徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

HPV(子宮頸がん)ワクチン、その後

2013年09月28日 08時53分27秒 | 小児科診療
 2013年6月に「積極的勧奨の停止」後、群馬県では接種率低下が著しいようです。

厚労省通知で4分の1に 子宮頸がんワクチン接種
(上毛新聞 2013年9月27日)
 厚生労働省が勧奨控え後に接種数が減少している子宮頸けいがんワクチンについて、群馬県内の7月の1日当たりの接種数は10・1件(7月計314件)だったことが26日、分かった。通知前の6月前半から4分の1に減り、国の対応による影響が顕著となった。
 同日の県議会一般質問で、高田勝浩氏(自民)の質問に片野清明県健康福祉部長が明らかにした。
 ワクチンは本年度、定期接種になったが、国の勧奨控えで現場に判断を丸投げしているとの批判がある。6月後半の1日当たりの接種は通知前から4割減少し7月はさらに半減した。
 片野部長は「個人の判断に委ねる状況は一刻も早く解消されることが望ましい」と国が速やかに判断すべきだとの考えを示した。


 話題の副反応「CRPS」の診療体制はまだ整っておらず、これから構築するところ。

子宮頸がんワクチン副作用、11病院で専門治療
(2013年9月26日 読売新聞)
 子宮頸(けい)がんワクチンの接種後、原因不明の痛みが続く患者が出ている問題で、厚生労働省研究班(代表・牛田享宏愛知医大教授)は、東京大病院など全国11病院で専門的な治療を行うことを決めた。



 同ワクチンを巡っては、強い痛みが生じるなど重い副作用のケースが報告されたため、専門的な治療態勢を充実させることが急務となっていた。ワクチン接種後、2~4週間が過ぎても痛みやしびれなどの症状が続いている患者に受診を呼びかける。
 厚労省によると、同ワクチンは今年3月までに国内で推計328万人が接種を受けた。ワクチンメーカーや医療機関から歩行障害やけいれん、失神、発熱など約360件の重い副作用報告があった。また原因不明の慢性的な痛みは43件あった。このため、同省は今年6月、ワクチンの接種は継続するものの、積極的に勧めることは一時的に差し控えると決定していた。
 研究班は、子宮頸がんワクチン接種後の副作用が問題になったことを受け、痛み治療の専門家らで発足。接種後に原因不明の痛みを訴える患者を実際に診察するなどしてきた。ワクチンと痛みの因果関係は不明なものの、従来の慢性的な痛みへの治療が、ある程度有効と判断した。


 ワクチンの有用性は理解していても、今の状況で接種を勧めるのは勇気が要りますね。
 当院では現在HPVワクチンの受付は停止中です。
 ワクチンとCRPSの関係がわかり、対策が取られるようになるのを待って再開する予定です。
 諸外国ではCRPSは「心因反応」と捉え、ワクチン成分とは関係ないと考えられているようですね。
 一方、ワクチン反対派は勢いづいています;

子宮頸がん、定期接種中止を=ワクチン効果、安全性に疑問-薬害会議
(2013/09/27:時事通信)
 子宮頸(けい)がんワクチンを打った後に全身の痛みを訴える人が相次いでいる問題で、医師や弁護士でつくる薬害オンブズパースン会議は25日、接種の努力義務を課す「定期接種」の対象から外すべきだとする要望書を厚生労働省に提出した。
 同会議は、ワクチンが効くのは子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルスのうち5割程度で、効果が十分な期間続くかは確認されていないと分析した。また、免疫が自分の体を攻撃する自己免疫疾患などの重い副作用が起きる場合があると指摘。危険性に見合うだけの効果があるか疑わしく、定期接種を続けると被害者が増える恐れがあるとして中止を求めた。


 私は現在の「接種の意義を理解し希望する人は無料で受けられる」状況をよいと考えています。
 因果関係が不確定な有害事象をもって他人の接種を受ける権利まで剥奪することはいかがなものか・・・。

