徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

イエメンの内戦とコレラ流行

2017年07月30日 10時23分36秒 | 小児科診療
 しばらく前からイエメンでコレラが流行しているというニュースが散見されました。
 そこには「内線」という特殊な事情もあるようです。
 まずは動画をご覧下さい;

■ 「イエメン内戦 隠された現実」(2017.7.28:BBC)
 中東イエメンで2年以上続く内戦によって人々の生活は深刻な打撃を受けている。サウジアラビアが主導する各国連合が支援する政府がイエメン南部を支配する一方で、イランが支援する反体制派「フーシ」は首都と北部を支配している。海外メディアの入国が厳しく制限されるなか、BBCのオルラ・ゲリン記者はアラビア半島の南端にある都市アデンで取材した。


 関連記事を2つ紹介します。

■ コレラ流行止まらず、感染の疑い27万人超 イエメン
2017.07.06:CNN
 内戦が続くイエメンで、コレラの流行が拡大し続けている。世界保健機関(WHO)は5日、4月27日から同日までに確認された死者が1634人、感染の疑いのある患者は27万5987人に上ったと発表した。
 患者の41%は15歳未満の子どもが占め、死者は60歳を超す高齢者が33%を占めている。衰弱している高齢者の場合、発症してすぐに治療を受けなければ、その日のうちに死亡することもあるという。
 WHOは先週の時点で、イエメンの状況について「世界最悪のコレラ大流行」と指摘していた。
 コレラ菌は汚物に汚染された水や食品を通じて拡散する。80%は感染しても発症しないものの、コレラ菌の感染源になることはある。発症すると激しい下痢などの症状に見舞われ、重度の脱水症状で死亡することもある。WHOによれば、イエメンでは約1450万人がきれいな水や衛生設備を利用できない状況にある。
 WHOはユニセフや地元当局と連携して医療支援を提供し、下痢や脱水症状の治療施設を各地に開設している。
 2年あまりも続くイエメンの内戦では1880万人以上が人道支援を必要とする状況に陥っている。衝突の激化に伴い、避難を強いられたり死亡したりする医療関係者も数多い。
 6月初旬にイエメンを視察したユニセフ幹部は、「感染が疑われる患者は日を追うごとに増え続けている。残念ながら、状況が進展しているとは言えない」と指摘。「コレラには治療法があり、治療はできる。それは必要とする物資の供給にかかっているが、我々はもっと多くを必要としている。対応する人員も増やす必要がある」と訴えた。


 引き続きユニセフからの訴えを。

■ イエメン コレラ流行、世界最悪規模に 感染の疑い20万人超、毎日5,000人増
ユニセフ・WHO声明:2017年6月24
 紛争が続くイエメンで、コレラが疑われる症例が20万件を超えたことを受け、ユニセフ(国連児童基金)事務局長アンソニー・レークと世界保健機関(WHO)事務局長マーガレット・チャンは、以下のとおり共同声明を発表しました。
◇ コレラ流行、世界最悪規模に
 急速にコレラが拡大するイエメンでは、感染が疑われる症例が一日に平均5,000件増加し、これまでに20万件を超えました。私たちは、今、世界最悪のコレラ大流行に直面しています。
 僅か2カ月間で、コレラ感染は、紛争で荒廃したイエメンのほぼすべての県に拡大しました。コレラによってすでに1,300人以上が亡くなり、そのうち4分の1が子どもですが、死者の数は今後さらに増えると予想されます。
 ユニセフ、WHOおよびパートナー団体は、この命に関わる病気の拡大の勢いを一刻も早く止めるべく努力しています。昼夜を問わず、病気の感染拡大を見つけ、追跡すると共に、人々に安全な水、適切な衛生環境および治療を提供すべく活動しています。即応チームは、個々の家庭を訪問して、飲料水の浄水方法や貯蔵方法など感染から身を守るための情報を家族に伝える活動をしています。
 ユニセフとWHOは、感染予防と治療支援の規模拡大のためにあらゆる手を尽くしています。私たちは、イエメン当局に対して、これ以上感染を拡大させないために、国内での努力を強化するよう求めます。
 この死にも至るコレラの流行は、2年間におよぶ激しい紛争が直接もたらした結果です。保健および水と衛生システムの崩壊によって、1,450万人の人々が日常的に安全な水や適切な衛生環境を得られなくなり、感染が広がりやすい状況を生んでいます。栄養不良の蔓延は子どもたちの健康状態を悪化させ、子どもたちはより病気に感染しやすくなっています。また、コレラ感染を止めるために最も重大な役割を果たしている、推定3万人の献身的な地域の保健員たちには、10カ月近く給料が支払われていません。
 私たちは、イエメン国内のすべての当局に対して、こうした人々への給料の支払いを強く求めます。そして何よりも、すべての紛争当事者に対して、この破壊的な紛争を終結することを求めます。
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「麻疹がゼロ」⇒ マシンガゼロ ⇒ マジンガーZ?(^^;)

