徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

「“副作用”がわからない? ~信頼できるワクチン行政とは~」by NHK

2016年01月28日 08時13分33秒 | 小児科診療
 昨夜のクローズアップ現代はHPV(子宮頸がん)ワクチンの副反応がテーマでした。

■ “副作用”がわからない? ~信頼できるワクチン行政とは~
2015.1.27:NHK
新規ワクチンの導入に消極的だとして「ワクチン後進国」と指摘されてきた日本。ここ数年、迅速な導入を進めてきた。しかし、3年前に定期接種化された子宮頸がんワクチンを巡り、接種した人から“副作用”を訴える声が続出。国は接種勧奨を中止する事態となった。2年以上経った現在でも、勧奨を再開するのかどうか、判断できない状況となっている。見えてきたのが、ワクチン接種後に現れる症状を的確に収集・検証し、因果関係を疫学的に評価する仕組みの脆弱さ。国民が安心してワクチンを接種できるためには何が必要なのか?米国の制度との比較も交え、処方箋を探る。


 日本ではワクチンの副反応を拾い上げる全国規模のデータベースが存在しないことが指摘されていました。
 ワクチン接種後に発生した体調不良が、ワクチンのよるものかどうかを判断するのは科学的にも困難であり、その際に用いられるのは「統計学的手法」です。
 副反応の報告システムとデータベース構築が整備されたアメリカでは、その手法により1990年代にロタシールド®の副反応をあぶり出して早期に中止できた実績が紹介されました。

 しかし、私が気になったのは、そのアメリカでもHPVワクチンは行われており、日本で問題視されている副反応は認められていないという事実を取りあげなかったこと。
 さらに、科学的手法による感染症対策の頂点にあるWHOのコメントも取りあげられなかったこと。
 さらに、日本における統計学的手法を用いたHPVワクチンの副反応報告(名古屋市による大規模調査)も取りあげられなかったこと。

 私もこの問題の真実を知りたいです。
 HPVワクチンによる副反応は、なぜ日本だけで問題視されるのか?

 しかし、科学データ(エビデンス)をもとに議論を進めなければ解決することは困難でしょう。


<参考HP>
■ 「“ワクチン拒否”を考える
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リンゴ病(伝染性紅斑)も流行してます。

2016年01月27日 13時38分19秒 | 小児科診療
 おたふくかぜだけではなく、リンゴ病(伝染性紅斑)も流行しています。
 当地域では昨年秋から断続的に小流行を繰り返していますが、そういえば冬になってからはあまり見かけませんね。

 リンゴ病の問題点は、妊婦さんが罹るとお腹の赤ちゃんに影響が出ること。
 大人が罹ると重くなりがちですが、軽く済むこともあり、罹った記憶がないまま出産して赤ちゃんに問題発覚、という可能性もあります。
 周囲に患者さんがいたら要注意。
 私は受診した子どもをリンゴ病と診断した際は、その患者さんの周囲に妊婦さんがいたら、感染の有無にかかわらず通院先の産科主治医に報告して相談していただくよう誘導しています。

