徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

「その検査や治療、ホントに必要?」

2013年02月27日 07時13分16秒 | 小児科診療
 こんなニュースを見つけました;

「その検査や治療,本当に必要?」17学会がトップ5リストを発表 
(2013.2.25:MTPro)
 2月21日,米国の17学会が米国内科専門医認定機構財団(ABIM Foundation,以下ABIM)の運営するキャンペーン“Choosing Wisely”で「一般的に行われているが,必ずしも必要のない検査や治療トップ5」を発表。今回,2回目のリストを発表した米国家庭医学会(AAFP)を除く16の学会が同キャンペーンに初めて加わった。


 この中のアメリカ小児科学会が発表したリストは以下の通り;

【米国小児科学会(AAP)】
1.明らかなウイルス性呼吸器疾患(副鼻腔炎,咽頭炎,気管支炎)に抗菌薬を使用しない
2.4歳以下の小児の呼吸器疾患に鎮咳薬や感冒薬を処方したり,勧めたりしない
3.軽度頭部外傷の小児に対する緊急CTは必要ない:画像診断の適応判断には臨床観察やPECARN(Pediatric Emergency Care Applied Research Network)クライテリアを用いる
4.単純熱性痙攣の小児に対する神経画像診断(CT,MRI)は必要ない
5.腹痛に対するCTのルーチン検査は必要ない


 1は日本でも同じ状況です。風邪で熱があれば抗生物質・・・私が医者になった四半世紀前は当たり前でしたが、現在は減ってきていると思われます。
 私はいわゆる’かぜ’には抗生物質を処方していませんが、気管支炎所見があるとウイルス性とマイコプラズマ/クラミジアの鑑別が困難な場合もあり抗生物質を処方することがありますね。
 一方で、副鼻腔が発達していない乳児の膿性鼻汁に「副鼻腔炎(=蓄膿症)」と名付けて延々と抗生物質を投与している耳鼻科医は珍しくありません。内科系と外科系の考え方の違いなのかなあ。

 2はアメリカと日本で温度差がありそうです。以前かぜ薬について調べたことがあり、純粋な医学的問題に限定されない医療行政・医療システムの問題をも内包しており簡単には説明しかねますので、こちら「かぜ薬のお話」をご覧ください。

 3・4・5はCT撮影装置のある病院レベルでの話。アメリカでも気軽に撮影される傾向があるのでしょうか。ちなみにCTスキャン1回でレントゲン写真100回分の被爆(!)があります。
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雪国

2013年02月26日 08時38分54秒 | 日記
 今年の東北・北陸地方の天気予報は雪マークばっかりで、各地で「観測以来最高の積雪」を記録しています。
 日本記録を更新したのは、青森県酸ヶ湯;

青森・酸ヶ湯、積雪556センチ 国内記録また更新(2013年02月26日:河北新報)
 強い冬型の気圧配置の影響で、東北地方は25日も断続的に雪が降り続いた。青森地方気象台は同日、青森市酸ケ湯で午後5時に積雪556センチを観測し、稼働中の全国の観測地点で国内最高を記録したと発表した。
 青森市酸ケ湯は21日に515センチの国内最高を記録し、24日夜に529センチを観測、記録を更新したばかりだった。25日は前日からの24時間で新たに40センチ前後が積もり、記録をさらに更新した。
 気象台によると、酸ケ湯は八甲田山中腹の標高890メートル地点。雪は25日夜にいったん小康状態になるが、27日に別の低気圧が通るため、また雪が降りやすくなる見込み。積雪は630センチまで観測可能という。
 青森県内の25日午後6時現在の積雪は酸ケ湯で555センチ、弘前市で過去最高の151センチ、青森市で139センチ、むつ市で76センチ、八戸市では19センチなど。各地で平年の2倍前後に達し、特に津軽地方で記録的な豪雪となっている。
 青森以外の東北各地も大雪で、各気象台によると、岩手県西和賀町湯田で269センチ、山形県金山町で222センチ、尾花沢市で238センチ、福島県只見町では336センチなど。いずれも過去最高の積雪を記録した。


 約30年前の学生時代に済んでいた青森県弘前市は、岩木山である程度雪が落ちるので青森市の半分くらいしか雪が積もりませんでした。当時は「青森市1m、弘前市50cm」がふつう。
 その弘前で151cmとは驚きです。

 雪国に憧れて行ったものの、最初の一年で「大変なところにきてしまった」と気づきました。
 日常生活の中では、溶けない雪(根雪)はロマンチックなものではなくて「白いゴミ」なのです。その行く先(ゴミ捨て場)は川です。

 冬に数回、自治体による大規模な除雪作業があるのですが、実施するタイミングが難しいと新聞で読んだことがあります。
 数回分しか予算がないので、早すぎると雪が残ってしまい、遅すぎると生活に支障が出てクレームの嵐。

