徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

3回目の新型コロナワクチン〜イスラエルから学ぶこと〜

2021年11月29日 06時37分01秒 | 小児科診療
3回目の新型コロナワクチンは必要か、検索して調べてみました。

まず、基本的なことを抑えておきましょう。

ファイザー社の新型コロナワクチンを2回接種すると、
・感染阻止率:90%
・発症阻止率:95%
・重症化予防率:90%
という驚異的な効果が得られます(全て概数と考えてください)。

2回目接種後4ヶ月が経過すると、
・感染阻止率:50%
・発症阻止率:90%
・重症化予防率:90%
と感染阻止率だけが落ちてきます。

感染阻止率が落ちるけど、発症阻止率は保たれたまま・・・
これはどういうことかというと、
「感染者は無症状のまま」
ですが、
「感染者は他人に感染させる」
状態です。

つまり、無症状で社会活動をふつうにしている人たちが、
感染源となるということ。
これでは流行を抑制できません。

そしてハイリスク者が感染してしまうと、
重症化してしまうことの繰り返しが止まりません。

前置きはこれくらいにして、それではワクチン先行国イスラエルの状況を。



イスラエルでは国民の多く(78%)が2回接種を済ませてワクチンパスポート(グリーンバッジ)を導入し、2021年5月には一旦、1日の感染者数が二桁になりました。
しかし2021年7月に第4波が始まりました。
いわゆる「ブレークスルー感染」ですね。
すぐさまこれに対応し、7月末から3回目接種(追加接種)を開始しました。
当初は60歳以上が対象、8月末からは16歳以上で2回目接種から5ヶ月が経過していれば誰でも受けられるようになりました。

イスラエルのワクチンパスポートには期限があり、
追加接種対象でありながらまだ受けていない場合は接種完了とみなされません。
つまり、2回目接種後6ヶ月以上経過した人が3回目接種をしていない場合は、ワクチンパスポートは無効になります。

厳しいですね。

こうしてブレークスルーによる第4波をしのいだイスラエルでは、11月の陽性者の内訳はワクチン接種未完了者が75%以上を占めています。
10月に発表された入院患者の内訳は、60歳以上の重症者でワクチンを2回しか接種していない人の数は、3回接種者の4倍だそうです。
11月後半時点での3回目接種者は4割を超えたとのこと。

しかしワクチンを強硬に進めるイスラエルといえども、流行を完全に抑え切れているわけではありません。
9月以降は感染者が減少していますが下げ止まり状態で、
最近の「実効再生産数」は1を超えました。

最近の新たな感染の多くは、未接種者である5-11歳の子供達の間で起きており、
新規感染者の50%は11歳未満と発表されました。
この年齢層に対するワクチン接種も11/22から始まりました。

なお、ファイザー社の新型コロナワクチンの5-11歳に対する接種成分量は、
成人の1/3に減らされました。
これで副反応は成人と同等、効果は十分と認められました。
実際には成人用ワクチンを流用して1/3量使うのではなく、
子ども用の別のバイアルから調整して接種することになります。

イスラエルの事例から読み取れることは、
・ワクチンは流行抑制に極めて有効。
・ワクチンの効果には期限があり、追加接種が必要。
・ワクチン未接種者がいる限り、流行は繰り返される。
ということ。

アメリカでも最近、18歳を超えた全成人への追加接種が承認されました。

イスラエルのルールによれば、
日本のワクチンパスポートは、初期に接種した医療関係者はすでに失効している状態です。

その日本でも先日、追加接種が認められました。
原則として「2回目接種以降8ヶ月経過」した人が対象になります。
クラスター発生地域などは6ヶ月経過すれば接種可能。

3回目接種者が増えれば、ブレークスルー感染は抑制できるでしょう。

しかし、以下の懸念材料は消えません。
・ワクチン未接種者がいる限り、流行は繰り返される。
そう、日本では12歳未満の小児への接種がまだ行われていません。
最近のニュースでは、2022年2月以降になりそうです。

数日前に試聴したセミナーでは、
「日本の新型コロナ流行は、子ども中心の感染症として残るだろう」
「成人はワクチン接種で抑制できるが、子どもは成人ほど接種率が上がらないと予想されるため」
という専門家のコメントがありました。

さもありなん。

子どもへのワクチン接種はメリットとデメリットを天秤にかけると判断が難しくなります。
子ども個人への負担を考えると、
感染しても基本的に症状が軽いため、ワクチン接種後の副反応の方が気になります。
しかし社会全体のことを考えると、
感染した子どもから親や身内に感染拡大し、流行のくすぶりがずっと続くため、
社会活動・経済活動がダメージを受け続ける。
・・・これを国民がどう捉えるか、にかかっています。

