徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

医療系TVドラマ「コウノドリ」、お勧めです。

2015年10月26日 07時52分33秒 | 小児科診療
TBSで金曜日夜10時から放映されている医療TVドラマ「コウノドリ」。

強いインパクトを狙い、エキセントリックな展開を前面に出して視聴率稼ぎ見え見えの他番組と異なり、このドラマは真面目に作られています。
真摯に医療問題に取り組み、現場の協力を得て丁寧に制作されたことが窺われる完成度。
私はNICU(新生児集中治療室)勤務経験者ですが、そこで働いていた当時の雰囲気を懐かしく思い出しながら見ています。

鈴ノ木ユウさんによるマンガが原作で、産科医/小児科医の間では「このマンガはすごい!」と以前から話題になっていました。

とくに第4巻は「先天性風疹症候群」を扱っており、その問題点や切なさは医師から説明を受けるよりもわかりやすいと高評価されています。

予告編によると、今週10/30の放送分はその「先天性風疹症候群」を扱った内容のようです。
皆さん、是非ご覧ください。
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しつこく「集団免疫」効果について

2015年10月20日 09時23分46秒 | 小児科診療
 予防接種の目的として、

1.個人を感染症から守る
2.集団を感染症から守る
3.予防接種を受けられない人を感染症から守る(集団免疫)
4.感染症を撲滅する


 の4ステップがあります。1からはじまり、究極の目標は4ですね。しかし4を実現したのは今のところ天然痘のみ。
 さて、1と2は直接効果なので理解しやすいのですが、3はちょっとわかりにくい。
 しかし、大切な考え方なので以前から繰り返し扱ってきました(最後にリンクしました)が、まだまだ理解が広がらないのでダメ押しで取り上げます。

 今回、集団免疫の概念をわかりやすく解説している論文を見つけましたので紹介します。
 「若年層のインフルエンザワクチン接種率が高いほど、高齢者のインフルエンザ関連疾患の罹患率が低く抑えられた」という内容です;

■ 若年成人のインフルエンザワクチン接種が高齢者の予防作用を強化する
2015-09-17:Reuters Health)
 アメリカの全国データの新たな分析によると、65歳未満の健康な成人がインフルエンザワクチンを接種すると、その地域の高齢成人のインフルエンザ予防にも役立っている可能性があるとのことである。
 18歳から64歳の成人のワクチン接種率が最も高い群に居住する高齢者で、インフルエンザ関連疾患のオッズは、最も低い群に居住する高齢者よりも21%低かったことが判明した。
 若年健康成人で広くインフルエンザワクチン接種を行うと、高齢者におけるインフルエンザ診断の5.9%までを回避できる可能性があることを研究結果は示唆していると、研究者らは9月9日付けのオンライン版Clinical Infectious Diseasesで記述している。
 「高齢者に接触する成人は、インフルエンザワクチンを接種するよう特別に努力するべきであることが、我々の研究では示唆されている。これには、家庭内に高齢親族がいる人も高齢者と定期的に接触する人も含まれる」と、筆頭著者でオハイオにあるクリーブランドクリニックのGlen B. Taksler先生はReuters Healthへ電子メールで伝えた。
 「ワクチン接種がその地域の他の人々に役立つように見えることから、肯定的な背後関係を示す我々の所見は、インフルエンザワクチンを取り巻く一般的イメージの再構築に役立つかもしれない」と彼は付け加えた。