 しかし「疑わしきは罰せよ!」という薬害会議の方針は、厚労省の「主目標はクレーム回避」と云うスタンスと一致するところがあるので、なびいてしまう可能性もあるかもしれません。
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開業8周年を迎えて思うこと。

2013年09月22日 07時21分30秒 | 小児科診療
 9/22をもちまして、おかげさまで開業8周年を迎えることができました。
 今後も微力ながら地域小児医療に役立つよう努力していく所存です。
 よろしくお願い致します。

 さて、この8年で感じた小児医療の変化を記してみます;

■ 地域から小児科入院施設が消滅し、夜間/時間外救急にハンデを負うようになった。
 急病発症の際は近隣市町村の総合病院まで行かなければなりません。救急隊も患者さんの搬送先・受け入れ先探しに日々苦労しているそうです。けいれん重積状態の場合は医師が救急車に乗って搬送する必要があるので、医師が戻ってくるまで診療がストップしてしまいます。

■ 少子化の影響を受けて患者数の漸減。
 患者さんの母数が減りましたので、当然の成り行きですね。今後は小児科単科での開業が困難になることが予測されます。「街の小児科医」は消えていく運命にあります。

■ ワクチン数の増加とスケジュールの複雑化、診療に占める予防接種の比率の増加。
 スケジュールが組めずに医院スタッフに丸投げしてくるお母さんが増えてきました。子どもが生まれる前からの教育・啓蒙活動の充実が望まれます。
 開業当初は予防接種は診療全体の1割でした。それが2割になり、現在は3割を占めるようになりました。

■ 「かぜ薬=抗生物質」の誤ったイメージが払拭されつつある。
 かぜ症候群の原因は、9割がウイルス、残りの1割が細菌類とされています。抗生物質はウイルスには無効で、細菌をやっつける薬ですから、処方率も1割になるはずであり、事実当院の処方率はその程度です。
 抗生物質の副作用は、ワクチンによる副反応より確率が高く、その視点からすると危険な薬であり安易な使用は控えるべきでしょう。

★ 「経口三世代セフェムへの決別」(岩田健太郎先生のブログ)
★ 「フロモックスとかメイアクトばっか出す医者にはご用心」(同上)
★ 「ピボキシル基を有する抗菌薬投与による 小児等の重篤な低カルニチン血症と低血糖について」(PMDA)

■ 迅速診断キットの増加とそれを巡る保育園・幼稚園生活の混乱。
 以前は迅速診断と云えば溶連菌とインフルエンザ程度でしたが、その後アデノウイルス、RSウイルス、ロタウイルス、マイコプラズマなど増えてきました。
 しかし、検査結果の評価方法・対応が確立されておらず、結果が一人歩きして混乱する傾向があります。
 例えば、保育園でRSウイルス患者が発生した場合、そのクラスで風邪症状のある子どものほとんどがRSウイルス感染と思われます。重症化するのは一部であり、ふつうの風邪症状で終わることも多いからです。検査が陽性になった子どもだけ隔離しても無意味です。
 集団生活においては基本的な感染対策を行いつつも「風邪を引くのはお互い様」という認識が必要です。


 などが頭に思い浮かびます。
 一方で、変わらないなあ、と感じること;

■ 園生活における感染症の取り扱い
 上記のように、迅速診断で陽性になるとこの子どもだけ隔離する傾向があります。立場上何もしないわけには行かない事情も理解できますが、感染症の正しい知識を普及させ、必要十分な感染対策を取りつつ、でも風邪や感染症の流行を抑えるのには限界があることを預ける保護者も理解する必要があります。

■ 食物アレルギーの検査結果信仰
 皆さんが考えているほど食物アレルゲンの検査結果と症状は一致しません。乳児期の卵と牛乳はほぼ一致しますが、1歳過ぎると検査陽性にもかかわらず食べて無症状の子どもがたくさんいます。小麦や大豆に関しては、乳児期から偽陽性(検査陽性でも食べて無症状)が珍しくありません。「検査が陽性だから除去を続ける」のは間違いです。かといって、弱陽性でも激しい症状を起こすこともあるのでやっかいです。
 以上のように食物アレルゲン検査の評価方法は単純な白黒ではなく、アレルゲンの種類と年齢を考慮した複雑な評価が必要となります。そのバックグランドが説明できない場合は安易に検査すべきではないと思います。

