徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

2022年、花粉症シーズン開幕。

2022年01月30日 06時16分21秒 | 小児科診療
先週から、スギ花粉症患者がチラホラ来院するようになりました。
かくいう私も花粉症患者の一人で、
目のショボショボ感や鼻のグズグズ感が気になりだし、
「ああ、今年も始まったなあ」
と感じていました。

テレビでは、
「新型コロナと花粉症の区別はできるか?」
と話題にしています。
区別する症状のポイントは、眼症状、とくに目のかゆさですね。

花粉症では、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみが揃ってきます。
新型コロナのように発熱はふつうありません。

例年、2月に入ると花粉飛散情報が始まるのですが、
今年はすでに開始されていました。

「週間花粉情報」スギ花粉の飛散はいつから? 東京など 敏感な方は要注意
日本気象協会:吉田 友海(2022年01月29日、tenki.jp

この記事によると、
全国に先駆けて東京では飛散がすでに始まっており、
私の感覚は正しかったということになります。


さて、これから春間での飛散はどうなるでしょうか。
私の生活する北関東では、
例年比では同等、
昨年比では少し多くなるようです。



この日本地図を眺めていて、「あれ?」と思うことがありました。
それは、北海道が赤く染まり、飛散が多いと予想されていることです。

従来、北海道はスギがないのでスギ花粉症はない、とされてきました。
北海道で花粉症と言えば、スギではなくシラカバを指していました。
はて、いつから北海道でもスギ花粉が飛ぶようになったんだろう?

それから、日本各地で飛散状況がバラバラであること。
ある地域では昨年より多く、
別の地域では少ない・・・
今年の飛散は多い、少ないと一概には言えないのですね。

いずれにしても、これでまた外出しない理由が一つ、増えました・・・。

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Google Map の口コミに答えて

2022年01月27日 19時39分03秒 | 小児科診療
最近(2022年1月)、google map 上で当院に対する口コミが連続して投稿されました。

総じて、
「医師の態度が冷たい」
「子どもがぐずってなくと医師は途端に機嫌が悪くなる」
「検査をしてくれない」
「予約したのに待ち時間が長い」
という内容です。

おかしいな・・・
日々、和やかな雰囲気で診療していると思っているのに・・・
そう感じているのは私だけ?

小児科医になって30余年、
小児科・アレルギー科を開業して16年、
診療姿勢を大きく変えたことはありません。

それなのに、ここにきてマイナスのコメントが多くなったのはなぜだろう?
と自問自答してみました。

私のポリシーは、
「正しい医療こそが、最高のサービス」
というものです。

ファッションショーでモデルさんは笑顔を見せないことは有名です。
その理由は、
「笑顔であること顔に興味が集中してしまい、服の印象が薄くなる」
からだそうです。

それと同じ理由で、
「愛想より、正しい医療」
という姿勢で臨んでいます。

なぜかというと、もともと愛想がなく表情も乏しい私は、
学生時代に「大魔神」とか「はにわ」とか呼ばれていたこともあり、
サービス業に向いていないことは重々自覚しているためです。

なので最初の、
「医師の態度が冷たい」
という口コミは想定内です。
申し訳ありません。

次の、
「子どもがぐずって泣くと医師は途端に機嫌が悪くなる」
について考えてみます。

スタッフが教えてくれました。
「子どもが大声で泣いていると、先生が黙っちゃうからじゃありませんか?」
な、なるほど。

診察室に入ると、
予防接種の怖さが蘇るのか、
診療が終わるまでずっと泣き叫んでいる子がときどきいます。

そのため保護者の方と話ができないので、
私は泣き止むまでじっと黙って待つことにしています。

その沈黙が「冷たい」「不機嫌」に見えてもしまうのですね。

さて、なぜ黙り込んでしまうのか、理由があります。
それは、
・私の持病
・新型コロナ感染対策
の二つ。

私は体格もよく一見健康そのものに見えますが、
10年来、心臓に持病を抱える身であり、
主治医からは手術に準じた処置を勧められています。

緊急性がないため踏ん切りが付かず、予定は延び延びになっていますが、
心臓に予備力がないことは確かで、
大声で話し続けると、心臓に負担がかかり具合が悪くなってしまいます。
毎日、綱渡りの健康状態で診療しているのが現状です。

ですから、子どもが泣き叫んでいると、
それより大きな声で話すと動悸が止まらなくなるため、
泣き止むまでじっと待つようにしています。

はて、以前はどうだったのか・・・

子どもが泣き叫んで、私が泣き止むまで待っていると、
スタッフがタイミングを計って、
子どもを抱いて部屋から出てあやしていました。

しかし新型コロナ禍の今、これができなくなりました。

「泣き叫ぶ」=「飛沫が飛びまくる」状況ですから、
感染リスクを考えるとスタッフに抱っこさせるわけにはいきません。

逆に、マスク・フェイスシールド・ガウンとフル装備のスタッフに、
子どもを抱っこして欲しくないご家族も多いと思われます。

保護者の方に立ってあやしてもらって泣き止めば、
ふつうに病気の説明等できるのですが、
それでも泣き止まない場合は手詰まりです。

何かよい解決法はあるでしょうか?

同行した家族(祖父母など)の方が抱っこして部屋から出ていただければ助かりますが、
なかなか難しいと思われます。

それから、
「検査をしてくれない」
というコメントもいただいています。

この点も、新型コロナの感染対策が影響しています。

乳幼児は痛みを伴う検査をする際、大抵泣き叫びます。
すると、ここでも飛沫がたくさん飛びます。

2年前(2020年春)に、小児科学会から全国の小児科医に向けて、
「飛沫飛散のある処置や検査は控えるように」
という通知が出され、現在も撤回されていません。

ですから、不要不急の検査・処置は控えているのが現状です。

処置の中では、飛沫が飛ぶとされる喘息発作の吸入は、
携帯可能な充電式小型吸入器を用いて、
駐車場の車内で吸入していただくことで解決しました。

“不要不急”の検査の基準は、
「結果により治療に影響を及ぼさない検査」
を目安にしています。

医師の私が“必要”と判断する検査は行っていますが、
一般の方と私の視点は異なりますので、
ギャップが生じるのは仕方ありません。


当院では新型コロナ禍以降、
感染対策も地道に整備してきました。

診察室、隔離待合室、処置室、レントゲン室に、
それぞれ換気扇を増設して強力に強制換気をしています。

発熱外来専用プレハブも増設し、
濃厚接触者はそこで診療と、
万全の体制で臨んでおります。

予診・問診に関しては、
従来は待合室で看護師スタッフと患者家族が対面で、
紙の問診票を使ってやり取りしていましたが、
時には長時間となってしまい、
感染対策から好ましい方法ではありません。

そこで“WEB問診”を導入し、
来院前に問診内容をスマホ入力できるようにしました。
患者さんが訴えたいこと、
医師側が聞き出したい内容を、
もれなく情報収集できるよう半年かけて造り込んだシステムです。

予約システムは「順番取り」のアイチケットを採用しています。

患者さんによっては「時間指定」の予約の方がよい、
という意見も聞こえてきます。

確かに、流れ作業で進む風邪の診療のみなら、
「時間指定」の方が便利だと思います。

しかし、当院はアレルギー科を標榜しているので、
その相談で受診される方は、数十分かかることもあります。

性格上、それを上手く端折ることはできないので、
「順番指定」の方がベターと判断して選択しました。

「順番指定」なら一人の患者さんに時間がかかっても、
ずれ込むだけで順番は変わりません。
患者さんはときどきスマホで順番を確認して来院していただければOKです。

一方の「時間指定」では、一度遅れると「何時に予約したのに1時間も遅れた」
とそれ以降の患者さんへの影響がずっと続くことになります。

さらに、今回の新型コロナのようなパンデミックは初めての経験であり、
特に最近は新型コロナのPCR検査も扱うようになり、
準備に苦心してもなかなかスムースには運ばず、
待ち時間が長くなりがちで、ご迷惑をおかけしています。

日々、(老体に鞭を打ちつつ)手探りで改善していく所存ですので、
ご理解いただければ幸いです。

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子どもへの新型コロナワクチン接種でお悩みの方へ

2022年01月23日 22時00分06秒 | 小児科診療
厚生労働省は2022年1月21日、ファイザー製の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンについて、用法・用量が異なる「コミナティ筋注 5~11歳用」の製造・販売を特例承認しました。

流行の中心がオミクロン株になった今、新型コロナワクチンの要否を再考してみたいと思います。
まずは、ワクチンの基本を押さえておきましょう。

単純に「自然感染で免疫をつけるか、ワクチンで免疫をつけるか」という視点で考えると、
・自然感染の重症度・後遺症
・ワクチンの効果・副反応
を比較して天秤にかけて判断します。

もちろんこの比較検討は大切ですが、私の説明は少し異なります。

自然感染とワクチン接種は何が違うのか?