 雪が凍って滑って転んだことも数知れず。
 そうそう、防寒靴の靴底には滑り止めの金具が仕込んであるものが売られていました。関東地方ではあのような仕様は見たことがありません。

 津軽平野にある五所川原という土地では「地吹雪」が名物です。
 降った粉雪が風に舞って視界を妨げるのです。
 実際に友達の車に乗せてもらって地吹雪の中を走った経験がありますが、ほんとに5m先は見えませんでした。
 それを逆手に取った観光名物「地吹雪体験ツアー」なるものが、私が大学を卒業して青森県を離れる年にはじまりました。

 雪解けの春が来ると、町中に焦げ臭いニオイが立ちこめます。
 当時はまだスタッドレス・タイヤが許可されていたので、坂道で道路を削るのです。
 粉塵公害もあっただろうなあ。

 などととりとめもなく考えてしまう今日この頃。
 受験生の皆さんは、前期試験まっただ中。
 私の時の合格発表の電話連絡サービスは「ミチノクハルキタル」でした(不合格は「ツガルユキフカシ」)。
 あ、「すべった」なんて禁句ですね。

<追記> 2013.2.28
 雪国の除雪事情が読売新聞に掲載されました;

頭痛い東北除雪…埋まる川・処理費は底尽く
(読売新聞 2013年2月27日)
 東北地方を襲った豪雪が住民の生活を直撃している。
 青森地方気象台によると、27日は冬型の気圧配置が緩み、東北地方北部の雪は一段落したが、住宅街や道路の除排雪が追いつかず、各地で交通渋滞が起きた。除雪費もかさみ、自治体は頭を痛めている。
 青森県弘前市は今月25日に観測史上最も多い153センチの積雪を記録した。27日朝には138センチになったが、市中心部を流れる土淵(つちぶち)川は住民が捨てる雪で約500メートルにわたって埋まっている。川沿いの住宅地は道幅が狭く、排雪のダンプカーが入りづらいからだ。
 県や市は雪解け時に水量が増加する恐れがあるとして、10か所に「雪捨て禁止」の看板を急きょ設置したが、近くの男性(81)は「排雪が来ないなら、川に捨てざるを得ない。家がつぶれてしまう」と訴える。
 道路も除排雪が進まず、22日頃から生活道路などで渋滞が発生。救急車が約5キロ先に到着するまで約1時間かかるケースもあった。
 こうした状況を受けて市は27日、生活道路の緊急除雪を始め、同市稲田ではショベルカーが除雪した雪をすぐにダンプカーで運び出した。雪かきをしていた松田文祥さん(71)は「8メートル幅の道路が、除雪で道の脇に寄せられた雪で2メートルほどに狭まった。排雪に来てくれて助かった」と話した。
 豪雪の影響は、自治体の財政にも影を落とす。青森県では除雪費として確保していた19億円が底を尽き、三村申吾知事は27日、財政措置を総務省に求めた。


 土淵川、懐かしいなあ。
 その流れ近くのアパートに住んでいたことがあり、川沿いの道はジョギングコースでもありました。
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繰り返す風疹流行(再)

2013年02月21日 06時19分15秒 | 小児科診療
 昨年6月に書いたブログ「繰り返す風疹流行」。
 日本全体で危機感が足りないことを憂い、先天性風疹症候群(Congenital Rubella Syndrome, CRS)の赤ちゃんの発生が懸念されると記しました。
 あれから半年以上経過していますが、状況は悪化するばかり。

 被害者とも云うべきCRSが6例も発生しています。これは近年まれに見る悪い数字です。
 以下は病原微生物検出情報Vol. 32 p. 250-252: 2011年9月号(国立感染症研究所:感染症情報センター)からの抜粋です;

 CRSは1999年4月から5類全数把握疾患とされ、2011年8月までにCRSが19例報告された()。CRS 19例のうち母親の予防接種歴が記録で確認されていたのは1例のみであった。13例は母親の妊娠中の風疹罹患歴が有り、4例は無かった。2005年以降のCRS 5例中3例の母親が海外で感染していたのが目立つ。

 過去12年間に19例しか報告されていないCRSが、2012年10月からの数ヶ月間に6例も発生しているのです。
 医者がしっかり診断すれば防げるというものではありません。
 成人では風疹に罹っても症状が出ない不顕性感染が15%存在するとされています。表に示したCRS症例でも19例中4例(21%)は妊娠中の風疹罹患がなかったと報告されています。


 関連動画ニュース;
□ 「東京で風疹流行 赤ちゃんへの障害も全国で6件報告」(2013.2.4:FNN)
□ 「妊娠中の女性はご用心!大人の風疹が異例の大流行」(2013/02/19 テレビ朝日)

※ 参考:
□ 先天性風疹症候群の患者さんのHP「カニサンハウス~たえこの部屋
□ TVディレクターのブログ「忘れられた沖縄風疹児1・2・3・・・10
□ CRSにより難聴を抱えた子どもたちが活躍する実話に基づく漫画「遙かなる甲子園」(山本おさむ作)・・・映画にもなりました。