 米疾病対策センター(CDC)は、稀な例外を除き、生後6か月以上の全ての人にインフルエンザワクチンを年1回接種するよう推奨している。CDCの推定によると、アメリカでは平均で毎年約24,000件の死亡がインフルエンザにより引き起こされている。
 CDCによると、インフルエンザ関連疾患による入院の約3分の2、そしてインフルエンザ関連死の約90%は、65歳以上の人々で発生しているとのことだ。高齢者の次に、インフルエンザに関連する合併症発症率と入院率が最も高いのは、年少の子供と特定の基礎疾患のある全ての年齢層の人々である。
 「高齢者と免疫力が低下している人々においてはインフルエンザワクチンの効果は減少するため、これらの高リスクな人々がインフルエンザから自分を守る能力は限られている」とTaksler先生は述べた。
 若年の健康な成人は大抵インフルエンザから回復できるが、その地域の高齢者や他の高リスクな人々へ感染を広げることがある。
 若年成人のインフルエンザ感染の減少が高齢者への暴露を減少させ、高齢者を守ることになるかどうかを調査するため、研究者らは、313の都市周辺の群に居住する18歳から64歳の成人520,229人のインフルエンザワクチン接種率に関する情報を含むCDCの電話調査によるデータを取得した。このデータは、2002年から2010年までの8つのインフルエンザシーズンに及んでいた。
 Medicareに対する保険の請求から、300万人以上のMedicare加入患者の同期間内のインフルエンザワクチン接種率とインフルエンザ関連疾患に関する情報を得た。
 ワクチン接種をした若年成人の人数が多い地域で、高齢者のインフルエンザ関連疾患罹患率が全体的に低いことに加え、高齢者もワクチン接種をした方がベネフィットは一層大きいことも判明した。
 ワクチン接種を受けた高齢者のインフルエンザ関連疾患リスクは、ワクチン接種を受けた若年成人の数が多いことと関連して33%減少したが、ワクチン接種を受けなかった高齢者のリスク減少は13%のみであった。
 「これは、インフルエンザへの予防措置を取った高齢者が、地域全体でのワクチン接種からさらに利益を得ることを意味している」とTaksler氏は述べた。
 高齢者の免疫システムがインフルエンザワクチンに反応する力は弱いとしても、インフルエンザワクチンを接種した高齢者がその地域でインフルエンザに感染するまでには、それに比例して多くの感染者と接触する必要があるだろうと研究チームは推測している。従って、地域でワクチン接種をした若年成人の数が多ければ、インフルエンザ症例数はワクチン接種をしていない高齢者よりも、ワクチン接種をした高齢者で迅速に減少すると予期できるだろうと彼らは記述している。
 若年成人のインフルエンザワクチン接種率の高さと高齢者のインフルエンザ関連疾患罹患率の低さとは、インフルエンザシーズン中のピーク月、より厳しいインフルエンザシーズン中、そしてワクチンと主流のインフルエンザウイルスとがより適合した年において、より顕著に関連した。
 「過去の研究で、学齢期の児童に対するワクチン投与で、成人のインフルエンザ感染率を減らし得ることが示されている」と、この研究には関与していない、シアトルにあるGroup Health Research InstituteのMichael L. Jackson先生は述べた。
 「18歳から64歳の成人に関する群レベルのワクチン接種率の上昇が、高齢者におけるインフルエンザリスクの減少と相関することを、彼らは発見した。インフルエンザワクチン接種から影響を受けるはずがない(大腿骨近位部骨折や腰痛などの)対照となる転帰の使用を含め、数多くの感度分析をこの研究で行ったことは称賛すべきである」と彼は述べた。
 「Taksler氏と同僚たちが実施したこの研究から、若年成人のワクチン接種は、高齢者に対し『集団免疫』という中程度の利点ももたらすというエビデンスが得られている」と彼はReuters Healthへ電子メールで伝えた。
Clin Infect Dis 2015.


 さて、このような論文を読む度に思い出されるのが、1960年代から約30年間行われた日本のインフルエンザワクチン学童集団接種です。上記中の下線部はこれを指しているものと思われます。
 当時「効果がない、副反応が問題だ」と批判されて中止に追い込まれたものの、その後の統計学的分析で、集団接種期間は高齢者の死亡者数が低く抑えられていたことが判明し、世界的に再評価されたという経緯があります。

 みんなでワクチンを接種することにより、高齢者のみでなく(ワクチンが許可されていない6ヶ月未満の)乳児をも守るという意義が広まって欲しいと思います。

<このブログ内で「集団免疫」を扱った書き込み>
2015年03月21日)「われわれは自分たちだけのためにワクチンを接種しているわけではない」
2014年12月08日)ワクチン賛成派・反対派どちらにも伝えたい「集団免疫」という考え方
2014年02月17日)インフルエンザワクチンを毎年受けている日本人は、22.2%
2013年06月20日)風疹流行を阻止できるワクチン接種率は85%
2012年05月20日)百日咳対策を見直す~米国の「Cocoon Strategy」
2012年05月20日)ワクチン「接種率」の重要性
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麻痺を残す「エンテロウイルスD68」感染症

