徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

【新型コロナ対策】子どもが罹るとどうなる?

2020年05月24日 20時29分55秒 | 小児科診療
子どもが新型コロナにかかったらどうなる?
世間の心配をよそに、ニュースではなかなか取り上げられません。

軽く済むらしい・・・
いやいや重症例の報告もある・・・
川崎病のような病態になる例も・・・

と少ないながらも情報が錯綜しています。
私の調べのつく範囲でまとめてみることにしました。

感染症専門家のWEBセミナーでは、小児に関する情報は、

発症者や重症者は少ない
10名の小児患者の経過では、発症しても24時間以内に解熱し呼吸不全はなし
(Clin Infect Dis 2020 Feb 28. pii: ciaa198. PMID: 32112072)

だけでした。

日本小児科学会HPには、一般向けに
が用意されていますのでご参照ください。

私はこちら
を読んでみました。
気になる箇所を一部抜粋します;

・COVID-19 患者の中で小児が占める割合は少なく、その殆どは家族内感染である。
・小児では成人と比べて軽症で、死亡例も殆どない。臨床症状は発熱、乾性咳嗽、全身倦怠感、嘔吐、下痢などで、発症後 1~2 週間以内に改善することが多い。
・乳児では発熱のみのこともある。
・殆どの小児 COVID-19 症例は経過観察または対症療法で十分とされている。

やはり軽症で済む傾向。

・COVID-19 は、同じパンデミックを起こす呼吸器感染であるインフルエンザとは異なる部分があることが分ってきている。妊婦がそれ程重症化しないことと、小児の感染例が少なく 重症化も稀であることである。
・現時点では、学校や保育所におけるクラスターはないか、あるとしても極めて稀と考えられる。

よくインフルエンザと比較されることがありますが、年齢層でいうと、高齢者が重症化しやすいのは共通、しかし妊婦と子どもはインフルエンザと異なり重症化しない、というのが現在の認識です。

・海外のシステマティック・レビューでは、学校や保育施設の閉鎖は流行阻止効果に乏しく、逆に医療従事者が仕事を休まざるを得なくなるために COVID-19 死亡率を高める可能性が推定されている。
・教育・保育・療育・医療福祉施設等の閉鎖が子どもの心身を脅かしており、小児に関しては COVID-19 関連被害の方が問題と思われる。

世界の中では休校措置を執らない国もありますが、それでも学校や保育園がクラスターになったという報告を耳にしません。
むしろ弊害が指摘されつつありますね。
休校措置はホントに必要なの?
と検証する必要があると思います。

・10 代では凍瘡様皮膚病変が足先に出来ることがある。
・欧米からは、毒素性ショック症候群または(不全型)川崎病を疑わせるような多臓器系炎症性症候群が、小児 COVID-19 に関連して発症するという報告が出ており注目されている 。現時点では、国内で COVID-19 流行に伴って川崎病の発症が増えたり、川崎病症例で SARS-CoV-2 が検出されたりした報告はない。

これは凍瘡(=しもやけ)様皮膚病変(COVID tue と呼ばれています)は血栓症を疑わせる所見と言われています。
川崎病は原因不明の全身の血管炎です。コロナとの関連はぜひ解明していただきたいですね。

・COVID-19 罹患妊娠・分娩において母子ともに予後は悪くなく、垂直感染は稀。しかし、新生児の感染は重症化する可能性もある。

例数が少ないので、玉虫色の表現になっています。

・SARS-CoV-2 は鼻咽頭よりも便中に長期間そして大量に排泄される。。便中のウイルスに感染性があるかどう かはまだ証明されていないが、SARS の場合に便からの感染拡大が見られたことからも COVID-19 に関して口感染にも注意が必要となる。

便からPCRで検出されることが新型コロナの特徴とされています。
しかし、その感染性については疑問があることは前項目で述べたとおりです。


以上より、子どもは罹っても軽症で済むことは確かなようです。
また、クラスター対策としての休校措置はメリットよりデメリットの方が勝るという意見が多数派。
これから徐々に解除されていくことでしょう。

ただ注意すべきは、日本はイタリアと家族構成が似ていて、3世代同居が多いこと。
これは家庭内感染で子どもから高齢者に広がるリスクを抱えていることを意味します。
イタリアでは、3世代同居あるいは同居はしていなくても週末は3世代+αが集まって会食する習慣があり、
そこが起点となって家族内感染が広まり高齢者が多数重症化し医療崩壊を起こしたという悲劇を経験しました。