2017年07月28日 13時47分09秒 | 小児科診療
 少し前に、外務省とゴルゴ13のコラボが話題になりましたが、今度は厚生労働省とマジンガーZの組み合わせだそうです。
 こんなダジャレを考えている暇があったら、日本脳炎ワクチン不足問題を解決して欲しいと思うのは、私だけでしょうか。

■ マジンガーZで「麻疹予防」を啓発
2017年07月27日:メディカル・トリビューン
 日本は2015年に「麻疹排除国」に認定されているが、麻疹患者は毎年報告されており、海外からの輸入症例に由来した患者も多い。海外渡航者に対する麻疹予防の啓発が必要なことから、厚生労働省は本日(7月27日)、マンガのキャラクター「マジンガーZ」とコラボレーションしたポスターやリーフレットの作成、SNSなどを通じて海外渡航者向けに麻疹の予防啓発活動を行うと発表した。



◇ 麻疹患者、昨年を上回るペースで増加
 麻疹は感染力が非常に強く、麻疹ウイルスは容易にヒトからヒトに感染し、免疫不十分な場合、高い確立で発症する。麻疹は肺炎や中耳炎を起こすこともあり、先進国でも患者1,000人に1人が死亡するといわれている。昨年(2016年)には全世界で約19万人の患者が報告された。国立感染症研究所によると、今年のわが国の麻疹患者数は昨年を上回るペースで増加しており、今年7月現在で164例と、既に昨年の報告数〔159例(確定値ではない)〕を上回っている。
 わが国は、2015年に世界保健機関(WHO)から、土着の麻疹ウイルスが存在しない「麻疹排除国」に認定されており、最近報告された麻疹は海外で感染した人が発症する輸入症例に由来している。輸入症例に関連した麻疹の国内発症を防ぐためには、海外渡航者への積極的な注意喚起が必要である。

◇ 『麻しんがゼロ』のキャッチコピー
 厚労省は、海外渡航を検討している人を対象に、麻疹の感染予防に関心を持ってもらうため、「マジンガーZ」とコラボレーションし、「みんなで目指そう『麻しんがゼロ』」のキャッチコピーで啓発ツールを作成した。「マジンガーZ」は1972年に連載された漫画作品。漫画だけでなくアニメーション、ゲームなど多岐にわたるコンテンツが公開されており、40〜50歳代だけでなく若い世代にも幅広く認知されている。
 また、来年には映画の公開も予定されており、厚労省は麻疹の注意喚起につながることを期待して企画したという。今回のコラボレーションではポスター、リーフレットの作成の他、映画の公式ホームページやツイッターなどを通じて、麻疹の感染予防に関する情報を発信していく予定だとしている。
 ポスターとリーフレットは本日より厚労省のホームページからダウンロードが可能。また、8月上旬をめどに厚労省が全国の自治体、関係団体に配布する予定だという。

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RSウイルス、早い流行...例年は秋から冬に患者増

2017年07月28日 13時41分04秒 | 小児科診療
 最近、やけにゼーゼーする風邪が多いなあ、冬でもないのに・・・と感じていたら、以下の記事が目に入りました。
 真夏なのにRSウイルス? ・・・どんどん季節感がなくなりますね。

■ RSウイルス、早い流行...例年は秋から冬に患者増
2017年7月27日 読売新聞
 乳幼児に肺炎などを引き起こす可能性がある「RSウイルス感染症」の流行が例年より早く始まり、専門家が感染予防を呼びかけている。
 同感染症は、発熱やせきなど、かぜのような症状が表れる。特に呼吸器に症状が出て、乳幼児や高齢者を中心に気管支炎や肺炎を起こしやすい。一般的に秋から冬に患者が増える。
 国立感染症研究所によると、7月16日までの1週間に、全国約3000の小児科から報告があった患者数は1778人で、同時期を比較すると過去10年間で最多。北海道で251人、神奈川県で235人、沖縄県で134人と多く、同県はホームページなどを通じて注意喚起を行った。
 ウイルスの付いた物を触ったり、くしゃみなどの飛まつを吸い込んだりしてうつる。同研究所感染症疫学センターの木村博一・第6室長は「今は地域的だが、全国に広がる可能性があるため、手洗いやマスクの着用で予防してほしい」と話している。

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日本脳炎ワクチン不足で接種見送りの検討を

2017年07月28日 13時10分49秒 | 小児科診療
 先月から日本脳炎ワクチンが入手できなくなり、当院では予約を止めています。
 厚労省は「需要と供給のバランスは取れており、偏在しているだけ」と高みの見物。
 まあ、いつものことなのでなにも期待していませんが・・・そういえば先日、医師会経由で県の担当課からアンケート調査がありましたが、その後も目立った動きはありません(結果は公表せず?)。