■ 非小児科専門医における風邪の際の処方薬の問題
 風邪で受診するとたくさん薬を処方する小児科専門医以外の小児科標榜医が存在します。
 現在の日本の医療では、扱う科の標榜は自由で制約がありません。例えば外科の先生が開業する時「内科」「皮膚科」「小児科」を標榜してもよいことになっています。医院の看板にたくさんの科が書かれていると一般の方は「たくさんの専門分野に精通している優秀な医師」というイメージになるのかもしれませんが、医師の間では評価されません。
 多種類の薬処方は「おみやげ」的サービスの一環という考え方なのでしょうが、その内容を見ると風邪の対症療法薬だけでなく抗生物質や抗アレルギー薬が当たり前のように含まれており、疑問を感じざるを得ません。


 なんだか愚痴っぽくなってしまいました。すみません・・・。
 
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19人目の先天性風疹症候群

2013年09月21日 05時55分32秒 | 小児科診療
 大阪で新たに先天性風疹症候群の赤ちゃんが確認されました。

先天性風疹症候群 19人に(2013年9月20日:NHK)
 風疹の流行の影響で、大阪で新たに1人の赤ちゃんが、母親が妊娠中に感染したことで目や心臓などに障害が出る「先天性風疹症候群」と診断されました。
 去年から続く流行で、風疹によって障害が出た赤ちゃんは全国で19人となりました。
 風疹は妊娠中の母親が感染すると赤ちゃんの心臓や目、耳などに障害が出る「先天性風疹症候群」になるおそれがあり、流行はピークを過ぎていますが、ことしに入ってからの風疹の患者数は1万3000人を超え、都市部を中心に患者が多い状態が続いています。
 大阪市によりますと、先週、新たに1人の赤ちゃんが「先天性風疹症候群」と診断されたと医療機関から報告があったということです。
 去年から続く流行で「先天性風疹症候群」と診断された赤ちゃんは全国で合わせて19人となりました。
 ことしに入ってからの人数も14人目で現在の報告制度が始まった平成11年以降、全国で最も多かった平成16年の10人をすでに上回っています。


 安倍首相は汚染水問題に関して「undercontrol」宣言をしましたが、この風疹流行に関しては「undercontrol」ではありません。
 ここにも諸外国からみて恥ずべき状況が存在します。

★ 「小さいことでも、できることからやりましょう。田村発言と風疹について」(岩田健太郎先生のブログ)
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インフルエンザ流行による今シーズン初の学級閉鎖

2013年09月19日 05時53分23秒 | 小児科診療
 当院ではインフルエンザワクチンの予約を受けつけている状況ですが、早くも流行による学級閉鎖が報告されました。
 B型です。

小学校でインフルエンザ集団感染 東伊豆町(2013年9月18日:日テレ)
 静岡県東伊豆町の小学校で2年生がインフルエンザに集団感染し、18日、学年閉鎖された。
 静岡県の賀茂保健所によると、熱川小学校の2年生クラス27人のうち、9人が先週末から18日までに39℃を超える高熱で欠席し、簡易検査で7人がインフルエンザB型と診断された。このため、18日から20日まで感染防止のため、2年生クラスが学年閉鎖された。
 静岡県内でのインフルエンザの集団感染は、過去10年間で2番目に早い発生だという。


 当地域ではまだ流行の気配はありませんが、風邪の患者さんが徐々に増加傾向にあります。
 冬に流行するRSウイルス(赤ちゃんがゼーゼーする風邪)もすでに流行が報告されています。
 猛暑が去ったと思ったら、すかさず冬の風邪が入り込んできました。