一方、スウェーデンも高齢者の死亡が多数報告されていますが、こちらはあまり騒いでいません。
イタリア以外のヨーロッパでは、子どもが成人すると親と別居するのがふつうで、
晩年は高齢者施設で過ごすのが一般的のようです。
そして、スウェーデンでは高齢者施設で新型コロナに感染して重症化しても、そこで看取るそうです。
日本のように病院の受け入れ先を探してあたふたすることはありません。

日本はイタリアの二の舞を踏まないような感染対策を講じる必要があります。
でも、家族内感染を防ぐのは至難の業です。

ただ、家庭内感染は「親から子どもへ」の報告ばかりで、
不思議なことに、「子どもから親へ」を問題視した情報は耳にしません。

なんだか、子どもは新型コロナに関しては“蚊帳の外”感がありますね。
まだ情報が不十分です。

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【新型コロナ対策】PCR陽性=感染力あり?

2020年05月24日 07時44分54秒 | 小児科診療
これは、新型コロナ騒ぎの当初からずっと抱いてきた疑問です。

ご存じのようにPCRはウイルスの遺伝子を検出する検査です。
しかし遺伝子全体を検出するわけではなく、その一部。
つまり、ウイルス粒子がバラバラになって壊れていても、
その一部が検出されただけという可能性があるのです。

新型コロナウイルスは「エンベロープ」という膜に覆われています。
この膜が壊れると、感染力を失います。
しかしこの状態でも、遺伝子構造の一部が保存されていれば、
PCR陽性になる可能性があるのです。

わかりやすい例でいうと、アルコール消毒はこの膜を壊すわけです。
だから有効。
つまり、「エンベロープ破壊=感染力消失」。

一方、ノロウイルスのようにアルコール消毒が効きにくいウイルスは、
このエンベロープを持っていません。
壊すターゲットがないので、アルコールの効きが悪いというカラクリです。

さて、ウイルス学の基本として、便の中にいるウイルスはエンベロープが壊れているそうです。

新型コロナでは、便の中にもウイルスが検出されると報道されています。
では、ノロウイルスのように便から感染(糞口感染)するのでしょうか?

現時点では「糞口感染の可能性は低い
(Emerg Infect Dis. 2020; 26(7) Epub 2020 Apr 2. PMID32240078)
と報告されています。

話をPCR検査に戻します。
PCR検査では長期陽性が続く例がニュースで報道され、
一般市民を不安に陥れています。
現実問題として、PCR陰性にならなければ隔離解除できないというルールを使用している日本は、陽性だけど症状がない人も退院させられずに困っています。

ウイルスが生きているか、感染性があるかを評価できる検査は、
現時点では「ウイルス培養」しかありません(私の知識の範囲では)。

PCR陽性者の検体がウイルス培養でも陽性になるかどうか、
とっても興味があります。

実はそれを検討した研究があります。そしてその結果は・・・
発症9日目以降にウイルス培養が陽性になった症例はなかった
(Nature. 2020; PMID32235945)
と世界の科学雑誌のトップに君臨するNatureに掲載されました。

また、同じ論文の中で、
・呼吸器検体ではPCR10の6乗コピー/mL未満だと感染性のあるウイルスは検出されない。
・PCR定量とウイルスの感染性との相関ははっきりしていない。
と述べられています。

やっぱり・・・

散々振り回されてきたPCR検査。
PCR検査に依存する感染対策がいかに危うく、不確実性を含んでいるかが徐々にわかってきました。

他の報告でも、
発症6日以降での感染はなかった
(JAMA. May1, 2020)
と観察されています。

そろそろ、日本の隔離解除基準を見直す時期ではないでしょうか。

そしてこれから普及する「抗原検査」。
同様に、
「抗原検査陽性=感染力あり?」
という疑問が湧いてきます。

誰か教えてください。

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【新型コロナ対策】手洗い・マスクができない赤ちゃんの感染予防対策

2020年05月16日 15時40分28秒 | 小児科診療
(2020.5.9 NHK-Eテレ)
国立国際医療センター 小児科 松永展明先生
東京大学 発達心理学教授 遠藤利彦先生

有用な内容なので、文字起こししてみました。

Q. まだ手洗いが難しい子どもの感染予防、どうしたらいいの?
A. 無理と思い込まず、義務と思い込まず、水遊び感覚でで始めましょう。完璧を目指さなくても、手洗い後にぬれタオルでふき取ってあげればそれなりに清潔になります。
お父さん・お母さんやご家族が習慣づけていると、子どもはまねをしますよ。
親がしっかり手洗いをすると、家庭にウイルスを持ち込むリスクが減ります。