■ リンゴ病 患者数、過去10年で最多 「大人も注意を」
毎日新聞2016年1月26日
 頬や体が赤くなることから一般に「リンゴ病」と呼ばれるウイルス性の感染症「伝染性紅斑」の昨年の患者数が、ここ10年で過去最多だったことが、国立感染症研究所のまとめで分かった。今年に入っても子どもを中心に流行は続いている。実態が分かっていない「大人のリンゴ病」も広がっている可能性があり、専門家が注意を呼び掛けている。
 リンゴ病の原因はパルボウイルスB19。せきやくしゃみの飛沫(ひまつ)を介して感染し、頬や腕、足などが赤くなるほか、頭痛や関節痛が出ることもある。10歳未満を中心に広がり、多くは自然に回復する。流行の周期は4~6年と考えられる。
 感染研によると、昨年1年間に全国約3000の小児科から報告された患者数は9万8500人で、ここ10年で最多だった2011年の8万7010人を上回った。夏場をピークにいったん下がったが、秋から初冬にかけて再び増加し、今も終息していない。
 一方、成人の患者は集計がないが、東京都の調査では30~40代女性で多い傾向がみられ、育児中に子どもから感染するケースが考えられる。妊婦が感染すると、胎児の組織などに水分がたまる「胎児水腫」や流産の恐れがある。妊娠中に胎児も含め感染した女性の約7割が、流産や死産をしていたとの厚生労働省研究班の報告もあり、警戒が必要だ。
 有効なワクチンや決め手となる治療法はなく、手洗いやうがいなど感染症の一般的な予防対策が重要になる。感染研感染症疫学センターの砂川富正室長は「大人のリンゴ病は一般に認知されておらず、医療者も認識できていない場合がある」と指摘する。

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おたふくかぜ流行の兆し

2016年01月25日 12時57分03秒 | 小児科診療
 本日の外来は発熱患者が多く、インフルエンザの検査をすると半分以上A型が陽性でした。
 例年より遅れましたが、いよいよ本格的なインフルエンザ流行期に突入した感があります。

 一方、こんなニュースが目に付きました;

■ おたふくかぜ流行の兆し…夏に向け増加「予防を」
毎日新聞2016年1月25日
□ 4年半ぶり
 耳の下側が腫れるのが特徴で、一般に「おたふくかぜ」と呼ばれるウイルス性の感染症「流行性耳下腺炎」の患者が増え、4年半ぶりに全国的な流行の兆しがあることが、国立感染症研究所のまとめで分かった。子どもを中心に広がるため、専門家は手洗いやワクチンの接種など対策の徹底を呼びかけている。
 おたふくかぜはムンプスウイルスに感染することで発症する。潜伏期間が2~3週間と長く、耳やあごの下が腫れて熱が出る。通常は2週間以内に自然に治るが、髄膜炎を併発したり、1000人に1人程度の割合で難聴になったりする場合もある。近年は4~5年周期で流行しているが、周期の理由ははっきりしないという。
 感染研感染症疫学センターの砂川富正室長は「この時期では報告数が過去10年で3番目に多い。流行する年は冬から夏に向けて増加する傾向があり、全国的流行が懸念される。手洗いのほか、有効なワクチンもあり、しっかり対策してほしい」と話している。


 下線を引いた部分に注目してください。
 難聴の合併症は、以前考えられていた頻度より多く発生していることが、近年になって明らかになりました。片側だけのことが多いのでわかりづらかったのですね。
 身近なところでは、後輩の女医さんにも被害者がいます。
 残念ながら発症すると有効な治療法がなく、一生治りません。

 しかし、おたふくかぜはワクチンで予防することは可能であり、罹らなければ当然難聴の合併症の心配もありません。
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エンテロウイルスD68による体の麻痺、子ども中心に全国で66名。

2016年01月23日 15時02分01秒 | 小児科診療
 以前取りあげたエンテロウイルスD68の続報です。
 喘息発作が起きやすいほかに、ポリオのような麻痺も起こすことが知られています。
 この度、全国調査の結果がまとまり、以下のように報告されました;