冬に多いはずの感染症がはや流行 RSウイルス、昨年同期3倍超(2013年9月12日:福井新聞)
 冬場に流行し乳幼児の重い肺炎や気管支炎の原因となるRSウイルス感染症の福井県内患者が8日までの1週間で急増し、昨年同期の3倍超となっていることが11日、県のまとめで分かった。県は流行期が昨年より早いとし、特に乳幼児の保護者らに注意を呼び掛けている。
 RSウイルスはせきやくしゃみのしぶきなどで感染し、4~6日程度で発熱や鼻汁などの症状が出る。軽症で済むことが多いが、1歳以下の乳幼児で初めて感染する場合は、約3割でせきが悪化し呼吸困難などの症状が出るという。
 県のまとめでは、県内22の定点医療機関を8日までの1週間に受診した患者は、1定点当たり2・45人。前週(8月26日~9月1日、1・50人)、前々週(8月19~25日、0・85人)に比べ急増し、昨年同期0・77人の3倍超の人数となった。昨年は10月第1週にピークの3・55人を記録している。

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台風18号の爪痕

2013年09月17日 06時21分00秒 | 日記
 2013年9月16日、大型の台風18号が関東地方を直撃しました。
 関西以東の広い地域で床上/床下浸水が多数発生し、土砂崩れによる家屋損壊も多く、甚大な被害をもたらしました。
 京都嵐山の桂川が氾濫し、観光名所の渡月橋が水没しそうになった映像が繰り返し流れたのが印象的でした。

 TVニュースを見ていたら「栃木県宇都宮市の樹齢800年の天然記念物指定のケヤキが倒れた」とフリップが流れました。
 「!」
 どのケヤキだろう。
 巨樹ファンの私にはこれも一大事。
 ネットで検索すると「新町のケヤキ」で有名な巨樹であることが判明しました。
 樹齢800年、幹周7.9m、樹高43mという巨樹です。
 800年前は13世紀で鎌倉時代。
 室町時代~戦国時代~江戸時代と長きにわたり人々の営みを見守ってきたのですね。

<倒れたケヤキ>


<3年前の写真>


 数年前にこの巨樹を見に行ったことがあります。
 住宅街にひとりそびえ立つ姿に魅せられました。
 その時の写真をHPに公開しています。
 「栃木県の巨樹を訪ねて~宇都宮市:新町のケヤキ
 もう、あの勇姿を見ることはできないのかあ・・・。

 一方で、朗報(?)もあります。
 台風18号の通過で首都圏の水瓶である群馬県山間部に大雨が降り、ダム貯水量が増えて取水制限が解除されました:

利根川取水制限を全面解除 台風18号でダム貯水量回復(2013.9.18:産経新聞)
 国土交通省関東地方整備局(さいたま市)と、流域の6都県などでつくる利根川水系渇水対策連絡協議会は18日、協議会を開き、台風18号で雨が降りダムの貯水量が回復したことから、同日午後1時に取水制限を全面解除することを決めた。
 利根川水系では7月末、上流8カ所のダムの貯水量が減ったため、6都県で10%の取水制限を実施。今月6日、降雨が続いて河川の水量が増えたことなどから、取水制限を一時的に解除していた。
 同整備局によると、8カ所のダムの貯水量は計2億2706万立方メートル。貯水率は66%(18日午前0時現在)で、平年の同時期に比べ9割以上まで回復した。
 利根川水系のダムは、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京の6都県に水を供給している。


 私はダム貯水量をチェックするのが好きでして、この夏も毎日HP「利根川水系の概況」を閲覧していました。
 ずっと貯水量が50%前後だったのですが、台風18号通過後一気に60%を越えました:


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インフルエンザワクチンの予約をはじめました。

2013年09月13日 06時10分16秒 | 小児科診療
 今シーズンのインフルエンザワクチンの予約を開始しました。
 今年はちょっと変則的で、
  9/12:窓口受付開始
  9/13:電話受付開始

 とさせていただきました。
 窓口と電話受付を同時に開始するとスタッフが予約業務で手一杯になり、一般外来の受付が進まなくなってしまうという例年の反省からの変更です。

