徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

2021年9月、子どもを学校へ行かせるべきか?

2021年08月29日 07時54分48秒 | 小児科診療
デルタ株の登場で「子どもは安全」という神話が崩れました。
感染するし、
人にうつすし・・・
つまり、子どもの集団生活の場でクラスター発生リスクが増えました。

しかし「重症化しにくい」のは変わらないようです。
ただ、感染者数が増えれば、まれながら重症化する患者さんは居ます。
それは普通の風邪でも同じこと。

新型コロナ対策の武器として、人類の持ち駒はいまのところワクチンしかありません。
ようやく治療薬(抗体医薬)が登場しましたが、
点滴製剤であり、自宅で内服するという手軽な代物ではありません。

そのワクチンは12歳以上が対象です。
小学生(のほとんど)と、園児は対象外。

彼ら自身に身を守るすべはマスクと手洗いしかないのです。
できることは、周囲の大人がワクチンを接種して新型コロナにかからないこと、
家庭にコロナを持ち込まないことです。

しかし、親世代のワクチン接種は進んでいません。
これが一段落するまで、子どもの集団生活を停止するという選択肢もあります。
つまり休校・休園ですね。

ただ、親世代でもワクチンを希望しない人々が3割ほど居ます。
だから「親世代のワクチン接種が一段落」しても、
子どもの感染リスクが減ることは期待できません。

すると、現状で「witn コロナ」を実践していかなければなりません。

休園・休校は親世代の労働を停止することにもなります。
子どもの面倒を見る必要があるからです。
日本全体の経済活動が沈没していきます。

専門家によると、
「子どもが家に居ても感染リスクが減るとは限らない」
「休校=学童保育になるが、そちらの方が感染リスクが高くなる」
「加えて親が仕事を休む必要が出てくる」
などのマイナス点を上げ、
「休園・休校は感染対策として有効とは言えない」
という分析もあります。

視点を変えてみましょう。

子どもが新型コロナにかかり、集団生活の場(園・学校)で流行したと仮定します。
しかし子どもたち自身は普通の風邪症状で重症化は普通の風邪レベルの稀な頻度。
であれば、体調の悪い子どもは休む必要がありますが、
休園・休校という措置を取る必要はないと考えられます。

感染した子どもが新型コロナウイルスを家庭に持ち込み、
家族に広げるリスクがデルタ株の登場で高くなりました。
すると同居する大人や高齢者がもらってしまいます。
でも高齢者はほとんどワクチン接種を済ませていますから、
感染リスクは1/20、重症化リスクも低く抑えられます。
当然、100%大丈夫とは言えません。

問題は保護者世代。
子どもが新型コロナに感染した場合、
ワクチンを接種していても居なくても、
会社・勤務先は自宅待機を求めざるを得ません、
リモートワークが導入されていれば、体調が悪くなければ労働を継続できます。

このシチュエーション(感染者=自分の子ども、との濃厚接触を避けられない)でのワクチン接種の意義を考えてみますと・・・
・感染リスクは1/20に減り、重症化リスクも減る

逆にワクチンを接種しない選択では・・・
・感染リスクが高く、デルタ株では重症化する可能性がまれではない

つまり、保護者世代が入院してしまう可能性が大きくなります。
親が入院してしまったら、誰が子どもの面倒を見るのでしょう?
今後、この問題が噴出してくると思われます。

デルタ株の登場で、ワクチンの有効性がやや低下しましたが無効になったわけではなく、
しかも人類は他の方法を持ち合わせていない現状では、ワクチン接種が一番有効な一手です。

感染した子どもを悪者にしないためには、
周囲の大人がワクチンを接種する必要があることは明らかです。
ただ、ワクチン供給不足が足かせになっています。

某大学病院の重症新型コロナ病棟で、
保健所の問診では「感染経路不明」とされていた患者さんに、
医師がしつこくしつこく聞き出したところ、
その6割が「マスクなし会話」や「複数人での会食」に当てはまったそうです。

大人が学校給食レベルの「黙食」を守ることができれば、
流行は収束するのでは、などと考えてしまいます。

子どもを守るためには、
子どもを悪者にしないためには、
周囲の大人がワクチンを接種し、感染対策を守ることに尽きます。

何度でも繰り返しますが、その感染対策とは、

1.接触感染対策としての手洗い
2.飛沫感染対策としてのソーシャル・ディスタンス(2m)
3.(屋内)飛沫感染対策としての不織布マスク
4.(屋内)エアロゾル対策としての換気

子どもたちは学校生活の中でこれらを守っています。
子どもにとっての休校=大人にとってのロックダウン
子どもにしわ寄せが行かないよう、大人がお手本を見せるときです。


<参考>
2学期「子どもの感染拡大防止」に欠かせない視点  デルタ株で重症化の例も、ワクチン接種は有効か


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ワクチン接種は新型コロナとの長い戦いの序章に過ぎない 〜イスラエルの教訓〜

2021年08月26日 07時49分01秒 | 小児科診療
世界中の国々の中で「ワクチン」にいち早く注目し、
接種を推進して新型コロナ流行を押さえ込んだイスラエル。

参考記事によると、

イスラエルでは2月末までに高齢者の圧倒的大多数が、ファイザーとビオンテックが共同開発したワクチンの2回接種を完了。
現在では、接種可能な12歳以上の約78%が2回のワクチン接種を済ませている。

春に感染者数が低下すると接種証明書を廃止。
移動制限を緩めるなど、コロナ関連の規制を全面解除した。
最後まで残っていた屋内でのマスク着用義務も6月15日に撤廃した。

これで解決!と世界に光が差してきたと思いきや、ここに来て事情が変わってきました。

イスラエルの感染者数は現在、同国が最悪期を経験した今年冬の水準に急速に近づいている。
1日当たりの新規感染者数は過去2週間で2倍以上に増加。
世界でも感染が最も急速に広がっている地域の1つとなっている。
8月中旬には、集会および商業・娯楽施設に関する行動制限が再開された。
政府はロックダウン(都市封鎖)の再発動も検討している。

