徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

2014年仕事納め

2014年12月30日 06時39分21秒 | 小児科診療
 昨日12月29日で2014年の診療が無事終了しました。
 この時期になると「今年の十大ニュース」類が発表されますね。
 目に付いたものを取りあげてみます;

2014年の医療界10大ニュース
(2014/12/25 日経メディカル)
 日経メディカル Onlineでは12月中旬、医師会員を対象に「2014年の医療界10大ニュース」の投票を実施しました。ここでは、その結果を紹介します。

< 2014年の医療界10大ニュース>


 ダントツの1位だったのは「STAP細胞」でした。理化学研究所(理研)がマスコミを集めた大々的な記者会見を行い、テレビや新聞に小保方晴子氏が華々しく登場したのは、1月の下旬のこと。割烹着で実験する彼女の姿とともに、リケジョ(理系の女子)が注目を集めたのもつかの間、論文に不正疑惑が持ち上がり、4月1日には理研が論文に捏造があったことを認めています。8月には、STAP細胞論文の執筆者の1人である理研の笹井芳樹氏が自殺。そして、この投票を実施している12月19日には、理化学研究所が検証実験の結果を発表し「STAP現象は再現できなかった」とする会見を開きました。始まりから終わり(?)までに約1年、まさに2014年を象徴するニュースといってよさそうです。
 2位と4位に選ばれたエボラ出血熱デング熱は、2014年の半ばごろから話題になりました。西アフリカで猛威を振るうエボラ出血熱は、12月下旬時点では日本に上陸していませんが、まだ現地で鎮圧には成功しておらず、その脅威は続いています。デング熱は、国内感染例が続々と見つかり、感染症として定着した可能性も指摘されていますから、2015年以降も対策が必要になりそうです。
 そのほかスキャンダル系では、ディオバン問題をはじめとした臨床研究不正(6位)、東京女子医大病院のプロポフォール事故(8位)が上位にランクイン。投票対象にエントリーしていませんでしたが、自由記述欄には「全国で相次ぐ腹腔鏡下肝切除術での死亡事故」も重大ニュースとして挙がっていました。
 新技術関連では、2014年に続々登場した新規糖尿病治療薬「SGLT2阻害薬」が5位にランキング。こちらも番外ですが、「iPS細胞の臨床応用、黄斑変性から」「C型肝炎でインターフェロンフリー療法が可能に」を推す声もありました。


 一方、アメリカCDCがまとめた「2014年の重要な健康対策」は・・・

■ CDC,「2014年の重要な健康対策」トップ10を発表~エボラから処方鎮痛薬の過剰摂取まで今年の実績を総括
 米疾病対策センター(CDC)は12月15日,2014年にCDCが実施した健康対策の中でも特に重要度の高いトップ10を発表した。筆頭に挙げられたのは,エボラウイルス病(EVD)対策だ。現在も続くEVDの流行に対しては,CDCの創設以来,人員面でも最大規模の対策が講じられたと説明。一方で,「今年のCDCによる健康対策はEVD対策だけではない」としており,トップ10には薬剤耐性菌や近年米国で深刻化している処方鎮痛薬の過剰摂取などの対策も並んだ。

EVD対策は「CDC史上,最も複雑な課題」
 2014年の健康対策トップ10(以下)の筆頭に挙げられたEVD対策に関し,CDCは「現在も続くEVDの流行は,CDCがこれまでに直面した課題で最も複雑なもの」と位置付けた。現地での検査・治療体制の整備でリーダーシップを発揮する一方,各州の保健省との連携により感染国からの帰国者の発熱や症状の追跡,感染疑い例の受け入れ施設の整備などを実施したと実績を振り返った。一方,CDC長官のTomFrieden氏は,EVD対策に関して「流行が発生した西アフリカでの感染を封じ込めない限り,米国民が100%安全であるとはいえない」とコメントした。

□ 感染症による新たな脅威への取り組み
 1.エボラウイルス病
 2.薬剤耐性菌
 3.エンテロウイルスD68型
 4.中東呼吸器症候群コロナウイルス
□ 感染症への継続した取り組み
 5.HIV/エイズ
 6.ポリオ根絶
□ 研究施設の安全性向上のための取り組み
 7.研究施設の安全性
□ 死亡の最大要因における取り組み
 8.心血管疾患
 9.喫煙
 10.処方鎮痛薬の過剰摂取


 なお,今回発表されたトップ10では,「感染症による新たな脅威への取り組み」として4つの課題と対策が示された。EVDはその1つであったが,薬剤耐性菌も前年に引き続き重要な項目として示された。
 その対策の進捗状況について,CDCは「ある程度は前進したが,依然として薬剤耐性菌への感染による死亡例は多く,重大な脅威であることに変わりはない」と強調。2015年も薬剤耐性菌や医療関連感染症は引き続き取り組むべき重要課題として位置付けた。