 南米ブラジルでは「ポリオワクチンの日」を設定し、全国の子どもたちが一斉にワクチンを接種するというシステムで見事に制圧した歴史があります(「世界のポリオ」)。
 日本でも「風疹ワクチンの日」を設定し、一網打尽に風疹感受性者を減らすくらいの施策が必要ではないでしょうか。
 厚労省はまたも「呼びかけ」だけですか?
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インフルエンザ流行はピークを越え、B型へ移行

2013年02月21日 05時36分28秒 | 小児科診療
 A型インフルエンザの流行は下火になり、外来も夏のように暇になりました。
 溶連菌感染や感染性胃腸炎が目に付くくらい。

 しかし、巷ではB型が増え始めているそうです;

インフルエンザ:警報解除も「B型」が増加傾向 県、引き続き注意を /群馬
(毎日新聞 2013年02月20日)
 群馬県は19日、1医療機関当たりの11~17日のインフルエンザ患者数が8・40人になり10人を下回ったとして、1月22日に発令していたインフルエンザ警報を解除した。直近で警報が発令された10年度に比べると2カ月早い解除だが、これまで主に流行していた「A香港型」に代わり「B型」の患者が増加傾向にあり、県は再流行の可能性もあるとみて引き続き感染防止対策の徹底を呼びかけている。


 当院ではまだB型の患者さんはゼロです。

 インフルエンザは毎年流行しますが、その規模やパターンはまちまち。
 昨年の今頃はどうだっただろう・・・私が頃書いたブログです;

□ 「2月19日休日当番医報告~インフル流行のピーク~

 忙しくててんてこ舞いしている様子がうかがわれます。すでにB型がメインでしたね。
 大流行した翌年は、同じ型は流行らないという傾向がありますが、今年は如何に?
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ウイルスより危険な「ウイルスプロテクター」

2013年02月19日 07時03分58秒 | 小児科診療
 最近、首から妙なものをぶら下げている幼児が時々来院するようになり気になっていました。
 なんでも、それを装着していると感染予防になるとのこと。
 といっても、その子どもが風邪を引いて来院しているのですから、効果は知れたもの。
 むしろ、つりひもを何かに引っかけて首を絞めるトラブルが起きないか心配です。
 またヘンなものが流行ってきたなあ・・・と思っているところに以下のニュースが飛び込んできました;

やけどで中止呼び掛け ウイルスプロテクター2013.2.18 産経新聞

 首に掛けるだけでウイルスや菌を除去できる「空間除菌」効果をうたった「ウイルスプロテクター」を使用した人がやけどを負う事故が発生しているとして、消費者庁は18日、直ちに使用を中止することを呼び掛けた。
 消費者庁によると、この商品は中国製で、金沢市の「ダイトクコーポレーション」が1月25日から販売。千葉県で幼児の胸の皮膚が化学熱傷でただれ重傷を負うなど、今月6日以降、6件の事故情報が寄せられた。既に国内で70万個以上、販売されており、厚生労働省が同社に自主回収を指導する予定。
 首から下げたプレートの中に、漂白剤に使われる次亜塩素酸ナトリウムの錠剤が不織布に包まれており、汗に触れると成分が溶け出し、皮膚に刺激を与えるとみられる。


※ 参考:「ウイルスプロテクターは直ちに使用中止を」(消費者庁の正式発表)

 「次亜塩素酸ナトリウム」は日常的に身の回りにある物質で、漂白剤・殺菌剤として利用されています。
 漂白剤の「ハイター」、ほ乳びん消毒用の「ミルトン」がそうですね。
 ノロウイルスにも有効な消毒剤としても話題になりました。
 そうそう、プールの消毒に使われる、あのニオイです。

 しかし、確実な効果を発揮するためには適切な濃度を用いることが必要であり、薄くては無効、逆に濃すぎると人体に害を及ぼします。
 基本的に液体で使用し、気体では用いません。希釈液を作成する際にも「マスクと手袋を着用し十分な換気が必要」を注意が喚起されています。

 だいたい開放された空間で消毒剤を首からぶら下げてどれだけ効果があるのか疑問です。
 あっという間に拡散して、必要な濃度が維持できないからです。
 プールの消毒のニオイがぷんぷんするくらいの濃度が必要なのではないでしょうか。

 首からぶら下げるという発想は、事故予防と感染予防の両者の視点から「間違い」ですね。

<追記>
 ネットで検索すると、同じ効果を謳った「ウイルスガード」や「ウイルスブロッカー→ 名称改め、空気除菌ブロッカー」という製品がヒットします。
 日本製であり、こちらの方が先発品でしょうか。
 主成分は「塩素酸塩」、薬効は「二酸化塩素」によると記されており、「次亜塩素酸ナトリウム」を主成分とするウイルスプロテクターとは異なり、健康被害も報告されていないようです。
 しかしWikipediaの記載によると必ずしも安全性は確保されていない様子、下記のような情報もあり、こちらも検証が必要と思われます。