■ 原因不明の体のまひ 子ども中心に全国で66人に
2016年1月19日:NHK
 去年の夏以降、原因不明の体のまひを訴える子どもが相次ぎ、一部から「エンテロウイルスD68」が検出された問題で、体のまひを訴える患者は26の都府県で5歳以下の子どもを中心に66人に上ることが分かりました。国立感染症研究所は、体のまひの程度や治療によって改善したかなど、詳しい実態調査を始めることになりました。
 この問題は、去年8月以降、発熱やせきなどの症状のあと、原因不明の体のまひを訴える子どもが相次いで見つかったもので、一部から「エンテロウイルスD68」が検出され、その関連が疑われています。
 国立感染症研究所が全国の病院を対象に調べたところ、まひを訴える患者は5歳以下の子どもを中心に66人に上り、20代から50代の人も含まれることが分かりました。
 このため国立感染症研究所などの研究グループは、体のまひの程度や治療によって改善したのかなど、詳しい実態調査を行うことになりました。研究グループでは、患者の中には、治療によって症状が改善した人もいることから、今月いっぱい情報を収集し、今年度中に治療方法についての検討をまとめたいとしています。
 研究グループの福岡市立こども病院の吉良龍太郎医師は「今もまひが残る患者が多いと考えられる一方、程度の差はあるが、多少症状が改善した子どもさんもいるので、いつ、どんな方法で治療を行えば最も効果的なのかを探っていきたい」と話しています。

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家庭でできる、子どもの風邪の治療法

2016年01月20日 06時59分19秒 | 小児科診療
 こんなニュースが目に止まりました。

■ 家庭でできる、子どもの風邪の治療法
ケアネット:2016/01/20、提供元:HealthDay News
 子どもが風邪をひいたとき、保護者は市販の咳止め薬や風邪薬を使わずに治療することを検討すべきだと専門家が警告している。米国小児科学会(AAP)によれば、処方なしに入手できる市販薬は、風邪薬や咳止め薬であっても、乳幼児に重篤な副作用を引き起こす可能性があるという。
 米国食品医薬品局(FDA)は2008年、4歳未満の小児に市販の咳止め薬や風邪薬を与えないよう勧告した。4~6歳の小児は医師の指導の下でのみこれらを服用し、6歳以上は用量指示に正確に従えば安全に服用できる。
 薬を使わずに、安全で便利かつ安価に実施できる治療法を紹介する。

1.鼻水が出る:ティッシュを使う。鼻水は吸引するか、鼻をかむ。抗ヒスタミン薬は風邪の症状軽減には役立たない。鼻水は身体のウイルス除去を助けるものだと理解しておくこと。

2.鼻づまりがある:生理食塩水の鼻スプレー、または点鼻薬で鼻をかみやすくなる場合がある。生理食塩水は、温かい水240mLに食塩2mL(ティースプーン0.4杯)を加えれば自宅でもつくることができる。

3.咳がある:生後3カ月未満の乳児は医師を受診すべきである。生後3カ月~1歳の乳児は、ティースプーン1~3杯の水やリンゴ果汁などを温めて1日4回与えるとよい。1歳未満ではハチミツを与えられないが、1歳以上なら必要に応じて小さじ1杯のハチミツを与える。コーンシロップでもよい。

4.咳が止まらない:温かいミストシャワーで、咳の発作を和らげることができる。

 小児の咳や風邪は治療が必要とは限らず、普段どおり遊んだり眠ったりするようであれば、市販薬も家庭療法も不要である。発熱は身体がウイルスと闘うのを助けるので、熱が102°F(約38.8℃)以上あるか小児が不快な場合のみ、治療すべきである。


 う~ん、悪くはないけど信じすぎると痛い目に遭うかも・・・いくつか注意点を記しておきます。

・アメリカでは乳幼児に対する「市販かぜ薬」を制限しているのであり、病院/医院で診察して処方される「処方薬」は制限していません。アメリカの市販風邪薬のシロップは日本のそれよりも濃度が高く、過量投与による事故が多発したために取られた措置です。
 「かぜ薬はすべて悪」という論調は、これを曲解したものですね。

鼻汁:抗ヒスタミン薬は鼻汁分泌を減らす薬剤であり、水のような鼻水が止めどなく流れる時は有効です。しかしそれほどではない場合、痰が切れにくくなるデメリットの方が目立つので、ずっと使う薬ではありません。