「感染症による新たな脅威」には米国内のEV-D68感染拡大,MERS-CoVなども
 また,エンテロウイルスD68型(EV-D68)の米国内における感染拡大も「感染症による新たな脅威」に含まれた。この背景には,今年の夏以降,米国内ではまれにしか起こらないと考えられていたEV-D68感染による重症呼吸器疾患の報告があり,特に喘息を有する小児で増加した。
 9月17日にはEV-D68による同疾患のアウトブレイクがPHO/WHOに通知された。CDCはEV-D68の迅速検査法を開発・導入し,調査を強化。8月から11月にかけて提出された2,600検体の約40%でEV-D68陽性であることが確認された。その後はEV-D68感染の報告は減少傾向にあるとしている。
 中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)は2012年にサウジアラビアで初めて報告されたが,2014年には感染例の報告が大幅に増加。5月には米国で初の感染例(サウジアラビアでの活動後に帰国した医療従事者2例)が報告された。Frieden氏は「ボーダーレス化した世界では,いつMERS-CoVが米国内に入ってきても不思議ではないと考えられた。われわれはその可能性を視野に入れ,2012年から備えていた」と説明している。

処方鎮痛薬の過剰摂取で1日に44人が死亡
 一方,トップ10には「感染症への継続した取り組み」としてHIV/エイズ対策とポリオ対策の2つが示された。HIV/エイズ対策に関しては,大統領緊急エイズ救済計画(PEPFAR)との連携により今年だけで770万人に抗レトロウイルス療法を,5,670万人にHIV検査やカウンセリングを提供できたと評価。ポリオに関しては,「根絶まであと一歩のところまで来ている」との見解が示された。
 また,今年CDCの研究施設で研究職員が誤って不活性化されていない炭疽菌に接触するなどの事故が発生したことを踏まえ,研究施設での安全対策もトップ10に入った。CDCは「これらの事故から学んだことを,研究施設の安全性と効率性の向上につなげるべく,さまざまな取り組みに着手した」と説明。今後も取り組みを継続する姿勢が示された。
 この他,トップ10には「死亡の最大要因」として心血管疾患(CVD),喫煙,処方鎮痛薬の過剰摂取の3つを挙げ,それぞれの対策を紹介。特に近年,米国で深刻化している処方鎮痛薬の過剰摂取に関しては,「米国では処方されたオピオイドの過剰摂取によって毎日44人が死亡している」と問題視。処方薬剤のモニタリングシステムを改善するために,CDCでは関連団体や州と連携した取り組みを展開しているという。

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今年のインフルエンザワクチンは子どもに高い効果

2014年12月25日 20時08分37秒 | 小児科診療
 日本で採用されている不活化インフルエンザワクチンは有効率が低く「罹らないためではなく軽く済ませるために接種しましょう」という説明がされてきました。
 が、今年のワクチンは想定外に有効らしい(失礼!)、という記事を見つけました;

インフルエンザワクチン、小児に効果大 流行のA香港型で6割
(毎日新聞社 2014年12月25日)
 この冬に流行中のA香港型インフルエンザについて、15歳以下の小児でワクチンの効果が予想以上に高いことが、慶応大の研究グループの調べで分かった。接種を受けた小児の約60%に発病を抑える効果が見られるという。グループ代表でけいゆう病院小児科の菅谷憲夫医師は「予想外の結果だ。未接種の人は早めにワクチン接種を受けてほしい」と呼び掛けている。
 グループは、11月中旬~12月中旬、関東を中心とした14医療機関の生後6カ月~15歳の受診者を分析。迅速診断でA型のインフルエンザ陽性だった109人のうち、67%に当たる73人がワクチン接種を受けていなかった。陰性の人の接種の有無の割合なども考慮し、統計学的にA型に対するワクチンの効果を60%と算出した。
 菅谷医師によると、ワクチン接種により、ウイルスを攻撃するヒトの抗体が、標的となるウイルスに対して幅広く効果を示すようになる。今季の流行の主流はワクチンの効果が低いとされるA香港型(H3N2)だが、ワクチンによって得られる抗体の効果が今回のウイルスに有効だと考えられるという。


 といっても有効率6割ですけどね。
 麻疹ワクチンの9割以上に比べると、まだまだ改善の余地あり!