 詳細は、当院HPの「お知らせ:インフルエンザワクチン予約のご案内」をご覧ください。
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炭酸飲料をたくさん飲むと子どもはキレやすくなる

2013年09月08日 20時17分27秒 | 小児科診療
 キレやすい子どもは食事が原因だった・・・というニュース。
 炭酸飲料をたくさん飲むと血糖値が速やかに上がり、その反動で血糖値が下がるとイライラ~キレやすくなります。

 それにしても、ファミレスの「ドリンクバー」は罪作り。
 1杯で数十gの砂糖が入っていますから、4杯飲むと砂糖100g(!)を摂取したことになってしまう。毒ですねえ。
 キレやすくなるのみならず、将来の2型糖尿病製造器です。
 ファミレスの関係者さん、子どもの健康を考えて、ドリンクバーから加糖飲料をなくしてください。

1日4杯以上の炭酸飲料で幼児の攻撃性が2倍に―米研究 5歳児のデータを解析(2012.8.13:メディカルトリビューン)
 炭酸飲料の飲み過ぎが社会問題となっている米国から、幼児の問題行動に関する新たな研究結果が報告された。米コロンビア大学公衆衛生学部のShakira F. Suglia氏らは、5歳児を対象に炭酸飲料と問題行動の関連について検討。炭酸飲料を飲んでいない子供に比べ、1日当たり4杯以上飲んでいる子供では他人への攻撃など問題行動を起こすリスクが2倍以上だったと、8月16日発行の国際医学誌「Jornal of Pediatrics」(電子版)に発表した。

◇1日1~3杯でも攻撃性増す
 2011年のデータを基に作成された「世界80カ国、炭酸飲料の摂取量マップ」によると、米国は1人当たり年間170リットルの炭酸飲料を飲んでおり、日本(同32リットル)の5倍以上で世界一となっている。
 Suglia氏らは今回、1998~2000年に米国の人口20万人を超える20都市・75施設で登録された約5,000人の女性のうち、子供の5歳時(60カ月)のデータが得られた2,929人(男児52%、黒人51%)を対象に、炭酸飲料を飲む量と問題行動との関連について調べた。
 炭酸飲料を飲む量は、1日当たり0杯が4,667人(56.9%)、1杯が730人(24.9%)、2杯が293人(10.0%)、3杯が129人(4.4%)、4杯以上が110人(3.8%)。過去2カ月の問題行動チェックリスト(CBCL)の点数は、「攻撃性」「注意」「離脱」の全項目で炭酸飲料を飲む量が増えるとともに上昇していた。
 これを踏まえ、母親の人種、婚姻状況、学歴、前年の生活保護受給の有無、子供の性別などの影響を除外して検討したところ、炭酸飲料を飲まない子供を0点とした場合の問題行動の点数は、1日4杯以上の子供で「攻撃性」4.74点、「注意」1.70点、「離脱」1.95点。「攻撃性」は1日1~3杯の子供でも0.74~2.00点と上昇していた。

◇「人の持ち物を壊す」「ケンカをする」が2~2.5倍に
 上記に加えて母親の抑うつ、配偶者・恋人による母親への暴力・虐待(IPV)、子供のテレビ視聴、あめ・菓子類や果汁飲料の摂取量などの影響を除外した結果、「攻撃性」で1杯(1.22点)と4杯以上(3.00点)、「注意」で4杯以上(1.52点)、「離脱」で1杯(1.00点)で関連が認められた。
 攻撃性の内訳を見ると、炭酸飲料を飲まない子供に比べ、1日4杯以上の子供で「人の持ち物を壊す」が2.54倍、「ケンカをする」が2.12倍、「人に身体的な攻撃を加える」が2.28倍に上昇していた。
 Suglia氏らは、炭酸飲料と子供の問題行動について「直接的に関係している可能性がある」と結論付けたが、母親の自己申告によるデータを解析しているため、炭酸飲料の1杯当たりの容量を定義しておらず、種類についてもデータが得られないなどの限界があるのも事実。同氏らもこの点を認め、今後のさらなる研究が必要と結んでいる。

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アメリカで百日咳、オランダで麻疹の大流行?