※ 参考:
□ 「ウイルスブロッカーの危険性」(openブログ)
□ 「二酸化塩素による除菌をうたった商品-部屋等で使う据置タイプについて-」(国民生活センター)
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病院当直は通常勤務並・・・。

2013年02月14日 20時13分06秒 | 小児科診療
 病院勤務医を辞してから8年近く経ちました。
 下記ニュースを目にして、勤務医時代を思い出し、つらい記憶が甦りました;

医師当直は時間外労働…割増賃金命じた判決確定(読売新聞 2013年2月13日)
 奈良県立奈良病院の産婦人科医2人が県を相手取り、夜間・休日の当直勤務に対して割増賃金を支払うよう求めた訴訟で、最高裁第3小法廷(大谷剛彦裁判長)は12日の決定で県側の上告を退けた。
 当直は労働基準法上の時間外労働に当たるとして、県に計約1540万円の支払いを命じた1、2審判決が確定した。
 同法は、時間外や休日に労働させた場合、通常より割り増しした賃金を支払うと規定。2人は2004-05年、各年100回以上の当直をこなしたが、県は「医師の当直は待機時間が多く、時間外勤務に当たらない」として、1回2万円の手当だけ支給していた。
 1審・奈良地裁判決は、原告らが当直中に分娩(ぶんべん)の取り扱いや救急医療を行うなど、勤務時間の4分の1は通常業務に従事し、待機時間も呼び出しに応じられるよう準備していたなどとして、県には割増賃金を支払う義務があると指摘。2審・大阪高裁も支持していた。


 私は小児科医なので、内科系当直を担当していました。
 内科疾患の診療経験がなくても「断ってはいけない」との上からのお達しで、救急搬送される重症患者の診療も行わざるを得ず、非常に大きなストレスでした。
 夜間もコンスタントに患者さんが来院され、眠りかけると1時間ごとに起こされて診療に当たりました。
 それでも翌日の仕事があるので寝る努力をし・・・また起こされることを繰り返しているうちに東の空が明るくなってくるのでした。
 3時間まとめて眠ることができると「ラッキー」というレベル。
 ある種の拷問のように感じました。

 「ポケベル待機」は呼ばれない限り報酬はゼロです。
 でも、呼ばれたら30分以内に病院へ駆けつけなければいけないという不文律がありました。
 つまり遠出はできない、アルコールも飲めないという「足かせ」をはめられる業務です。
 無報酬で有資格者を拘束するなんて、人権侵害も甚だしい。

 上記記事のように計算すると、強制されたボランティア労働の対価はわたしでも相当な額になりそうです。

 このような労働環境では、30歳台まではなんとか体力が持ちますが、40歳を過ぎると体がボロボロになります。
 特に当直明けは仕事になりません。
 不条理を感じながらも訴訟を起こす元気もなく、このままでは早死にすると危険を感じて開業を考えるに至りました。

 医療崩壊(勤務医が燃え尽きて脱落する)を止めるためには、救急医療を掲げる病院に対して「当直医師に2交代制を義務づける」くらいのルールを作らない限り無理だと思います。現在も医師以外の事務職や看護師は2交代制なのに、医師だけ過酷勤務を強いられているのです。

 「医療費を他の先進国並みに引き上げる」と公約を掲げた民主党政権は医療費抑制路線から舵を切れないまま自滅・消滅しました。
 さあ、自民党政権のお手並み拝見です。
 あまり期待していませんけど。
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花粉症シーズン到来!

2013年02月11日 07時37分21秒 | 小児科診療
 いよいよスギ花粉症シーズンがはじまり、受診する患者さんも増えてきました;

スギ花粉 本格的な飛散始まる(2013年2月8日 NHK)
 西日本と東日本で一定量のスギ花粉が飛んだのが観測され、環境省は8日、国内で花粉の飛散が本格的に始まったと発表しました。
 環境省は、スギ花粉の本格的な飛散の開始について、1平方センチメートルの平面上に、1個以上の花粉が2日連続で観測された場合と位置づけています。
 この条件に相当する量のスギ花粉が飛んだことが9つの県で確認され、環境省は8日、国内で花粉の飛散が本格的に始まったと発表しました。本格的な花粉の飛散が確認されたのは福岡県、長崎県、大分県、山口県、島根県、愛媛県、高知県、静岡県、千葉県です。
 また、ことし、全国各地でスギとヒノキの花粉の飛ぶ量がピークとなる時期は、当初の予想よりやや早まり、九州、中国、四国、東海、関東南部のほとんどの地域で3月上旬ごろ、関東北部や近畿などで3月中旬ごろ、北陸などで3月下旬ごろ、東北で4月上旬ごろとなり、花粉の飛ぶ量は九州や四国を除いて全国的に去年よりも2倍から7倍に増える見込みです。


