「マイコプラズマが流行」というニュースが度々テレビから流れてきます。
新型コロナ・パンデミックの反動ですね。
パンデミック中は日本国民全体が感染対策に注力していました。
そのため、他の感染症も激減しました。
「全国一斉休校」措置が取られた2020年春は、
小児科外来から風邪患者が消えました。
外来患者の8割が風邪・感染症患者である小児科開業医は、
経営困難になり閉院するところも出たくらいです。
2023年5月に感染対策が緩められてから、
なりを潜んでいた他の感染症達が、
「やっとオレたちの出番が来た!」
と言わんばかりに流行し始めました。
今回のマイコプラズマも、その流れに沿ったモノです。
逆に言うと、新型コロナと同レベルの感染対策をしっかりやっていれば、
流行しない、流行拡大を防げるということです。
小児科医にとってのマイコプラズマのイメージを列挙します。
・咽頭痛、倦怠感から始まり、咳は数日後に出てくる。
・発熱はあることもないことも。
・比較的元気なので「気がついたら肺炎になっていた」という感じ。
・乳幼児よりも年長児の方がこじれやすい(RSウイルスと真逆)。
・潜伏期が数週間と長いので、どこで感染したかわからないことが多い。
・感染力は発症前からあり、発症後数週間続く(隔離義務はない)。
・聴診所見は当てにならず、肺胞音正常でもレントゲンを撮るとしっかり影がある。
→ 咳がよくならないので他院を受診してレントゲンを撮ると肺炎像が…
→ “藪医者”と言われる(小児科医泣かせ)。
・ふつうの抗生物質(ペニシリン系、セフェム系)は効かない。
・第一選択薬はマクロライド系であるが、近年耐性化が報告されている。
ふつうの風邪では、咳のピークは発症後3-4日頃とされています。
4-5日目になってもどんどん咳が悪化する場合は“こじれた”と判断し、
マイコプラズマの可能性も考慮し、
私はマクロライド系抗生物質を処方することが多いですね。
さてここで、マイコプラズマの基礎知識を確認しておきましょう。
以前まとめた「マイコプラズマが心配な方へ」もご参照ください。
■ 寒い時期 肺炎を見逃すな! 「子どもや若者は注意 マイコプラズマ肺炎」
(2023年2月1日:NHK)より;