2015年10月18日 07時51分03秒 | 小児科診療
 先日、本ブログに「EV-D68」について記しました。

 この秋の咳の風邪~喘息患者の増悪の原因と認識していました。
 でも2014年にアメリカで流行し、ポリオのような麻痺の後遺症が問題視されているウイルス感染。

 そして、日本でも麻痺症例が出てしまいました。

■ 麻痺が残るエンテロウイルスD-68 流行のおそれ 感染研
2015.10.26:ハザードラボ
 昨年、全米で1000人以上が感染した“謎のウイルス”と呼ばれる「エンテロウイルスD-68型」の感染が、先月、東京や埼玉県内で相次いで確認されたと、国立感染症研究所が15日発表した。
 「エンテロウイルスD-68型」はぜんそく症状を引き起こす呼吸器疾患で、海外では昨年8月、米国で大流行し、今年1月までに全米で1153人が感染し、このうち14人が死亡したと報告されている。
 乳幼児や子供が発症しやすく、大人では症状が無かったり、軽傷で済む場合が多い。発熱やくしゃみ、鼻水などの軽症から、気管支炎や肺炎、呼吸困難に至り、重症化すると筋肉が虚弱化し、脳神経機能に異常をきたす場合もあり、麻痺が残るケースもある。
 国立感染症研究所によると、東京都内では9月に小児総合医療センターに気管支ぜんそくのような症状で入院する患者が急増。このうち生後11カ月の女の子や2歳の男児など4人の子供の鼻水や気管内から「エンテロウイルスD68型」が検出された。
 さらに埼玉県内でも、医療機関に入院した11カ月の男の子や5歳の女児など8人からウイルスの陽性反応が報告された。いずれも気管支ぜんそくや急性気管支炎で入院し、このうち11カ月の男の子は、9月7日に右半身に弛緩性まひの症状が現れて入院。9日から10日にかけて左足にもまひが進み、退院後も右側には後遺症が残ったという。
 エンテロウイルスD-68型は、国内では2010年と2013年に120例以上の感染が報告されたが、今年は今月13日までに全国で51例発生している。ウイルスに対するワクチンは今のところ無く、国立感染症研究所では、予防のためにこまめな手洗いと塩素系の消毒剤による消毒が有効だとして注意を呼びかけている。


 詳細はこちら;

■ エンテロウイルスD68型が検出された、急性弛緩性脊髄炎を含む8症例―さいたま市
2015.10.15:国立感染症研究所
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インフルエンザ流行情報

2015年10月16日 13時09分12秒 | 小児科診療
 発熱、咳の患者さんはいますが、まだ当院ではインフルエンザ患者さんはゼロです。
 一時、なりを潜めていた流行~学級閉鎖のニュースが最近また聞かれるようになりました。
 下記記事では茨城県ではA型、静岡県ではB型が検出されています;

■ インフルエンザ、小美玉で学級閉鎖 茨城県内では今季初
(朝日新聞 2015年10月15日)
 茨城県は14日、小美玉市立小川小学校でインフルエンザが集団発生し、1年生1クラスを16日まで学級閉鎖すると発表した。インフルエンザの集団発生による学級閉鎖は県内で今季初。入院が必要な重症者はいないという。
 県保健予防課によると、1年1組の22人のうち男女計6人が14日までに発症。さらに4~6年生の男女計11人と50代の男性教諭1人の合わせて18人が発症した。全員が簡易検査で「インフルエンザA型」と診断された。


■ 静岡県内初、インフルで学級閉鎖 焼津の市立小
(朝日新聞 2015年10月16日)
 静岡県疾病対策課は15日、インフルエンザの集団感染が原因で、焼津市立大富小学校の1クラスが学級閉鎖になったと発表した。期間は16日まで。2年生の1クラスで児童28人のうち13人が体調不良を訴え、そのうち8人が高熱などで欠席している。一部の児童がインフルエンザB型と診断されており、重症者はいない。
 インフルエンザの感染が原因の学級閉鎖は、県内では今季初めて。
 疾病対策課は「うがいや最低15秒以上の手洗い、早めのワクチン接種など感染の予防に努めてほしい。せきやくしゃみが出そうなときは周囲の人から顔をそらし、マスクやティッシュペーパーで口元を覆う『せきエチケット』も心掛けてほしい」と呼びかけている。
 同課によると、今季のワクチンはウイルスのタイプが従来の3種類から4種類に増え、65歳以上の人向けに法律で定められた定期接種の自己負担額は県内7市町で200~600円値上がりした。
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2015/16シーズンのインフルエンザワクチン接種開始。