こ、これはどうしたことか!?
専門家が懸念していることは、まずはワクチン効果が長続きしない可能性;

時間の経過とともにワクチンの効果が低下した可能性。イスラエルでは、早期にワクチン接種を済ませた人が感染する確率が高まってきている。アメリカが9月から幅広い国民を対象に3回目のブースター接種を開始するとした決定も、こうした知見に基づいている。

イスラエル保健省が7月下旬に公開したデータによると、イスラエルにおけるファイザー製ワクチンの感染予防効果は1〜4月上旬の95%に対し、6月下旬〜7月上旬には39%まで下がっていた。ただし、重症化予防効果はいずれの期間も90%を上回っている。

感染の中心はこれまで、ワクチン接種率が低く、密集して暮らす超正統派ユダヤ教徒のコミュニティーだったが、今回は中産階級が暮らす接種率の高い郊外が中心になっている。

そして現行ワクチンはデルタ株に対応しきれない可能性;

デルタ株は感染力が極めて強く、ワクチンの感染予防効果が弱まったおそれがある。

さらにワクチン効果の最後の頼みの綱である、重症化抑制が破られるかも;

ワクチンには今も重症化を防ぐ効果があると考えられているが、イスラエルの一部データは、早い段階で接種を済ませた人々の間で重症化リスクが高まった可能性を示している。感染率が上昇する中、イスラエルではここ1カ月で死者数も増加傾向となっている。

つまり、ワクチンは長い戦いの始まりにおける“序章”に過ぎないことが見えてきたのです。
イスラエル政府は、方針転換をせざるを得ませんでした;

危機感を募らせた医療専門家は、あらゆる集会の制限を含む一段と厳しい措置の導入を求めるようになり、政府の諮問委員会も7月と8月1日の2度にわたってグリーンパスの即時再導入を呼びかけた。

これから、新型コロナウイルスと人類のエンドレスの戦いが続くのでしょう。
ワクチンも2回接種で完了ではなく、デルタ株対策に3回目の追加接種、そして今後登場するであろう新たな変異株に対応して毎年追加接種が必要になるでしょう。

<参考>
接種率78%「イスラエル」で死亡者増加のなぜ  「集団免疫」の勝利から一転、ロックダウンも

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デルタ株発祥の地であるインドでは新型コロナ感染者激減!?

2021年08月24日 07時42分05秒 | 小児科診療
2021年5月には一日の感染者数が40万人を超え、
準パニック状態であったインド。
そして現在世界を席巻しているデルタ株の発祥の地でもあります。

最近、インドのニュースを耳にしなくなりました。
どうなっているのかな・・・
というタイミングで、インドに関するニュース(↓)が入ってきました。

インドではまだ予防接種率が10%に達しません。
それでも感染が抑制されたのは、もしかして・・・
そう、「自然感染による集団免疫獲得」です。

インドの主要都市8つでのデータによると、
都市民の70%以上が抗体を有することが判明しました。

「その集団で7割の人が免疫を持つと感染拡大しなくなる」
という原則を、結果的にワクチンではなく自然感染で達成してしまったのです。

しかし繰り返して述べてきたように、自然感染をワクチンに例えると「最強最悪のワクチン」です。
インドでは公式には40万人が死亡したと公表されています。
アメリカの情報機関は、把握されていない死者を入れるとその10倍はいるだろうと推測しています。

40万人の10倍は400万人!
群馬県と栃木県の人口を合わせた数より多いのです。
北関東2県分の人口を、コロナは奪い去った・・・。

自然感染で免疫を得ようとすると、これだけの犠牲を覚悟する必要があります。


 感染激減インドから日本へ「絶対参考にしないで…」
2021/8/22:テレ朝)より抜粋;
・・・
▽ワクチン接種1割でも人口7割に抗体 
 これはインドの感染者数の推移。5月上旬をピークに、その後、激減し、今では感染者数が一日、3万人台まで減っているのがわかります。 ワクチンを2回打った人は、いまだ人口の1割ほど。にもかかわらず、なぜここまで感染者数が激減したのでしょうか? 

(ニューデリー近郊に住む 中村ゆりさん)
 「一番大きな影響はロックダウンかなと思いますね。各州全体的に実施されたんですけど、かなり厳格にロックダウンを行うので、そこで一気に感染を封じ込めて徐々に緩和していくと」

  一方で、インド政府の専門家会議のメンバー、アミット医師は別の可能性も指摘します。 

(インド政府 専門家会議メンバー アミット・ダット医師)
 「インド全体の抗体保有率が70%という結果がでました。インドが“集団免疫”を獲得したことを意味します。(感染者の激減は)これが一つの理由になっているでしょう。」 

 実は、インド政府が6月と7月に行った調査によると、主要な8州で70%以上の人に抗体が確認されたことが分かったのです。人口13億人を元に単純計算すると9億人がすでに抗体を持っていることになり、「集団免疫」によって感染者数が激減した可能性があるのだといいます。さらに… 

(インド政府 専門家会議のメンバー アミット・ダット医師)
 「インドではこれまでに40万人が亡くなったと報告されています。しかし実際の死者数は不明です。もっと死者は出ていたでしょう。報告よりもずっと多かった可能性が高い。」

  実際、アメリカの研究機関は、インドのコロナウイルスによる死者は公式発表のおよそ10倍にあたる340万人から490万人に及ぶ可能性が高いと発表しています。
・・・
アミット医師は、感染拡大が止まらない日本にこう警鐘を鳴らします。

 (インド政府 専門家会議メンバー アミット・ダット医師)
 「インドから学んでください。自然感染で集団免疫を獲得すると大きな犠牲を払うことになります。絶対に参考にすべき方法ではありません。パンデミック下ではリーダーシップが非常に大切です。政府が信頼を取り戻したうえで(国民と)感染対策を実行すること、それがこのパンデミックと闘うための唯一の道なのです。」


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医療崩壊を起こす日本と起こさない英国は何が違うのか。

2021年08月22日 20時15分02秒 | 小児科診療
最近「医療崩壊」というワードを耳にしない日はありません。
新型コロナ感染者(正確には“PCR陽性者”)は諸外国と比較してそこそこに抑えられているにもかかわらず、日本で「医療崩壊」が叫ばれるのはなぜ?