現在話題になっている5-11歳への接種が始まっても、
その下の年齢層は未接種のままです。
アメリカでは生後6ヶ月-4歳の治験も始まったという情報もあります。

そして、変異株の問題もあります。
大きな変異があれば、現在行なっているワクチン免疫からすり抜けて感染する可能性が高くなります。
2021年11月現在、オミクロン株が話題になっていますが、
これが解決した後も次々と変異株は登場することが予想されます。

これはインフルエンザで経験済みで、そのために毎年ワクチンを接種する習慣がつきました。
ウイルスと人類のイタチごっこ。
おそらく、新型コロナワクチンも定期的に追加接種することになるのでしょう。


<参考>
■ 追加接種も先行 コロナ対策先進国・イスラエルから何を読み取るか
■ イスラエル、5~11歳のワクチン接種開始 首相「安全で効果的だ」
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なぜ日本では新型コロナ流行が落ち着いたのか?

2021年11月21日 07時16分16秒 | 小児科診療
テレビでもメディアでも喧々ガクガクの話題ですね。

私は「集団免疫獲得+α」と考えています。
集団免疫という単語はずいぶん有名になりましたが、
「ある集団内で一定比率の人が免疫を持つと感染症が広がらなくなる」
ということ。

そして「一定比率」の数字は「基本再生産数」(一人の患者から何人の人が感染するか)で決まります。
各感染症で、この基本再生産数はほぼ固定値なのですが、
新型コロナは、状況により変化して報道されており、つまり変数です。

日本はワクチン接種率が80%まで伸びました。
それから、罹るべき人たち(感染対策を取らないで活動する人たち)は皆罹ってしまったと思われ、
これらの人々が1割いると概算すると、国民の9割近くが免疫を持っていることになります。

2021年4〜5月にインドで感染爆発したことを覚えていますか?
ワクチン接種率が低い状況で感染拡大に歯止めが効きませんでした。
しかし6月以降、その話題が耳に入らなくなりました。
そう、流行地のほとんどの人が罹って集団免疫が成立したためです。
その後の報道で、「インドの都市部の97%が抗体保持」と脅威的な数字が示されました。

ただ、自然感染で集団免疫を目指すと、犠牲者が多数出ます。
インドでは葬儀や埋葬が間に合わないほど、たくさんの人が亡くなりました。
街頭インタビューでは「世界の皆さん、インドの真似をしないでください、私は家族を失いました」と女性が訴えていたのが印象的です。

それから、基本再生産数が変数、と書きましたが、
日本人の感染対策習慣(マスク着用、手洗い励行)は明らかに欧米人よりもハイレベルです。
よって、基本再生産数は低く抑えられていると思います。

欧米では「自由」「権利」が最優先されるので、
マスクやワクチン接種を「強制」「義務化」されることに大きな抵抗が生まれます。
一方の日本では「和」「世間体」を尊ぶので、抵抗がありません。
まあ、「無言の圧力」というマイナス面が目立つこともありますが。

しかし、新型コロナの流行抑制があまりにも突然で急だったことに専門家も驚いているようです。
でもこれは、新型コロナに限ったことではありません。

例えば、RSウイルス。
乳幼児中心に毎年流行する、小児科にとっては厄介な感染症です。
新型コロナの流行が始まってからの2回の冬はほとんど患者が出ませんでした。
小児科医を30年以上している私にとっても、初めての経験です。
それが、2021年春から患者が出始め、夏〜秋に流行し、冬に突入しつつある今もまだ患者さんが出ます。
感染症の流行にはいろんな要素が複雑に絡んでいて、
まだ完全に解析できていません。
この点は、天気予報と似ているかもしれません。

諸外国の状況を報告したニュースをピックアップ。
現在、ヨーロッパではドイツやオーストリアが感染拡大中、
ロシアは1日の死者数が最高になったとTVで報じています。
皆、ワクチン接種率が伸び悩んでいることが原因とされています。

「ゼロコロナ」を目標としていた国々は、
一旦成功したことがワクチン接種の遅れにつながり、
今になって苦労していますね(中国、韓国など)。

ただ、変異株とブレークスルー感染のリスクから、
日本も逃れることができません。
「新型コロナはこれで終わり」と安心することなく、
ワクチン追加接種を粛々と実行していきましょう。

ドイツで感染者が増加 日本は落ち着いているがその違いは?
2021/11/20:日刊ゲンダイ)より抜粋;
 新型コロナウイルスの感染者が欧米を中心に増えている。ドイツのロベルト・コッホ研究所の発表(15日現在)によると、過去7日間に新型コロナに感染した人は10万人当たり303人で、前日の289人から増加。歴代最高記録を更新しているという。日本では感染状況が落ち着いているが、この違いは? 