突き詰めると、
ワクチンはウイルスの一部を身体に入れて免疫を付ける
自然感染はウイルスの全部が身体に入り免疫が付く
のどちらを選ぶか、ということ。

当然、
体へのダメージはウイルス全部が入って暴れまくる自然感染の方が、
ワクチンより大きい
と考えられます。

免疫獲得の程度はどうでしょうか。

「体へのダメージが大きい自然感染の方が、
ワクチン接種より強い免疫が獲得できる」
というのが一般的な認識です。

いわゆる“生ワクチン”(麻疹、風疹、水痘、ロタウイルスなど)ではこの一般論通りであり、
「自然感染は1回で終生免疫が獲得されるが、
ワクチンは1回接種では終生免疫は獲得できず複数回接種が必要
になります。

しかし生ワクチン以外では、各ワクチンで効果が異なります。
複数回接種することが原則であるものの、
中には自然感染より強い免疫を獲得できるワクチンが存在します。

例えば、肺炎球菌ワクチン。
小児に重篤な髄膜炎を起こす細菌ですが、
中には複数回罹患する例もあり、
十分な免疫を自然感染では期待できません。
しかし、肺炎球菌ワクチン(プレベナー13®)を接種すると、
自然感染より高い抗体価を獲得できます。

例えば、HPV(子宮頚癌)ワクチン。
自然感染では感染を繰り返す、
つまり免疫獲得しにくいウイルスですが、
ワクチン接種により10年単位の免疫持続状態が確認されています。

では、新型コロナウイルスではどうでしょう。

小児にCOVID-19抗体は生じ難い~ワクチンは有望で効果91%

この報告では、
新型コロナの自然感染では子どもは免疫がつきにくく感染を繰り返す
可能性が示唆されています。

一方、ワクチン接種では自然感染より強い免疫がつくことが報告されています。

つまり、新型コロナにおいては、
免疫獲得に関してはワクチン接種>自然感染
ということになるのです。

これは驚きの事実!

さらに、ワクチンと自然感染の決定的な差として、
ワクチンにより免疫が付く過程で他人に感染させない
自然感染により免疫が付く過程で他人に感染させる
が存在します。

この違いは、
感染症から友達・家族を守る、学校を守る、地域を守る、社会を守る
視点に繋がります。

そして新型コロナ初するの変異株の中で、
オミクロン株は他人に感染させるリスクが最強・最大
なのです。

自然感染で免疫獲得を選択し、集団免疫を目指すと、
流行拡大による重症者・犠牲者がたくさん出て、
社会機能・経済活動が麻痺することは火を見るより明らかです。

以上をまとめると、
ワクチンの方が自然感染より体へのダメージが少ない
ワクチンの方が自然感染より免疫獲得効果が大きい
ワクチンは他人に感染させないが自然感染は感染を広げる
というワクチンの有用性が証明されました。

以上に基づき、私は基本的に新型コロナワクチン接種を推奨します。

では、小児に限定するとどうでしょう。
リアルワールドのデータで、自然感染とワクチンの比較をしていきましょう。


【自然感染】

・国内における5~11歳の新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)症例の大多数は軽症であるが、感染率が同年代人口の1~2%にとどまるなかでも、酸素投与などを必要とする中等症例は散発的に報告されている。

・2歳未満(0~1歳)と基礎疾患のある小児患者において重症化リスクが増大することが報告されている。


【ワクチン】
※ ファイザー社ワクチンの5-11歳のデータを中心に記載しました。残念ながらオミクロン株に対するデータはまだありません。

・国内で5~11歳を対象とする接種への承認申請が出されているワクチンは、
現時点ではファイザー社製のみで、
同ワクチンは従来のワクチンと比べ含有されるmRNA量が1/3の製剤である。

・ファイザー社ワクチン10μgの2回目接種後1か月の免疫原性は、
16-25歳における同社ワクチン30μgの 2回目接種後1か月と比較し同等で、
2回目接種後7日以降の発症予防効果は90.7%であった報告されている。
ただしこれはオミクロン株出現前のデータであり、
オミクロン株への有効性を示すデータは十分に得られていない。

・2回目接種後約2か月の追跡期間において安全性が示されたと報告されている。


・米国のCDCより、
5-11歳の小児の新型コロナワクチン接種後の副反応の状況について、
2021年11月3日から12月12日 までに集計された41,232人のv-safe参加者の解析結果が報告されている。
それによると、5-11歳の小児の新型コロナワクチン接種後に、
学校への出席が困難となる頻度は高くなく、
医療ケアが必要となることはまれであった(約1%)と報告されている。

・米国のV-safeよると、
5-11歳の小児の新型コロナワクチン接種後の副反応のほとんどが、
軽度から中等度であったと報告されている。
その内訳は、2回接種後、局所反応が57.5%、全身反応が40.9%に認められ、
発熱は1回目接種後7.9%、2回目接種後13.4%であった。
11件が心筋炎と判断されたが、
全員が回復した(心筋炎の発症リスクは、COVID-19に罹患した場合の方がはるかに高い)。
5~11歳の小児では16~25歳の人と比べて一般的に接種後の副反応症状の出現頻度は低かった。

・ワクチンはCOVID-19の合併症・後遺症とされる、
多系統炎症性症候群(MIS-C)のリスクを減らす(これは12-18歳のデータ)。


・COVID-19罹患歴があっても接種が推奨される。

・米国、カナダ、イスラエルでは全ての小児に対して接種を推奨しており、
フランス、ドイツはより限定的な対象者に対する推奨をしている。




(小児科学会の考え)

・基礎疾患のある子どもへのワクチン接種により、
COVID-19の重症化を防ぐことが期待される。

・5~11歳の健康な子どもへのワクチン接種は、
12歳以上の健康な子どもへのワクチン接種と同様に意義があると考える。

・健康な子どもへのワクチン接種には、
メリット(発症予防等)とデメリット(副反応等)を本人と養育者が十分理解する必要がある(子どもに内緒で接種会場に連れてくるのはダメですよ〜)。


<参考>
■ 「オミクロン株 ここまでわかった特徴と第6波対策」(時論公論)(2022年01月20日:NHK)
(2021.12.21:ナショナル・ジオグラフィック)

ただし私の考えは、ワクチンが十分に有効であることが大前提です。
私が懸念するのは、ファイザー社のmRNAワクチンのオミクロン株への発症予防効果です。

武漢株〜デルタ株までは、90%以上の高率でした。
しかしオミクロン株に対しては、英国におけるデータでは、
2回接種後まもなくでも65%、その後どんどん減衰し、
半年後には10%程度まで落ちてしまうことがわかっています。
3回目接種(=ブースター接種、追加接種)後2週間では65-75%に再上昇しますが、
3回目接種まで約半年開いてしまいます。



一方、2回接種でも重症化予防効果は十分に期待でき、効果は長く続きます。
また、後遺症発生率もワクチン接種で低下すると報告されています。

以上より、オミクロン株の登場により、
残念ながら新型コロナワクチンは
「打てば罹らない」
というレベルではなくなりました。
「感染予防より重症化予防」
という、インフルエンザワクチンと同じようなレベルになったのです。

さて、オミクロン株に特化したワクチンがファイザー社モデルナ社で開発中との情報があります。

それを待つという選択肢も・・・
いやいや、小児の治験が行われているかどうか不明なので、
いつになったら接種できるようになるのかわかりません。

やはり、現時点における(ベストではありませんが)ベターな選択は、
ファイザー社のワクチン接種と考えるのが妥当でしょう。


<参考動画>

長崎大学大学院・森内浩幸教授(2022/1/21:東日本放送)