Q. 手洗いを楽しくする方法があれば教えてください。
A. 手洗いは20〜30秒間くらい行うのが望ましいので、「キラキラ星」を歌いながらするとちょうどよいくらい(ほかに適切な長さのお気に入りの歌があればなんでもOK)。石けんはよく泡立てましょう。
手の平 → 手の甲 → 指の間 → 爪 → 親指の付け根 → 手首の順で洗い、しっかり乾かしましょう。
その後に保湿クリームを塗れば完璧です。

(例)水性ペンで手に“バイ菌”を書いて、それが消えるまで楽しく洗う、というのはどうでしょう。

Q. アルコール消毒を小さな子どもにしてもいいの?
A. 子どもは肌が弱いのでアルコールにより手が荒れてしまうことがあります。薬系(アルコールや石けん)よりも物理的除去(洗い流す)を重視し、手洗いやぬれタオルの二度ふきとかで対応しましょう。

Q. スーパーの食品にウイルスがついていないか心配です。
A. 確かにリスクはゼロではありませんね。自宅に帰ってからふき取りましょう。中までは汚染されていないはず。

Q. 子どもがマスクを嫌がったら?
A. マスクは他のヒトに飛沫を飛ばさないことが主な目的(他人への飛沫感染対策)であり、飛んできた飛沫から自分を守る能力は高くありません。
また、汚れた手で自分の顔を触ることをブロックする接触感染対策としても有効です。
そういう意味では、マスクを嫌がる子どもに無理矢理つけさせると、取ろうと触りまくって逆効果になってしまいますので、子ども自身が健康なときは必要度が低くなります。
★ 2歳未満のマスク着用は窒息のリスクもあり推奨されていません。
★ このブログの前項目参照。

Q. 予防接種は新型コロナの流行が収まるまで遅らせた方がいいの?
A. 予防接種には命に関わる感染症から子どもを守るものも含まれています。クリニックの感染対策(時間・空間を風邪患者と分離しているかどうか)を確認し、できるだけスケジュール通りに受けましょう。

Q. 子どもの外遊びはどうしたらいいの?
A. 密集する遊具は避ける、遊具を触った後は手を洗うなど、できる範囲で感染リスクを減らして遊ばせましょう。感染リスクはなかなかゼロにできません。

Q. 外で出かけられないことを子どもにどう説明したらいいの?
A. 例えば、
「今、世の中にバイ菌のようなものがはやっていて、それで病気になることがあるんだよ。でもちゃんと手を洗えば大丈夫だよ」
「そういうところに近づかなければ病気にはならないから、今は一緒にガマンしようね」
などと説明するのはどうでしょう。
ポイントは、
怖いものだけど、それは避けたりコントロールできるということも一緒に伝える
ことで、怖がらせるだけでは不安が募ってしまうので、安心感もセットにすることを忘れずに。

Q. 家で動画を見せてばかり・・・発達に悪影響が出ないか心配。
A. 確かに、メディアを子ども1人だけで長時間視聴しているのは子どもの発達によいとは言えません。でも、同じものを親子で一緒に見ながら、それを一つの話題にしてコミュニケーションを取ることは、むしろ子どもの発達にプラスに働くこともあると思います。そんなふうに会話や表情で触れ合いができているのであれば、動画などの映像メディアが子どもの発達にマイナスに作用することにはならないと思います。

★ おうち・ご近所での過ごし方の工夫
・兄弟がいる場合に、洗濯ハンガーにおやつをつるして「おやつ食い競争
・スケッチブックに昆虫などの絵を描いて、お母さんが言った虫の場所をプラスチックのハンマーで思いっきり叩いてストレスを解消する「お絵かきモグラたたき
・大小の風船をいくつもつるしてサンドバックのように叩きまくる「風船パンチ
・おばあちゃんがリボンと同じ柄の「おそろいマスク」をつくったら喜んでしてくれるように。
・・・

Q. 子どもが熱を出したとき、いつクリニックを受診したらいいの?
A. コロナウイルスの流行の有無にかかわらず、高い熱が数日続く場合は風邪以外の病気も疑いますので受診をお勧めします。保護者が「おかしい」「いつもと違う」と感じたとき(親の第六感)は、熱の有無にかかわらず受診・相談のタイミングです。