 ちなみに「有効率6割」とは、接種した人の6割が罹らないという意味ではありません。
 接種していない人と比較して、感染者が6割減る/抑えられるという意味です。
 これは統計学の常識ですので、欺しているわけではありません。
 誤解なきよう。

 また、今年はすでにA香港型が流行しているから「もう遅い・・・」とあきらめることはありません。
 ワクチンには3種類のインフルエンザに対応できるよう3種類の株が入っています。
 A香港型には間に合わなくても、2009年のパンデミック由来のもう一つのA型と、B型対策として接種する意味があります。

 と言うものの・・・すいません、当院ではすでに締め切ってます。
コメント (2)
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インフルエンザ出席停止期間は「解熱後○日」が適切

2014年12月18日 07時21分16秒 | 小児科診療
 インフルエンザと診断された場合、通園/通学している小児では隔離期間(出席停止期間)が発生します。
 現在の基準は
・発症してから5日間
・学童は解熱後2日間、幼児(保育園/幼稚園児)では解熱後3日間

 の両方を満たす期間に設定されています。
 ここで間違えやすいのが「日数の数え方」。
 発症/解熱した日は数えてはいけません(=0日とする)。発症/解熱した翌日から1、2、・・・と数えてください

<参考>
インフルエンザの出席停止期間(=隔離期間)を再確認しましょう(2013.1.13:当院ブログ)

 さて、これに異論を唱える人物がいます。
インフル出席停止期間は「解熱後2日間」でいい~廣津伸夫氏に聞く
(2014.12.9:日経メディカル)
 その内容を抜粋してみます;

・「発症した後5日」の「発症」があやふやであり基準に採用するには違和感がある。

・0-6歳児と7-15歳児では、明らかにウイルスの検出期間が異なる。この違いは、主に治療効果の差によるもので、乳幼児は一般に治療効果が低く、その結果ウイルス検出は治療後でも長引く。

・「治療開始後」という基準設定はどうか。しかし、薬剤によりウイルス消失までの時間が異なる(中央値は:ラピアクタ2.2日、リレンザ3.5日、タミフル4.0日、イナビル3.2日)ので、これも不適切。

・「発症後」より「解熱後」の方が基準としてふさわしいのではないか。解熱からウイルス消失までの時間は年齢/薬剤により影響を受けず、差がない

・解熱3日後でのウイルス残存率(A型)は治療した乳幼児31.5%、治療した学童17.3%、無治療28.6%である(廣津氏のデータ)が、感染後期の迅速診断キット法による陽性例では、ウイルスの断片を見ていた可能性を指摘する報告もあり、感染後期の残存しているウイルスの可能性は低いと考えられる。

・2003/2004年シーズンに川崎市の小学校における出席許可証をもとに欠席状況を調査し、感染源となる人と被感染者を推測し、学校内の感染様式を検討した。その結果、罹患者は「感染の発端者である先行感染者」「先行感染者の感染初期に影響を受けた罹患者」「復帰者からの被感染者」「誰からも感染の影響を受けずかつ誰にも影響を与えていない単独感染者」に分類された。
 孤発例である「単独感染者」は30.4%で、それ以外の69.6%が流行拡大に関与していた。
 感染拡大に関与していたと考えられる罹患者は、「先行罹患者」16.0%、「先行罹患者の感染初期に影響を受けた罹患者」48.4%、「復帰者からの被感染者」5.2%であり、復帰者からの被感染者が少数だった。
 「先行罹患者」の約3倍の「先行感染者の感染初期に影響を受けた罹患者」を重視すべきであろう。発熱があるのに登校した児童(約10%)、学校で発熱した児童などがこれに該当する。これらの児に対する初期対応を再考する必要がある。
 同様の検討を保育園で行ったところ、「復帰者からの被感染者」はたった1%程度で、これは解熱後2日間の出席停止期間(調査当時)を守った園児からの感染はほとんどないことを意味する。


 今までは「出席停止期間から復帰した園児/学童から感染が拡大した」とメディアが報道することが多かったのですが、論文ではなく経験談のレベルだったと記憶しています。
 上記の報告によると、実際には「復帰者」よりも「罹りはじめの患者」が感染拡大に貢献(?)していたのですね。
 ぜひ、このような疫学的調査を根拠に更なる検討をしていただき、「適切な出席停止期間」を設定していただきたいと思います。

 「疫学的調査」は日本の医学/医療の弱点です。
 予防接種後に健康被害が発生した場合、それがワクチンと関係しているかどうかを検査で証明するのは難しく、「ワクチン接種した人々」と「ワクチン未接種の人々」での発生頻度を比較するしか方法がありません。
 日本では「ワクチン未接種の人々」のデータ蓄積がないので、一人でも健康被害者が発生すると科学的な根拠なしに社会問題化してしまう傾向があると感じています。
 デンマークでは国民総背番号制が導入されており、上記のようなデータが瞬時に入手可能です。以前話題になった「麻疹ワクチンと自閉症」の因果関係は、このデンマークのデータが根拠の一部となり、科学的に否定されたことは記憶すべきでしょう。
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感染性胃腸炎も流行中

2014年12月14日 08時50分03秒 | 小児科診療
 RSウイルスが近年では最大の流行を記録し、インフルエンザの流行も始まり・・・そこに嘔吐下痢症(感染性胃腸炎)も加わり、冬本番を迎えました。
 