■ (オミクロン前)質疑応答【動画版】「子どもへの新型コロナワクチン接種は必要か?」森内浩幸教授(2021/10/7:日本医事新報社)

■ (オミクロン前)シンポジウム「若い世代の新型コロナワクチン接種について
 参加者:森内浩幸(長崎大学大学院教授)、小島勢二(名古屋小児がん基金理事長、名古屋大学名誉教授)、袋本久美子(関西大学4回生)、千葉陽太(関西大学3回生)、南出賢一(泉大津市長)、城下英行(関西大学准教授)、山岡淳一郎(ジャーナリスト)、家田堯(Think Vaccine)
(2021/9/28:厚生労働省)
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集団生活(園・学校など)での対策は「手洗い」「マスク」「三密回避」に尽きますが・・・。

2022年01月23日 11時46分38秒 | 小児科診療
同じことを何回も書いて恐縮ですが、
新型コロナ感染対策は「手洗い」「マスク」「三密回避」に尽きます。

子どもたちの集団生活の場でもそれは同じです。
オミクロン株が広がる現在でも同じです。

あえて強調するとしたら「三密」の中に含まれる「換気」でしょうか。
室内を換気により屋外と同じくらいに保てれば、
感染するリスクはほとんどなくなります。

昨年(2021年)10月の記事を紹介します。
第五派が収束して一息つけた時期に、
「学校での過剰な感染対策を見直そう」
という方向で組まれた対談です。

新型コロナ「子どもの感染対策」転換期 保護者/保育士/医師/行政担当者が座談会「行き過ぎた対策 今こそ見直すべき」

感染拡大が落ち着いているときだから言える発言、

大人は「子どもはかかっても大丈夫ですよ」と言う覚悟が必要ですね。子どもに感染させないではなく「感染して大丈夫」と言う覚悟です。

皆が「コロナは怖くない、普通の生活をしよう」という気持ちになることを目指そうと思っています。

今窮屈な思いをしている子どもたちがマスクを外して満面の笑みで友達と話している姿を見られる日がすぐそこまで来ているとイメージできました。

などもありますが、この記事の注目すべき点として、
「やめませんか、過剰な新型コロナ対策」というイラストを提示していることです。


これは、現在でも通用することだと思われます。

この記事から3ヶ月以上経過し、
現在オミクロン株の大流行中ですが、
学校現場では一体どうなっているのでしょう。

子どもの集団生活でも、
3歳未満の乳幼児が通園する保育園はまた別問題です。
2歳未満の子どもは、逆に危険なためマスクは禁止されています。

この年齢層のワクチン接種は未定ですし、
「子ども⇔子ども感染のリスクは低い」従来株のという特徴から、
「子ども同士でも容易に感染する」オミクロン株に変異した現在、
感染流行の温床になりそうです。

そして家庭内で子どもから大人に感染する力も従来株より強く、
どんどん感染が広がります。

そこにワクチン接種後半年近く経ち、
免疫の切れつつある高齢者が同居していると感染してしまいます。
ワクチンの重症化予防効果で以前より重症化率は低くなるものの、
やはり無視はできません。

昨年秋に岸田政権に代わり、
ワクチン接種が滞っている印象があります。
ワクチン担当大臣の顔も見えません。

今となっては、
批判を浴びながらも強引にワクチン接種を勧めた管首相、
国民にワクチン行政を“見える化”した河野担当大臣、
二人の手腕が思い出されます。
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オミクロン株は“終わりの始まり”ではない?

2022年01月23日 07時04分51秒 | 小児科診療
数日前に「オミクロン株は“終わりの始まり”?」という小文を書きました。
今回は反対の立場からの意見を紹介します。

オミクロン株はたまたま出現した変異株の一つに過ぎず、
その性質をよく見極める必要があり、
まだまだデータ不足なので断定するのは時期尚早である、
今後も変異株がどんどん出てくる可能性が大きく、
“終わり”ではなく“長くつき合っていく”というスタンスが望ましい、

という内容です。
私が知りたかった、次の疑問にも答えてくれています。

・オミクロン株に感染したらどれくらい免疫が持続するのか?
→ 他の株同様、半年後には低下する。他の株に有効かどうかは現時点ではデータなし。

・新型コロナに対する免疫は、自然感染とワクチン接種のどちらが強力なのか?
→ ワクチン接種による免疫が勝る。自然感染では数ヶ月後、ワクチン接種では半年後には抗体が減衰してしまう。

オミクロンが「自然のワクチン」にならない理由
小野昌弘:イギリス在住の免疫学者・医師
2022/1/20)より抜粋;
 オミクロンが「弱毒株」であるがゆえに「自然のワクチンになって」パンデミックの出口に至るという楽観論が世界あちこちで広まっており、日本にも到達したようです。これは科学的には根拠のない話ですが、実際のところどうなのでしょう。

1)オミクロンは「弱毒株」だから感染しても大丈夫?
 オミクロンが「軽症」ですむ場合にはワクチンの効果による部分が大きいです。ウイルス自体の病原性もデルタに比べると「低い」ですが、これは限定的で独特のニュアンスがあります。
 というのは、オミクロン感染では、人工呼吸器を必要とするタイプの重症化率はある程度低下している一方で、入院治療が必要になる程度の重症化率は、とくにワクチンをしていない人や、2回目接種から長い時間がたっている人のあいだではそれほど下がらないようです。このため、集中治療室よりも一般病棟における医療逼迫が英国などでも問題になっています。
 重要な点として、オミクロンによる重症化率は特に若年者でより低くなる傾向がありますが、高齢者や持病のある人ではオミクロンでも(デルタと比べて)それほどは重症化率が減ってくれていません。ですから、コロナで重症化しやすいひとは、オミクロンでも同様に危険があるので、感染予防やブースター接種で身を守る必要があります。
 オミクロンはデルタとよく比較されますが、そもそもデルタが従来株より病原性が高い変異株であることは注意が必要です。
 また、軽症〜中等症のコロナ感染後にもコロナ後遺症がありえることも問題です。コロナ後遺症は治癒後ある程度(たとえば12週間以上)つづく症状で規定されるもので、医学的にはさまざまな異なった状態があると考えられます。オミクロンでどの程度コロナ後遺症が起こるのかについてはまだ未確定です。また、心筋炎といった、呼吸障害以外の合併症がオミクロンでどの程度起こるかについてもまだ不明です。

2)オミクロンで免疫ができれば他のコロナにかからなくなってパンデミックが終わる?
 オミクロンは免疫逃避型変異株として、(デルタなどに一度かかったひとが)再感染したり、ワクチンを2回接種したのに感染すること(=ブレイクスルー感染)が普通におきてしまいます。
 従来株やデルタの感染でできる抗体や、ワクチン接種で誘導される抗体ではオミクロンに対する効果は数割程度効果が落ちています。
 しかも、そもそも、コロナの自然感染でできる免疫では治癒後、数ヶ月単位で急速に抗体価が下がってしまいますワクチンのほうがより安定な免疫になりますが、とくに高齢者では半年ほどでワクチンの効果が(接種直後の)半減してしまいます
 ここで科学的に重要なのは、オミクロンとそのほかの変異株(デルタ、アルファなど)は免疫学的に(とくに抗体という観点から)とても違うということです。デルタでできる免疫からオミクロンは逃避するので、デルタ感染したことがある人にも簡単に感染できてしまいます。
 この逆もまた理論的には考えられます。
 オミクロンに感染することで人体がつくる抗体は、デルタなどほかの変異株には効きが悪いという可能性が十分にあります。
 そして、次の変異株は、オミクロンともデルタとも異なるタイプの免疫学的特性をもつ変異株が問題になる可能性もまた十分にあります。
 なお、オミクロンに感染した場合、オミクロンに対する免疫が特異的に誘導されるので、治癒直後にはオミクロンに再感染しにくいと考えられます。