ひとつは、日本の医療機関は公立ではなく民間が多いから。
英国では80%が国営なので、国の政策が実行しやすいのです。
こちらのニュースでは、イギリス政府が7月の制限解除へ向けて着々と準備を進めてきたことを紹介しています;


「一日の感染者5万人」でも英国が「医療崩壊の心配ゼロ」の理由
JBPress 2021/8/22)より抜粋;
(黒木亮・作家)  ワクチン接種が十分でないところにデルタ株が猛威をふるっている日本の現状は、筆者が住む英国の去年の秋から冬にかけての状況を彷彿させる。ただ違う点が1つある。英国では医療が崩壊する懸念はほとんどなかった。理由は、昨年3月中にコロナ患者用の十分な病床と医療スタッフを確保し、それを厳しいロックダウンで支えたからだ。 イギリスでは「野戦病院」も複数開設された。
◆ 昨年3月中に感染ピークの準備を完了 
 昨年3月17日、英国の人口の84%を占めるイングランドのNHS(無料の国営医療サービス)のCEOサイモン・スティーブンス卿は、NHSの約10万の病床のうち3万床以上をコロナ患者向けに用意するよう全NHS病院に命令を発した。
・・・

すごい計画と実行力です。
日本では首相が標語を唱えて国民にお願いし、
政府分科会の尾見会長は「人流を減らす」と言うだけ。

もう一つは、日本の入院ベッドは老人の慢性疾患用であり、
急性疾患を扱う設備が備わっていないこと。

日本は諸外国と比較して
「入院期間が長く、寝たきり率が高い」
ことは以前から指摘されてきました。

死生観が違うという意見もありますが、
国民皆保険・介護保険の質や安易な胃瘻造設などの要素も助長しているという指摘もあります。
こちらのニュースでは、日本のねたきリ老人率は、アメリカの5倍、スウェーデンの10倍であることを指摘しています。


 アメリカの5倍…「寝たきり高齢者大国」の日本が抱える大問題
幻冬舎 DOLD ONLINE 2021/8/20)より抜粋;
・・・
◆ 日本の寝たきり老人の比率は、スウェーデンの10倍
[図表⇩]寝たきり高齢者比較図 出典:寝たきりゼロをめざして―寝たきり老人の現状分析並びに諸外国との比較に関する研究 第2版 Core Ethics Vol.6(2010)(塩中雅博氏改編)




 改めて、日本で高齢者が置かれている現状を整理しましょう。 図表は、日本の「寝たきり高齢者人口」を100としたときの、各国の数字との比較です。 日本の寝たきり高齢者の数は、イギリスの3倍、アメリカの5倍、スウェーデンと比較すると10倍もの開きがあります。これが寝たきり老人大国日本の現状です。 
 諸外国と日本の「寝たきり老人の差」はどこから生まれてくるのでしょうか? 
 一つの理由には、日本の長期入院があげられます。 諸外国では日本ほど社会保障制度が充実しておらず、医療費は自己負担となります。例えば盲腸で治療を受けた場合、治療費総額が日本では約60万円ほどで高額医療費の控除などもあるため、本人が負担する費用はぐっと抑えられます。しかし、アメリカやフランスなどでは100万円を超えます。
 そのため、医療方針も病院などでの治療期間は極力短くし、在宅で療養することが基本方針とされています。日本は諸外国と違い、患者にとって必要以上に手厚い社会なのです。 
 また、延命治療や生死感の違いなどもあり、尊厳死が認められる国もあります。そういった国では、本人が寝たきりで意思表示もできないような状態でも、家族の希望で延命治療を施し、入院をさせておくことがないのです。 
 日本では1960年代から国民皆保険制度が施行され、私たちは誰でもどこにいても、同じ治療を受けることができ、重篤な病気になれば安心して入院することができます。その結果、高齢になって身体機能が衰え、治療によって回復できない慢性的な病気でも入院する人が多くなったのです。
 確かに日本では家が狭く、身体が不自由な高齢者が在宅で過ごすための設備を充実できないことや、核家族化が進行して家族のなかに面倒をみる人がいないという現状もあり、 病院に頼らざるを得ないということもあります。
・・・

なので、ねたきリ老人を退院させてベッドを確保することもできず、
日本は新しい野戦病院を作る以外、新型コロナ用ベッドを増やす方法がないのが現状だと思います。

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臆病な民族が生き残る。

2021年08月22日 19時45分44秒 | 小児科診療
アメリカで「新型コロナワクチンを打った人はお断り」というレストランが登場したというニュースを耳にしました。
そのレストランでは「マスク禁止」だそうです。
映像では、店内には人が多く結構はやっていました。

インタビューされた店主は。
「民主主義は“自由”を保障する制度だ」
「我々には“ワクチンを打たない権利”がある」
とコメントしていました。

そういえば、フランスで「ワクチン反対デモ」の参加者がインタビューを受け、
「ワクチン接種に反対なのではない」
「“ワクチン強制接種”に反対なのだ」
と興奮して答えていました。

日本人が考える“自由”とレベルが違うようです。
しかし、ワクチン接種をしなければ自然感染の危険が高く、マスクをしなければ自然感染の危険が高いことは子どもでも理解できること。