Q. 家族が新型コロナに感染した場合、どうしたらいいの?
A. 親は自分の身を守るためにマスクをして看病しましょう。子どもが泣いて飛沫が飛び散っているときは対面せずに抱き寄せて飛沫を浴びない姿勢を取るように気をつけてください。
一般論として、できる範囲で以下のことを心がけましょう(ノロウイルス対策と同じです)。
・(可能なら)部屋を分ける、カーテンなどで仕切る
・1時間に1回は10分程度換気をする
・本人も看病する人もマスクをする
・看病した後はこまめに手を洗う
・みんなが触る場所(ハイタッチサーフェス)は塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)を適正な濃度(※)に薄めて拭き取り消毒(扱うときは換気を忘れずに)し、金属は消毒後に水拭きを忘れずに
※ 水500mlに対して塩素系漂白剤キャップ2杯くらい

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【新型コロナ対策】子どもは軽く済む事実を政策に活かすべし

2020年05月12日 21時39分13秒 | 小児科診療
新型コロナの特徴として「高齢者ほど重症化・死亡率が高く、年齢が低いほど重症化しにくい」が指摘されています。

なぜでしょう?

一般に感染症は、免疫力の低い年齢(乳児・高齢者)が重症化しやすい傾向があります。
インフルエンザがよい例です。

でも、新型コロナは高齢者を狙い撃ち。
不思議です。

ある小児科医が、新型コロナの文献をたくさん読み込んで出した結論をまとめた手記を公表しています。
なるほど、と頷くことがたくさん。
引用OKとのことで、ここに紹介させていただきます。

「新型コロナは、子どもに受容体が少ないという特性のおかげで、子どもは被害者であり、加害者とはならない疾患です」

★40歳未満は重症化しにくい。特に未成年は感染すら稀。
 4月下旬の大阪からの報告では人口の1%、その後、神戸からの報告では人口の3%が既に罹患しているとされました。
 PCR検査が全く追い着いていない状況なので、実際にはたくさんの人が不顕性感染を起こしていたということです。アメリカからはPCRで陽性と判定された人の数十倍が抗体陽性だったと言われています。
 しかし厚労省のサイトでは、4月25日時点で日本において、40歳未満で重症者は14名、死亡は30代のわずか2名だけです。
 全年齢まで広げても、重症者543名、死者247名です。
(感染者の中央値は40代、重症者の中央値は60代、死者の中央値は80代です。)
 人口の6割程度が感染すれば、終息すると言われていますが、60倍したとしても、40歳未満の重症者800〜900名、死亡120名です。
(外挿法は誤差が大きいため、あくまで参考値ですが、後述するように6割感染はあり得ないので、40歳未満の死者が100名を超えることは無いでしょう。)
 全年齢まで死者を外挿して予測すると、15000名足らずになります。

 インフルエンザも毎年人口の10%程度感染して終息するのですが、皆さんの周りにも「生まれてこの方インフルエンザに罹ったことが無い」という人に出会ったことがあると思います。
 ウイルスが付く受容体の遺伝子多型と、ウイルスを認識する白血球の遺伝子(HLAとMHCの)多型によって、どのウイルスにも耐性を持つ遺伝子多型が存在するため、どうやってもSARS-CoV-2に感染しない人がいて、どうもこのCoVID-19に対する耐性遺伝子はアジア人に多いということが分かり始めています
(この情報はまだ確定ではありません。)
 おそらくこういった理由で、日本やアジア諸国ではおそらくせいぜい人口の10〜30%程度しか感染しない可能性があります。そうすると予測される死者は1万人以下で済むでしょう。

 因みにWHOのCoVID-19の統計はこちらです。
 世界では数名の乳児死亡例が出ていますが、生後8〜9ヶ月頃の乳児期後半の児だけで、乳児期前半では非常に軽症化します。
 1〜5歳は感染者の7%が重い肺炎になるので楽観し過ぎてはいけませんが、死亡例は4月時点で世界中どの国からも報道されていないようです。
 5〜15歳での死亡例はベルギーの12歳児ただ一人です。死亡する可能性が限りなくゼロの世代です。
 15〜30歳の死亡例も世界中で報道されるぐらい稀です。
(マスコミはこういった例を報道するのが好きなのです。)
 人種差を越えて、5歳〜30歳までは重症化することは珍しく、日本では20歳以下は感染すら稀です。

 喘息発作によって日本だけで、年間に3000名が亡くなっています。(吸入ステロイドが普及するまでは15000名程度でした。)
 幼児にとってもCoVID-19より、喘息やRSV感染症の方がよほど手強い疾患です。