 現場が混乱する中、小児科学会から接種スケジュールの提案がありました。

■ 日本脳炎ワクチン不足で接種見送りの検討を
2017/7/19 加納亜子=日経メディカル
 日本脳炎ワクチンの供給不足が続いていることを受け、日本小児科学会の予防接種・感染症対策委員会は7月6日に、医療施設における対応を公表した。日本脳炎ワクチンの未接種者と1回接種者は合計2回の接種を行い、2回あるいは3回接種している子どもでは、ワクチンが安定供給されるまで、接種を見送るよう求めている。
 文書では、地域の患者発生状況およびブタの感染状況などを考慮し、ワクチンが安定的に供給されるようになるまで以下の対応を取るよう求めている。

(1)日本脳炎ワクチン未接種者または1回接種者は、合計2回の接種を行う。

(2)日本脳炎ワクチンを2~3回接種している場合は、ワクチンが安定供給されるまで、接種を見送る。安定供給された際には、規定の間隔が空いてしまった場合でも、残りの回数を確実に接種することが重要。

(3)定期接種で受けられる年齢の上限が近づいている場合(1期:生後90カ月未満、2期:13歳未満、1995年4月2日から2007年4月1日生まれで4回目の接種が終わっていない者:20歳未満)は、(1)(2)の限りではない。定期接種で受けられる年齢を過ぎないように接種計画を立てる。


 小児科学会は上記に加え、医師が緊急に接種が必要と認めた場合には、接種するよう求めている。
 化学及血清療法研究所(化血研)は今年5月、熊本地震による影響により、乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン「エンセバック皮下注用」の供給が、在庫の消尽をもって一定期間、困難になることを報告した。これを受け、厚生労働省は自治体に向けて「乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンの安定供給に係る対応について」とする事務連絡を発出。都道府県に対し、日本脳炎ワクチンの供給に偏在が生じないよう、供給の調整を行うよう求め、また医療機関には過剰な発注を避けるように協力を求めていた。
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夏風邪(プール熱、手足口病、ヘルパンギーナ)が話題になる季節

2017年07月13日 10時22分58秒 | 小児科診療
 夏風邪(プール熱、手足口病、ヘルパンギーナ)が流行する季節になりました。
 北関東の当院ではまだチラホラ程度です。

 各感染症のポイントは、

プール熱:結膜炎と高熱が4-5日続く
手足口病:口内炎が痛くてつらい
ヘルパンギーナ:のどの痛みが強くて食事が飲み込めず大変

・手足口病とヘルパンギーナはオーバーラップすることがある
・3つの感染症には特効薬は存在せず、対処療法のみ
・隔離義務はプール熱のみ設定されている

 といったところ。
 原因ウイルスをやっつける薬は存在しないので、対症療法でしのぐしかありません。

 この“夏風邪三兄弟”のうち、隔離義務があるのは咽頭結膜熱(プール熱)だけです。
 手足口病とヘルパンギーナは、一般の風邪と同じように「症状が治まって元気になったら」というアバウトな基準でOK。
 でも、これは「感染力がない」という意味ではありません。
 他人にうつす力(感染力)は症状が治まった後もしばらく残ります(便の中には数週間いるらしい)が、感染力の強さと症状の強さを秤にかけて妥協した措置と考えてください。
 「100%感染力がなくなるまで隔離」を完璧に目指すなら、夏風邪を引くたびに3週間保育園/幼稚園を休む羽目になります。
 これは現実的ではありません。