2015年10月14日 07時45分10秒 | 小児科診療
 紅葉情報がTVから続々流れ、秋を感じさせる季節が到来しました。
 当院では本日、インフルエンザワクチン接種を開始します。
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2015年夏、原発稼働ゼロでの電力事情

2015年10月10日 06時51分37秒 | 日記
 2015年の夏は暑かった。
 でも、稼働していた原発はゼロ。
 しかし、電力不足は話題になりませんでした。

■ 太陽光発電:電力9社 今夏ピーク時の供給は原発10基分
2015年10月09日:毎日新聞
 沖縄電力を除く大手電力9社が今夏の需要ピーク時に供給した電力のうち、太陽光発電が6.4%を占めたことが9日、分かった。太陽光発電の新設が進んでいる上に、日射量に恵まれ、昨夏の3.7%から倍近く伸びた。出力は原発約10基分に相当する計1093万キロワットだった。
 経済産業省の有識者会合は9日、原発を持たない沖縄電力を除いた、9社管内の今夏の電力需給を検証した。太陽光発電は日差しが強い夏の日中に発電量が伸びる特徴がある。
 冷房の電力消費量が増える時間帯と重なるため、夏場の電力需給の緩和に役立った。


 な~んだ。ソーラー発電で補充されていたのですね。
 そういえば、道を車で走るといたる所にソーラー発電装置が目に付きます。

 しかししかし、政府は原発再稼働に躍起になっているように見えるのはなぜでしょう?
 
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インフルエンザワクチンは重症化(肺炎で入院)を半分以下に減らす

2015年10月09日 09時50分17秒 | 小児科診療
 いよいよ来週、当院でもインフルエンザワクチン接種がはじまります。
 私自身は先頭を切って昨日接種しました。
 ちょっと痛かったけど、今日は腫れていないし全然大丈夫。

 さて、本日紹介する論文は「インフルエンザワクチンが軽症化に役立つ」という報告です。
 「ワクチンは病院に入院するレベルのインフルエンザ陽性肺炎患者を57%減らす効果がある」という内容;

■ ワクチン未接種の患者が多いインフルエンザ関連肺炎による入院
2015.10.08:メディカル・トリビューン
 米・Vanderbilt UniversityのCarlos G. Grijalva氏らは,市中感染肺炎により入院した患者のうち,インフルエンザ関連肺炎の患者は,インフルエンザ非関連肺炎の患者と比べ,小児・成人ともにインフルエンザワクチン未接種が多いことが分かったとJAMA(2015年10月5日オンライン版)で報告した。

□ インフルエンザ関連肺炎のみで検討
 米国における季節性インフルエンザの流行による入院は年間平均22万6,000件で,死者数は3,000~4万9,000人に上る。肺炎は,米国において主要な感染症入院と死亡の原因となっており,インフルエンザの合併症としても一般的で,かつ重症化する場合が多いが,インフルエンザワクチン接種により市中肺炎による入院リスクが減少するか否かは不明であった。肺炎全般に焦点を当てた研究は過去にもあったが,インフルエンザウイルスを原因とする肺炎は一部であり,ワクチンの有効性を肺炎全般で評価するには無理がある。今回の症例対照研究では,ワクチン接種とインフルエンザ関連肺炎との相関のみに焦点を当てた。
 2010年1月~12年6月に米国の4地域(テネシー州ナッシュビルおよびメンフィス,シカゴ,ユタ州ソルトレークシティー)8施設で市中肺炎入院患者を追跡した多施設前向き観察研究EPICの一環として,生後6カ月以上で検体検査によりインフルエンザ感染が確認された患者のデータを用い,インフルエンザ陽性の肺炎患者(症例群)と陰性の肺炎患者(対照群)の間で,さまざまな因子(人口統計学的因子,合併症,季節,地域,発症時期)を調整後のインフルエンザワクチン接種率を比較した。最近の入院患者,長期療養施設入居者,重度の免疫抑制患者は除外した。