鼻づまり:生食スプレーはやり過ぎると粘膜を痛めますのでほどほどに。

・生後3ヶ月未満の赤ちゃんがをしている場合に小児科受診が必要としているのは、RSウイルスを想定したもの。急に悪化して無呼吸~顔色不良になることがあるからです。
 ハチミツは医薬品として登録されており、咳止め効果を期待して処方する小児科医もいますが、否定的な報告もあり、私はお勧めしていません。

咳が止まらない場合にミストシャワーでやわらぐのは乾いた咳/痰が切れそうで切れなくてつらい咳の場合です。痰の多い湿った咳の場合はかえってつらくなりますのでご注意を。

 ここまで書いてきて、漢方薬を使うとみんなよくなるのになあ、と感じます。
 漢方では水様鼻汁が止まらない時と数日経過して青っぱなと鼻づまりがつらい時期の薬を使い分けます。咳でも乾いた咳と湿った咳、ゼーゼーする咳の場合で薬が異なります。

 当院では一般の西洋薬のかぜ薬でよくならない患者さんに漢方薬をお勧めしています。
 「乳幼児に漢方を飲ませる」というハードルを乗り越え、効果を実感したお母さんはリピーターになりますね。
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スギ花粉飛散はもう始まっている?

2016年01月15日 05時27分39秒 | 小児科診療
 スギ花粉症患者でもある私は、最近外で活動すると鼻がグズグズする印象があります。
 まだスギ花粉は飛んでいないはずだけどなあ・・・と思いきや、こんなニュースを目にしました;

■ スギ花粉、例年より早く 2月上旬にも飛散か
2016.1.14:毎日新聞
 日本気象協会(東京)は14日、今春のスギ花粉の飛散予測を発表した。西日本や東日本では例年より数日早い2月上旬から飛び始める見込み。担当者は「さらに前から微量が飛ぶこともあり、事前の花粉症対策を」と呼び掛けている。
 気象協会によると、西日本と東日本では暖冬の影響で、2月から3月にかけて気温が平年並みか高くなり、飛散が早まる。北日本では平年並みの2月下旬以降に飛ぶと予測している。
 花粉の量は地域により異なる。東北は昨年夏、気温が高く日照時間はほぼ平年並みでスギの芽が育ちやすい条件がそろい、特に太平洋側では過去10年の平均よりやや多くなる。
 関東は平均と同じ程度。近畿や四国、九州は夏の気温が低く日照不足だったため、平均より少ないという。北海道にはスギがほとんどない。


 昨年デビューした「スギ花粉舌下免疫療法」も手応えがある様子;

■ スギ花粉症8割「改善」 保険適用の舌下免疫療法 厚労省調査
2015.6.12:毎日新聞
 スギ花粉のエキスを口に含んで花粉症を治す「舌下免疫療法」を受けた患者へのアンケートで、ほぼ8割が例年と比べて症状が改善したと答えたとの調査結果を、厚生労働省研究班がまとめた。
 同療法の治療薬は昨年10月に発売され、12歳以上で健康保険適用となった。研究班の岡本美孝・千葉大教授(耳鼻咽喉科)は「最低でも2年間は毎日服薬が必要。通院などの負担はあるが、2年目となる来年の方が効果の自覚は強くなるだろう」としている。
 千葉大や日本医大、埼玉医大など6施設で、昨年10月から今年1月に治療を始めた13~78歳の患者102人を対象に、今年の花粉飛散時期の症状などを尋ねた。

 例年の症状との比較では
「症状がなかった」(9%)と
「軽かった」(69%)
 と回答した人が8割近くを占めた。
「中程度だった」は20%、
「重かった」は2%だった。

 効果の自覚についても
「とても効いた」が26%で、
「効いた」(33%)や
「やや効いた」(19%)
 と合わせ、6~8割が高い評価を付けた。
「効かなかった」は4%だった。

 1日1回、薬を2分ほど口に含んで飲み込む必要があるが、「口のかゆみ」「のどの違和感」「くしゃみ」などの副作用があったと答えたのは23%だった。7%は「副作用のため治療の継続を悩んだ」とした。
 通常2~3カ月で効果が出始めるという。岡本教授は「スギ花粉症かどうか検査を受けた上で9~12月に始めると続けやすく負担が少ないだろう」と話している。