 ネット上の記事を紹介します。

■ 手足口病、ヘルパンギーナ、プール熱 子どもの「夏風邪」増加
2017年7月11日;東京新聞
 手足口病や咽頭結膜熱(プール熱)など、5歳以下の子どもに多い「夏風邪」の患者数が増加傾向にある。高熱のほか、発疹や結膜炎などの症状が出るが、通常は安静にしていれば回復する。それぞれの感染症の特徴を知り、のどの痛みなどで水分が取れないなど、気になる症状がある場合は、早めに小児科医にかかりたい。
 「夏風邪のほとんどは、ウイルス感染が原因で特効薬はなく、症状を和らげることしかできない。高い熱が出ても数日から四、五日で治まりますが、のどが痛くて水分が取れない、嘔吐や下痢、せきがひどいときは医療機関を受診してください」。六月下旬、竜美ケ丘小児科(愛知県岡崎市)が、子どもの病気や子育ての知識を伝え、親が正しい判断ができるように開いたミニ講座。鈴木研史院長(49)らが、夏風邪の注意点や家庭での対処法を伝えた。
 国立感染症研究所に全国約三千の医療機関から報告があった手足口病の患者数は、六月二十五日までの一週間で一医療機関あたり二・四一人となった。西日本で多く、前年同時期の約六倍で、大流行する可能性もある。
 手足口病は手や足、口などに小さな水疱(すいほう)ができる感染症で、発熱する場合としない場合があり、熱が出ても一、二日で下がる。発疹は一週間程度で治る。
 エンテロウイルスが原因で、くしゃみなどの飛沫(ひまつ)で感染する場合や、おむつ交換などで手に付いた便から感染する場合がある。
 同じウイルスで起こる感染症にヘルパンギーナがある。のどが赤くなり水疱ができて痛む。三九~四〇度の高熱が出ることがあるが通常、一、二日で下がる。「のどの水疱が診断のポイント。発熱してもすぐにはのどに水疱が出ないため、元気な様子なら翌日に受診した方が診断できる」と鈴木院長は話す。
 これら二つの感染症よりも発熱が長く続くのがアデノウイルスが原因の咽頭結膜熱だ。四、五日と長めに発熱が続くことが多く、のどが赤くなり、へんとうにうみが付く。結膜炎で目が充血して赤くなり、目やにが出ることがあるのも特徴。国立感染症研究所によると、六月二十五日までの一週間の患者数は一医療機関あたり〇・九八人で、過去十年のピークを上回った。山梨、鹿児島県や北海道で患者が多い。
 感染力が強く、子どもがプールなどでタオルを使い回しをした場合などに感染することがある。咽頭結膜熱は学校保健安全法で予防すべき感染症とされ、主な症状が消えてから二日間は出席停止となる。
 注意が必要なのが肺炎などの合併症を引き起こすことがあることだ。鈴木院長は「四、五日たって熱が下がったらまた受診するよう指導しているが、それまでの間にせきがひどくなった場合はすぐ受診してほしい」と呼び掛ける。
 いずれの感染症もウイルスの型が多く、一シーズンに複数回発症することがある。予防は、患者との接触を避け、手洗いとうがいをすることが基本だ。おむつなどの排せつ物は、ビニール袋に入れて処理をする。症状がなくなってもしばらく便にウイルスが混じっていて感染することがある
 発症した場合は、小まめな水分補給に努め、のどが痛い場合はのみ込みやすい食事を与える。発熱の経過が診断に役立つため、朝、昼、夜の体温をグラフにする熱型表に記録しておき医師に伝えたい。



■ 感染力強い「手足口病」、大流行の兆し
2017年7月12日 読売新聞
 手や足、口の中に発疹ができる手足口病の患者が乳幼児を中心に増加している。
 ウイルス性の感染症で、今年は大流行の懸念があるとして、専門家が注意を呼びかけている。
 国立感染症研究所によると、7月2日までの1週間で、全国約3000の小児科から報告があった患者数は、1医療機関あたり3・53人で、昨年同時期の0・48人と比べて7倍程度多い。
 手足口病は、2~5ミリほどの 水疱(すいほう)ができ、発熱がある場合も数日中に治るが、まれに高熱を伴う髄膜炎や脳炎などを起こすことがある。
 感染力が強く、予防は、おもちゃやタオルの共有を避けることが重要だという。同研究所感染症疫学センターの藤本嗣人・第4室長は「感染していても症状が出ない人もいる。周囲にウイルスがあると思って予防してほしい」としている。



<参考>
□ 「夏風邪のお話」(当院HP)


<追記> 2017.7.28

■ プール熱は過去10年で最多レベル、手足口病も2年ぶり流行
2017/7/14 中西奈美=日経メディカル
 咽頭結膜熱(プール熱)と手足口病の感染拡大が勢いを増している。国立感染症研究所が7月11日に公開した第26週(2017年6月26日~7月2日)の定点当たり報告数によると、咽頭結膜熱が0.93人/週、手足口病は3.53人/週と流行しており、特に咽頭結膜熱は過去10年で最大レベルの流行となっている。
 同研究所感染症疫学センター第四室長の藤本嗣人氏は「これらが今年流行している理由は不明だが、今シーズンの咽頭結膜熱と手足口病では、例年の流行とは異なる型のウイルスが多い傾向にある」と説明する。
 咽頭結膜熱は例年6月ごろから、アデノウイルス3型による流行が始まるが、今シーズンは現時点までは2型が最も多く報告されている。この2型は、咽頭結膜熱に特徴的な症状である発熱、咽頭炎、結膜炎のうち、結膜炎の症状が現れにくい特徴がある。「結膜炎の症状がなくても、咽頭結膜熱の可能性を念頭に生活指導をしてほしい」と藤本氏は呼びかけている。
 一方、今シーズン、手足口病の患者から分離されたエンテロウイルスの中では、コクサッキーウイルスA6(CA6)の割合が多い。手足口病の主な病原ウイルスとしては、CA6のほか、コクサッキーウイルスA16(CA16)、エンテロウイルス71(EV71)などがあるが、これまでに大きな流行となった2011年、2013年、2015年には、いずれも今年と同様にCA6の割合が高かった。
 「CA6による手足口病では、他のウイルスによる手足口病より水疱がやや大きい傾向がある。また、発症から約1カ月後に爪が剥がれ落ちる爪甲脱落が報告されている」(藤本氏)。加えて、小脳失調症や脳炎などの中枢神経系の合併症との関連が疑われているEV71の報告も、昨シーズンに比べて増えているという。
 どちらの疾患も対症療法が中心となるが、感染拡大を食い止めるには生活指導が重要になる。感染者との密接な接触は避け、タオルを共用しないよう指導する。うがいや手指消毒も有効だ。
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ワクチンの混合接種はなぜいけないのか