3)オミクロンでT細胞免疫が誘導されて長期免疫ができてパンデミックが終わる?
 自然にコロナに感染することでできる抗体は半年以内に相当減弱します。また記憶T細胞の数も数ヶ月単位で半減していきます。抗体をつくるB細胞とT細胞は助け合う関係で、これらが急速に減少してしまう以上、オミクロンであっても同様に、自然に感染してできる免疫の持続はそう長くないだろうと考えられます。
 ワクチン接種は(自然感染よりも)安定した抗体とT細胞免疫を誘導できるので、オミクロンによる重症化回避のうえでも有効です。しかしそれでもワクチンで誘導される免疫は半年単位で減弱してしまいます。高齢者などコロナ感染でリスクが高い人ほど免疫は不安定になりがちなので、ブースター接種が重要になります。
 ワクチンの繰り返し接種や自然感染で、だんだん「T細胞免疫が強くなっていく」と楽観的に考える人もいます。これもそうあってほしい話ですが、科学的にはそれほど強いデータが存在しません。
 少し長期的な展望を書くと、T細胞免疫を安定かつ長期に維持できるようなワクチンの開発が望まれています。しかしこれにはまだしばらく時間がかかりそうです。

4)オミクロンがデルタを駆逐してパンデミックが終わる?
 これは「そうであれば良いな」と思う夢のような話ですが、残念ながら変異株の発生は終わらないという事実は(オミクロンが出現したからといって)変わりません。
 デルタの病原性が高い以上、せめてオミクロンがデルタだけでも駆逐してくれればと願うものです。 しかしながら、オミクロンがほかの変異株とは免疫的な性質がとても違うことから、オミクロン感染でできる免疫は(特に抗体の免疫については)デルタなど他の変異株に対してはそれほど期待ができません。
 デルタもオミクロンほどではないにしろ感染しやすい変異株であるということからも、デルタを駆逐しきれずにオミクロンとデルタが交互に流行するというシナリオもあります。
 さらに可能性が高いのは、デルタでもオミクロンでもない新しい変異株が半年〜1年後に世界のどこかから出現して再び大流行するというシナリオです。

 以上のことから、科学者の個人的見解としては、オミクロンの登場自体はとくにパンデミックの終わりが近いことを示すものではないと考えます。むしろオミクロンは新型コロナウイルスが予想以上に大きな「振れ幅」をもつことを示したことが科学的には重要です。予測がそう簡単ではないゆえに、流行のリアルタイムでデータを取得して判断していくことがますます重要になったといえます。

5)まとめ
 今までコロナにかかったことがない人で、しかもワクチンをしていない人にとっては、オミクロンはこれまでと同様に危険な感染症です。少なくとも、オミクロン感染よりもワクチンで免疫をつけるほうがずっと安全で(より多くの変異株に対して)汎用性のある免疫のつけ方になります。
 今回のオミクロン流行の特性を把握して、対策することが緊急ですが、オミクロンはこれまでの変異株と比べて免疫学的にもウイルス学的にも異なる点が多いので、オミクロンの特徴だけを見てパンデミックの長期見通しの根拠とするのは危ういと思います。
 確実に明るい材料は、オミクロンの病原性うんぬんよりも、パンデミックを制御するための科学技術が進歩しつづけている点に存在します。
 とくに重症化回避のために効果が高いワクチンができて現在広く接種されていること、さらに現在も新しいタイプのワクチンが開発されつつあること、また治療方法が進歩していること、という3点が重要です。
 また、検査体制や変異株モニタリング体制も進歩がみられて、より確実にリアルタイムで流行の状況を知ることができつつあります。
 こうした科学技術のおかげでパンデミックの核心的問題は少しずつ、より上手に制御できるようになってきています。こうした新しい道具と知識をうまく使っていくことがコロナに安全な社会を作っていく上でより重要になっていくと思われます。
 ここを間違えて、せっかく作り上げた科学インフラと専門知を小馬鹿にしてこの2年間積み上げてきたものを崩してしまうと、オミクロン流行への対応における問題だけではなく、近い将来、新しい変異株流行のときにしっぺ返しにあってしまうことになると考えられます。

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新型コロナに感染してしまったら?

2022年01月22日 21時53分02秒 | 小児科診療
オミクロン株の流行により“濃厚接触者”になること、
そして“PCR陽性者”になることが身近になり、
他人事ではなくなってきました。

では“濃厚接触者”に指定され、無症状ながらもPCR検査が陽性になった場合、
あるいはカゼ症状で医療機関を受診しPCR検査が陽性になった場合、
具体的にどのような生活になるのでしょうか。

事前にイメージしておくと、いざというとき慌てずに済みますので、
シミュレーションしておきましょう。
この疑問にも倉原優Dr.が分かり易く説明している記事がありました。

新型コロナに感染してしまったら 陽性者の宿泊・自宅療養の注意点 経口治療薬の処方は
倉原優:呼吸器内科医
2022/1/19)より抜粋;

新型コロナの陽性者になった場合の療養期間

 もし新型コロナに感染した場合、無症状あるいは軽症であれば、入院ではなく宿泊療養か自宅療養となります。療養期間については「発症日(無症状者は陽性検体が採取された日)から10日間が経過し、かつ症状消失から72時間経過した場合」となっています(図1)。たとえば、2月1日に発症し、2月8日までに症状が軽快すれば、療養解除や療養施設退所日は2月11日になります。入院した場合についても、人工呼吸器を装着していなければ、同様の解除基準となっています。


 図1. 新型コロナ陽性者の隔離解除基準(筆者作成)

宿泊療養で準備するもの・注意点

 宿泊施設では、外出せずに療養施設内で過ごすことになります。施設ごとに注意事項や生活上のさまざまな制約があります。また、毎日健康状態の報告が必要です。
 通販や外部からの物品受け取りについては、感染拡大防止のために不可のところもありますが、常用薬の補充や家族からの差し入れに関しては可能な施設が多いです。とはいえ、基本的に必要物資は療養開始時にすべて持参する必要があります。宿泊施設のスタッフにヒアリングした、おすすめの準備品は図2の通りです。

 図3. 宿泊療養時の準備品(筆者作成)

 体温計やパルスオキシメーターは宿泊施設で準備してもらえることが多いです。宿泊費用や食費の自己負担はありませんが、帰りの交通費が必要になることもあり、ある程度現金があったほうがよいです。
 宿泊療養施設では、タオル類をクリーニングして再利用するマンパワーがないことが多く、いわゆる「ホテル備え付けのタオル」の提供がない場合が多いのでご注意ください。衣服をたくさん持っていってもかさばるため、最低限の部屋着くらいでよいです。これらの洗濯については、施設内コインランドリーが使用できないこともあり、バスルームで手洗いをお願いされる場合もあります。また、使い慣れたシャンプーやドライヤーなどを持っていくことが望ましいです。宿泊施設に備え付けのものが置いてあることもありますが、体に合わなくて10日間つらい思いをすることがあるそうです。
 部屋からほとんど出られないのでストレスが溜まると思いますが、飲酒や喫煙はできません。飲酒して酔っぱらうと、病状の把握ができなくなります。喫煙した場合、数万円が請求される施設もあるので注意してください。

自宅療養で準備するもの・注意点

 東京iCDC専門家ボードから「新型コロナウイルス感染症自宅療養者向けハンドブック」が公開されているので参考にしてください。
 宿泊療養と同じく、療養期間中の外出は禁止となります。家族と同居している場合、家族全員が不織布マスクを着用する必要があります。生活空間を分けて、可能なかぎり換気をおこないましょう。家族全員陽性という場合もありますし、小さな子供がいる場合に親と空間を分けるというのは至難の業ですから、実際のところはケースバイケースです。
 洗面所やトイレを分けることは難しいので、ドアノブや手すりをこまめに消毒することが重要です(図3)。消毒は、アルコールあるいは0.05%に希釈した次亜塩素酸ナトリウム水溶液を用います。後者を自宅で作ることは難しいので、環境用のアルコールタオルなどを薬局で入手するのがベストです。
 陽性者から出たゴミについては、しっかりとしばって密閉して捨てるようにしてください。気になるときはゴミ袋を二重にします。

 図3. 自宅療養時の注意点(筆者作成)