★CoVID-19は過去のパンデミックに比べるとショボい
 SARS-CoV-2は不顕性感染の多さと、発症の2〜3日前から感染性を持つというステルス性のため手強いのですが、エボラ出血熱やH5N1インフルエンザに比べるともの死亡率は凄く低いし、1918年から2年間に渡って第3波まで来たH1N1スペイン風邪のように若い人に死者が多いということもありません。
 ステルス性があるといっても、無症状の人はウイルス排泄量が少ないためうつすことが少なく、また半数は症状のある時期以降に他の人へ感染させているので、体調が悪くなってからStay homeしても感染は半分近くに減ります。(ブラックな働き方はダメです)。

 過去に最も凄惨なパンデミックを起こしたのは約5000年前に中東から始まった麻疹と、14世紀から70年間以上も断続的に流行したペストなのですが、これらのように世界の人口の約1/4を殺した訳でもありません。
 過去のパンデミックと比べると、CoVID-19は弱々しいものです。
 コロナウイルスは4℃で最もウイルスが安定し、紫外線に弱く、高温多湿になると早く失活します
 冬には第2波がやって来る可能性が高く、通常のパンデミックは第2波が最大になります。そのときのためにもGW開けには、体制を立て直す必要があります。

★「CoVID-19肺炎による死者<経済死」となるだろう
 試算のモデルにも依りますが、GDPが1%下がると、自殺者が1000〜5000人ぐらいのレンジで増えます。
 既に世界中で、GDPが5%以上減っています。自営業者は1〜2ヶ月の休業で苦境に陥ります。大企業だって6〜8ヶ月でキャッシュフローが底を尽きます。
 感染が終息するまでに2022年までは掛かるでしょう。このままでは多くの人が職を失います。
 また2ヶ月程度でもこの状況ですから、多くの国で間欠的なロックダウンにも耐えられないことが分かってきました。
 始まった当初から3月末までは私も1929年の世界恐慌並みになる、つまりGDPは世界中で半減し、多くの国で自殺者が出るだろうと悲観的に思っていました。
 5月5日時点の私の予測は、GDPは2〜3年掛けて3割程度は減るだろうと思っています。
(3月末頃は4〜5年掛けて5割減と予想していましたが、今は少し楽観的になってきています。)
 高齢者を中心とした、せいぜい3%以下の死亡率で、しかも日本ではおそらく死者はせいぜい1万人以下になる可能性が高そうなのに、このまま自粛が続くと自殺者が数万人に増える可能性があります。
 GDPが2割減としても、1%当たり1000名以上自殺が増えるので、20%減ると自殺者は2万人以上増えます。
 CoVID-19による死者(中央値80歳以上)に比べるとかなり若い年齢層が経済的苦境や失業のため自殺するのです。

★5月からの行動変容の勧め

 小・中・高校の休校は無意味です。ぜひ普通に学校に行ってください(3月の休校も無意味だったという論文も出ています)。
 感受性の高いヨーロッパでも未成年のクラスターは発生していません。大人から感染した例が少数あるだけです。

 大学生は活動範囲が広いので、高齢者に会うときは気をつけてください。若くても免疫抑制剤を使用している人は注意が必要です。それ以外の大学生は普通に暮らして良いでしょう。

 40歳未満の人も普通に通勤してください。但し、体調の悪いときは必ず仕事を休んでください。
 今後、ブラックな企業は淘汰されていくでしょう。

 60歳未満で高血圧や心筋梗塞などの持病が無い人は普通に仕事を続けてください。ただし少しリスクが上がり始める年齢なので、できるだけ手洗いしてください。手洗いが最も(他のウイルスに対しても)有効です。

 80歳未満はまだ歩けるでしょうから、「Stay home」 は辛いでしょうが、できるだけ家にいた方が良いでしょう。
80歳以上は、Stay homeです。

 難しいのは、0歳児と1〜5歳です。
重い肺炎が、0歳で10%、1〜5歳で7%起きます。感染しにくいのですが、罹ると重くなるのです

 無症状の人はウイルス排泄が少なく、また若い人の方がウイルス排泄が少ないことが分かっています。
 女性の方がウイルス排泄が少なく、卵巣を摘出した動物でコロナウイルスによる肺炎が重くなることが分かっているので、保育士は40歳未満の女性が相応しいと言えます。

 子どもが家にいると全く在宅勤務が捗らないと聞きます。子も親も家にずっといて、かなりストレスが貯まっているようです。
 やはり冬までは家にいるより、保育園にいった方が良いでしょう。
 公園の封鎖もバカげていて無意味です。しかし幼児の親は第2波の際は在宅勤務するしか無いでしょうね。