□ 症例群の接種率は57%低い
 合計2,767例の入院患者が登録基準に合致し,そのうち162例(5.9%)が検体検査でインフルエンザ陽性で(症例群),2,605例が陰性であった(対照群)。インフルエンザの予防接種を受けていたのは,対照群では29%(766例)であったのに対し,症例群では17%(28例)であった。背景因子を調整後の症例群におけるインフルエンザ接種率のオッズ比は0.43(95%CI 0.28~0.68)で,ワクチンの推定有効性は56.7%(同31.9~72.5%)であった。
 Grijalva氏らは「市中肺炎により入院した小児と成人において,検体検査でインフルエンザ関連肺炎が確認された患者のワクチン接種率は,インフルエンザ非関連肺炎患者の接種率と比べて低かった」と結果をまとめ,「今回の研究は,インフルエンザ感染の判断に前向きかつシステマチックな方法を用い,肺炎入院の定義も標準化している。今回示された症例群と対照群の間のワクチン接種率の差と,ワクチンの有効性に関する情報を基に,ワクチン接種により全米で回避できる肺炎入院数を推算できるであろう」との考察を述べている。
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2016年のスギ花粉予報

2015年10月09日 07時25分57秒 | 小児科診療
 少々気が早い印象もありますが、来年2016年のスギ花粉予報が日本気象協会から発表されました。
 当地群馬県は、2015年シーズンよりやや多く、例年との比較では“ふつう”のようですね。

■ 花粉情報(2016年春の花粉飛散予測) ~花粉の飛散数は、前シーズン並みか上回る地域も~
2015年10月7日発表:日本気象協会

<全国の概況>
(1)概要
前シーズン比:花粉飛散数は前シーズン並みか上回る地域が多い
例年比:東北地方を除き全国的に例年並みか少ない地域が多い
 前シーズンは、2015年春のスギおよびヒノキの花粉(北海道はシラカバ)の総飛散数が西日本を中心に少なく、東北地方では多くなりました。
 2016年春の花粉飛散予測は、四国地方と九州地方では前シーズン比で約1.5倍の飛散数となる見込みです。また東海地方、近畿地方でも前シーズンより花粉がやや多く飛ぶ予測となっています。関東地方や中国地方ではほぼ前シーズン並みで、北海道や東北地方、北陸地方ではやや少ない見込みです。
 一方、例年比でみると、東北地方が例年並み以上の飛散で、そのほかの地域では例年並みか下回る見込みです。









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児童虐待が増え続けている

2015年10月09日 07時00分01秒 | 小児科診療
 私は児童虐待もDVもいじめも、加害者が虐げられた結果としての「八つ当たり」のバリエーションだと思っています。
 そしてその対象は社会的弱者に収束し、報道されるのは被害者の視点です。

 しかし、幸福な生活をしている母親がわが子を虐待するでしょうか?
 ・・・貧困と夫からのDVに悩まされている例は珍しくないはずです。
 では、加害者の夫は幸せでしょうか?
 おそらく、社会からいじめられて孤立していると思います。
 大人のいじめは陰湿で、学校の先生は助けてくれませんからね。

 というわけで、「幸せでない社会の縮図」として児童虐待が増えているのではないか、と以前から考えています。
 虐待が減って初めて、日本がよくなった、政治がよくなったと判断すべきでしょう。
 経済効果だけで評価されるべきではありません。

■ 児童虐待最多 8万8931件、現場「限界」
毎日新聞 2015年10月09日

 全国の児童相談所(児相、207カ所)が2014年度に対応した児童虐待件数は前年度比20・5%増の8万8931件(速報値)で、調査を始めた1990年度から24年連続で増加した。虐待から子どもたちを守る児相の職員1人あたりの仕事量は増え続け、現場では「もう限界」との悲鳴も上がる。専門家は「虐待に対応する仕組みを根本的に見直す時期にきている」と指摘している。