父親がマスク反対派へメッセージ「5歳の娘も理解できることを大人がわかっていない」
 アメリカでは、新型コロナウイルスのデルタ株に感染する子供の数が急増している。そんな状況のなか、8月10日、テネシー州のウィリアムソン郡教育委員会は特別会合を開き、8月12日から少なくとも9月12日まで、学校に通う子供たちにマスク着用を義務化する案を承認した。 
 すべては子供たちの健康を守るため。そう考える親が大半のなか、マスク着用義務化に猛反発した保護者も少なくなかった。それどころか、ウィリアムソン郡では、反対派の親が大挙して集まり、会合が開かれた会場の外でデモを強行。
 それから数日後、改めて教育委員会の会合が開かれた。そこで、幼稚園児の父親が発言する機会を得て、一時の感情から愚かな行動に出た大人に向け、強いメッセージを発信した。 この男性の名前は、ジャスティン・カニュー。彼には、幼稚園に入園したばかりの5歳になる娘がおり、大人たちの愚行を「悲しい」と嘆いた。 「私には、幼稚園に入ったばかりの娘がいます。娘にとっての登園初日は、先週のカオスの翌日でした。クラスでは、私の娘を含めてマスクを着用していた子供の数は少数だったそうです。娘からは、マスクを着けないといけない理由を聞かれました」 「私は、周りにいる人たちのためにマスクを着けないといけないと答えました。娘はまだ5歳ですが、目的を理解してくれました。それなのに、多くの大人たちがマスク着用の意図を理解できていないのは残念でなりません」 
 反対派の中には、宗教を理由にマスク着用拒否を正当化しようとしている大人もいるという。それを知っていたカニューは「牧師の友人に尋ねました」と、続けた。 「彼が言うには、聖書に書かれている内容を理由に、マスク着用拒否を正当化することはできないそうです。これは、選ばれた人員で構成された委員会で承認されたことです。しかしながら、数千人が、宗教を理由にして拒んでいる。実になげかわしいことです。聖書には、マスク着用を拒むとは書かれてありません。周りを気にかける。それならば聖書にも書かれてあります」 
 一部の反対派を落ち着かせるため、テネシー州知事は、ウィリアムソン郡教育委員会で承認されたマスク着用の義務化に対して、着用の有無を選択できるように改めた行政命令を出した。カニューは、この件についても言及。そして「もし自分の思い通りになるような民主主義を求めているのなら、それは民主主義を支持していることにならない」と、反対派を糾弾した。 マスクの防御効果が絶対ではないとはいえ、適切に着用すれば、感染リスクを軽減させられる。子供たちの健康を第一に考えるのであれば、自らの価値観を優先して反発するのではなく、今は受け入れるべきではないだろうか。

 日本人も感染拡大に協力している人々は、やはり認識が甘い。
 こちらの記事では「感染経路不明」の入院患者に詳細な問診をしたところ、
・多人数での飲食
・マスクなし会話
など、耳にタコができるほど聞いたことが守られていないことが判明した、と伝えています。

「感染経路不明」患者の約6割に“感染リスクの高い行動歴”…どんな行動? 調査した医師に聞いた
 新型コロナウイルスの新規感染者数を伝えるニュースでたびたび示される「感染経路不明」というワード。 「国立国際医療研究センター」によると、新型コロナウイルスの積極的疫学調査の結果では「感染経路不明」と判定される事例が多く、効果的な感染対策を行うにはこの経路を明らかにする必要があるのだという。 
 こうした中で同センターは8月10日、「新型コロナウイルス感染症新規患者数増加の裏にある、追えていない感染経路を見いだす質的研究」の結果を公表した。 今回の研究のもとになった調査は、新型コロナウイルスの第4波と第5波の間である、2021年5月22日~6月29日に行われた。 
 調査の対象は、国立国際医療研究センター病院に入院した20歳以上の新型コロナウイルス感染症の患者43人。このうち、感染経路が明らかではない22人から、発症前の行動歴を詳しく聞き取った。 
 22人の内訳は男性17人、女性5人。調査の結果、22人のうち、14人(64%)に感染リスクの高い行動歴があったという。 
 行動歴・接触歴を解析したところ、感染リスクの高い場面は延べ24あり、このうち21場面(88%)が飲食関連、22場面(92%)ではマスクが着用されていなかった。 また、感染に関与しうると考えられた患者の考えや信念に関しては、「仕事の後であれば、職員同士でマスクなしで話しても大丈夫だろう」「外食が感染のリスクだとは知らなかった」などが挙げられた、としている。 そのうえで、「これまで見つかっていなかった新規の感染経路を見いだすことはできなかった」と結論付けた。
・・・

 大の大人があきれたものです・・・理解力が足りないのでしょうか?

 おそらく、疫病がパンデミックを起こしたことは歴史上何回もあったはず。
 我々の祖先は、そんな危機的状況を生き延びてきた遺伝子をもっています。

 感染力の強いパンデミックが発生した際、
・感染対策を無視して活動を続けた民族
・感染を恐れてできるだけ活動範囲を狭くし、流行が終わるまで息を潜めるように生きた民族
のどちらが生き延びてきたのでしょう。

誰が考えても、後者ですよね。
「自由」とか「権利」を理由に感染対策を無視する人たちは、
自然感染して命を落とし、数100年後には子孫を残さずに新型コロナに散った人々、と評されるのでしょう。
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ロックダウン、ワクチン、変異ウイルス・・・ある開業医のつぶやき

2021年08月20日 10時17分34秒 | 小児科診療
新型コロナウイルスが登場してから2年弱。
この巧妙な生き残り戦略をとるウイルスに人類は手を焼いており、
いまだに終息の気配がありません。

私が感じてきた「ウイルス vs. 人類」の大きな流れを書いてみます。

ウイルスが登場した当初、それを封じ込めるためにロックダウンが中国武漢では強行されました。

これは日本では法律的に不可能な強権発効です。
日本は第二次世界大戦のトラウマから、国が人権を無視して物事を強制する権利を剥奪しているからです。

現在でもTV番組で全国知事会の皆さんは、
「緊急事態宣言は効果がない」
「それ以上の強制力を持った政策を採るべきだ」
と意見しますが、一方で、
「強権発動する権利を国が持つことは戦争につながる」
「そのような危ない法律は作るべきではない」
という識者の意見が釘を刺す場面を目にします。