 0歳児に関しては、散歩の必要も無く愛着形成期なので、家にいることをお勧めします

 今後は60歳未満の人は(少なくとも10〜11月頃から第2波が来るまでは)普通に生活して、第2波に備えてください。
 経済活動も第2波への備えになります。オンラインでできることは夏のうちにオンライン化する必要があるでしょう。
 無駄な印鑑や、紙書類は無くしましょう。

★今後の予測
 まだ人口の数%が感染しただけですから、第2波が必ず来るでしょう。それは次の冬です。
 これが最大になります。
 歴史上、パンデミックとはそういうものです。武漢という1点から始まった第1波より、世界中に種火ができてしまい、ウイルスが安定する時期に最大になるのはパンデミックの常です(ペストは細菌性なので例外です)。
 ペスト以降も実は100年に1回程度はパンデミックが起こっていました。
 最後の大きなものは100年前のスペイン風邪でした。
 しかし今世紀になって、SARS-CoV-1、MERS、H1N12009年型インフルエンザ、今回のSARS-CoV-2と、20年間でパンデミックが2回、未遂が2回起こっています。
 世界の人口が77億になったため仕方が無いことで、今後もパンデミックは20〜30年に1回は大きなものが起こるでしょう。

 コウモリやハクビシンなどの哺乳類は色々な危険なウイルスのリザーバーになっています。
 人との接触が増えれば、他のウイルスが流入するでしょう。
 獣医学部に、こういった研究者を増やす必要があります。コロナウイルスの危険性はずいぶん前から、獣医師から指摘されていたようです。

 色々な手続きのオンライン化はやらないといけないことです。我々にはインターネットと集合知という武器があるのです。

 中国、韓国、台湾では今回かなり抑え込んでいます。
これは、SARSやMERSの時の手痛い失敗に懲りて、体制を整えたからです。日本も追跡と隔離のシステムを構築する必要があるでしょう。

 今後、ホテルを建てるときには空調を分離するとか、電車の換気とか、レストランは透明のパーティションを多く入れるようにするとか、医療も学校の授業もオンライン化を進めるとか、半年でやれることはたくさんあります。
 しかし今やるべきことは、60歳未満が経済を回し、高齢者はStay home、冬に備えて準備を急いで進めることです。
 この冬だけで無く、20〜30年に1回は役立つ訳ですから。

 
 引用はここまで。
 正直、日本政府の方針はじれったいほどの「様子見」に終始し、対応も後手後手ですね。
 現在判明している事実「高齢者は重症仮死命を落とすが、若いほど軽く済む」ことを、政策に反映していただきたいと切に願います。

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【新型コロナ対策】マスクは何歳から着用させるべきか?

2020年05月10日 20時08分37秒 | 小児科診療
小児科医の中でも議論になる話題です。

現在の私の知識では、
・マスクを装着する意味がわかる年齢でないとすべきではない。
・マスクの意味がわからず嫌がる子どもは、それを触ってとろうとする・・・この行為が手指を汚染するため、かえってハイリスクとなってしまう。
・乳児にマスクをさせると窒息のリスクはないか?
くらい。

では何歳から? ・・・と聞かれてもハッキリと線を引くことは難しい。
上記のことをクリアできるのは3歳以降でしょうか。
2歳は「魔のイヤイヤ期」であり、素直にマスクをしてくれるとは思えません。

新型コロナ対策としては、上記に加え、
子どもは不顕性感染が多く、症状がなくてもウイルスをまき散らしている可能性があり、可能な限りマスクをすべき
という意見もあるでしょう。

ただ、家庭内で親から子どもに感染させても、子どもから他の家族に広がったという報告が聞こえてこないのが不思議です。
この辺は、まだ謎ですね。

私の知識が正しいのか、果たして“正解”はあるのか、検索して調べてみました。

アメリカのCDC(疾病管理予防センター)は、
2歳以上の子どもを含むすべての人が、それ以外の方法でソーシャル・ディスタンスを保つのが難しい公共の場所(スーパーや薬局)、特に、地域内で重大な感染がみられるエリアでは布マスクを着用
と推奨しているそうです。

出てきました「ソーシャル・ディスタンス」。
感染症分野のご意見番、イワケン先生(岩田健太郎医師)が、
マスクは飛沫が飛ぶのを防ぐものであり、ウイルスを防御する能力はない
マスクよりソーシャル・ディスタンスが大事、ソーシャル・ディスタンスを保てないからマスクが必要になると考えるべし
とコメントしている記事を読んだことがあります。

御意!