感染性胃腸炎、各地で集団発生相次ぐ-高齢者施設や学校など、保健所が指導も
(2014.12.13:医療介護CBニュース)
 ノロウイルスなどの感染によって、嘔吐や下痢といった症状を伴う感染性胃腸炎が全国的に流行する中、保育園や小学校などで集団発生が相次いでいる。特に今月に入ってからは、各地で集団発生が目立ってきており、北海道の小学校では60人以上に症状が出たという。患者が増加傾向の自治体では警戒を強めている。


 感染性胃腸炎と言えば、忘年会シーズンのノロウイルス、真冬のロタウイルスが有名ですが、最近は「サポウイルス」という新顔も登場しました。「サポ」とは発見された地名の札幌から来ているとか。

サポウイルスに注意、教育施設で集団発生も- 感染性胃腸炎の一種、下痢や嘔吐の症状
(2014.12.9:医療介護CBニュース)
 感染性胃腸炎を引き起こすウイルスの一種「サポウイルス」の集団発生が相次いでいる。下痢や嘔吐などを伴うもので、保育園や学校、福祉施設などで多数の患者が出ている。千葉県も今月5日、いすみ市内の中学校で集団発生があったと発表。同県は手洗いやうがいといった予防策の徹底や、便や嘔吐物で汚れた床や用具の消毒などを求めている。
 サポウイルスはノロウイルスと同じカリシウイルス科に属し、小腸の粘膜で増殖する。「サポ」の名は、発見された地名(札幌)に由来しているという。食中毒の件数はノロウイルスの次に多く、調理従事者の関与が指摘される大規模な食中毒の事例も少なくない。
 主な症状は下痢や嘔吐、発熱などで、潜伏期間は12―48時間。発症期間は1-2日間で、長い場合は1週間程度続く。症状が消えた後も1―2週間ほど便にウイルスが排出されるため、二次感染への注意が必要とされている。サポウイルスに効果のある抗ウイルス薬はなく、脱水症状がひどい場合、輸液など対処療法が行われる。
 国内では、教育施設で感染が広がる事例が後を絶たず、奈良県では今年1月、桜井市と葛城市の小学校で同じ時期に児童の集団発生があったほか、2月に鳥取県の小学校、4月に佐賀県の障害者支援施設、9月下旬から10月上旬にかけて千葉県の小学校、10月に秋田県の保育園でそれぞれ集団発生があり、児童らの検体からサポウイルスが検出されたという。


 なお、感染性胃腸炎の原因となるウイルス(ノロ、ロタ、アデノ、サポ)の特効薬はありません。つまり、診断名にこだわっても治療は変わりません。
 対症療法で脱水予防し、病気の勢いと競争してしのぐことになります。
 基本は「経口補液療法」です。下記を御参照ください。

<参考>
感染性胃腸炎(当院HP)
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子どものインフルエンザ、重症化しやすいハイリスク群は?

2014年12月11日 21時20分44秒 | 小児科診療
 インフルエンザの診療をしていて、昔から不思議に思ってきたことがあります。
 教科書には「喘息患者は重症化しやすい」と記載されているのですが、そういう例に出会う経験は希。
 2009年の新型インフルエンザ(H1N1)の時に感じたくらいでした。

 先日、それを裏付けるような報告を見つけましたので、紹介します;

小児のインフル,重症化の高リスク群は?
~現行GLに記載ない「早産児」を新たに特定,英・システマチックレビューとメタ解析
(2014.12.9:MTPro)
 世界保健機関(WHO)などの現行ガイドライン(GL)ではインフルエンザ関連合併症の高リスク群に対するワクチン接種が推奨されているが,高リスク群の定義はエビデンスではなく専門家の統一見解に基づいており,小児に限定した危険因子は明らかではない。英・University of OxfordのPeter J. Gill氏らは,27件の研究のシステマチックレビューとメタ解析を実施した結果,現行GLで示されている「神経疾患」「免疫抑制状態」「糖尿病」「2歳未満」などに加え,小児では「早産児」も危険因子であることが分かったとLancet Respir Med(2014年12月4日オンライン版)で報告した。一方で,今回の解析では,現行GLにある肥満喘息などの呼吸器疾患は,小児では危険因子ではないことが示唆された。

