗が分かれそうです;

■ スギ花粉、来春の飛散量は西日本で今年比2~6倍か 〜2017年春のスギ・ヒノキ花粉飛散予測セミナー
2016.09.30:Medical Tribune
 毎年、多くの患者を悩ませる花粉症。その花粉症の原因となるスギ・ヒノキ花粉の来春の飛散予測が発表された。NPO花粉情報協会は9月21日に東京都でセミナーを開き、2017年春のスギ・ヒノキ花粉の飛散量について、東日本各地では過去10年の平均(10年平均)および今年(2016年)と比較して同程度かやや少なめである一方、西日本各地では10年平均よりやや多く、今年と比べると約2~6倍となる見込みであると報告した。(以下、飛散量の単位は「個/cm2/season」を「個」と簡略表記)

◇ 前年春の花粉飛散量、夏の気象条件が関与
 同協会理事で気象予報士の村山貢司氏によると、その年のスギやヒノキの花粉飛散量には前年春の花粉飛散量、夏の気温や日照時間が深く関連するという。しかしながら、ヒノキはスギに比べて雄花が小さいことや、生態が十分に解明されていないため予測の精度は高くない。そこで村山氏は、各地域における今年の気象データおよびスギ花粉の飛散量を用いて、来春のスギ花粉の飛散量を予測した。

◇ 東日本:東北地方は今年よりやや少なめ
 東北地方については、今年7、8月の日照時間が平年に比べてやや長かったものの、花粉飛散量は多かった関係から来年の飛散量は今年の約5〜7割と見込まれる地域が多いとした。ただし、今年の飛散量は福島市、山形市、仙台市でそれぞれ8,000個、7,000個、5,000個を超えており、大量飛散と呼べる状況であったことから、「絶対数としては決して少なくない」と同氏は指摘した。
 関東甲信地方の今年7、8月の日照時間はほぼ平年並みであり、飛散量も各地とも10年平均と大差なく、来年の飛散量は北関東ではおよそ6,000〜8,000個、南関東ではおおむね4,000個前後となり、今年と大きな差が生じる地域は少ない見込みという。
 北陸・東海地方の日照時間は、今年7月の新潟市を除いて平年比120%前後の長さとなっているが、北陸地方のほとんどの地域では今年、比較的多く花粉が飛散したため、来年は10年平均に比べ飛散量がやや少なくなると予想される。
 一方、今年の飛散量が少なかった福井市や東海地方の大垣市(岐阜県)、津市では来年は多め、それ以外の東海地方の各地域では同水準になると見られる。また、今春と比べた場合、北陸地方は福井市や小松市(石川県)以外は全体的にやや少なく、中部地方は浜松市や津市で大幅に飛散量が増えると見込まれる。

◇ 西日本:今春の少ない飛散量、今夏の長い日照時間が影響
 近畿地方では、全ての観測地域で今夏の日照時間が平年より長く、今春の花粉飛散量は10年平均より少なかったため、来年の飛散量は10年平均が1,000個ほどだった和歌山市でも2,000個近くに達すると予想され、他の地域もおおむね3,000個を超え、10年平均よりかなり飛散量が多くなると予測されるという。
 例年飛散量のばらつきが大きい中四国地方では、今夏は軒並み日照時間が平年より長く、今春の飛散量も米子市(鳥取県)や高松市を除き10年平均より少なかったため、来年の飛散量は10年平均を上回る見込みである。特に四国地方は予測精度が低いヒノキの数が多いため、さらに飛散量が上乗せされる可能性もあるとした。
 九州地方における今夏の日照時間も平年より長く、今春の飛散量が10年平均より大幅に低かった関係から、来春はどの地域も今年より3〜4倍前後の飛散量に達し、宮崎市では約6倍に上る予測である。なお、ヒノキの数が少ない九州南部よりも、多い九州北部の方が飛散量は多くなる傾向であるという。
 村山氏は、来年における花粉前線の予測結果を提示し、九州地方の中部と北部および四国地方、山口県、静岡県の一部は2月上旬、関東および東海、近畿、中国地方、九州南部は2月中旬、北陸・東北地方の中部・南部は3月上旬、東北北部は3月中旬から下旬、北海道地方は4月上旬から花粉の飛散が始まると説明した。


 従来の薬物療法は対症療法に終始していましたが、2014年10月から「スギ花粉舌下免疫療法」という根治療法ができるようになりました。
 当院でも数名に行っていますが、以前より薬を減らせて、しかも症状は軽いと喜ばれています。
 ただし、症状がなくても一年中服薬し、数年間は毎月受診が必要になります。有効率は100%ではなく(80%くらい)、数年間の努力が水の泡になる可能性もあります。
 根気と覚悟が要求される治療法ですね。

<参考HP>
【スギ花粉舌下免疫療法ができる医療機関】
スギ花粉症に対する舌下免疫療法相談施設検索(鳥居薬品)
【記事/体験記】
スギ花粉症の根治療法「舌下減感作療法」(OMRON)
花粉症地獄にお別れを 「舌下減感作療法」の効果は(日経電子版)
保険適応になったスギ花粉症の「舌下免疫療法」~推定3000万人の患者の救世主となるか!?(Health Press)
花粉症さん待望の「舌下免疫療法」、受けられない人って?(excite ニュース)
【製薬会社HP】
□ 「教えてドクター!花粉症のための舌下免疫療法」(協和発酵キリン)
□ 「もっと知りたいアレルゲン免疫療法」(鳥居薬品)
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