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群馬県でインフルエンザの流行が始まりました。

2016年01月14日 08時18分15秒 | 小児科診療
 冬将軍とともに、インフルエンザ流行がついにやってきました。

■ 前橋と高崎でインフルエンザ学級閉鎖 /群馬
毎日新聞:2016年1月13日
 群馬県前橋市立永明小学校で12日、1年生の1クラスで27人中10人がインフルエンザとみられる症状で欠席したため、市は13日から3日間の学級閉鎖とした。前橋市内でのインフルエンザによる学級閉鎖は今年度初めて。また、高崎市立多胡小学校でも1年生15人のうち7人がインフルエンザとみられる症状で欠席したため、13日から5日間の学級閉鎖となった。


 ちなみに当院は1/10(日)は休日当番医でしたが、インフルエンザ陽性者はA型2名のみでした。
 来週あたりから増えそうな予感がします。

 今シーズン猛威をふるったRSウイルスの流行はそろそろ終息に向かうでしょうか。

■ 東京都や大阪府などが要注意 - RSウイルス感染者、いまだ高水準で推移
2016/01/13:マイナビニュース
 国立感染症研究所は1月12日、2015年12月21~27日の期間中の感染症発生動向調査を公開した。同調査の結果から、同期間中における1週間当たりの「RSウイルス感染症」の患者が全国で6,000人近くになることが判明。過去10年間の同時期と比較しても、高い水準で患者が増え続けていることが明らかになった。

 全国約3,000カ所の定点医療機関から12月21~27日(第52週)の期間中に報告があった全国の患者数は5,756人。第50週の7,469人をピークに2週続けて減っており、感染縮小の兆しはみえてきている。
 ただ、2005年シーズンからの第52週時期における患者数と比較すると、5,756人は2番目に高い数字となる。2014年シーズンこそ第52週に6,110人を記録していたが、2009年からは5年連続で3,000人台で推移。この数字からも、今シーズンはRSウイルスが長期間にわたって猛威を振るっていることがわかる。

 RSウイルス感染症は、RSウイルスによって引き起こされる呼吸器の感染症。風邪のように発熱や鼻水などの症状が出るが、重度の場合だと肺炎や気管支炎になるケースもある。通常、RSウイルスに感染してからの潜伏期間は2~8日で、典型的な潜伏期間は4~6日とされている。
 同研究所によると、生後1歳までに半数以上の子どもがウイルスに感染し、同2歳までにはほぼ100%の子どもがRSウイルスに初感染するとのこと。厄介なことに、生後数週間~数カ月間程度の乳児が初めて感染した場合は、重篤な症状が出る可能性が高まるとされている。
 RSウイルス感染症には特効薬やワクチンがないため、予防が肝要となる。感染経路は飛沫(ひまつ)感染と接触感染で、発症の中心は0歳児と1歳児。一方、再感染以降ではくしゃみ・鼻水といったような症状が出ていても、RSウイルス感染症であるとは気づかない年長児や成人もいる。
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2015年にアメリカで話題になった医療ニュース

2016年01月11日 07時20分23秒 | 小児科診療
 医療情報サイトの「ケアネット」で見つけました。

■ 2015年、米国で注目された医療ニュース
提供元:HealthDay News:2016/01/11
 2015年は、米国では健康に関して突出して目立ったニュースはなかったが、がんのスクリーニングや予防に関する話題をはじめとして、いくつかの大きな出来事がみられた1年だった。

1.米国がん協会(ACS)は乳がんスクリーニングに関するガイドラインを改訂。
 年1回のマンモグラフィ受診を開始する年齢が40歳から45歳に変更され、55歳以降は2年に1回の受診が推奨されることになった。