 花粉対策は例年通りですが、治療のコツをアレルギー学会でもおなじみの大久保先生(日本医科大学耳鼻科教授)がわかりやすく解説している記事;

花粉症予防は粘膜保護から! 飛散前にマスク、メガネを(2013.01.22:ZAKZAK)
 今シーズンの花粉飛散は“隔年現象”で昨年より多い年だ。前年よりも関東で2倍前後、関西では1・3倍程度と予測され、早くも飛散を始めた地域もある。専門医に今年の花粉症対策を聞いた。
薬は2月からで十分
 以前から花粉症の薬は、早めに服用するのが効果的と言われてきた。本格的な飛散の前に服用することで、大量のスギ花粉症にアタックされても、重症化しにくいというのだ。最近は、わざわざ医療機関へ行かなくても、処方される抗ヒスタミン薬と同じ成分が、ドラックストアの一般用医薬品で手に入る
 ならば、年明けにクシャミや鼻水が出始めたら、それらの薬を活用すべきなのか。
 花粉症治療の第一人者である日本医科大学耳鼻咽喉科の大久保公裕教授がアドバイスする。
 「今の抗ヒスタミン薬は、効果が高いものが多いので、2月の本格的な飛散を迎えたときに服用すれば、症状を抑えられます。2月に入ってからの服用で十分です。一般用医薬品には、1日1回服用タイプや2回服用タイプがあり、ご自身の生活スタイルに合わせて活用してみてください」
薬より前の対策
 予防的に抗ヒスタミン薬を服用する必要がないということは、対策は花粉の飛散が始まってからで、よいのだろうか。実は薬に頼る前にやるべきことがあるという。
 「ひとつのポイントは、『粘膜が正常な状態で花粉症のシーズンを迎えられるか』ということにあります。風邪や免疫力の低下などで、1月にすでに粘膜に炎症が起こっていると、スギ花粉にアタックされたときに症状が悪化しやすい。今からの予防としては、粘膜の保護を心掛けていただきたいと思います」(大久保教授)
 マスクや手洗い、うがいといった風邪予防が今の時期は重要となる。特にうがいは、鼻から侵入してノドへ運ばれたウイルスだけでなく、微量の花粉も洗い流してくれるそうだ。そして、目の粘膜保護のためメガネの活用も忘れずに。
鼻づまりは受診を
 花粉症の症状は、止まらないくしゃみや鼻水が一般的だが、鼻が詰まってしまう人もいる。風邪で鼻が詰まったのか、花粉症なのか、よく分からないまま一般用医薬品を活用しても症状は治まらない。本格的な飛散時期になれば、さらに鼻づまりは悪化していく。
 「抗ヒスタミン薬は、鼻づまりに対する効果は薄い抗ロイコトリエン薬が効果的で、長期的に服用すれば、くしゃみや鼻水にも効果があります。ただ、抗ロイコトリエン薬は、一般用医薬品にはありません。症状に合わせて薬を使い分けるには、医療機関を受診することをお勧めします」と大久保教授はいう。
 今から行うことは、
(1)粘膜保護のため体調を整える
(2)マスクやメガネ、手洗いやうがいで花粉を体内へ侵入させない
(3)薬を活用する。自分に合った薬を探すならば、医療機関へ。
 「対策を行っても、花粉症は治るわけではありません。今年の秋には、体内の抗体にアプローチする『舌下(ぜっか)免疫療法』という治療が、保険適用になる見込みです。根治の道が身近になります」(大久保教授)
 舌下免疫療法は、少量のスギ花粉を口の中の粘膜に入れて、抗原抗体反応を減弱させていく治療法だ。残念ながら今シーズンは間に合わないが、毎年花粉症に悩まされている人は一度、医療機関で相談してみる価値はありそうだ。


 ご指摘の通り「鼻づまり」はやっかいで一度ひどくなると強い治療をしなければなかなか改善しません。
 抗ロイコトリエン薬の効果はそこそこなので、それでもダメなときは、上記記事の中では触れられていませんが、ステロイド点鼻薬を中心に対応します。

 当院では標準的な西洋医学の治療を行っても「もうちょっとなんとかならないかなあ」と満足できない患者さんには漢方薬の併用をお勧めしています。漢方薬は「鼻づまり」にも効くので、その人の体質に合う漢方薬が見つかると「まあまあ満足」程度の効果は期待できます。

 新しい「舌下免疫療法」は私も試してみたい方法です。舌下に花粉エキスをしみこませたパンのかけらを含むだけで効果が期待できるなんて・・・夢のよう。
 来シーズン前には解禁になりそうですね。

 さて、インフルエンザの項でも取りあげた「マスク」。
 花粉症対策での注意すべきポイントを読売新聞の解説でどうぞ;