2017年07月11日 06時48分39秒 | 小児科診療
 この4月に小児に対する「混合接種」が問題になりました。

 「同時接種」「混合ワクチン」はいいけど「混合接種」はダメなんです
 その理由は「有効性・副反応が検証されていないから」。

 皆さんご存じのように、同時接種は複数のワクチンを同じ日にそれぞれ別の場所に接種することです。
 ただし、暗黙の了解として「ひとつの医療機関で同じ時間に」が原則です。
 複数の医療機関で午前と午後に分けて接種するのは「同日接種」と別扱いされ、自治体は定期接種として認めず、費用は自己負担、副反応が発生しても補償外になります。

 混合ワクチンは、複数のワクチンが混合されたものが製品としてはじめから存在します(例:四種混合ワクチン)。
 ひとつの混合ワクチンが開発され製品化するまでに膨大な時間とお金とが費やされ、動物実験・臨床試験が行われます。
 途中で「効果が低い」「副反応が無視できない」と消えていった混合ワクチンもたくさんあるわけです。

 ですから、製品として存在しない組み合わせのワクチンを接種前に混ぜて注射しても、効果が得られるか、副反応が問題にならないか、誰も予想がつきませんし、もしトラブルになった際も補償が受けられません。
 実際の今回問題になった「混合接種」を受けた児の抗体検査では、下記記事のように感染防御に必要な抗体価が得られていないというデータが示されました。

 「針を何回も刺すのがかわいそう」と考えて行った混合接種が、結果的には抗体価評価のための血液検査で針を刺し、抗体価が低いのでさらにこれから追加ワクチン接種、つまり2回以上追加して針を刺される羽目になりました。
よかれと思って行為が、残念ながら「ありがた迷惑」になってしまいました。


■ ワクチンの混合接種はなぜいけないのか
2017/7/10:日経メディカル
 今年4月、東京都品川区の小児科クリニックが、小児への予防接種で数種類のワクチン製剤を混合接種していたことが判明した。同様のケースは昨年3月、東京都北区でも起きた。品川区の小児科医は、ワクチンの専門家だった。
 品川区が予防接種事業を委託していた小児科クリニック(現在は閉院)で複数のワクチン製剤を混合接種していることが発覚したきっかけは「子どもの予防接種で、数種類のワクチンを混ぜていたが大丈夫か」という保健所への問い合わせだった。
 品川区が同クリニックを調査したところ、麻疹・風疹混合(MR)ワクチンと水痘ワクチン、おたふくかぜ(ムンプス)ワクチンの3種類や、四種混合(ジフテリア、百日咳、破傷風、不活化ポリオ)ワクチンとヒブワクチンの2種類を混合接種していたことが分かった。区によれば、院長(当時)の医師は2009年4月の開院当初から同様の方法で予防接種を行っていたという。
 このうち、区で保存している5年分の予防接種記録を調査したところ、独自のワクチン混合接種が行われていたのは358人に上った。2016年3月に発覚した東京都北区のケースも同様で、MRワクチンと水痘ワクチン、ムンプスワクチンの3種類を独自に混合し、38人に接種していた可能性がある。両区によれば、現時点で副反応など健康被害の報告はない。
 これらのケースを受け、日本小児科学会は今年5月28日、「異なるワクチンを1つに混ぜて接種することに関しては、その効果と安全性を保証するデータは存在せず、実施してはいけない医療行為」との見解を示した。
 海外では、ワクチン製剤を混合して接種する場合もある。例えば、凍結乾燥製剤のヒブワクチンを四種混合ワクチンに溶かして液剤とし、接種するケースがそれに当たる。ただし、見解を公開した日本小児科学会で予防接種・感染症対策委員会委員長を務める岡田賢司氏は、「海外での混合接種は、臨床試験の結果、有効性と安全性が確認された手順を遵守して行われている」と言う。国内では、いずれのワクチン製剤の添付文書にも「他のワクチンと混合して接種してはならない」旨の注意が書かれている。
 前述の2ケースで混合接種を実施していた医師の言い分は「子どもの肌に何度も針を刺すのがかわいそう」というものだった。岡田氏は、「同時接種で4回針を刺して泣かせるよりも、混合接種で1回で済ませてあげたいという思いは、一小児科医として私は理解できる」と共感を示す。品川区のクリニックの元院長から子どもが予防接種を受けたある母親も、「予防接種前には、子どもの服を脱がせて全身くまなく診てくれた。子ども思いの医師だった」と振り返る。
 元院長から指導を受けたことがあるという岡田氏によれば、元院長は複数のワクチン開発に関わったワクチンの専門家だ。「ワクチンには大変詳しい医師なので、生ワクチンと不活化ワクチンを混ぜるような単純な混合はしておらず、海外で製剤化されている組み合わせなどを参考に接種していたそうだ」と岡田氏は話す。
 とはいえ、不適切な方法で混合接種していたことが明らかになり、採血による抗体検査や再接種を実施することになれば、子どもに余分に針を刺すことになり、小児科医としての思いとは裏腹の結末となる。その点からも、確立されていない方法による混合接種は実施すべきでない。
 実際に、手順が確立されていない混合接種では、ワクチンの有効性が得られない可能性も指摘されている。北区のケースでは、ワクチンを混合接種されたと思われる子どものうち、希望者に区が抗体検査を実施。その結果、過去の感染症流行予測調査や論文などから想定される抗体保有率を、いずれも下回っていた
 岡田氏は、抗体保有率が想定値を下回ったことについて「手順が確立されていない混合接種で、期待される有効性が得られなかった恐れがある。混合ワクチン製剤の開発や混合接種の手順を検討する際は、有効性が得られるよう混ぜる順番やpHなどが総合的に検討される」と話す。
 現在、日本でも四種混合ワクチンにヒブワクチンを混合した「五種混合ワクチン」の開発が進行中だ。岡田氏は、「小児科医の思いに応える混合ワクチンの製剤開発が待たれる」と期待している。