2013年09月06日 18時06分16秒 | 小児科診療
 先進国では予防接種が進んでおり対象疾患の流行は制圧されているはず・・・と思いきや、意外なタイトルのニュースが飛び込んできました。

百日ぜき、大流行の恐れ 米テキサス州で患者急増
(共同通信社 2013年9月6日)
 【オースチン(米テキサス州)UPI=共同】米南部テキサス州で百日ぜき患者が急増しており、保健当局は現在のペースで患者が増え続ければ約50年ぶりの大流行になる恐れがあると懸念している。
 地元紙フォートワース・スター・テレグラムは3日、今年に入ってからの患者数は8月27日現在、1935人に上り、うち2人が死亡し、年末までに2009年の3358人を突破する恐れがあると報じた。
 米国ではワクチンの普及で百日ぜきが流行することはほとんどなくなったが、テキサス州ではワクチンを有害なものと懸念する親が子どもに予防接種を受けさせなかったり、初回接種だけして追加接種を受けなかったりするケースがあり、これが流行の原因とみられている。


 ただ、百日咳で命を落とすのは生後間もない赤ちゃんです。自分の意思ではワクチンを接種できない弱者を守らない選択をした大人達をつくづく残念に思います。
 あ、日本政府が胎児の先天性風疹症候群対策に及び腰である事実も、同じことですね。

 次は一ヶ月前のニュース。

はしか流行拡大の恐れ オランダ、新学期控え懸念
(共同通信社 2013年8月13日)
 【ハーグ(オランダ)新華社=共同】オランダの感染症対策センター当局者は12日、地元メディアに対し、同国内ではしかの流行が一段と拡大する恐れがあるとの懸念を表明した。
 当局者によると、感染者の大半はこれまでのところ、同国中部地方に限定されているが、新学期が始まって子どもらが学校に戻ると、流行拡大のリスクが増すことが予想されるという。
 はしかの流行は5月下旬、キリスト教保守派の信者が多く住む中部の「バイブル・ベルト」(聖書地帯)と呼ばれる一帯で報告された。オランダでは1976年以降、国が導入した制度により、ほとんどの国民がはしかワクチンの接種を受けているが、バイブル・ベルトの一部住民は、宗教的な理由から接種を拒否している。


 接種しなければ感染症に罹る、集団で接種を拒否すれば流行する・・・当たり前のことです。
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18人目の先天性風疹症候群

2013年09月05日 20時37分19秒 | 小児科診療
 喉元過ぎれば・・・という言葉通り、マスコミもあまり騒がなくなりつつあります。
 日本のマスコミにはつくづく失望させられますね。
 不安だけ煽って、物事の本質を伝えようとするプリンシプルが感じられません。

 しかし、皆さんおわかりのように問題は根本的には解決していません。
 厚労省がこのままうやむやにしてお茶を濁し、風疹流行の種火を消す対策を取らずに終わるのか、しっかりウォッチしていきたいと思います。

東京都で新たに1例の先天性風疹症候群,今年の報告数は13例に
(2013年9月4日:MTPro)
 東京都で妊娠中の風疹感染による先天障害(先天性風疹症候群:CRS)が新たに1例報告された。第35週(8月26日~9月1日)の感染症発生動向調査で明らかになった。2013年初めからの全国におけるCRSはこれで13例となった。

◇8月だけで4例
 東京都では第34週に1例,第32週に2例と8月だけで4例のCRSが報告されている。これで全国のCRS報告数は2013年初めから13例目,流行が本格化した2012年を含めると18例となる。直近の流行時(2004~05年)のCRS報告数は12例。
 昨日の国立感染症研究所の発表によると,8月28日現在の全国における風疹報告数は1万3,486例で1週間当たりの報告数は68例。2週連続昨年の同時期を下回ったが,非流行期に比べると高い水準が続いている。


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