当地域ではインフルエンザが大ブレイク中です。
A型がほとんど。
ここ数年は小流行で収まっていたので、免疫のない子どもたちがたまっていたのでしょう。
残念ながらワクチン接種者も少なからず罹患しており、例年より目立つ印象があります。
ただ、高熱でぐったりしてお母さんが抱えてくる子どもはやはりワクチン未接種者に多いですね。
その「高熱でぐったり」というのが従来のインフルエンザのイメージでしたが、迅速診断が普及してから軽症例もたくさんいることが判明しました。
ですから「微熱でそんなにつらくないからインフルエンザではないだろう」という思いこみは危険です。
本人は軽く済んでも人に伝染させる能力はありますので、学校(大人では会社)を休むほどではない軽症患者が広告塔となってインフルエンザ流行を広げているカラクリがわかってきたのです。
インフルエンザの迅速診断は発熱当日では陽性に出ないことがあります。
兄弟が陽性だからこの子も・・・と思って検査したけど陰性、帰宅後高熱となり翌日再検査すると陽性!という例を少なからず経験します。
というわけで、待てるようなら翌日検査するよう勧めています。
流行中の保育園・幼稚園では、子どもに風邪症状があると園側から「インフルエンザかどうか調べてもらってください」とプレッシャーがかかります。
仕方なく検査しますが・・・言われるとおり行っていると、冬の間子どもは風邪を引くたびに鼻をグリグリされるのでかわいそうです。
綿棒を鼻から入れて、喉の奥の壁部分に突き当たるところをこするのが標準法で、手加減して手前で止めてしまうと陽性率が落ちますので、私は検査の時は非情になってグリグリやってしまいます。
この「鼻グリグリ」を繰り返していると私を見るだけで泣くようになり、その後の診療に支障が出る始末。
冬は子どもたちの鼻にとって受難の季節です。
裏技として、ふだんから鼻血が出やすい子どもは大量出血になることがあるので、口から綿棒を入れて口蓋垂(いわゆるノドちんこ)の裏側あたりをこすっています。
また、昨年からかんだ鼻汁をつかって検査できるキットも出ました。
当院でも採用しており、鼻がかめる年代のお子さんに勧めています。
それにしても、現行の不活化インフルエンザワクチンの有効性の低さには困ったものです。
休診時間をつぶして、苦労して接種したのに。
2回接種する患者さんの経済的負担も大きいのに。
アメリカでは不活化ワクチン以外に「経鼻生ワクチン」が2歳から使われています。
なんと有効率90%以上!
なぜ日本に導入しないのでしょうか。
なんでも、臨床治験を担当する製薬会社がひとつも名乗りでないとか・・・。
「ひたすらトラブル回避」という日本の腰の引けた予防接種行政の影響を感じます。
最近、「新型インフルエンザが疑われたらどうしますか?」というアンケート記事をニュースで読みました。
ほとんどの人が「とりあえず病院へ行く」と回答しましたが、これは不正解です。
正解は「保健所へ連絡して指示をもらう」こと。1割しかいませんでした。
日本人の危機管理意識は低いのか?