スギ花粉、3月上旬ピーク…マスクは鼻から顎まで密着(2013年2月9日 読売新聞より抜粋)
顔の形に合わせる/使い捨て原則
 専門家は「顔に合ったサイズのマスクを、正しく着用することが大事」とアドバイスする。
 マスクを使う人も増えるが、口だけをふさいで鼻を出していたり、締め付けを嫌って大きめのサイズを着けたりと、間違った使い方をしている人もいる。
 「マスクは顔に密着させ鼻から顎までをしっかり覆うことが大事。着用感が楽だからと大きめのサイズを使うと、頬などに隙間ができて花粉が侵入しやすくなります」と労働科学研究所(川崎市)副所長で医師の吉川徹さんはアドバイスする。
 全国マスク工業会では、自分にあったマスクを選ぶ際の目安になるサイズの測り方を示している=イラスト=。「最初は2~3種類試してみて、隙間ができない自分の顔の形にあったマスクを選んでほしい」と同工業会専務理事の藤田直哉さんは呼びかける。


 通勤、通学時に使ったマスクをポケットなどに入れておき、帰宅時に再び出して着用するのも、よく見られる使い方だ。一度使ったマスクには花粉が付着していて、吸い込んでしまう可能性がある。吉川さんは「マスクは再利用せずに、使い捨てが原則。帰宅時には新しいマスクを使いましょう」と助言する。


 ・・・私は医療用のサージカルマスクを使用していますが、一回で捨てるのがもったいなくて数日間使ってました。ダメなんですね(苦笑)。
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パキスタンのポリオワクチン事情

2013年02月07日 07時14分34秒 | 小児科診療
 昨年末に、パキスタンでポリオ予防接種に従事する医療関係者がタリバンにより殺害されたというニュースが流れました;

ポリオワクチン接種従事の6人殺害 パキスタン
(2012.12.18 産経新聞)
 パキスタン南部カラチと北西部ペシャワル近郊で17日から18日にかけ、世界保健機関(WHO)の支援によるポリオ予防のワクチン接種に従事していた男女計6人が、何者かの銃撃を受けて死亡した。イスラム武装勢力「パキスタンのタリバン運動」はこれまで、ワクチン接種は「米国が子供たちに毒を盛り、イスラム教徒を減らそうとしているものだ」と非難し、米国が部族地域などへの無人機攻撃をやめるまでは接種を禁止するとしていた。


 タリバンはなんてひどいことをするんだろう・・・とその時は思いました。
 先月末に、また同じ事件が起きて報道されました;

ポリオ予防接種チームに銃撃、護衛の警官が死亡 パキスタン
(2013.01.29 CNN)
 イスラマバード(CNN) パキスタン北部のカイバル・パクトゥンクワ州で29日、ポリオの予防接種で巡回していた女性2人が武装グループの銃撃を受け、護衛役の警官1人が死亡した。
 警察報道官によると、女性2人は無事、所属する本部に戻ったという。
 この地域では28日から3日間の予定で、538組のチームが戸別訪問によるポリオ予防接種のキャンペーンを実施中。各チームに警官が1人ずつ配置されていた。キャンペーン責任者は、予定通り30日まで接種を続ける方針を示した。
 世界各地でポリオ根絶が実現するなか、パキスタンとナイジェリア、アフガニスタンの3カ国では流行が続いている。世界保健機関(WHO)主導の世界ポリオ撲滅(ぼくめつ)イニシアチブによると、パキスタンでは患者数の急増を受けて当局が根絶キャンペーンを強化した結果、発症例は2011年の173件から12年には58件に減少した。
 しかし、同国では11年、米軍による国際テロ組織アルカイダ指導者オサマ・ビンラディン容疑者の殺害作戦に先立ち、同容疑者の潜伏先を確認する目的で、米中央情報局(CIA)が予防接種を装って家族らのDNAを採取。これをきっかけに、予防接種に対して懐疑的な見方が広がった。昨年末には国内各地で予防接種を担当する医療従事者への襲撃が相次ぎ、計8人が死亡していた。


 そこには、タリバンがこのような行為に出る根拠が示されていました(赤字部分)。アメリカのスパイ行為が伏線にあったのですね。
 予防接種事業さえも政治に利用されるなんて・・・やはり「ひどいこと」です。
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”99%ウイルスカット”のマスクは役立たず?

2013年02月03日 06時45分49秒 | 小児科診療
 感染対策の基本として常識となっている「マスク」。
 先日のNHKの「ためしてガッテン」で特集をしていました。
 題して「そのマスク、大丈夫? 予防効果10秒超UP術」。
 一般常識や思い込みがくつがえされる、目から鱗の情報が目白押し。

■ 市販のマスクを装着してウイルスの通過阻止率を調べると惨憺たる結果に。
 「ウイルス・花粉を99%カット!」とうたう高機能マスクでも粉塵の通過阻止率を調べる専門的方法ではなんと「0%」という結果に「エ~ッ!」「まったくやくにたたないの?」と被験者たちは愕然。
 一方、病院で使用するサージカルマスクでは「75%」とまあまあの成績。このカラクリは?