2.がん専門医のグループが、未成年者の日焼けマシンの使用を禁じる新たな規制を提唱。
 皮膚がん予防において歴史的な決定につながる可能性がある。

3.撲滅されたと思われていた麻疹、百日咳などの小児感染症が再流行。
 専門家によると、親の判断により予防接種を受けない小児の存在が、少なくとも原因の一部ではないかという。

4.小児の自閉症および注意欠陥・多動性障害(ADHD)の増加。
 現在、小児の自閉症スペクトラム障害は45人に1人と推定され、5~17歳の小児の12%がADHDだとされているが、「過剰診断」の可能性もあると研究者らは指摘している。

5.米国食品医薬品局(FDA)が初めて女性用性欲促進剤「Addyi(一般名Flibanserin)」を承認。
 賛否を巻き起こした。FDAは副作用に関する警告のラベル記載を義務付けている。

6.動物性の飽和脂肪酸(バターや脂身)は不健康だという考え方に疑問を投げかける研究結果が発表された。

7.電子たばこ(e-シガレット)については、依然として議論が続いた。
 10代の若者で使用が増加しており、喫煙と同様の規制を求める声も上がっている。

8.米国では麻薬性鎮痛薬の乱用がますます蔓延しており、処方薬の入手を制限してもヘロインの使用を助長するだけの結果。
 米オバマ大統領によれば、自動車事故をはじめとした薬物乱用に関連する死亡者は1日120人にもなるという。

9.フットボールなどのコンタクトスポーツ(対戦相手と接触するスポーツ)と頭部外傷の関連もニュースに。
 若い頃のプレーにより、数十年後に脳損傷が認められるとの研究結果が発表され、ファンの認識も安全性を求めるように変化してきているという。

10.2015年冒頭には、インフルエンザが例年になく猛威を振るった。
 米国ではワクチンの適合性が低かったとみられ、高齢者や幼児を中心に多数の患者が出た。

11.195カ国のリーダーがフランス、パリに集結し、地球温暖化対策に関する歴史的な協定に合意した。
 後の世代の健康に大きな利益をもたらすと考えられている。


 小児科医の私は、3と4が気になります。

 予防接種に関しては「集団免疫」という概念が理解されないと感染症の撲滅は困難です。持病や年齢などの事情により予防接種ができない人たちを含めて社会全体を感染症から守るという考え方です。それを達成するためには高い摂取率を維持する必要があります。

 自閉症関連に関しては専門外なので詳細はわかりませんが、DSM-5という新たな診断基準による影響と、製薬会社の利益誘導という側面で議論されることが多いようです。

 一方、日本の医師が選んだ2015年医療ニュースベストテン(日経メディカルによる)は・・・

■ 発表!2015年「医療界10大ニュース」
(2015/12/25:日経メディカル)
 今年も残りわずかとなりました。昨年に続き、日経メディカル読者が選んだ「今年の医療界10大ニュース」をお届けします。
 読者投票は12月中旬、医師会員を対象に日経メディカル Online上の「週替わりミニアンケート」として実施しました。編集部がチョイスした26本のニュース記事を選択肢として提示し、その中から「2015年の医療界10大ニュース」に入れるべきだと思う記事を最大10個まで選んでもらいました。

1.ノーベル賞 北里大の大村智氏にノーベル生理学・医学賞

2.腹腔鏡下手術事故 群馬大、千葉がんに欠けていた「4つの手続き」

3.女子医大 プロポフォール プロポフォール死亡事例、遺族側が傷害致死容疑で告訴状

4.成田に新医学部 成田市の医学部設置、早ければ2017年度に

5.東北医科薬科大 東北の新医学部、2016年春の開設が正式決定

6.精神保健指定医取り消し 聖マリ医大の精神保健指定医、20人が資格取消

7.韓国MERS 韓国で感染広がる中東呼吸器症候群(MERS)

8.エボラウイルス病 一般医もエボラ患者の病期と経過は理解を

9.マイナンバー マイナンバーで医療の情報連携も始まる…のか?

