デルタ株の登場で「子どもは安全」という神話が崩れました。
感染するし、
人にうつすし・・・
つまり、子どもの集団生活の場でクラスター発生リスクが増えました。
しかし「重症化しにくい」のは変わらないようです。
ただ、感染者数が増えれば、まれながら重症化する患者さんは居ます。
それは普通の風邪でも同じこと。
新型コロナ対策の武器として、人類の持ち駒はいまのところワクチンしかありません。
ようやく治療薬(抗体医薬)が登場しましたが、
点滴製剤であり、自宅で内服するという手軽な代物ではありません。
そのワクチンは12歳以上が対象です。
小学生(のほとんど)と、園児は対象外。
彼ら自身に身を守るすべはマスクと手洗いしかないのです。
できることは、周囲の大人がワクチンを接種して新型コロナにかからないこと、
家庭にコロナを持ち込まないことです。
しかし、親世代のワクチン接種は進んでいません。
これが一段落するまで、子どもの集団生活を停止するという選択肢もあります。
つまり休校・休園ですね。
ただ、親世代でもワクチンを希望しない人々が3割ほど居ます。
だから「親世代のワクチン接種が一段落」しても、
子どもの感染リスクが減ることは期待できません。
すると、現状で「witn コロナ」を実践していかなければなりません。
休園・休校は親世代の労働を停止することにもなります。
子どもの面倒を見る必要があるからです。
日本全体の経済活動が沈没していきます。
専門家によると、
「子どもが家に居ても感染リスクが減るとは限らない」
「休校=学童保育になるが、そちらの方が感染リスクが高くなる」
「加えて親が仕事を休む必要が出てくる」
などのマイナス点を上げ、
「休園・休校は感染対策として有効とは言えない」
という分析もあります。
視点を変えてみましょう。
子どもが新型コロナにかかり、集団生活の場(園・学校)で流行したと仮定します。
しかし子どもたち自身は普通の風邪症状で重症化は普通の風邪レベルの稀な頻度。
であれば、体調の悪い子どもは休む必要がありますが、
休園・休校という措置を取る必要はないと考えられます。
感染した子どもが新型コロナウイルスを家庭に持ち込み、
家族に広げるリスクがデルタ株の登場で高くなりました。
すると同居する大人や高齢者がもらってしまいます。
でも高齢者はほとんどワクチン接種を済ませていますから、
感染リスクは1/20、重症化リスクも低く抑えられます。
当然、100%大丈夫とは言えません。
問題は保護者世代。
子どもが新型コロナに感染した場合、
ワクチンを接種していても居なくても、
会社・勤務先は自宅待機を求めざるを得ません、
リモートワークが導入されていれば、体調が悪くなければ労働を継続できます。
このシチュエーション(感染者=自分の子ども、との濃厚接触を避けられない)でのワクチン接種の意義を考えてみますと・・・
・感染リスクは1/20に減り、重症化リスクも減る
逆にワクチンを接種しない選択では・・・
・感染リスクが高く、デルタ株では重症化する可能性がまれではない
つまり、保護者世代が入院してしまう可能性が大きくなります。
親が入院してしまったら、誰が子どもの面倒を見るのでしょう?
今後、この問題が噴出してくると思われます。
デルタ株の登場で、ワクチンの有効性がやや低下しましたが無効になったわけではなく、
しかも人類は他の方法を持ち合わせていない現状では、ワクチン接種が一番有効な一手です。
感染した子どもを悪者にしないためには、
周囲の大人がワクチンを接種する必要があることは明らかです。
ただ、ワクチン供給不足が足かせになっています。
某大学病院の重症新型コロナ病棟で、
保健所の問診では「感染経路不明」とされていた患者さんに、
医師がしつこくしつこく聞き出したところ、
その6割が「マスクなし会話」や「複数人での会食」に当てはまったそうです。
大人が学校給食レベルの「黙食」を守ることができれば、
流行は収束するのでは、などと考えてしまいます。
子どもを守るためには、
子どもを悪者にしないためには、
周囲の大人がワクチンを接種し、感染対策を守ることに尽きます。
何度でも繰り返しますが、その感染対策とは、
1.接触感染対策としての手洗い
2.飛沫感染対策としてのソーシャル・ディスタンス(2m)
3.(屋内)飛沫感染対策としての不織布マスク
4.(屋内)エアロゾル対策としての換気
子どもたちは学校生活の中でこれらを守っています。
子どもにとっての休校=大人にとってのロックダウン、
子どもにしわ寄せが行かないよう、大人がお手本を見せるときです。
<参考>
■ 2学期「子どもの感染拡大防止」に欠かせない視点 デルタ株で重症化の例も、ワクチン接種は有効か