◇ 児相、増え続ける負担
 名古屋市では2010年度に833件だった児童虐待の対応件数が、14年度には1969件と倍増した。その一方、現場で対応の中核を担う児童福祉司は45人(10年度)から66人(14年度)への増員にとどまり、1人にかかる負担は増している。
 多くの職員が1人で60ほどの家庭を受け持つ。平日は学校や行政機関などとの連携に追われ、休日返上で保護者面接や家庭訪問にあたらざるを得ない。支援する家庭の都合に合わせるため、自分のスケジュールさえなかなか見通せない。問題が親権停止の審判など法的な手続きに発展する可能性もあるため、経過を逐一記録するなど大量の資料作成も必要。全国の児相に共通する問題だ。
 厚生労働省の専門委員会が8日公表した13年度に虐待死した子ども36人の分析結果にも、職員の多忙さが表れている。死亡した子どもを担当した職員33人の平均受け持ち件数は109・1件。200件を超える事案を受け持っていた職員もいた。虐待だけでなく、親が離婚したり失踪したりした子どもの保護など多様な問題にも対応しなければならず、常に仕事に追われているのが現状という。
 虐待を巡る制度変更が職員の多忙さに拍車をかける。厚労省は07年、虐待通報から48時間以内に安否確認をする「48時間ルール」を決めた。13年8月には虐待を受けた子どものきょうだいも「心理的虐待」を受けたとみなすよう厚労省が指針を改定し、児相が調査するようになった。元児童福祉司の男性は「業務記録を記載する余裕がない。48時間ルールの対象に心理的虐待も加わり、人手が追いつかない」と打ち明ける。
 職員の精神的疲労も課題だ。虐待を認めない保護者との間では時に激しいやりとりになるといい、疲弊する職員は少なくない。
 一方、現場では工夫も始まっている。名古屋市は児相職員をバックアップするため、弁護士を公募し、4月に橋本佳子弁護士(30)を主幹として採用した。児相に配置され、法律の専門家として、虐待のため保護者から児童を一時保護する「緊急介入」にも立ち会い、保護者に分かりやすく説明する役割などを担う。橋本弁護士は「虐待がある家庭には両親の離婚や貧困などの問題を抱えている場合が少なくない。さまざまな問題を考慮し、どうすれば法的に適切で最大限の支援策が組めるのか、確認しながら対応している」と話す。白石主幹は「悩むケースは必ず橋本弁護士に相談している。確実に職員の負担が減った」と歓迎している。【岸達也、古関俊樹】

◇ 拡大する家庭の孤立
 全国の児童相談所が対応した児童虐待は2009年度は4万4211件で、わずか5年で2倍になった。主な要因の一つに虐待として扱う対象の広がりがある。
 虐待を受けた子どものきょうだいも心理的虐待を受けたとみなす13年8月の厚生労働省の指針改定もその一例だ。13年度の心理的虐待は2万8348件(38・4%)になり、統計を取り始めた1990年度から23年連続で最も多かった身体的虐待、2万4245件(32・9%)を初めて上回った。
 また、04年の児童虐待防止法改正で、親が子どもの前で配偶者に暴力を振るう「面前ドメスティックバイオレンス(DV)」も子どもへの心理的虐待になるようになった。全国の警察による通告件数は12年は5431件だったが、14年は1万1669件と2年で倍増した。
 社会福祉法人子どもの虐待防止センター(東京都世田谷区)理事長の松田博雄医師は「4~5年前から心理的虐待の通告が増え、全体の相談対応件数を押し上げている。身体的虐待やネグレクトの割合が圧倒的な欧米ではみられない特徴だ」と分析する。そのうえで「その後の調査で深刻な虐待が判明し、早期の対応につながるケースもある。件数の増加をマイナス要因とだけみるのは誤りだ」と指摘する。
 一方、虐待増加の背景に、所得格差の拡大や家庭のあり方、環境の変化を指摘する専門家もいる。元大阪市中央児童相談所長の津崎哲郎・関西大客員教授(児童福祉論)は「所得格差の拡大があり、精神疾患を抱えたひとり親や子連れの再婚家庭、夜間就労せざるを得ない親など、孤立した不安定な家庭が増加している」と語る。「健全とみられる家庭も地域や親族の支えがなく、不安定になるケースもあり、こうした環境下で親の未熟さとして虐待が表れる面はある。地域や家庭の特性に応じた支援が虐待予防のためにも重要だ」と強調する。
 松田医師は児相を取り巻く環境の悪化も懸念する。「ハードワークな上に何かあれば周囲にたたかれ、職員のなり手がいない。虐待への対応を児相に任せきりにせず、警察や医療、福祉などが広く連携するなど、根本的に虐待対応の仕組みを考え直す時期にきている」と訴える。
 厚労省の専門委員会は虐待対応を巡る課題について議論しており、厚労省はその結論を踏まえ、児童福祉法などの改正を目指す方針。【野倉恵、黒田阿紗子】
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EV-D68による喘鳴