さて、人気がなくひっそりした武漢では新型コロナ感染者は激減し、
成功しました。
しかしこの政策を続けると、経済活動が滞るため、国として地盤沈下をきたします。
なのでロックダウンが長期にわたったり、繰り返すことになると国がめちゃくちゃになってしまうのです。

そこに登場した助っ人がワクチン
それもウイルスが特定されてから1年以内という超短期で開発された奇跡の mRNAワクチン。
従来の不活化ワクチンでは開発に早くて数年かかる予定(この種の日本のワクチンはまだ開発中)が、一気に前倒しされました。
現在、若年者が接種を渋っていることが社会問題になっていますが、もしこれがなかったら世界中パニックに陥っていたことは誰でも想像つきます。

ワクチンを国民の一定比率(専門家の試算では7割)接種すると、流行が沈静化する事が期待され、人類はロックダウンの他に強力な武器を得たことになります。

ロックダウン+ワクチンで解決するかに見えた新型コロナパンデミック・・・
しかしウイルスは「変異株」という変化球を投げてきました。

ワクチンで得た免疫をすり抜ける変異株は、ゴールを遠くに移動させました。

今後はどうなっていくのでしょう。
おそらく日本では・・・

・ワクチン接種率が集団免疫獲得には届かないため、感染流行を制御できない。
・医療崩壊が進む

のは目に見えています。

ワクチン接種は流行終息のゴールではなく、
一旦落ち着けて、変異株への対策を準備するまでの時間稼ぎに過ぎないのかもしれません。
それでもワクチンをスルーすれば次のコマに勧めず、感染爆発&パニックになります。

そして最終的には、

・変異株に合わせた毎年ワクチンを接種する。

ことになるだろうと思います。
現在の新型インフルエンザのように。

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新型コロナワクチンを打っても打たなくても、日本では毎日3000人の高齢者が死亡しています。

2021年08月19日 07時42分40秒 | 小児科診療
という意見を耳にします。

確かに大切な作業です。
ただ、時間関係(ワクチン接種後一定時間内のエピソード)は簡単にわかりますが、
そのエピソードがワクチンと関係あるかどうかの判断は困難を極めます。

生ワクチンであれば、検出されたウイルスの遺伝子解析で自然株かワクチン株か判断することが可能ですが、生ワクチン以外ではこの方法は使えません。

そこで登場するのが「疫学」です。

疫学とは何万〜何十万人もの人々を、
(ワクチン接種した人)と(ワクチン未接種の人)
に分けて、それぞれの問題となるエピソード(症状)の発生頻度を比較するのです。
その結果、明らかな差が出てワクチン接種者の方が多ければ、
そのエピソードはワクチンのせいである(因果関係がある)と判断できます。
しかし差が出なければ、ワクチンのせいではないと判断します。

単純に、ワクチンを打っても打たなくても発生頻度が変わらなければ、
ワクチンのせいじゃありませんよね。

この方法で、ワクチンのえん罪が何回も晴らされてきました。

例えば、MMRワクチンと自閉症。
デンマークの疫学データで、ワクチン接種者と非接種者の間に自閉症の発生率に差がないことが証明されました。

例えば、HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)と副反応。
名古屋の疫学データ(名古屋スタディ)で、ワクチン接種者と非接種者の間に症状の発生率に差がないことが証明されました。

この2件は、科学的エビデンスで否定され、医師にとっては解決済みの案件です。
医師は感情ではなく科学的エビデンスに基づいた診療を提供する義務と責任を負う職業なので、デマに流されるわけにはいきません。

しかし恐怖を煽る一連のメディア報道の結果、
人間の頭にリスクがすり込まれると、
なかなかそれから逃れることができず、
現在でも副反応と思い込んでいる人々がいます。

その結果、不幸なことが起こります。
HPVワクチンの接種が進み世界の国々では子宮頸がんは減っているのに日本では増えているのです(<参考>記事参照)。
不安を煽ってワクチン接種率を低下させたメディアは、
副反応を報道したときと同じように、報道責任について記者会見を開いていただきたい。


さて、話を戻します。
新型コロナワクチンは高齢者への接種が一段落しました。

ワクチン接種後、一定数の死亡例が報告されました。
すると「ワクチンのせいじゃないか?」
と疑いたくなるのが人情です。

でも、高齢者は日常的に寿命を全うしています。
ニュースキャスターの辛坊氏によると、日本での高齢者の死亡数は、
・1日で3000人
・1ヶ月で10万人
・3ヶ月で30万人
とのこと。

これらの死亡のタイミングが、たまたまワクチン接種後に重なると「ワクチンのせいだ!」
とまたメディアが騒ぐのです。

以下の記事を参考にしましたが、
この題名も不安を煽っていますね。
正しくは、
「ワクチンを打っても打たなくても30万人死ぬ」
ですから。

この記事の題名だけ読んで誤解した人がワクチン接種を拒否し、
新型コロナに自然感染して命を落としたら、
東スポは責任を取るのでしょうか?