約1万4,000例のデータを解析,早産児のインフルエンザ関連合併症リスクは4倍超に
 Gill氏らは2013年4月3日までのMedline,Medline In Process,Embase,Science Citation Index,CINAHLの各データベースを検索し,インフルエンザまたはインフルエンザ様症状でプライマリケア施設または外来を受診した小児の基礎疾患および合併症に関するデータが報告されている研究を特定。27件の研究の計1万4,086例を対象に,入院をインフルエンザ関連合併症の代替評価項目として,各危険因子を有する場合とない場合とを比べたオッズ比(OR)を算出した(図)。
 単変量解析で入院の強い危険因子であることが判明したのは,早産(OR 4.33,95%CI 2.47~7.58),神経疾患(同4.62,2.82~7.55),免疫抑制状態(同2.39,1.24~4.61),糖尿病(同2.34,1.20~4.58),鎌状赤血球症(同3.46,1.63~7.37),2歳未満(同2.51,1.71~3.69)であった。
 一方で,反応性気道疾患(RAD)を含む呼吸器疾患(同1.19,0.64~2.22),喘息を含むRAD(同1.36,0.82~2.26),肥満(同0.99,0.61~1.62)は入院の危険因子ではなかった。
 また,4件の研究の小児1,612例を対象に,2歳未満であることも危険因子として含めた多変量解析では,2つ以上の危険因子を有する群の入院率(124例中92例,74%)が単独因子群(817例中428例,52%)に比べて高いことも示された(群間差22%,95%CI 13~30%,P<0.0001)。


世界の乳児の10%が早産児,「重要な意味を持つ結果」
 今回特定された危険因子のうち「神経疾患」「免疫抑制状態」「糖尿病」は米国予防接種諮問委員会(ACIP),英国保健省,WHOの3つのGLで高リスク群として示されている危険因子と合致しており,「鎌状赤血球症」および「2歳未満」はACIPとWHOの2つのGLに合致していた。
 一方,肥満はACIPとWHOのGLで,呼吸器疾患は全てのGLで危険因子とされているが,これらは今回の解析では危険因子ではなかった。ただし,Gill氏らは疾患の重症度を考慮するにはデータが不十分であったと説明。「重症例に限定すると異なる結果になる可能性がある」としている。
 また,「早産」は前述の3つのGLでは危険因子とされていなかった。この点について,同氏らは「世界の乳児の約10%が早産児であることを考えれば,早産がインフルエンザ関連合併症の強い危険因子として新たに特定されたことは重要な意味を持つ」と強調している。

予防接種プログラムでは特定された高リスク群に照準を
 Gill氏らは今回の結果について,「神経疾患,鎌状赤血球症,免疫抑制状態,糖尿病,2歳未満をインフルエンザ関連合併症の危険因子として現行GLに含めることを支持するもの」とした上で,「同合併症を予防するための介入はこれらの高リスク群に優先的に実施すべきだが,その他,特に複数の危険因子を有する小児や重篤な基礎疾患を有する小児に対しても考慮すべきである」と述べている。
 さらに,同氏らは各国での季節性インフルエンザワクチンの接種率が依然として不十分であることを指摘。それを踏まえて,「国家的なワクチン接種プログラムで最大の効果を得るためには,今回同定された高リスク群に照準を合わせた接種率向上のための戦略が必要だ」と付言している。

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警戒続く“鳥”インフルエンザ

2014年12月11日 08時36分40秒 | 小児科診療
 ヒトのインフルエンザはA香港型(H3N2)中心に流行中ですが、今年は“鳥”インフルエンザも不穏な動きを見せています。
 究極の「新型インフルエンザ」に関係することなので、こちらからも目が離せません。

ここに注目! 「警戒続く 鳥インフルエンザ」
(2014年12月09日:読売新聞)
 全国各地の野鳥から鳥インフルエンザウイルスが見つかり、各自治体では、ニワトリなどに感染が広がらないか警戒を強めています。合瀬宏毅(おおせひろき)解説委員です。

Q.今年は野鳥からの鳥インフルエンザウイルスが見つかることが多いですね。
A.そうですね。ここ3年ほど野鳥から高病原性の鳥インフルエンザのウイルスの検出はなかったのですが、今年は先月以降、千葉や島根、鳥取、それに鹿児島の4カ所で、野鳥やその糞から「H5N8」ウイルスが見つかりました。
 我が国では2010年の冬から春にかけて、たくさんの野鳥から鳥インフルエンザのウイルスがみつかり、養鶏場だけではなく、動物園などにも感染が広がりました。
 今回、ウイルスの型は違いますが、状況は、4年前と極めてよく似ていて、養鶏業者などは警戒を強めているのです。

Q.なぜ今年はウイルスを持っている野鳥が多いのか?
A.中国や韓国との関連が疑われています。「H5N8」ウイルスを巡っては、特に韓国で今年前半に、200件を超える大規模な感染が発生し、アヒルを中心に1400万羽を処分する事態になりました。
 そのウイルスが、渡り鳥によって夏の営巣地であるシベリアに運ばれ、そこで感染を繰り返し、再び世界に分散した可能性が指摘されているのです(今年の冬はドイツやオランダ、イギリスなどヨーロッパでも「H5N8」ウイルスによる鳥インフルエンザが大発生している)。