そうです、ソーシャル・ディスタンスをとれれば、(閉鎖空間でなければ)マスクの必要性は激減します。
あ、CDCも「マスクはソーシャル・ディスタンスの代わりにはならない」と注意を呼びかけているそうです。

話を戻しますが、CDCの推奨を逆の視点から見ると、
2歳未満の幼児にはマスク着用は推奨されない
ことになります。
最初に述べたように、
・感染対策を理解できない乳幼児はマスクを触りまくって汚染させるため意味がないこと
・乳児は気道が狭いからマスクをすると呼吸しにくくなる〜窒息する可能性・危険性がある
ためです。

以上より、CDCの見解は、
2歳以上は着用を推奨、2歳未満は推奨せず
となります。

ここに高いハードルが登場。
マスクを嫌がる子どもにどのように着用させるか?
・・・“魔の2歳児”がしてくれるかなあ。

幼児にマスクをつけされる方法を検索すると、結構ヒットします。
こちらのコラムには嚢胞線維症の娘さんを持つ保護者の経験談が紹介されていました。
子どもにマスクをさせるための様々なテクニックをリストアップ;

・親もマスクをする
・マスクをして鏡を見ながら、マスクについて語る
・お気に入りの人形やぬいぐるみにマスクをさせる
・マスクをしている他の子ども達の写真を見せる
・大好きな絵本の登場人物にマスクを描く

などなど。


・自分で選ばせてキャラクター柄マスクを購入
・マスクに好きなシールを貼る
・親もマスクを付けて「おそろい」と盛り上げる
・できたらひたすら“ほめる”

などのアイディアも。

すばらしい・・・思わず「私もマスクをする!」と言い出しそうなネタばかり。
「マスクをつけさせる」<「マスクをしたがるように仕向ける」
ことがコツですね。
ぜひ、保護者の方々と共有したい情報です。

そういえば、お母さん手作りのキャラクター入りマスクをしてくる子どもも見かけます。
あれは「市販の味気ないマスクはしてくれないから作ってみた」という例もいるのかも知れません。

ちなみに市販されている幼児用マスクの対象年齢は「2歳から」と「3歳から」があるそうです。
唯一、1歳半から使える「ピジョン はじめてのマスク」という製品もあります。
赤ちゃん用には顔面に装着するタイプはありませんが、バギーを覆うタイプの「バギーマスク」なる製品があります(夏は暑くて無理そう)。

<参考資料>2の日本小児科学会HPにあるQ&Aでは、

Q  子どももマスクはしておいた方がいいですか?マスクが出来ない場合はどうしたらいいですか?
A: 感染している人のくしゃみや咳に含まれる飛まつを直接浴びないという観点からは、マスクをすることの利点はあるかと思いますが、小さなお子さんでは現実的ではないと思われます。

と「小さなお子さんでは現実的でない」とぼかして年齢には触れていません。
う〜ん、役に立たない。

さて、このブログの前項目「マスクは誰のために必要?」での結論は、
① 普通の布マスクでは他人を守るため(咳エチケット系の考え方)
② 自分を守るには医療用マスク(サージカルマスク、N95マスク)が必要
でした。
子どもにマスクを付けされる目的も①につきます(年齢関係なし!)。
すると、不顕性感染のリスクのある新型コロナ流行中は、いろいろ工夫して着用させるべし、ということになります。

本日の結論;

・マスクの必要性は年齢を問わず存在し、その目的は「他人を守るため」である
・世界標準では2歳以上に推奨される
2歳未満には推奨されない(メリット<デメリットとなるため
・2歳未満の感染対策にはソーシャル・ディスタンスを重視すべし
・嫌がる幼児に着用させるコツは、「つけさせる」ではなく「つけたくなるよう仕向ける」スタンス

さてさて、まだ5月ですが今週は最高気温が30℃を越える日が続くと天気予報で言ってました。
マスクをするのが暑くてつらくなる季節がやってきます。
ますます、子どもにマスクをさせるのが大変になりそう。

<参考資料>
1.2歳未満にはリスクも。新型コロナ対策で子どもにもマスクをさせるべき?(2020.5.1 lifehacker
2.新型コロナウイルス感染症に関するQ&A(2020年4月12日 日本小児科学会
3.マスクっていつ(何歳)からつけるの? 嫌がる子どもにつけさせる方法(YuoTube動画 by しいのきクリニック

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【新型コロナ対策】結局、マスクは誰のために必要?