 自治体によって自宅療養者のサポートには違いがありますが、療養者の食料品等の支援がおこなわれることが多いです。東京都では、自宅療養者フォローアップセンターを設置し、LINEや電話を活用した健康観察をおこなっています。
 自宅では、咳の悪化、呼吸困難の悪化、酸素飽和度の低下(パルスオキシメーターで測定)、胸痛や意識障害の出現がないかチェックしてください。オミクロン株は上気道にとどまりやすいですが、肺炎にいたるとこれらの症状が出てくることがあるので注意が必要です。

治療薬の配送が可能

 軽症者向けの経口治療薬モルヌピラビル(商品名ラゲブリオ)が特例承認され、現在使用されています。すでに全国の医療機関や薬局に2万人分以上が配布されています。発症5日以内に内服を開始することが望ましいとされています。
 新型コロナを診断した医療機関から、登録薬局に処方箋が発行されますが、感染対策の観点から、陽性者が薬局を直接訪問することはありません。そのため、薬局から自宅あるいは宿泊施設に配送される仕組みとなっています(図4)(1)。


 図4. モルヌピラビル(商品名ラゲブリオ)の処方(筆者作成)

 すでに承認が申請されているニルマトレルビル/リトナビル(商品名パクスロビド)についても、同様の配送がおこなわれるのではないかと予想されます。

<参考>

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“濃厚接触者”になってしまったら?

2022年01月22日 21時11分14秒 | 小児科診療
新型コロナウイルスのオミクロン株の感染拡大で、
“濃厚接触者”が激増しています。

先日、保険福祉事務所が対応しきれずに業務を縮小し、
医療機関、高齢者施設、家庭内などは従来通り担当しますが、
学校、企業、団体、個人に関しては、
“濃厚接触者かどうかは、各施設・各自で判断してください”
と変更されました(丸投げ?)。

そして、“濃厚接触者”の扱いも変更されています。
では現時点(2022.1.22)で“濃厚接触者”と指定された場合、
どのように行動・生活すべきなのでしょうか?

倉原優Dr.が分かり易く説明している記事を見つけました。
ポイントを抜粋させていただきました。

もし新型コロナの濃厚接触者になってしまったら 現時点の定義と新しく示された自宅待機期間
濃厚接触者の定義
 自治体によって表記が異なりますが、概ね以下の通りとなります(図1)。新型コロナ陽性者を扱っている保健所が本来濃厚接触者を認定していますが、業務が逼迫している複数の自治体では、すでに陽性者が濃厚接触者へ連絡する形となっています(1月20日追記)。

 図1. 濃厚接触者の定義(参考資料1より筆者作成)

自分が濃厚接触者になったら

 自分が濃厚接触者となった場合、必要に応じてPCR検査等が行われますが、陽性にならない限り自宅待機となります。陽性者との最終接触日から一定期間、以下のことを遵守していただく必要があります。

・発熱(1日2回の体温測定)、咳の悪化、呼吸が苦しくなるなどの健康状態の自己観察
・不要不急の外出を自粛する(食料などの買い出しは除く)
・外出する際は、マスクの着用と手指衛生などの感染予防策をしっかりと
・公共交通機関の利用は控える
・出勤・登校・登園、およびデイサービス・福祉施設等の利用は控える

 現時点では濃厚接触者と判断されれば就業制限がかかります。
 さて、どのくらい自宅待機が必要になるのでしょうか。

現時点の自宅待機期間

 これまで、濃厚接触者の自宅待機期間は14日間でしたが、2022年1月14日に自治体向けにオミクロン株に関して10日間へ短縮する旨が通知されました。
 エッセンシャルワーカーについては、待機6日目のPCR検査・抗原定量検査が陰性、あるいは待機6日目と7日目の抗原定性検査が2日続けて陰性であれば、自宅待機解除可能としていますが、この運用は自治体ごとの判断によります。
 エッセンシャルワーカーとは、厚労省は「社会機能を維持するために必要な事業に従事する者」と定義しており、これは「緊急事態宣言時に事業の継続が求められる事業者」として認定されている業種のことを指します(図2)。かなり広い範囲が含まれています。

図2. エッセンシャルワーカー(参考資料4より筆者作成)

 エッセンシャルワーカーが濃厚接触者になった場合、「待機中に検査を受けて解除されること」と「10日間自宅待機を完遂すること」の2つを天秤にかけるわけですが、3~4日間の差について事業者が重要と考えているかどうかで対応が異なるでしょう。
 なお、医療従事者に関しては、毎日検査陰性を確認すれば、濃厚接触者であっても初日から出勤することが可能です。この場合、6日目まで毎日検査陰性を確認すればよいと思われます。もし検査陰性を確認して出勤できたとしても、10日目までは、仕事以外の不要不急の外出はできる限り控える必要があります。

新型コロナ陽性の同居者がいる場合

 濃厚接触者の10日間というのは、感染可能期間内に患者と最終接触した日を0日目として翌日から10日間計算します。家族に陽性者がいた場合、「陽性者の療養期間10日間」+「濃厚接触者の自宅待機期間10日間」で最大20日間に到達することがあります(図3)。


図3. 濃厚接触者の自宅待機期間(筆者作成)

<参考HP>
(4) 新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針 令和3年11月19日(令和4年1月7日変更)

もう一つ、高山義浩Dr.の記事も参考になります。
こちらもポイントを抜粋してみました。

濃厚接触者の待機期間の考え方 何が変わったのか?
高山義浩:沖縄県立中部病院感染症内科・地域ケア科
2022/1/17)より抜粋;

・・・社会機能の維持を急ぐべきこともあり、1月14日に、厚生労働省は、新型コロナウイルスの濃厚接触者の待機期間について、これまで14日間だったものを10日間に短縮すると事務連絡を発出しました。・・・なお、この方針は、オミクロン株に限るとされています。
 他にも、医療従事者向けの事務連絡もあり、かなり複雑になってきました。混乱しがちですが、現行ルールを要約してみると、以下のようになっています(1月15日時点)。

1)最後に陽性者と濃厚接触のあった日から10日を待機期間とする。その間はできるだけ外出を自粛すること。
2)業務継続のために必要な社会機能維持者については、以下の2つの方法のどちらかを選択して、待機期間を短縮することができる。
 ― PCR検査を6日目に実施して陰性を確認
 ― 抗原検査キットを6日目と7日目に実施して陰性を確認
3)代替要員の確保が困難な医療従事者については、以下の方法により待機期間であっても就労することができる。ただし、ワクチンを2回接種済であること。
 ― PCR検査(抗原検査キットも可)を毎日業務前に実施して陰性を確認

 上記の2)は、待機期間が短縮されて指定の日数以後は濃厚接触者でなくなるものです。2)に関して、おそらく混乱するのは、「誰が社会機能維持者なのか」ということですね。対象となる業種は、都道府県ごとに決定することになってます。事業者ではありません。業種です。つまり、「小規模離島に運航しているJALは社会機能維持業者だけど、ANAは違います」といった解釈はありません(できません)。
 一方、3)は濃厚接触者でありながら就労が認められるものです。認められると言っても、「コロナに罹ってるかもしれないけど、感染性がないことを確認しながら働きなさい。ただし、仕事以外での外出はだめよ」という超ブラックな事務連絡です。
 個人的には、5日間を目安として個人や事業者ごとの自主性に任せることでも良いように思います(インフルエンザと一緒ですね)。日常生活まで検査に頼りすぎるシステムは、持続可能性に乏しいです。まずは上記運用を試みながら、エビデンスの蓄積とともに、ふたたび柔軟に切り替えていただければと思います。

医療関係者は隔離中も働け・・・超ブラック!