10.新専門医制度の整備進む 2年後に迫る新専門医制度、どこまで決まった?


 一般ではなく医師限定だと、興味の対象が随分異なりますね(^^;)。

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3歳まではピーナッツ禁止。

2016年01月10日 08時14分22秒 | 小児科診療
 小児科医にとっては常識ですが、繰り返し啓蒙が必要な「事故」;

■ 3歳までピーナッツ禁止を 学会呼びかけ、窒息や肺炎の恐れ
2016年1月9日:朝日新聞
 日本小児呼吸器学会などが「3歳以下には、ピーナツは与えないで」と保護者らに呼びかけている。丸のみして窒息したり、かけらが気管支に入って肺炎になったりする恐れがある。節分の豆や枝豆でも事故が起きているので注意が必要だ。
 同学会の調査によると、2014年1月から翌年5月までに、全国の64の医療機関で、食べ物が気管に入った子ども66人が治療を受けており、3歳以下が多かった。食べ物の種類を見ると、ピーナツ(22人)が最多。枝豆(8人)や節分の豆(5人)も目立った。
 調査に参加した国立成育医療研究センターの樋口昌孝医師によると、豆をすりつぶして与えれば良いが、細かくせずに食べさせるのは危ない。気管に詰まり、窒息する恐れがあるほか、気管支などに入りこむと、取り除くために全身麻酔をした治療が必要になることも。


 小児科医になり立ての頃、ピーナッツを誤嚥して気管に詰まり、低酸素性脳症となり寝たきりになった幼児を担当したことがありました。
 また、自分自身でも大きめのあめ玉を喉に詰まらせて大変な思いをしたことがあります。
 赤ちゃんだけがいる家族なら目が行き届くと思われますが、兄弟(お兄さん/お姉さん)がいる乳児はとくに注意が必要です。

<参考>
■ 「小児の気道異物事故予防ならびに対応」(小児呼吸器学会)
■ 「節分 子どもの豆の事故に注意」(2014年02月03日:NHK)
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インフルエンザの流行はまだ・・・

2016年01月08日 07時35分45秒 | 小児科診療
 年明けの小児科外来は閑古鳥が鳴いています。
 インフルエンザ流行前の「嵐の前の静けさ」という感が無きにしも非ず。

■ インフルエンザ流行まだ 9年ぶり年越し、高温多雨が一因
毎日新聞2016年1月8日
 暖冬の影響で、季節性インフルエンザの全国的な流行が遅れている。例年12月には流行入りが発表されるが、今年は9年ぶりに年を越しても発表されず、厚生労働省が7日公表した最新の患者数も流行入りの目安に達していなかった。ただ過去には流行が遅れてもその後急増したシーズンもあり、医療関係者は早めの予防接種を呼びかけている。
 一般にインフルエンザは寒さが厳しく、空気が乾燥する12月から翌年3月にかけて流行する。国立感染症研究所感染症疫学センター(東京)の砂川富正・第2室長は「湿度が低く、乾燥状態が続くと、喉や気管支の防衛機能が低下し、感染が起こりやすくなる」と流行のメカニズムを説明する。
 インフルエンザウイルスと気象との関連などを研究している大橋唯太(ゆきたか)・岡山理科大准教授は今冬の流行遅れについて、「11月から12月にかけて全国的に高温多雨の傾向が続いたこと」を一因とみる。大橋准教授によると、12月は全国的に降水量が例年より多く、日中の気温も高かったため、大気中の水蒸気量が増えたという。この多湿環境がウイルスの感染拡大を抑えたと分析する。
 国立感染症研究所によると、近年も04~05年と06~07年は流行入りが年を越したが、05年は1月下旬以降、感染者が急増し、07年は春以降も流行が続いた。砂川室長は「インフルエンザの抗体ができるまで時間がかかる。できる限り早めに予防接種を受けてほしい」と呼び掛けている。

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