■ 半数近くが免疫不十分 ワクチン混ぜ予防接種
共同通信社2017年7月18日
 東京都品川区のクリニックで男性医師が複数のワクチンを勝手に混ぜて乳幼児に予防接種した問題で、区が抗体検査をした結果、水痘(水ぼうそう)やおたふくかぜについて半数近くの子どもに十分な免疫ができておらず、再接種が必要だったことが15日、分かった。
 区が保護者宛てに送った文書によると、水痘は抗体検査を受けた子ども101人中48人、おたふくかぜは107人中46人で免疫が不十分。99%程度の確率で免疫がつくとされるはしかは127人中32人、同様の風疹も127人中40人で再接種した方がよいとされた。
 予防接種に詳しい新潟大の斎藤昭彦(さいとう・あきひこ)教授は「効果が低すぎる。ワクチンには安定剤なども入っており、混ぜたことでバランスが悪くなったのではないか」と指摘。日本小児科学会は「混ぜた場合の安全性を保証するデータはない」として適切な接種を呼び掛けている。
 ワクチンを混ぜて接種していたのは、品川区内にあったケルビムこどもクリニック(閉院)。
4月に保護者が区に問い合わせて発覚した。記録が残る2012年以降、350人以上に接種した可能性があるが、健康被害の報告はないという。区は破傷風やポリオ(小児まひ)などの予防接種の効果も調べている。
 再接種が必要とされた子どもの母親は「再接種まで必要と思わずショック。子どもにまた痛い思いをさせるのがかわいそう」と話している。
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沖縄ではインフルエンザ流行中

2017年07月07日 18時20分16秒 | 小児科診療
 毎年のことなので有名になりましたが、沖縄では夏でもインフルエンザが流行します。

■ 夏なのに… 那覇市でインフルエンザ流行注意報発令
2017年7月6日:沖縄タイムス
 那覇市保健所は5日、インフルエンザの流行が拡大する恐れがあるとして、市内にインフルエンザ流行注意報を発令した。市内12定点の患者報告数は、第26週(6月26日~7月2日)に1定点当たり10・25人となり、注意報発令基準の10人を超えた。同所は手洗いやうがい、室内の換気など予防を呼び掛けている。
 第25週には中学1校と小学2校の計3クラスが学級閉鎖。保育所1園から集団発生報告があった。
 那覇市は1月下旬から5月上旬までインフルエンザ流行警報を発令。B型に加え、例年は夏場に落ち着くA型の感染が続いているという。
 県によると、南部保健所でも注意報レベルとなる1定点当たり11・14人の患者報告数があり、那覇市や南部地域を中心に患者が増えている。
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恒例の「ワクチン・パレード」

2017年07月07日 09時25分15秒 | 小児科診療
 毎年恒例の「ワクチン・パレード」が今年も行われました。
 暑い中、皆さんご苦労様でした。

 しかし予防接種・ワクチンでは毎年いろんなことで悩まされます。
 現在は「日本脳炎ワクチンが手に入らない」こと。
 当院でも入手できず、未だに予約停止状態が続いています。