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学校のクラスで新型コロナ陽性者発生! 〜私は“濃厚接触者”?〜

2022年01月22日 16時41分59秒 | 小児科診療
群馬県では、保健所の負担を軽減する目的で、
新型コロナPCR陽性者が発生した際のフローを変更しました。

それを扱った記事を読むと、
小学校などで新型コロナ患者が発生した場合、
「保健所が介入して濃厚接触者を特定し検査を促す」ことは止め(!?)、
「各施設で責任を持って対応する」ことにしたのです。

 

私は耳を疑いました。
これに従うと、学校や園でクラスターが発生した際、
学校長の責任で濃厚接触者を特定することになります。

しかし、従来の“濃厚接触者”の定義、
1.陽性者と同居、長時間の接触
2.1〜1.5mで感染予防なしで15分以上の接触
3.適切な感染防護なしに看護・介護した人
4.陽性者の気道分泌液や体液などに直接触れた人
でオミクロン株の広がりが把握しきれるとは思えません。

私は「マスクなし会話はアウト!」くらいに考えるべきだと思いますが・・・。

学校生活ではどの範囲まで“濃厚接触者”になるのでしょう。
学校で児童生徒等や教職員の新型コロナウイルスの感染が 確認された場合の対応ガイドライン」(2021.8.27:文部科学省)によると、

2.濃厚接触者等の特定について 
・・・
 <濃厚接触者等の候補の考え方> 
校内の濃厚接触者等の候補の範囲は、感染者の感染可能期間(発症2日前(無 症状者の場合は、陽性確定に係る検体採取日の2日前)から退院又は療養解除の 基準を満たすまでの期間)のうち当該感染者が入院、宿泊療養又は自宅療養を開 始するまでの期間において以下の①又は②いずれかに該当する児童生徒等及び 教職員とします。 

①濃厚接触者の候補
 ・感染者と同居(寮等において感染者と同室の場合を含む)又は長時間の接触が あった者 
・適切な感染防護なしに感染者を介護していた者 
・感染者の飛沫(くしゃみ、咳、つば等)に直接触れた可能性の高い者(1メー トル以内の距離で互いにマスクなしで会話が交わされた場合は、時間の長さを問わずに 濃厚接触者に該当する場合がある) 
・手で触れることの出来る距離(目安として1メートル)で、必要な感染予防策 なし(※)で、感染者と 15 分以上の接触があった者(例えば、感染者と会話 していた者)

 ※ 必要な感染予防策については、マスクを着用していたかのみならず、いわゆ る鼻出しマスクや顎マスク等、マスクの着用が不適切な状態ではなかったか についても確認する。

②濃厚接触者周辺の検査対象となる者の候補
 ・感染者からの物理的な距離が近い、又は物理的な距離が離れていても接触頻度 が高い者等(感染者と同一の学級の児童生徒等)
 ・大声を出す活動、呼気が激しくなるような運動を共にした者等(感染者と同一 の部活動に所属する児童生徒等)
 ・感染者と食事の場や洗面浴室等の場を共有する生活を送っている者等(感染者 と同一の寮で生活する児童生徒等)
 ・その他、感染対策が不十分な環境で感染者と接触した者等

 ※ 学校において上記①②の候補の速やかな特定が困難な場合は、判明した感染 者が 1 人でも、感染状況によっては、原則として当該感染者が属する学級等 の全ての者を検査対象の候補とすることが考えられる。

以上を読むと
「学校にいる間ずっとマスクを正しく装着していれば濃厚接触者にはならない」
ことになります。
が、実際にはクラスターが発生しているので、オミクロン株はこのガードを突破する感染力があることは明らかです。
前々項目でも「マスク+手洗い+ソーシャルディスタンデング」をすべて守っても、感染予防は87%と100%には届かないと報告されていますし。

小学校・中学校・高校の校長先生は悩ましいですね。
一方、マスクをしていない2歳未満の保育園児のクラスでPCR陽性者が発生すると、全員が濃厚接触者になってしまいます。
すると、あちこちで休園が発生するのは抑止できなくなります。
当然、預けている親は仕事を休まねばならず、社会活動に大きな影響が出ると思われ、大問題です。

また、紹介したガイドラインには学級閉鎖・学年閉鎖・学校閉鎖の目安も記載されています。
参考までに。

学級閉鎖】 
○以下のいずれかの状況に該当し、学級内で感染が広がっている可能性が高い 場合、学級閉鎖を実施する。 
①同一の学級において複数の児童生徒等の感染が判明した場合 
②感染が確認された者が1名であっても、周囲に未診断の風邪等の症状を有 する者が複数いる場合 
③1名の感染者が判明し、複数の濃厚接触者が存在する場合 
④その他、設置者で必要と判断した場合 
(※ただし、学校に2週間以上来ていない者の発症は除く。) 

○学級閉鎖の期間としては、5~7日程度を目安に、感染の把握状況、感染の拡 大状況、児童生徒等への影響等を踏まえて判断する。 

学年閉鎖】 
○複数の学級を閉鎖するなど、学年内で感染が広がっている可能性が高い場合、 学年閉鎖を実施する。 

学校全体の臨時休業】 
○複数の学年を閉鎖するなど、学校内で感染が広がっている可能性が高い場合、 学校全体の臨時休業を実施する。 

現実には、
クラスで一人陽性になったら学級閉鎖」(2022.1.20:読売新聞)
感染者一人で学年閉鎖も」(2022.1.21:朝日新聞)
とやや過敏とも思える対応が社会現象として観察されます。
みな、濃厚接触者の定義を、保健所の指示ではなく学校独自に判断することを迫られ、父兄のクレームを考慮するとこうなってしまうのでしょう。


群馬県 コロナ疫学調査を効率化 濃厚接触者 学校・企業は各自で特定 保健所の業務絞り感染拡大に対応
 新型コロナウイルスの感染急拡大により保健所業務が逼迫(ひっぱく)しているとして、群馬県は21日、陽性者の感染経路や濃厚接触者を調べる「積極的疫学調査」の効率化を図ると発表した。濃厚接触者調査で保健所が担う範囲を、重症化リスクの高い人が利用する高齢者施設や医療機関などのケースに絞り、それ以外は学校や企業、団体といった当事者に濃厚接触者の特定を依頼する。効率化により、限られた職員で感染拡大に対応できる体制を整える。
 県によると、これまで学校などで陽性者が判明した場合、保健所の聞き取りにより濃厚接触者の特定を進めてきた。疫学調査の効率化に伴い、学校などが濃厚接触者を特定し、リストを作成することになった。県が委託する検査会社にリストを送り、PCR検査を受ける。従来保健所が行っていた検査と同様の扱いとなり、費用負担はない。
 学校などで陽性者が判明した場合の対応方法を速やかに県ホームページで公表する。必要に応じて保健所が相談も受ける。
 濃厚接触者の可能性がある個人については、自ら診療・検査外来を予約し、受診するよう促している。
 一方、同居人も含めた家庭内、重症化リスクが高い人が利用する高齢者施設・医療機関については、引き続き保健所が濃厚接触者調査を続ける。
 陽性者本人の症状などの調査は療養先を決める際の重要な内容のため、従来通り保健所が担う。これまで発症14日前までさかのぼり聞き取っていたが、オミクロン株は従来株より潜伏期間が短いとされることを考慮し、2日前までに短縮した。
 陽性者の急増を受け、県は今月に入り、入院が必要な陽性者を確実に入院につなげつつ、宿泊施設や自宅での療養を積極活用する方針を示している。これまでより細かく療養先を検討する必要もあり、疫学調査の効率化によって、こうした業務に十分対応できる体制づくりを進める。
 疫学調査の効率化は保健所が逼迫している間の当面の措置で、前橋、高崎両市の保健所も同様の対応を取るという。山本一太知事は21日の定例会見で「保健所をサポートしてきたが、現在の状況に至っては、同じやり方では難しい。知恵を絞りながら調査を続けたい」と理解を求めた。

<参考>
学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル  ~「学校の新しい生活様式」~(2021.11.22 Ver.7)
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“人流抑制より人数制限” “ステイホームは意味がない”のインパクトと波紋