■ ウイルスの大きさはとても小さいことを認識すべし。
 マスクを1万倍に拡大した模型が登場、数cmの編み目のある網状構造となっている。
 そこにウイルスを1万倍に拡大したもののイメージをゲストに質問・・・サッカーボール程度?それとも卓球の球の大きさ?
 → 答えは「ごま粒程度」。
 スタジオ内が騒然とし「スカスカじゃん」「ウイルスはマスクを素通り?」という嘆きのコメントも。

■ 効果的なマスク着用のコツ。
 マスクの繊維そのものは隙間があっても何層も重ねることによりウイルスをトラップすることができるので可と解説。
 問題はマスクと顔の密着程度で、上下左右に存在する「すき間」。
 マスク本体を通すとウイルスはブロックされても、上下左右のすき間からはフリーパスなのです。
 あらかじめ折るなどの成形してすき間を減らすコツを伝授すると、最初の実験で「ウイルスカット率0%」だったものが軒並み90%程度にアップし、一同から笑みがこぼれる。
 病院用サージカルマスクのウイルスカット率が高かったの秘密は、感染対策専門ナースの熟練したピッタリ装着法にあったのでした。

マスク装着の際に注意すべきポイント
鼻・ほほ・あごのすきまに注意!
 ワイヤー入りのマスクなら、「着ける前」にワイヤーを折り曲げておくと、鼻の横のすき間を減らせます。その際、1回折り曲げるだけでなく、鼻の形にあわせて山折り、谷折りしておくと、さらにピッタリに!
 また、プリーツ式のマスクは、「あご」までしっかり伸ばすのが大切ですが、伸ばしすぎると「ほほ」にすき間ができてしまうこともあるので、両方にすき間ができない、ちょうど良い位置に!
 さらに、自分にあった大きさ・形を選ぶことも重要なポイント。大き過ぎ、小さ過ぎは「すき間」ができる元になります。自分の顔にあった大きさ・形のマスク選びが大切です。
 こうしたチェックポイントに注意するだけで、カット率が大幅に改善!なんと、カット率0%から、97%へ飛躍的に アップした人も。「フィット」に気を配るかどうかで、マスクの効果は大違いなのです!



■ 風邪がうつるパターンは実は「接触接触>飛沫感染」なんです。
 いろんな生活パターンで風邪がうつる確率を検証した、アメリカの実験データが紹介される。
① テーブルを囲んで風邪患者がくしゃみ・咳をしているシチュエーション30分間。
② 風邪患者が使用したマグカップを触る。
③ 風邪患者と金網だけの仕切りをつくった空間で3日間生活する。
 そして結果は・・・①8%、②30%、③0%、という意外な結果に。
 つまり、風邪はくしゃみ・咳でうつるよりも、患者の触ったものを介して接触感染する可能性の方が圧倒的に高いと云うこと。
 チラッとうつされた論文には「ライノウイルス」(ふつうの鼻風邪の原因ウイルス)の名前がありました。

<参考>
□ 「風邪は飛沫感染?
□ 「飛沫感染と接触感染の連続性


■ くしゃみ・咳に風邪ウイルスは思っているほどたくさんはいません。
 インフルエンザ患者の咳の飛沫を集めて研究している学者さんのデータによると、数回の咳から検出されるウイルスの数は0個が50%以上とこれも意外な結果。ただし、咳を繰り返すと当然ウイルスの数はそれなりに増えてくるので、危険がないわけではない。

■ のどの保湿・接触感染予防としてのマスクの効用
 口・鼻から病原体(ウイルスや細菌)が入っても奥に行かないようにするのが気道の「線毛運動」。
 粘膜表面にたくさんの小さな毛があり、ほうきで掃き出すように規則正しく中から外へ向かって動いている。
 しかし、乾燥するとこの運動機能が低下してしまう。
 マスクを装着していると気道が乾燥しにくく、線毛運動をサポートする効果がある。
 
 塾で授業を受けている小学生達が画面に登場。
 しばらく観察すると、例外なく「手で鼻を触る動作」をすることが確認できた。
 これが風邪感染につながる危険行為。
 マスクをすると、自分の鼻を直接触ることができないので強力な感染対策となる。

■ マスクを使うコツは「メリハリ」をつけること。
 ウイルスがたくさんいるシチュエーションとして満員電車やエレベーター内を想定。
 学者さんが「おならが臭う密閉空間では咳によるウイルスの数も多いと考えましょう」とアドバイス。
 そのような場面ではしっかり隙間も減らすようマスクを装着し、周囲に人がまばらな場面ではルーズな装着でも可。


 ポイントは「マスクを上手に使いましょう」ということ。
 私がふだんから患者さんたちに伝えたい情報を面白おかしく解説したよい番組でした。
 その極意は「ふだんは多少ゆるめでもOK、イザという時、ぴったりフィット」に尽きるようです。