 誰の責任?
 国の管理が甘いのか、
 製造メーカーの読みが甘いのか、

 ・・・まあ、「誰も責任を取らない」のが日本社会の特徴ですから、最近「腹を立てても無駄」とあきらめています。



■ 日本脳炎などワクチン安定供給を 患者団体が訴え
(2017年7月6日:NHK)
 去年の熊本地震などの影響で、日本脳炎などのワクチンが一部の医療機関で入手しづらくなっていることを受けて、6日、患者団体などが東京都内の街頭を行進し、国が安定供給に向けた体制を整えるよう訴えました。
 6日は、ワクチンの接種で防げるはずの病気にかかった子どもを持つ保護者で作る団体などのおよそ50人が東京・霞ヶ関で行進を行いました。
 このうち、日本脳炎のワクチンは熊本地震などの影響でメーカーの1つが出荷できなくなっていることや、ここ数年、子どもの発症が報告されたことで需要が増えていることなどから、一部の医療機関で入手しづらくなっています。
 このため、行進の参加者は、日本脳炎やはしか、それに風疹などのワクチン接種を希望する人すべてが受けられるよう、国が責任をもって安定供給の体制を整えるよう訴えました。
 このあと、参加者は厚生労働省を訪れ、塩崎厚生労働大臣に要望書を手渡しました。
 患者団体で共同代表を務める可児佳代さんは「医療が進んでいるはずの日本でワクチン接種を受けられない人がいるのはおかしい。国は責任をもって対応してほしい」と話していました。

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太陽光発電の今。

2017年07月04日 12時32分02秒 | 小児科診療
 クリーン・エネルギーとして東日本大震災以来普及してきた太陽光発電。
 私の通勤路でも太陽光パネルを見かける場所が増えました。

 そこに目にとまった下記記事。
 順調に再生可能エネルギーへ変換していっていると思いきや、こんな事情があるとは思ってもみませんでした。

■ 負担は2兆円超へ 太陽光のいま
(2017年6月29日)
◇ 月々の電気料金の明細を詳しく見ていますか?
「再エネ発電賦課金」という項目がいくらになっているか確かめてみてください。



再生可能エネルギー(再エネ)の太陽光発電が増え、買い取り費用が膨らんでいることで、私たちの負担がいま急増しています。
その額、実に年間2兆円! それが、毎月の電気料金に上乗せされているのです。地球温暖化への対応のためにも太陽光発電に期待する人は多いと思いますが、あなたは普及のためにどれだけ負担できますか?

◇ 5年で10倍以上の負担増
標準的な家庭の電気料金は月額6000円。そのうち「再エネ発電賦課金」はおよそ700円。年間ですと8000円を超えます。決して少ない金額ではありません。
ちょうど5年前の7月1日、太陽光発電など再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度が始まってから、私たち電気の利用者が負担するようになりました。
再生可能エネルギーを普及させようと始まったこの制度。国は、電力会社に太陽光などで発電した電気をすべて買い取るよう義務づけました。その代わり、買い取り価格の一部を月々の電気料金に上乗せすることを認めました。
つまりメガソーラーと呼ばれる大規模な太陽光発電所の電気も、住宅の屋根に太陽光パネルを載せて発電している電気も、結局のところは私たちが買っているのです。
実は制度が始まった5年前は、負担額は毎月50円程度で済んでいました。しかし、再エネ発電が増えるにつれ、当然のことですが、買い取り額も増えます。その結果、私たちの負担額は5年間で10倍以上、今年度はおよそ700円まで膨らむことになったのです。
国民全体の年間の負担総額はと言いますと、今年度は、ついに2兆円を超える見込みです。

◇ 太陽光ブーム 5年で明暗
東日本大震災で東京電力福島第一原子力発電所の事故が起きて以降、日本は発電のほとんどを火力に頼っています。
地球温暖化対策で二酸化炭素の排出を抑えるためにも、火力の割合を下げる必要があります。それには太陽光や風力などの再生可能エネルギーを増やすしかありません。国は2030年度に、発電全体のうち22~24%は再エネで賄うことを目標に掲げました。
目標達成のためには、多くの企業に太陽光発電に参入してもらわなければなりません。そこで国は、企業が巨額の投資をしても、十分にもうかるよう「高い価格」で電気を買い取ることにしたのです。
具体的には、太陽光発電の電気は1キロワットアワー当たり40円という価格を設定しました。これに多くの企業がメリットを感じ、こぞって発電事業に参入し、日本中が太陽光発電ブームに沸きました。
発電量は5年間でおよそ7倍に急増し、発電全体のうち再エネの割合は15%まで上がりました。登山で言えば、5合目までは猛スピードで駆け上がってきたと言っていいと思います。
しかし「高い価格」で「大勢」が参入したわけですから、太陽光発電の買い取り費用は膨張し、私たち電気の利用者の負担も急増しました。これ以上の負担を果たして利用者が受け入れられるのか?という状況に至り、国も軌道修正に乗り出し、買い取り価格の大幅な引き下げを始めました。
今年度の買い取り価格は21円。当初のほぼ半額まで引き下げました。「太陽光パネルの生産コストは年々下がっているので、この水準まで買い取り価格を下げてももうかるはずだ」と国は説明しています。
しかし太陽光発電の事業者に話を聞いたところ「その価格ではやっていけない」と口々にいいます。発電所の工事にかかる人件費などは依然として高いし、発電に適した広い平地はすでに使われていて、開発できるのは、地面を平らにする工事が必要な条件のよくない斜面などが多いというのです。
以前ほど参入のメリットがなくなると、たちまち新規の建設が減り、ここに来て太陽光の発電量が伸び悩み始めています。