いや、そうとは言い切れません。
単に日本の医療システムの特徴を反映しただけのこと。
だって日本では子どもが熱を出せば「とりあえず病院へ」という習慣があるでしょう。
諸外国では数日間は自宅で様子を見て、いよいよ「熱が下がらない、これは変だ!」という段階で初めて医療機関を受診するのだそうです。
ですから、インフルエンザ罹患48時間以内に使用しなければ効果が期待できない抗インフルエンザ薬を使うタイミングがありません。日本が全世界の7割のタミフルを消費している理由がここにあります。
「熱が出たらすぐ受診」という日本の習慣は「子どもの命を守る」という視点では利点でしたが、一方「小児科医を守る」という視点では小児救急を疲弊させ、小児医療を崩壊に導いた一因でもあります。
今後は患者教育・啓蒙活動とともに時間外診療を自己負担化し、「家族で病気を診る」能力を身につけていかないと・・・勤務医のみならず、開業小児科医さえもいずれ日本から消えていくことでしょう。
A型がほとんど。
ここ数年は小流行で収まっていたので、免疫のない子どもたちがたまっていたのでしょう。
残念ながらワクチン接種者も少なからず罹患しており、例年より目立つ印象があります。
ただ、高熱でぐったりしてお母さんが抱えてくる子どもはやはりワクチン未接種者に多いですね。
その「高熱でぐったり」というのが従来のインフルエンザのイメージでしたが、迅速診断が普及してから軽症例もたくさんいることが判明しました。
ですから「微熱でそんなにつらくないからインフルエンザではないだろう」という思いこみは危険です。
本人は軽く済んでも人に伝染させる能力はありますので、学校(大人では会社)を休むほどではない軽症患者が広告塔となってインフルエンザ流行を広げているカラクリがわかってきたのです。
インフルエンザの迅速診断は発熱当日では陽性に出ないことがあります。
兄弟が陽性だからこの子も・・・と思って検査したけど陰性、帰宅後高熱となり翌日再検査すると陽性!という例を少なからず経験します。
というわけで、待てるようなら翌日検査するよう勧めています。
流行中の保育園・幼稚園では、子どもに風邪症状があると園側から「インフルエンザかどうか調べてもらってください」とプレッシャーがかかります。
仕方なく検査しますが・・・言われるとおり行っていると、冬の間子どもは風邪を引くたびに鼻をグリグリされるのでかわいそうです。
綿棒を鼻から入れて、喉の奥の壁部分に突き当たるところをこするのが標準法で、手加減して手前で止めてしまうと陽性率が落ちますので、私は検査の時は非情になってグリグリやってしまいます。
この「鼻グリグリ」を繰り返していると私を見るだけで泣くようになり、その後の診療に支障が出る始末。
冬は子どもたちの鼻にとって受難の季節です。
裏技として、ふだんから鼻血が出やすい子どもは大量出血になることがあるので、口から綿棒を入れて口蓋垂(いわゆるノドちんこ)の裏側あたりをこすっています。
また、昨年からかんだ鼻汁をつかって検査できるキットも出ました。
当院でも採用しており、鼻がかめる年代のお子さんに勧めています。
それにしても、現行の不活化インフルエンザワクチンの有効性の低さには困ったものです。
休診時間をつぶして、苦労して接種したのに。
2回接種する患者さんの経済的負担も大きいのに。
アメリカでは不活化ワクチン以外に「経鼻生ワクチン」が2歳から使われています。
なんと有効率90%以上!
なぜ日本に導入しないのでしょうか。
なんでも、臨床治験を担当する製薬会社がひとつも名乗りでないとか・・・。
「ひたすらトラブル回避」という日本の腰の引けた予防接種行政の影響を感じます。
最近、「新型インフルエンザが疑われたらどうしますか?」というアンケート記事をニュースで読みました。
ほとんどの人が「とりあえず病院へ行く」と回答しましたが、これは不正解です。
正解は「保健所へ連絡して指示をもらう」こと。1割しかいませんでした。
日本人の危機管理意識は低いのか?
いや、そうとは言い切れません。
単に日本の医療システムの特徴を反映しただけのこと。
だって日本では子どもが熱を出せば「とりあえず病院へ」という習慣があるでしょう。
諸外国では数日間は自宅で様子を見て、いよいよ「熱が下がらない、これは変だ!」という段階で初めて医療機関を受診するのだそうです。
ですから、インフルエンザ罹患48時間以内に使用しなければ効果が期待できない抗インフルエンザ薬を使うタイミングがありません。日本が全世界の7割のタミフルを消費している理由がここにあります。
「熱が出たらすぐ受診」という日本の習慣は「子どもの命を守る」という視点では利点でしたが、一方「小児科医を守る」という視点では小児救急を疲弊させ、小児医療を崩壊に導いた一因でもあります。
今後は患者教育・啓蒙活動とともに時間外診療を自己負担化し、「家族で病気を診る」能力を身につけていかないと・・・勤務医のみならず、開業小児科医さえもいずれ日本から消えていくことでしょう。