Q.世界中で感染が拡大していると言うことでしょうか?
A.そうです。鳥インフルエンザウイルスは、野鳥とは共生関係にありますが、ニワトリには強い毒性があることが知られています。
環境省の調査によると、日本にはシベリアからを中心に毎年190万羽ちかいガンやカモが渡ってきます。こうした渡り鳥をニワトリなどに近づけないことが重要だと思います。

Q.ウイルスを根絶する国際的な取り組みはできないのか
A.国際機関が各地での発生状況を集め、それを各国に通知して注意を呼びかけてはいますが、対応はそれぞれの国に任さざるを得ません。であれば自分の身は自分で守るしかないのです。
 まずは野鳥をニワトリから遠ざけるとともに、感染をいち早く見つけて処分し、ウイルスを根絶する。養鶏農家にとっては緊迫した日々が続きそうです。


関連ニュース
鹿児島県のナベヅルから強毒性の鳥インフル検出(2014年12月10日:読売新聞)
鳥インフルは強毒性 千葉県がウイルス確認(2014年11月22日:東京新聞)
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RSウイルスの患者数、過去最多を記録

2014年12月10日 08時42分01秒 | 小児科診療
 毎年、11月になると薬が効かない咳の患者が増えてきます。
 とともに、ゼーゼーする赤ちゃんが来院するようになると「RSウイルスが流行しています」と報道されます。
 今年は流行が大きいようで、当院でも先週から数人の赤ちゃんを入院目的で病院へ紹介しています。

 はじめて冬を迎える赤ちゃんが重症化する傾向がありますのでご注意を。
 その後も毎年罹りますが、だんだん軽く済むようになります(高齢者は別ですが)。

RSウイルスの患者数、3週連続で増加- 過去最多を記録
(2014.12.9:CB News)
 乳幼児に肺炎などを引き起こすRSウイルス感染症の患者が3週連続で増えていることが、国立感染症研究所がまとめた11月24日から30日までの週の全国の患者報告(小児科定点医療機関約3000か所)で分かった。2003年の調査開始後、過去最多となった前週を上回っており、患者が大幅に増えた自治体では警戒を強めている。
 RSウイルスは、呼吸器感染症の1つで、感染から2-8日後に上気道炎、気管支炎、細気管支炎、肺炎などの症状が現れる。患者のほとんどは軽症で済むが、小児を中心に重症化するケースもある。


 ただ、インフルエンザが本格的に流行すると、なぜかRSウイルスは影を潜めます。
 まるでRSウイルスとインフルエンザウイルスがリレーのバトンを渡しているよう。

<参考>
RSウイルス感染症(当院HP)
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ワクチン賛成派・反対派どちらにも伝えたい「集団免疫」という考え方

2014年12月08日 06時50分01秒 | 小児科診療
 ワクチン接種の賛否を考える際に、バランスのとれたよい記事を見つけました。
 興味のある方は是非お読みください。

ワクチン賛成派・反対派どちらにも伝えたい、知っておくべき3つのこと
(布施田泰之 2014/11/26:Credo)


 著者が強調している3点は、以下の通り;
1.ワクチンの効果には「個人免疫」と「集団免疫」の二つがあります。
2.ワクチンの有効性を考えるときには「打つリスク」と「打たないリスク」を比較して考える必要があります。
3.ワクチンには「効果が実感しにくいこと」と「健康な人に介入しないといけないこと」という2つの心理的な難点があります。


 なかなかピンと来ない「集団免疫」は別項でも解説されていました;

予防接種の本当の意味 ”集団免疫”とは何か
(橋本 直也 2014/08/07:Credo)


 一つ気になったこと。
 上記の中で、以下のような文章があります;

予防接種の意義をおおまかにまとめると、
1.予防接種を受けた人を感染から守る
2.感染の拡大を抑える
3.予防接種を受けられない人たちを感染から守る
の3点があります。


 これだけでは弱い。
 「ちゃっかりした集団免疫の恩恵をこうむっている人」が予防接種に積極的になるとは思えません。
 以前調べた時に、これにつづく予防接種の意義/目的を見つけ「なるほど!」と納得しました;

4.その感染症を撲滅する

 この大きな目標を掲げなければ、ワクチン反対派は動かないと思います。

<参考>
“ワクチン拒否”を考える
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日本は全世界の75%のタミフルを使用している。

2014年12月07日 09時21分05秒 | 小児科診療
 以前から指摘されてきたことですが、日本は世界最大のタミフル消費国です。
 これに関しては賛否両論がありますが、インフルエンザ流行期を迎えた今、「タミフルを使うこと」をもう一度考えてみましょう。

全世界の75%のタミフルを消費する日本人、インフルエンザになる前に知っておくべき薬の話
(シェアーズカフェ・オンライン2014年12月06日)
 「インフルエンザだったら、必ず薬(抗インフルエンザ薬)を飲む必要がある」そう思っている方は多いのではないでしょうか。
 実は、このような認識があるのは日本ぐらいです。本記事では、この抗インフルエンザ薬における日本と世界のずれについて紹介します。