2020年05月06日 06時47分10秒 | 小児科診療
新型コロナウイルスが社会問題になった当初から、ずっと「マスクは有効・無効?必要・不必要?」と論議されてきました。

日本人はふだんから使用しているので違和感はありませんが、欧米人は「マスクは重病人がするもの」「顔を隠す行為は犯罪者」という認識があるらしく(「覆面禁止法」という法律まである)、逆に使用しないのがふつうということも判明しました。

けんけんガクガクだったマスク議論も、
「咳をしている人もしていない人もマスクが必要」
「マスクは自分ではなく他人を守るためにする」
との結論に収束してきました。

医師の視点で少し解説を試みてみます。

医学分野では、マスクは「標準予防策」(スタンダード・プレコーション)に入っています。
標準予防策とは、「すべての人は伝播する病原体を保有していると考え、患者および周囲の環境に接触する前後には手指衛生を行い、血液・体液・粘膜などに曝露するおそれのあるときは個人防護具を用いること」。
あくまでも「自分を守るため」の措置です。

では病原体は何に含まれているか?

より具体的には以下の通り;
・血液
・汗以外の体液(唾液、鼻汁、喀痰、尿、便、腹水、胸水、涙、母乳など)
・傷のある皮膚
・粘膜
このうち、触れることにより感染するもの(接触感染)を除くと、咳・くしゃみで飛び散る、つまり「飛沫」となる「唾液、鼻汁、喀痰」が残ります(飛沫感染)。

20年以上前、スタンダード・プレコーションという言葉が出てきた頃の感染対策の教科書には「血液・体液にはHIVが、鼻汁・喀痰には結核菌が含まれていると思え」と書いてあったことを記憶しています。

ですから診療中、常に感染リスクにさらされている医療スタッフは「自分を守るために」日常的にマスクをしています。
ただし、医療スタッフが使用しているのは「医療用マスク」であり、市販の(あるいはアベノマスクのような)布製マスクではありません。
一般には「サージカルマスク」、完璧は空気感染対策が求められる状況では「N95」マスク。

ここまで読んで、賢明な読者は、
1.マスクは感染症から自分を守るために必要か?
2.マスクは感染症から他人を守るために必要か?
という二つの視点があることに気づかれたと思います。
そう、この二つを区別して考えないと混乱して結論が出ません。

1については結論は出ています。前述の標準予防策の文脈通り、
・自分を守るためには布製マスクでは不十分
・自分を守るためには医療用マスク(サージカルマスク、N95マスク)が必要
となります。


問題は2です。
従来、
・咳の出る人は飛沫を飛ばさない目的でマスクが必要
とされ、
・咳の出ない人はマスクは不要
でした。

しかし、新型コロナはこれだけでは済まないことがわかってきたのです。
それは「無症状感染者」がたくさん存在し、かつ「無症状感染者も感染力がある」ことが判明。

無症状感染者、すなわち感染しているけど症状がない患者も、会話や呼吸で唾液・気道分泌物由来のマイクロ飛沫を出しているため感染力があるという事実。

このため、
・咳をしていない人も会話や呼吸で飛沫を飛ばさない目的でマスクを装着すべし
と認識を替えざるを得ず、
2020年4月にとうとうアメリカのCDC(疾病管理センター)が「マスク着用を推奨」と方針を変えるに至りました。

この根拠はあくまでも「マスクとは他人を保護するのに役立つもの」です。
繰り返しますが、ウイルス粒子をブロックする医療用のN95マスク(装着していると苦しくなるくらい密閉される)なら自分を守ることができますが、ふつうの布製マスクでは自分を守るのは無理(あるいは不完全)です。
誤解なきよう。

しかし、WHO(世界保健機構)は現時点でもかたくなに「症状のない人はマスクをする必要がない」との方針を変えていません。
私が思うに、アメリカ国民相手のCDCと世界に情報を発信するWHOの立場の違いも見え隠れしてくるような・・・。
もしWHOが「健康な人もマスク着用」と宣言し、世界中の人がそれに従うことになれば、毎日世界人口分のマスクが必要ということになります。
これではいくら増産しても間に合わず、現実的に無理で意味がありません。

以上、「他人を感染症から守るためのマスク」という事実が明らかになってきました。
ただし、
・科学的根拠によるCDC「症状のない人もマスクが必要」
・社会的判断をしているWHO「症状のない人はマスクは必要ない」
とで、まだ方針が統一されていないのが現状、といったところでしょうか。

<参考>
・「症状がない人もマスクをつけるべきか?」(忽那賢志)2020.4.26
コメント
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