◇ 太陽光の普及と負担のバランスは?
買い取り制度の導入から5年がたち、再エネは今、曲がり角にさしかかっています。
ベストなのは、利用者の負担を増やすことなく普及がどんどん進むことです。しかし、それには技術革新などで太陽光発電所が、今よりはるかに安く建設できるようになる必要があります。
国は、5月に専門家による研究会を設けて、どうすればコストを下げられるか本格的に議論を始めましたが、具体策はといえば時間がかかりそうです。
それだけに、再エネの「普及」と私たちの「負担」のバランスをどう取るのか。その難問に向き合う必要に迫られています。
日本よりも先に同じような制度を導入したドイツでは、発電全体に占める再エネの比率が日本の倍のおよそ30%に達しています。その分、電気料金も日本のおよそ2倍に上昇していますが、国民はそれを受け入れているといいます。
「日本も再エネを普及させるためにさらなる負担を覚悟してもいいのでは」という意見の人もいるでしょう。その逆に「そこまで負担をしたくない。太陽光のコストダウンが進むまで火力発電に頼ってもいいのでは」という意見の人もいると思います。
原発事故や地球温暖化と向き合う中で、再生可能エネルギーに対する期待が急速に高まってきたのは間違いありません。しかし、再エネの普及のために利用者がどこまで負担するのかという議論は、これまで、それほど盛り上がってはいませんでした。国が選択肢を示し、利用者の意向を問うこともありませんでした。
制度が始まってちょうど5年になる今、立ち止まって議論する時期が来ていると思います。
太陽光発電の普及のために、あなたならば、どれくらい負担できますか?
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家庭用血圧計は正確ではない。

2017年07月04日 12時15分56秒 | 小児科診療
 我が家にも複数ある家庭用血圧計。
 購入の際、家電量販店で数種類を比較して一番低い数字が出る製品を選んだような記憶があります。

 現在は手首に巻くタイプを使用していますが、高さを5cm変えると確実に数字が変わってきます。測定条件も同じにしないと比較するのは難しいと思いました。

 というわけで、正確性はそれなりだと思いますが、あらためて指摘されるとちょっと気になるところ。

■ 家庭血圧計の測定値、7割に誤差―カナダ調査
HealthDay News:2017/06/28
 健康管理のために家庭血圧計を使用している高齢者は珍しくないが、その測定値の約7割に5mmHg以上の誤差があったとするカナダの小規模研究の結果が「American Journal of Hypertension」7月号に掲載された。
 アルバータ大学(カナダ)のJennifer Ringrose氏率いる研究チームは今回、オシロメトリック法の家庭血圧計を自宅に保有し、上腕の周囲長が25~43cmで収縮期血圧(SBP)80~220mmHg、拡張期血圧(DBP)50~120mmHgの患者85人(平均年齢66.4歳)を対象に研究を実施。家庭血圧計で測定した血圧値と、訓練を受けた測定者がゴールドスタンダードである水銀式血圧計で測定した血圧値を比較した。
 その結果、家庭血圧計による測定値の69%で5mmHg以上の誤差があり、10mmHg以上の誤差も29%で認められた
 しかし、既に家庭血圧計を購入して使用している場合、それは無駄ではない。Ringrose氏によると、「家庭血圧計の測定値を血圧管理の主な指標とする場合は、その前にクリニックでの測定値と比べておく」「複数回の測定値に基づいて治療を決定する」ことなどによって、家庭血圧計による誤差を最小限にとどめることができるという。
 なお、同氏も家庭血圧計の使用者に対するアドバイスとして、1度はクリニックに家庭血圧計を持参し、クリニックで手動式で測定された血圧値と比べ、精度を確認するよう勧めている。

<原著論文>
・Ringrose JS, et al. Am J Hypertens. 2017 Jul 1. [Epub ahead of print]
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