<参考>
辛坊治郎氏が大予言! ワクチン打ち始めたら「30万人死ぬ」

日本の子宮頸がん、過去10年の罹患率増は世界ワースト
(ケアネット:2021/08/17)より抜粋;
 子宮頸がんは、発症頻度は高いものの予防や制御のしやすいがんであり、先進国においては経済や社会の発展に伴って、罹患数や死亡数は減少トレンドにある。しかし、感染予防に最も効果的なHPVワクチンの接種が進んでいない日本においてはこの傾向と反する状況にあることが新たな研究で裏付けられた。子宮頸がんの罹患率・死亡率と、人間開発指数(HDI)との関連を調べた中国チームの調査によるもので、Cancer誌オンライン版8月9日号に掲載された。
・・・

・全体の子宮頸がんの罹患率および死亡率は、人間開発指数と負の相関があった(罹患率r = -0.56、死亡率r = -0.69、p < 0.001)。しかし、日本においては正の相関があった(罹患率r= 0.48、p<0.022、死亡率r= 0.81、 p<0.001)。罹患率と死亡率の双方が正の相関を示したのは日本のほかはブルガリアのみだった。
・ほとんどの国では、過去10年間の罹患率(26/31ヵ国)、死亡率(30/31ヵ国)は減少または横ばいであり、減少傾向は効果的な子宮頸がん検診プログラムを実施している国でとくに顕著だった。
・日本の過去10年間(2003~2012年)の平均年間変化率は、罹患率4.2%、死亡率0.5%だった。大半の国がマイナスとなる中、罹患率は31ヵ国最も高く、死亡率は2番めに高かった。
・今後15年間の予測トレンドにおいても、多くの国で減少または横ばい(罹患率19/27ヵ国、死亡率26/27ヵ国)傾向となったが、日本はいずれも上昇予測となった。

 著者らは「子宮頸がんの罹患率、死亡率は、社会経済的発展と負の相関を示しており、特に、効果的な子宮頸がん検診プログラムとHPVワクチン接種を実施している国では、発生率と死亡率が横ばいまたは減少傾向にある国が圧倒的に多かった」としている。
 本結果は、HPVワクチン副反応のネガティブキャンペーンにより積極的なワクチン接種勧奨の差し控えが続き、ワクチン接種率が1%未満(2002 年度以降生まれの女性)という日本がいかに世界の潮流からかけ離れた危機的な状況にあるかを、改めて浮き彫りにする内容となっている。
<原著論文>
Lin S, et al. Cancer. 2021 Aug 9.[Epub ahead of print]



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「有効率80%、有効期間3ヶ月、副反応50%以上(重篤例20%)、死亡率2%」の新型コロナワクチンを、あなたは接種しますか?

2021年08月17日 15時14分12秒 | 小児科診療
ファイザー社の新型コロナワクチンは有効率95%、
すなわち、接種すると感染リスクが20分の1に減ります。

副反応は一過性の倦怠感や発熱の頻度は高いですが、
重篤なアレルギー反応であるアナフィラキシーは極めて希です(100万人に数人)。
心筋炎は100万人に数十人程度と報告されていますが、
いずれも軽症で回復しています。

ワクチン接種後の死亡例も報告されていますが、
因果関係が証明されたものはないと聞いています。
つまり、死亡率はほぼ0%。

主な接種対象であった高齢者は、
寿命や持病の悪化で一定の率で死亡しますが、
それがたまたまワクチン接種後のタイミングだった、
という現象と区別が困難だからです。

ところが現在、「死亡率2%」という驚くべきワクチンが出回っています。
そしてこのワクチンの有効率は80%(高齢者では50%弱)、
免疫持続期間は最短90日。

さらにこのワクチンは副反応が50%以上に出て、
かつ入院を要する重症例は20%です。

こんな恐ろしいワクチン、あなたは接種しますか?
あ、このワクチンの名前は「新型コロナウイルス自然感染」という名前です。

※ 下記の記事で紹介された論文から作成、つまり新型コロナウイルスに罹った時に起こる現象をワクチン接種後に起こる現象に置き換えてみました。

・新型コロナに罹っても20%は再感染する → 有効率80%
・新型コロナ罹患後に抗体が消失する期間は最短90日 → 有効期間採痰90日
・症状が出る人は50%以上 → 副反応出現50%以上
・重症化率(肺炎合併)20% → 重症例20%
・死亡率2% → そのまま


<参考>
コロナに感染するのとワクチンを打つのとでは、どちらがより強い免疫が得られるのか?
2021/8/17 忽那賢志Dr.)より抜粋
・・・
一般的に、ワクチン接種によって得られる免疫は、自然に感染することで得られる免疫よりも弱いと言われていますが、新型コロナではどうなのでしょうか?
感染症に感染すると免疫ができます。
例えば、麻しん(はしか)や風しん、水痘(水ぼうそう)などに感染すると、多くの人では生涯これらの感染症に罹らなくなります。
これは、感染によって作られた免疫が長期間持続するためです。
一方、ワクチン接種によって得られる免疫は、自然感染と比べると弱く、感染を防ぐためには2回もしくはそれ以上の回数のワクチン接種が必要となります。
だからと言って、麻しんや水痘に敢えて感染して免疫をつけることは推奨されません。なぜなら、麻しんや水痘の免疫はワクチンによって安全に得ることができる一方で、感染した場合は重症化することがあり安全とは言えないからです。
新型コロナに感染したことがあっても再感染することがある
第5波以降、著名人の方の再感染事例が報道されています。
新型コロナに一度感染したことがある人も、再び感染することがあります。
もちろん感染したことによって免疫ができますので、すぐに再感染することはありませんが、回復してから時間が経てば経つほど再感染のリスクは高くなります。
これまでの再感染の報告からは、最初の感染から少なくとも90日くらいは再感染が起こりにくいことが分かっています。
また、一度新型コロナに感染した人は免疫ができるため2回目の感染では1回目の感染よりも軽症になると考えられています。
しかし、少なくとも免疫が弱っている人では2回目の方が重症化することがあるようです。
では、1回目の感染によってどれくらいの期間、免疫が保護的に働くのでしょうか?
デンマークから、第1波(2020年6月以前)でPCR検査をして陽性だった人、陰性だった人を追跡調査し、第2波(2020年9月から12月)のPCR検査で陽性だった人、陰性だった人を解析することで初回の感染が再感染を防ぐ効果を検証した研究が報告されています。
この研究では、過去の感染による保護効果は80.5%であり、感染したことがない人よりも感染するリスクが5分の1になる程度とのことです。
また65歳以上の高齢者では、この保護効果が47.1%にまで落ちるとのことです。
また、デルタ株などの変異ウイルスでは、過去に新型コロナに感染した人の免疫からも逃れて感染することが知られています。
自然感染とワクチン接種、得られる免疫はどちらが強い?
・・・
対象の集団、評価している期間、評価方法が異なるため単純な比較はできませんが、新型コロナワクチンの一つであるファイザー社のmRNAワクチンの発症予防効果は90%以上とされており、特に高齢者においてはワクチンの方がより強く免疫を賦活できると考えられています。
・・・
これらのことから、現在得られている知見からは、
感染で得られる免疫 < ワクチン接種で得られる免疫
とされ、これまでに新型コロナに感染したことがある人もワクチン接種が推奨され、接種によってより強い免疫が得られると考えられています。
「免疫をつけるためにわざと新型コロナに感染する」目的で開催されるコロナパーティーというものがあるそうですが、