圧倒的にタミフルを消費している国、日本
 日本は、抗インフルエンザ薬の代表である「タミフル」の世界消費量の約75%を占めており、2位の米国の約20%を大きく離してダントツ1位です。日本では、他の国に比べて圧倒的に多くの抗インフルエンザ薬が処方されているという事実があります。
 日本で行われていることは、世界から見たら一般的ではないのです。

インフルエンザ治療が必要な人
 なぜ、このように日本では抗インフルエンザ薬が多く使用されているのでしょうか。それは本来投与しないでも元気になる可能性が高い人たちに対しても薬が処方されているからです。
 他の国は、タミフルを多く使用することでインフルエンザが耐性を獲得し、タミフルが効かなくなってしまうことを懸念して、必要最低限の使用にとどめるという方針をとっています。
 基本的に健康な人であれば、インフルエンザは自力で治すことができます。治療対象となるのは、気管支喘息、糖尿病、慢性の心臓病など持病がある人やリスクの高い年齢の人です。
 米国CDC(Centers for Disease Control and Prevention, アメリカ疾病管理予防センター)が提唱する「抗インフルエンザ薬を使用すべき対象」は、
・入院を必要とするような重症な人
・65歳以上の人、5歳未満、特に2歳未満の小児
・妊婦
・気管支喘息、糖尿病、慢性の心臓病など持病がある人、HIVなどによって免疫力が落ちている人

 です。みなさんは、この項目のどれかに当てはまるでしょうか?いずれにも当てはまらない場合、抗インフルエンザ薬の投与は必須ではありません。(必要に応じた解熱薬の使用や安静、水分補給など一般的な対処は必要です。)
 ただ、確かに抗インフルエンザ薬は症状がある期間を短くします。この効果を考慮して、日本では本来投与が必須ではない人に対しても、処方されているケースが多いと考えられます。では、その効果とは一体どれほどのものでしょうか?

◇ 抗インフルエンザ薬の効果と副作用
 どのような薬にも、効果と副作用が起こりえます。まず効果から紹介します。色々な研究結果をまとめた報告では、「健康な成人に投与した場合、タミフルは症状がある期間を7日から6.3日に短縮する」という結果がでました(もちろん、個人差があります)。
 一方で、タミフルを投与したところで入院率や肺炎、気管支炎、中耳炎の発症率は減らないということも示唆されました。この7→6.3日の変化を大きいと捉えますか?小さいと捉えますか?
 副作用の代表的なものは、嘔気です。タミフルを内服した場合、3.6%程度出現率が上がるという報告があります。また、「飛び降り」などの異常行動も話題になりました。これについては因果関係は不明としながらも、原則的に10歳以上の未成年に対してはタミフルを使用しないようにと厚生労働省も警告しています。

天秤にかけるべきこと
 抗インフルエンザ薬を使うか使わないか、どちらが絶対に正しいということはありません。「治療効果」 vs「 副作用の可能性、ウイルスの耐性化の可能性」の天秤の問題です。もちろん、新型インフルエンザの出現や病原性の高いインフルエンザウイルスが大流行している状況など、特別な状況があればこの天秤はいくらでも揺らぎます。
 米国では、インフルエンザ対策として予防接種が最も有効だとして推奨しています。これは個人の感染を防ぐだけではなく、先ほど挙げたようなインフルエンザが重症化してしまう可能性のある人たちへのウイルスの広がりを抑えるという意義も持ちます。
 個人の天秤と社会の天秤をイメージしながら、医療と関わっていくことが重要です。


 ちなみに当院では、インフルエンザの検査をした患者さんに抗インフルエンザ薬の効果と副作用をまとめたプリントを渡して結果が出るまでに読んでいただき、使用の有無を決めてもらっています。
 こちらから誘導することはありません。
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消毒に使われる「塩素」に関する情報2つ

2014年12月03日 07時30分19秒 | 小児科診療
 消毒剤としての「塩素」はいろいろな所で使われています。
 水道水の消毒、プールの消毒、ほ乳びんの消毒・・・, etc.

 しかし消毒薬は使い方を間違えると人体に有害となります。
 そのひとつが、子どもが首からぶら下げている「携帯用空間除菌グッズ」です。
 過去にも取りあげたことがあります。

とうとう消費者庁にダメ出しされた「空間除菌」グッズ(2014.4.18)
再度、「エアーマスク」の安全性と効果について(2014.2.8)
ウイルスより危険な「ウイルスプロテクター」(2013.2.19)

 しつこいようですが、復習がてら再掲します;