 さて、究極の医療用マスクに「N95」という型番があります。
 これは空気感染対策のもので、密着率が高く、正しく装着すると呼吸が苦しくなってくるのです。
 逆に言うと、苦しくなるほど密着させないと完璧な感染対策になり得ないのです。

 なお、現在知られている病原体で空気感染するものは「結核」「麻疹」「水痘」の3つだけです。
 これらは、患者さんの呼吸器から排出された飛沫が水分を失ってからも空気中を浮遊し(これを専門用語で「飛沫核」といいます)、同じ空間にいるだけで感染してしまいます。
 混乱しやすいのですが「空気感染」と「飛まつ感染」は別物です。
 ふつうの風邪ウイルスはくしゃみ・咳を吸い込んだり呼吸器に付着すると感染が成立しますが、飛沫が水分を失うと下に落ちてしまい感染力が無くなります。ですから、風邪対策に「N95」マスクは必要ないことになります。
 素人さんが情報収集したHPを拝見すると、この空気感染と飛まつ感染を混同しているものが散見されますのでご注意を。

 インフルエンザも例に漏れず、空気感染ではなく飛沫感染です。
 2009年に新型インフルエンザ(H1N1)登場した際は、そのリスクが未知だったので初期の検疫にはN95マスクが用いられていましたけど。

参考
□ 「N95マスク装着方法」(YouTube動画)


 
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今年のインフルエンザは大人が多い

2013年02月02日 08時13分24秒 | 小児科診療
 今年のインフルエンザ流行は昨年より小規模だな、と感じていました。
 私は小児科医なので、保育園/幼稚園、学校での印象です。
 昨年は近隣で「学校閉鎖」が数件発生するほど勢いがありましたが、今年は学級閉鎖は散発するものの、学年閉鎖や学校閉鎖の話は聞こえてきません。
 そんなところに以下のニュースが;

インフルエンザがピーク、大人の患者が半数
(2013年2月1日19時52分 読売新聞)
 厚生労働省は1日、この冬のインフルエンザの流行が最盛期に入ったと発表した。
 1月21~27日の週に全国約5000の医療機関から報告された患者数は、前週の1医療機関あたり22・58人から36・44人、推定患者は前週の約1・5倍の約214万人になった。
 同省によると、今季の患者数や流行の規模は平年並みで、小中学校など5107施設で学級閉鎖などが出ているという。ウイルスは昨季に続いてA香港型が最も多く検出されている。
 都道府県別の患者数は、新潟53・81人、千葉53・22人、長崎50・91人など。今季の流行は北関東から始まり、関東、中部、九州に拡大。近畿、中国はこれからさらに患者が増えるとみられ、特に注意が必要だ。
 国立感染症研究所の安井良則主任研究官は「20歳以上が半数を占め、大人の患者が多いのが今季の特徴。高齢者の入院も多い」と分析し、「手洗いやマスク着用の徹底のほか、家族で同じタオルを使わないといった工夫も効果的だ」と話している。


 なぜこのような現象が?と考えるときに、私は「出席停止期間の変更」も影響を与えているのではないかと思います。
 「大流行した翌年は流行が小規模になる」傾向はありますが、それはさておき。

 何回か取りあげましたが、2012年4月に以下のように変更されました;

インフルエンザ罹患時の出席停止期間
(変更前)「解熱後2日間」
(変更後)「発熱した翌日から数えて5日間、あるは解熱後2日間(就学前は3日間)のどちらか長い方」


 そして、混乱のあった解熱後の日数の数え方も「解熱した日はゼロとし、翌日から1,2,・・・と数える」ことが明確化されました。
 すると、園児/学童はインフルエンザに罹患すると確実に1週間近く登園/登校しないこととなり、これは感染拡大阻止に大きな力となり得るのです。
 従来はこの辺がいいかげんで、解熱するとすぐに登園/登校してウイルスをばらまいていた傾向がありましたので。
 まあ、家族の負担は重くなりますが・・・。

 一方、大人が罹った場合の隔離期間に公式の決まり(ガイドライン)はありません。
 就業先の職業により「各自の判断に任せる」ところから「本人のみならず家族が罹った場合も出勤停止」まで様々ですね。
 大人が1週間仕事を休むのは、社会的インパクトが強すぎるのでしょう。

 そこで気になることがあります。
 園/学校の先生がインフルエンザに罹った場合の取り扱いはどのようになっているのか?
 園児/学童と同じ基準で就業停止期間を設けているのでしょうか?
 父兄の話を聞くと「担任の先生がインフルエンザでダウンしたけど、3日後には復帰していた」という例が散見されます。

 「え?」

 流行拡大を防ぐためには、園児/学童だけを隔離処置にするのではなく、教師を含め施設で働くスタッフ側も一定のルールを守るべきではないでしょうか。
 そもそも、保育士/学校教師がどのくらいの比率でインフルエンザワクチンを接種しているのか、大変興味のあるところです。
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