新型コロナに感染することで、
・若くて基礎疾患のない人でも重症化することがある
・回復後も後遺症に悩まされることがある
・再感染することがある

などの懸念があるため全く推奨されず、感染するよりもワクチン接種の方が安全に免疫をつけることができます。
ただし、新型コロナワクチンで得られる免疫の持続性については、自然感染よりは長いと考えられているものの、追加接種の必要性については現在も検討が行われているところです。
・・・
一方で、副反応については、過去に感染したことがない人よりも局所の疼痛や倦怠感、発熱などの頻度が高かったようです。
新型コロナワクチンでは、1回目よりも2回目の接種の方が副反応が多いことが知られていますが、過去に感染したことがある人では、感染が初回接種と同じような免疫賦与の機会となり1回目の接種が非感染者にとっての2回目の反応と同様のことが起こるのだと考えると理解しやすいでしょう。
しかし、だからといって現時点では「過去に感染した人は1回の接種で十分である」というコンセンサスはなく、過去の既往に関係なく2回の接種が推奨されています。
◆ 新型コロナに感染した人は、いつワクチンを接種すべきか?
新型コロナワクチンは、2回目の接種をして14日間が経過すると十分な効果が得られます。
1回しか接種していない時点で感染してしまった人も、回復後に2回目の接種が推奨されます。
接種すべき時期については、定まった見解はありません。
前述の通り、感染してから数カ月間は再感染するリスクは低いため、体調が整うまで待つことも選択肢ですが、退院した後や自宅療養が終わった後にはいつでも接種が可能です。
新型コロナの後遺症に悩まれている方も、ワクチン接種によって後遺症の症状が増悪することはなく、むしろ改善することが示唆されています。
◆ 過去に新型コロナに感染した方もワクチン接種をご検討ください
以上のことから、過去に新型コロナに感染したことがある方も再感染のリスクがあり、ワクチン接種によってより強固な免疫を得ることができます。
ぜひ積極的にワクチン接種をご検討ください。

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医療従事者に「新型コロナワクチン義務化」の是非ーその2

2021年08月09日 09時15分53秒 | 小児科診療
2021.7.15に以下の文章を書きました;


正解のない問いですが、これからも向き合い、考えていきたいと思います。
今回紹介するのはこちらの記事;

ひろゆき氏が“コロナ最前線”の医師6人に質問「ワクチン反対派のコロナ患者はどう思う?」「医療従事者はワクチンを義務化するべき?」

私の答えは・・・
医師は患者を選べませんので、職業倫理から「ワクチン反対派のコロナ患者はどう思う?」と聞かれても「目の前の患者をふつうに診療する」しかありません。
では、「たくさん重症患者が押し寄せて、命の選別を迫られる状況ではワクチン接種者を優先するか?」と聞かれたら・・・正直わかりません。
ワクチン接種により重症化率が下げられることはわかっていますので、それを無視して重症化したなら自業自得、という考えがある一方で、接種したかったけれど事情があり接種できなかった、という例もあると思われ、限られた情報の中で判断すること名困難であり、やはり「目の前の患者をふつうに診療する」しかないのかな、と現時点では思います。

2問目の「医療従事者はワクチンを義務化するべき?」という質問については、冒頭で紹介した以前のブログで私の考えは書きましたので興味ある方はお読みください。
医師は職業倫理的に「医師は要望があった際に診療を拒否することはできない」(応酬義務)や「目の前の患者を差別することなく診療する」義務が存在します。
それと同じレベルで「自分が感染源になって患者さんにうつしてはならない」ということも感染対策の基本であり医療倫理と私は感じていますので、ワクチン接種によりそのリスクを軽減できるのであれば、義務化が基本ということになります。

ただ、mRNAワクチンは人類史上初めての試みであることは事実。
歴史上、壮大な実験をしているという見方もできます。
ワクチン以上に有効な手段を見いだせない現在、新型コロナウイルスに対抗するには、それを乗り越えるためには必要な一歩ではないかと。
躊躇すれば被害が拡大し、経済・社会的に破綻する可能性が大、つまりウイルスに負けてしまうのですから。

単純に考えると、

・自然感染:ウイルスの遺伝子の全部が身体に侵入してコピーを作り、増殖して人体にダメージを与える。
・ワクチン:ウイルスの遺伝子の一部が身体に侵入してコピーを作り、中和抗体を誘導し人体を守る。

の違いです。
ウイルス遺伝子の一部を入れるワクチンより、全部が入って自分の細胞内でウイルスのコピーを無限に作られる自然感染の方がイヤですよね。

さて、話を戻します。
著明な医師5名が答えた内容を抜粋します;

【忽那賢志氏(大阪大学医学部・感染制御学教授)】
 「医療従事者は全員接種すべきだと自分のブログに書いたら、医療従事者からたくさん『お前はなんてことを言うんだ』というメールが来た。だが、やはり医療従事者から患者にうつしてはいけない。私自身は医療従事者は全員接種すべきだと思う」 