2022年01月22日 06時58分33秒 | 小児科診療
先日、尾身会長の口から出たコメントです。

私は驚きました。
それまでは“我慢” “辛抱”の発言を繰り返すのみで、
「そんな当たり前のことしか言えない専門家会議に存在意義はあるの?」
と感じていました。

専門家たるもの、
「ここまではOK、ここからはダメ」
という、具体的な行動指針を示していただきたい、と思ってきました。

そこへ、
“人流抑制より人数制限” 
“ステイホームは意味がない”
というインパクトのある発言。

私は“やっと専門家らしいコメントが出た!”
とちょっとうれしかったのです。
はじめて「ここまではOK」という指標を示したのですから。

しかし、このメリハリのついた発言は波紋と混乱を呼んでいます。
まだ、国民の理解が追いついていないので、
時期尚早だったのかもしれません。

紆余曲折を経ながらも、いずれ新型コロナは季節性インフルエンザのように、
“風邪の一種”レベルにソフトランディングします。

その過程で、感染対策は“一進一退” “右往左往” “トライ&エラー”
とある程度迷走することは避けられないと思います。


<参考>

尾身会長「人流抑制ではなく、人数制限が1つのキーワード」 13都県のまん延防止追加、分科会が了承
 政府は19日、東京や愛知など1都12県を「まん延防止等重点措置」の対象に追加することを専門家で作る分科会に諮問し、了承された。 その後、記者団の取材に応じた分科会の尾身茂会長は、13都県へのまん延防止適用は「誰も異論がなく、全員一致だった」とした上で、対策の具体的な中身が議論になったと説明。
 今回はオミクロン株の特徴に合わせた効果的、メリハリのついた対策が必要だとし、「人流抑制ではなく、人数制限が1つのキーワードになると思う。なぜ人数制限かというと、オミクロン株が急激に増えたものを疫学調査で分析すると、ほとんどのケースが大きな声を出したパーティや会食、家などいろんな場面でも起きて、これらが感染のほとんどの部分を示している。こうした大声を出すパーティでは、お酒を飲んでマスクを外し、換気も悪いかもしれない。こういったことが結局、リスクが非常に高いことはわかっている」と述べた。 
 また、目指す方向はゼロコロナではなく、感染拡大のピークをなるべく早く抑えることだと説明。「例外的に他のところで起きたことを一例一例つぶすというよりも、そういうところ(パーティなど)で大きなクラスターが起きないようすることが非常に重要。そのため、特に感染リスクが高いとわかっている場面での人数制限、これは我々市民が工夫して、みんなで努力していくことが求められる」とした。

「若者はコロナ検査せず症状だけで診断も」…専門家提案、重症リスク高い人を優先
2022/01/21:読売新聞)より抜粋;
 政府の新型コロナウイルス対策分科会の尾身茂会長など専門家は20日、オミクロン株の急拡大を見据え、重症化のリスクが低い若者らについては検査を行わず、発熱などの症状だけで診断し、自宅療養してもらうことも検討するべきだとの提案をまとめた。重症化リスクの高い人の検査を確実に行えるようにする狙いがある。同日開かれた厚生労働省の助言機関の会合に示した。
 提案は、早ければ2週間後に感染がピークとなり、多くの感染者が発生すると指摘。感染が疑われる全ての人が検査や診療のために受診すると、地域医療の対応能力を超える可能性があるとの懸念を示した。
 オミクロン株は感染力が強い一方、持病がない50歳未満の感染者は多くが軽症で、自宅療養で軽快している。重症化リスクのある人の医療の確保や一般医療との両立を図るため、患者の状態に応じた受診や診断のあり方も見直す必要があるとしている。

「若者はコロナ検査せず症状だけで診断も」…専門家提案、重症リスク高い人を優先
2022/01/21:読売新聞)より抜粋;
 政府の新型コロナウイルス対策分科会の尾身茂会長など専門家は20日、オミクロン株の急拡大を見据え、重症化のリスクが低い若者らについては検査を行わず、発熱などの症状だけで診断し、自宅療養してもらうことも検討するべきだとの提案をまとめた。重症化リスクの高い人の検査を確実に行えるようにする狙いがある。同日開かれた厚生労働省の助言機関の会合に示した。
 提案は、早ければ2週間後に感染がピークとなり、多くの感染者が発生すると指摘。感染が疑われる全ての人が検査や診療のために受診すると、地域医療の対応能力を超える可能性があるとの懸念を示した。
 オミクロン株は感染力が強い一方、持病がない50歳未満の感染者は多くが軽症で、自宅療養で軽快している。重症化リスクのある人の医療の確保や一般医療との両立を図るため、患者の状態に応じた受診や診断のあり方も見直す必要があるとしている。

首相と軋轢?尾身会長「突然の変身」が広げた波紋
 政府は1月19日、新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の感染爆発を受けて、新たに13都県を対象にまん延防止等重点措置の適用拡大を決めた。ただ、その際に政府分科会の尾身茂会長が、これまでの人流を抑制する方針から柔軟に対応する路線へ“変身”したことが、関係者に複雑な波紋を広げた。  尾身氏は昨年夏から秋にかけての感染第5波でのコロナ対策では、繁華街などへの人出を減らすいわゆる「人流抑制」を主張していた。
 しかし、19日には飲食店の「人数制限」への移行を主張。併せて「オミクロン株の特徴を踏まえた効果的な対策が重要で、ステイホームなど必要ない」と言い放った。 
◇政府と専門家代表の主張が逆転 
 尾身氏は、コロナ対策に苦闘した安倍晋三・菅義偉両政権でも、感染対策の専門家トップとして政府への提言を続けてきた。ただ、厳しい対策の主張で政府と対立する場面も多く、当時の菅首相が周囲に「(尾身氏を)黙らせろ」と憤慨したとされる。
 オミクロン株感染爆発が欧米各国を襲う中、岸田文雄首相はオミクロン対策として「G7各国で最も厳しい対応」を打ち出し、国民的評価を得た。しかし、尾身氏が一転して柔軟な対応を求めたことで、政府と専門家代表の主張が逆転した。 
 オミクロン株の感染力は桁違いだが、重症化リスクは低いとの各国の研究結果を踏まえ、尾身氏は対応方針を変えたとみられる。ただ、当面の対策は飲食店の「人数制限」や「マスク飲食」の励行だけで、問題化している介護施設や保育現場などでのクラスター対策には言及しなかった。
 これに対し、今回まん延防止等重点措置の適用対象となった県の知事から「メリハリというが、実態とかけ離れている」などの批判が噴出。飲食店の営業時間短縮や酒類提供の可否についても、各都県の対応混乱が拡大している。  政府の自治体丸投げの姿勢と、自治体間の足並みの乱れが、オミクロン対策全体への国民の不安、不信を拡大させかねない状況となっている。  政府は19日夕のコロナ対策本部で、オミクロン株感染爆発に迅速に対応するため、13都県にまん延防止等重点措置の適用を決めた。期間は21日から2月13日までの24日間で、医療逼迫防止に向け、各都県による飲食店への営業時間短縮や酒類提供停止の要請などで感染の抑制を図る、とした。
 13都県の内訳は、東京都と群馬、埼玉、千葉、神奈川、新潟、岐阜、愛知、三重、香川、長崎、熊本、宮崎の各県。すでに適用中の沖縄など3県と合わせ、対象地域は計16都県に拡大した。 
 大阪、京都、兵庫の関西3府県も、21日に適用を要請することを決めた。北海道など他道県も早期に適用を要請する構えで、政府が対策本部を開く予定の週明けまでに適用対象が全都道府県の半数を超える可能性もある。 
 これも踏まえ、岸田首相は対策本部で「確保した医療体制がしっかりと稼働するよう各自治体にさらに準備を進めてもらい、メリハリの利いた対策で感染者数の増加を抑制する」と強調した。
 政府は3週間余に設定した適用期間で、飲食店への時短要請は、各都県が認証した店で最長で午後9時、非認証店で午後8時までとした。ただ、酒類提供をめぐっては岐阜、長崎、宮崎3県が一律停止を決めたが、東京都などは認証店で認める方針だ。  政府の基本的対処方針では、ワクチン接種証明書か陰性証明を条件に行動制限を緩める「ワクチン・検査パッケージ」を原則停止した。しかし、自治体の判断次第で、対象者全員に検査を実施した場合は5人以上の会食や収容率100%でのイベント開催も可能となる。
◇人流制限から人数制限にシフトした理由 
 そうした中、基本的対処方針を決めた政府分科会の尾身茂会長は、19日午前の記者団との質疑で、当面のコロナ対策を繁華街などでの「人流抑制」から飲食店などの「人数制限」にシフトさせるべき、との考えを示した。 
 尾身氏は「今までやってきた対策を踏襲するのではなく、オミクロン株の特徴にあったメリハリのついた効果的な対策が重要だ」として、「『人流抑制』ではなく、『人数制限』が1つのキーワードになる」と強調。「今回は何でもやめるという、ステイホームなんて必要ないと思う」と語った。
 尾身氏は、これまでのオミクロン株の感染経路の調査で、換気が悪い部屋などでの多人数の飲食と、大声でしゃべることなどで感染が起きていると指摘。「4人くらいとか、いつも行っている人と静かに飲食し、しゃべるときはマスクをしていれば、店を閉める必要はない」との判断を示した。 
 これに先立ち、年明け以降のオミクロン株による感染爆発に対し、岸田首相は仕事始めの4日、3回目のワクチン接種の前倒しや、無料検査の拡充、経口薬の確保、医療提供体制の強化などの対応をアピール。陽性者の全員入院という対応も見直し、宿泊施設や自宅療養を活用していくという新たな方針を提起した。
 岸田首相サイドは、17日召集の通常国会での野党の追及を交わすためにも、「先手、先手の対応を続けることが重要」と判断。就任後初の施政方針演説でも、「コロナ対策最優先」を繰り返しアピールした。 
 また、岸田首相は、まん延防止等重点措置適用の先に想定される緊急事態宣言発出についても「機動的に検討する」として、政府は都道府県の要請に速やかに対応する姿勢を示した。これも、宣言発出について、「経済的打撃への懸念から慎重姿勢を示して『後手批判』を受けた菅前政権の轍は踏まない」との岸田首相の判断を踏まえたものだ。
 そうした中、岸田首相周辺は、専門家代表として発信する尾身氏についても「菅政権のときのような特別扱いはしない」(岸田派幹部)と漏らしていた。菅前首相がコロナ対策での記者会見に尾身氏を同席させ、「どちらが最高責任者かわからない」と批判が集中したことを意識したからだ。 
 ただ、尾身氏自身はこうした“尾身外し”の動きに危機感を強め、「あえて政府の対応と異なる柔軟路線を打ち出した」(専門家会議関係者)との見方も広がる。専門家の間でも「尾身氏は極めて政治的」(有力専門家)と揶揄する向きは多いが、尾身氏の真意は不明だ。
◇「本当の正念場」を迎えた岸田首相 
 12日に1日当たり1万人を超えた全国の新規感染者数は、1週間後のまん延防止等重点措置の大幅な適用範囲拡大を決めた19日には4万人超と過去最多を更新した。21日からの適用を前に、20日も多くの都道府県で過去最多となり、当面、感染爆発の勢いは止まりそうもない。 
 これまで、「最悪の事態を想定して取り組む」という岸田首相の先手対応が国民に評価され、オミクロン感染爆発でも内閣支持率は高水準を維持してきた。しかし、岸田首相が「ウィズコロナ」戦略を成功させるには、現在の感染爆発防止が最大のカギとなる。
 政府が「先手」による行動制限拡大に踏み込み始めたことに、与党内からも世論の反発を懸念する声が相次ぐ。岸田首相周辺も、「行動制限や自粛要請が拡大・長期化すれば、国民の不満は政権へ向かい、あっという間に内閣支持率も急落しかねない」と危機感を強める。
  岸田首相は施政方針演説で「国民の信頼と共感を得ながら、丁寧で寛容な政治を進めていく」と力説した。しかし、尾身氏との軋轢も含め、政府与党内の足並みの乱れを露呈すれば、国民の信頼は一気に失われる。
 専門家の多くは、オミクロン感染爆発のピークアウトを2月初旬と見込んでいる。それまでの約2週間が岸田首相のトップリーダーとしての真価が厳しく問われる「本当の正念場」(側近)となるのは間違いなさそうだ。