■ 空間除菌は可能なのか?、指摘される二酸化塩素の危険性
(2013年02月20日:QLifePro)
 インフルエンザやノロウイルスの流行を受けて、二酸化塩素を使用した空間除菌グッズが注目を集めている。特に首に掛けるだけの携帯用タイプは外に出かけるときにも手軽に使用できるうえに、プロスポーツ選手や芸能人も使用しているということもあり、飛ぶように売れている。
 二酸化塩素は強い酸化力を持ち、プールの水の殺菌に使用されるなど、除菌や消臭効果はあるものの、特に携帯タイプの場合、使用環境が大きく異なるなかでインフルエンザやノロウイルス予防としてどれほどの効果があるのかは、明らかになっていないのが現状だ。
 独立行政法人国民生活センターの資料によると、二酸化塩素による部屋等の除菌をうたった商品は、二酸化塩素の拡散度合いが商品によって大きくことなり、なかには二酸化塩素の放出がほとんど確認できないものも存在する。
 事業者へのアンケート調査においても、ほとんどの事業者が効果を確認していないという結果になっている。
◇ 子どもは特に注意。健康にも悪影響の可能性
二酸化塩素による健康への悪影響も指摘されている。高濃度の塩素系ガスを直接吸い込むと、粘膜を刺激し、気管支炎や喘息を引き起こす可能性がある。国民生活センターにも、塩素系除菌グッズの安全性に関する問い合わせが寄せられている。
 塩素系ガスの吸入による身体的影響に関するデータは少ないのが現状であり、子どもが使用する際には特に注意が必要だ。事業社によっては、乳幼児の近くでは使用を避けるべきだとしている。
 また、二酸化塩素は日本国内においては殺菌剤としての認可を得ていないうえに、有効性が判明していないなかで、新型インフルエンザ対策やノロウイルスなどの感染症予防をうたうなど、薬事法に抵触すると考えられる商品も存在する。
▼外部リンク
独立行政法人国民生活センターホームページ


 ノロウイルス対策にも塩素系消毒薬「次亜塩素酸ナトリウム」が使用されます。
 ただし、その濃度が大切で、濃いと有毒、薄いと無効です;

■ ノロウイルスに効く次亜塩素酸ナトリウムは濃度が大切
(2013年02月17日:QLifePro)
◇ 600ppmの溶液で拭くことが効果的
 ノロウイルス胃腸炎による吐しゃ物は、次亜塩素酸ナトリウムを600ppm(パーツ・パー・ミリオン=100万分のいくらであるかという割合を示す数値)に薄めた溶液で拭くことが効果的である。アルコールだとノロウイルスは不活化せず、乾燥させても死滅しないために、この次亜塩素酸ナトリウムの消毒液があると便利である。
 600ppmに薄めることは難しそうに思えるが、500mlのペットボトル一つで簡単にできる。ペットボトルのふた1杯(5ml)のハイター(次亜塩素酸ナトリウム6%)をペットボトルに入れ、残りを水で満たすと、1/100溶液であるため600ppmになる。
 次亜塩素酸ナトリウム溶液を使用するときには手袋の着用が必要で、もし、溶液が直接手に付いてしまった場合には、流水でよく洗う必要がある。
◇ 最適な濃度で拭き取ることが必要
 次亜塩素酸ナトリウムスプレーも市販されているが、次亜塩素酸ナトリウムの濃度はスプレータイプは50ppmから100ppmであることが多く、この場合あまり効果が期待できない。
 一方、米国CDCではノロウイルスの消毒に1000ppm以上の次亜塩素酸ナトリウムが必要と言っているが、高濃度ではドアノブや蛇口の金属を腐食させるなど、日常では使いにくい。600ppmの次亜塩素酸ナトリウムでも、しっかりと拭き取らなければ金属を腐食させる可能性がある。
 また、感染対策で重要なことは汚染されている有機物(排泄物や食物残渣)を物理的に除去することで、吹きかけるだけでは有機物は残ったままなので、相当限界があるといえる。


 忘年会シーズンはノロウイルスの流行期でもあります。
 ご注意を!

冬に感染力増大、ノロウイルス集団感染
(2012年12月27日:QLifePro)
 ノロウイルスは1972年に電子顕微鏡による観察でその形態が明らかになった比較的新しく発見されたウイルスで、乳幼児から高齢者に至る広い年齢層で急性胃腸炎を引き起こす。特に、11月から3月の冬季に多発することで知られる。
 潜伏期間は24~48時間で、主な症状は吐き気、嘔吐、下痢、腹痛であり、発熱は37~38℃くらいである。通常であれば1, 2日ほど続いた後、治癒するが、免疫力の低下した老人や乳幼児では長引いたり重症化することもあるので注意が必要である。
 ノロウイルスは、ワクチンがなく、しかも経口感染するので、ウイルスを遠ざけ、2次感染を防ぐことが重要である。ただし、アルコール消毒はあまり効かず、塩素系漂白剤で消毒するのが効果的と言われている。また、手首までしっかり手を洗うことも重要である。


感染性胃腸炎(当院HP)
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