【高山義浩氏(沖縄県立中部病院感染症内科・地域ケア科副部長)】
 「義務という言い方はちょっと強すぎるが、打つべきだと思う。中には不安があって打てない人もいるので、そこに対する許容性も必要だ。医療は患者さんに対しても同じ態度を取りかねないので、注意すべきだと思う」 

【佐々木淳氏(医療法人社団悠翔会理事長・診療部長)】 
「打つべきだと思っている。特に私たちが診ている患者さんたち、特に我々の場合は基礎疾患がある高齢者が大部分なので、もし万が一私たちを媒介して感染を広げて、その人の生命に大きな影響が出たときにどうやって責任を取るのか。責任の取りようがない。なので、私は基本的にこういう仕事をする以上、ワクチンを打つのは私たちの責務だ。自分たちから病気を広げないために打つという理解をしている」 

【廣橋猛氏(永寿総合病院がん診療支援・緩和ケアセンター長)】 
「私も皆さんと一緒で、気持ちは義務と言いたいぐらいだ。院内感染の経験から、我々だけではなくて患者さんを守るのが医療者の使命だという職業倫理観を持っている。そういった意味ではワクチンを打って欲しいと思う。そういった方と一緒に働きたい」 

【山下紗弥氏(りんくう総合医療センター産婦人科副医長)】
 「私たちは妊婦さんに、そしてできるなら妊婦の家族さんにも打って欲しいと思っている。妊婦さんに接する立場の医療従事者はできる限りワクチンを打って欲しい」 

【木村百合香氏(荏原病院耳鼻咽喉科医長)】 
「ワクチン接種は、適切な医療を提供するための使命の一つだと私は感じる」

多少の温度差はあるものの、医療の現場での認識は「患者さんを守るために接種」と一致していますね。
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若者をワクチン接種へ向かわせるのに“ご褒美”は必要か?

2021年08月08日 16時09分38秒 | 小児科診療
アメリカでは若年層の新型コロナワクチン接種率が頭打ちになり、
あの手この手の方法で接種を促しています。
それ以外の国でも事情は同じようです。
この現象を扱った記事を紹介します;


「こんな方法まで?」世界のコロナワクチン接種促進あの手この手
(2021/6/7)より抜粋;

世界のどこでも行けちゃうチケット 
米ユナイテッド航空では、新型コロナワクチンの接種証明書を提示すると、抽選で「世界のどこへでも行ける往復ペアチケット」をプレゼントする取り組みをしています。2021年6月下旬までに申し込んだ会員の中から30組に同社の世界中のどの路線でも乗れる往復ペアチケットが当たり、7月1日には応募者から5組になんと「1年間有効な期限つき往復ペアチケット」が当たるという取り組みです。コロナ禍で観光への客足が伸び悩む中で、新たな追い風になるのではとの期待も集まっています。  

接種後2日はワクチン休暇 
マカオなどで統合型リゾート(IR)を運営するメルコリゾーツ&エンターテインメント社は、従業員が新型コロナワクチンを接種したときに、当日と翌日に有給休暇を付与する取り組みを行っています。社員に対するインセンティブを与えることで、ワクチン接種の促進につなげているのです。ワクチン接種の当日と翌日に休むことができるので、「安心して接種を受けることができた」との声もあるそうです。  

ワクチン宝くじ 
アメリカではさまざまな州で、独自の景品を設置しています。オハイオ州では「バックス・ア・ミリオン」という名前のワクチン宝くじがあり100万ドルの賞金が景品になっています。ニューヨーク州では、4年制公立大学の授業料全額と生活費を景品として掲げています。

接種した人はデートアプリ内で目立つ機能も
ホワイトハウスのコロナウイルス対策班は、デートアプリと連携してワクチン接種を促進する取り組みを始めました。これは世界最大のデートアプリといわれるTinderをはじめ、Bumble、Hinge、Chispaなど、数千万人のデートアプリ利用者、特に若者をターゲットとした施策になります。 デートアプリによって多少の差はありますが、ワクチン接種をしたユーザーは、無料でポイントをもらうことができたり、さらにマッチ相手にも「この人はワクチン接種が済んでおり安全です」ということを知らせてくれる機能までついていたりするとのこと。接種済みの人がデートアプリ内で目立ちやすくなるなどの機能を提供しているものもあります。

日本の地方県でもこんな試みがなされています;

若者の接種加速へ、スバル新車や旅行券プレゼント…知事「ありとあらゆる方法とる」
 若年層の新型コロナウイルスワクチン接種を促すため、群馬県の山本一太知事は6日、9月末までに2回の接種を終えた20~30歳代の県民向けに、乗用車や旅行券を抽選でプレゼントすると発表した。県内に主力工場のあるSUBARUから寄付される「XV」の新車を1人に贈るほか、県内宿泊で使える5万円の旅行券を100人分、2万円のものを250人分用意する。
 県内の20~30歳代の1回目のワクチン接種率は2割未満にとどまっており、山本知事は「ありとあらゆる方法で接種を加速したい」と話している。


私は接種推進に最大効果を発揮する方法は「正しい情報提供」につきると思うのですが、
それでも動かない人たちには、このような“ご褒美”もあり、ですかねえ。
医療が推進してきた“インフォームド・コンセント”が崩れ去っていく・・・。

でも、大学の“学費援助”はよいアイディアですね。
日本でもやって欲しい・・・日本の奨学金制度は「実質的には借金」ですから。
先日就職した知り合いの大学院生から、学生時代6年間に奨学金を合計1000万円もらったと聞きました。
つまり、彼は「1000万円の借金を抱えたフレッシュマン」として就職したのです。

あ、脱線しました。

もし、子ども相手にご褒美を考えるなら、
私は「6人に1人の子どもが貧困」という日本の現実を考えると、
「給食半年分無料、2回接種すると1年間無料」などがいいと思います。

若年者向けではありませんが、
12歳以上の子どもへのワクチン接種を迷われている保護者と本人へメッセージを書きましたので、
ご参考にどうぞ;




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