ただ、尾身氏は昔からスタンドプレーが好きな方です。
数十年前のWHO職員時代から私は薄々感じていて、
「科学者としていかがなものか?」
と半分いぶかしく思うこともしばしば。

新型コロナの専門家会議の長になってからも、
人の流れを“人流”と造語したり、
まん延防止等重点措置を“まんぼう”と略して注目を浴びたり・・・
まあ、根っからの目立ちたがり屋さんなのですね。
<参考>の4番目の記事には「尾身氏は極めて政治的」という、
近しい人からの評価もあるくらいです。

スタンドプレーが好きな感染症専門家として、
尾身会長より前に根路銘国昭氏という方もいらっしゃいました。
今となっては懐かしい・・・。
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手洗い、マスク、ソーシャル・ディスタンディングをすべて行うと新型コロナ感染を87%予防できる。

2022年01月17日 07時04分56秒 | 小児科診療
新型コロナ感染対策の“基本三原則”との言える、
1.手洗い(あるいは手指消毒)
2.マスク
3.ソーシャル・ディスタンディング

これらを行うと、実際にはどのくらい感染リスクが減るのでしょうか。
まあゼロにはならないと思うけど・・・。

という疑問に答える報告が目にとまりましたので紹介します。

結論から申し上げると、各行為は
1.手洗い → 47%
2.マスク → 47%
3.ソーシャル・ディスタンディング → 75%
まで感染リスクを減らす効果がある、という結果でした。

手洗いだけ、マスクだけ、では半分くらいしか感染リスクが減らないのですねえ。
ソーシャル・ディスタンディングだけでは25%しか減りません。

しかし、三つをすべて実行する合わせ技は単純計算で、
0.47×0.47×0.75=0.165
となり、約17%まで感染リスクを減らす、
つまり87%の感染を予防することになります。

100%とは行きませんが、素晴らしい数字です。
これにワクチン接種効果を上乗せすると、さらに高い数字が期待できます。

ただ、この報告の中では、“三密”回避の“換気”の項目がありません。
十分な換気を追加すると、さらに予防効果が高くなるはずです。

なお、この報告はオミクロン株登場以前の解析結果と思われ、
現在は数字がこれより低くなっていることが予想されます。

ちなみに、当院の診察室の状況は・・・

・窓を常に5-10cm開けている
・換気扇常時作動
・空気清浄機常時作動

と空気が常に入れ替わっている状況です。
換気扇は患者さんの頭上に強力なタイプを追加設置し、
その音で聴診所見が聞こえにくいのが難です。

しかし冬は上記を行うと非常に寒い。
エアコンと床暖房もフル回転です。

一体この診察室、
どれくらい電気料を食ってるんだろう・・・。


マスク・手洗いでコロナ発症率がどの程度下がるのか~メタ解析/BMJ
 新型コロナウイルスへの感染、発症、死亡に関して、感染対策はどの程度有効だったのだろうか。オーストラリア・Monash UniversityのStella Talic氏らの系統的レビューとメタ解析から、手洗い、マスク着用、対人距離保持などがCOVID-19発症率の減少と関連することが示唆された。BMJ誌2021年11月17日号に掲載。
 本研究では、Medline、Embase、CINAHL、Biosis、Joanna Briggs、Global Health、World Health Organization COVID-19データベース(プレプリント)において、COVID-19発症率、SARS-CoV-2感染率、COVID-19死亡率の減少における感染対策の有効性を評価した観察研究と介入研究を検索した。主要評価項目はCOVID-19発症率、副次評価項目はSARS-CoV-2感染率とCOVID-19死亡率などであった。マスク着用、手洗い、対人距離保持がCOVID-19発症率に及ぼす影響をDerSimonian Lairdのランダム効果メタ解析で評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・選択基準を満たした論文72報中35報が個別の感染対策を評価し、37報が複数の感染対策を「介入パッケージ」として評価していた。
・35報中8報をメタ解析した結果、手洗い(相対リスク:0.47、95%信頼区間:0.19〜1.12、I2=12%)、マスク着用(0.47、0.29〜0.75、I2=84%)、対人距離保持(0.75、0.59〜0.95、I2=87%)がCOVID-19発症率の減少と関連していた。
・検疫・隔離、ロックダウン、国境・学校・職場の封鎖による有効性は、研究の不均一性からメタ解析は不可能だった。

<原著論文>
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