2015年10月08日 08時04分05秒 | 小児科診療
 9月はゼーゼーする患者さん、久しぶりに発作を経験した軽症喘息患者さんの受診が目立ちました。
 秋は喘息のハイシーズンなので、こんなものかなあ、でもちょっと多いなあ・・・という印象を持っていたところに、以下の記事が目に留まりました。

 犯人はエンテロウイルス D68という病原体による感染症の可能性大。
 なるほど。腑に落ちました。
 昨年の米国の流行(アウトブレイク)では麻痺や神経症状の合併症/後遺症も報告されていますが、日本では今のところ発生報告はないようです。
 一部を抜粋します;

■ 気管支喘息様症状の小児入院例からEV-D68が検出
 東京都立小児総合医療センターが小児4症例を報告
 昨年8月には米国で治癒後に麻痺を生じた例も

2015/10/2 加納亜子=日経メディカル

 昨年、米国各地で呼吸器疾患のアウトブレイクが発生し、その後にポリオ様の急性弛緩性麻痺を来した入院患者が相次いだことで注目されたエンテロウイルスD68(EV-D68)。2015年9月、東京都立小児総合医療センターへ気管支喘息様症状による呼吸障害で入院する小児患者4人からこのEV-D68が検出されたことが10月1日に国立感染症研究所のウェブサイトで発表された。
 報告によると、2015年9月に東京都立小児総合医療センターへ気管支喘息様症状による呼吸障害で入院する患者が著しく増加。喘息様症状の原因を探るため、RSウイルス(RSV)やヒトメタニューモウイルス(hMPV)、アデノウイルス、インフルエンザウイルスなどを疑い、気管内分泌物などを用いてPCR検査を実施したところ、これら通常の呼吸器ウイルスは検出されず、EV-D68が検出された。
 その後、EV-D68アウトブレイクを疑い、5人から検体を採取したところ、このうち4人からEV-D68が検出された。報告されたのは、11歳1カ月の女児、7歳1カ月の男児、5歳3カ月の男児、2歳8カ月の男児の4人。このうち2人は気管支喘息の既往歴があったが、吸入薬の投与を必要としていたのは1人のみだった。4人中2人には気管支喘息の既往歴はない。
 東京都立小児総合医療センターを受診したEV-D68の4症例は、気管支喘息の既往の有無にかかわらず閉塞性呼吸障害を来していた。同センターは、現時点では「弛緩性麻痺や脳神経異常を呈した症例の報告はないものの、今後の動向に注意する必要がある」とまとめている。

 エンテロウイルス感染症は、夏から秋にかけて多く発生し、冬に減少する傾向がある。感染により起こる症状は主に呼吸器症状とされ、軽度の発熱、鼻水、くしゃみといった感冒症状から、気管支炎や肺炎などの下気道炎、喘鳴、呼吸困難まで様々な症状を呈することが知られている(参照記事:エンテロウイルスD68の国内流行に備えよ)。
 昨年8月には米国のミズーリ州とイリノイ州を皮切りに、全米でEV-D68による呼吸器疾患のアウトブレイクが発生。2015年1月15日までに中程度から重度の呼吸器疾患を発症し、EV-D68が検出された患者は49州で1153人となった。このうち14人が死亡した。
 加えて、米国では、このEV-D68のアウトブレイクの報告とほぼ同時期に、小児が急性弛緩性麻痺や脳神経障害を発症する例が相次いだ。米コロラド小児病院では、アウトブレイクの時期に急性弛緩性麻痺や脳神経障害を生じた12人中5人からEV-D68を検出。これらの神経症状とEV-D68感染との流行に関係があるとして、2015年1月28日にLancet誌電子版に報告していた。
 なお、コロラド小児病院の入院患者に生じた神経障害は、弛緩性の四肢の脱力や脳神経障害。発声不全や構音障害、嚥下困難といった球脊髄性の障害、第VI脳神経障害である複視、第VII脳神経障害による顔面下垂などの例も報告されている。

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