【Q】BBCニュースによれば、第4波が訪れているドイツでは1日あたりの感染者数が5万人を超えたという。その原因は? 
【A】「ドイツでは、必要回数のワクチン接種率が67.5%で、日本の75%に比べると低いものの世界的に見れば高い水準にあります。ただし若い世代の接種率が伸び悩み、7割の壁を越えられません。そのうえ人流が多く、マスクをしていない人々が多くいるのが原因かと思われます。
  英国も感染拡大していますが、4割は未接種の子どもと報じられています。英国では、アストラゼネカ製のウイルスベクターワクチンを使っているため、ワクチン自身の免疫力がファイザーやモデルナよりも弱いことも問題としてあります。 
 フランスでも6割ほどのワクチン接種者がいますが、感染者はまだ2万人程度とあまり減ってはいません。これも政府が人流を抑制するような対策を取らず、マスクを外している人も多く、感染予防をしっかりしていないためです。こうした国々と日本との大きな違いは、アルコール消毒やマスクの着用、人流抑制など、基本的な対策を徹底しているかどうかだと思います」

【Q】日本でも、12月から2回目の接種から8カ月経った人を対象にワクチンの3回目の接種が始まる。感染者数は減っているが、打つべきか? 
【A】「現在、2度接種しているにもかかわらず、ブレークスルーを起こしているのは80~90代の人が多い。40~50代はまだ免疫が残っているため、そこまで多くありません。もとより80歳以上の高齢者は病院や施設などに入居されている人が多く、ワクチンを打っていても免疫反応が強くなくて抗体価が十分上がっていない人も少なくない。それがクラスターを生む原因にもなっています。 
 彼らのほとんどは6カ月ほど前に2回打ち終えています。そのため私もそうですが、抗体は4分の1以下になっている人が非常に多いと思われます。こうした人たちには、やはり3回目の接種が必要でしょう」 

 イスラエルでは3回目のワクチン接種率が4割程度だが、感染者が減少している状態だ。11月1日から海外旅行客も受け入れている。 対象者から徐々に接種していくことで、拡大は抑えられているという。 (奥田研爾/横浜市立大学名誉教授)


〝K防疫〟を自慢したはずの韓国でコロナ感染爆発
2021/11/18:東スポWEB)より抜粋;
 “K防疫”の成果を自負してきた韓国だが、今月1日に“ウィズコロナ”のもと規制緩和してから、新型コロナウイルスの新規感染者や中等症・重症患者の数が過去最高に迫っている。
・・・韓国の新規感染者数は17日、3187人と発表され、コロナ禍で過去2番目に多い数となった。また、集中治療が必要な中等症・重症患者は522人に達した。同国の中等症・重症のコロナ患者の受け入れ可能病床数500を超えており、“医療崩壊”が懸念されている。
  韓国政府は1日、規制緩和の第1段階として、これまで午後10時までだった飲食店などの営業延長を認め、4人までだった会食などの集会も12人まで可能とした(ソウル市内は10人まで)。また、プロスポーツ観戦も有観客を認めた。 
 すると新規感染者数がみるみる増加。7日間平均の死亡者数は、規制緩和された当日1日12・3人だったものが現在は20人以上と増え続けている。
  同国の保健福祉部は17日、ほとんどがすでにワクチン接種を終えた高齢者らが入居する介護施設などでデルタ株によるブレークスルー感染が広がり、それらの施設での死者や重症者が増加していると説明した。
  ポスト紙は、ファイザー社のワクチンの場合、2回目のワクチン接種後6か月が経過すると、特に65歳以上の男性や免疫不全の人では、「免疫反応が著しく低下した」とするイスラエルの研究チームが先月、米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に発表した論文を紹介。韓国では半分以上がファイザー社製のワクチンだと指摘した。
  それでも同紙は、英オックスフォード大が運営する「アワー・ワールド・イン・データ」の集計をもとに、韓国はワクチン接種開始がほかの先進国に比べ出遅れたものの、同国人口約5200万人の80%近くがすでに接種を完了しているとし、「そのワクチン接種率を上回る国は10か国に満たない」としている。 
 ちなみに、信頼性が高いと世界的に評価される米ジョンズ・ホプキンス大の新型コロナ感染状況をまとめたデータには、韓国やコンゴ共和国、東ティモールなど世界で9か国・地域だけが「該当データなし」となっている。同大の最新集計によると、世界で最も新型コロナのワクチン接種完了率が高いのはアラブ首長国連邦(UAE)の90・04%で、シンガポールの87・88%、ポルトガルの86・69%が続いている。日本は75・84%となっている。


さて、新型コロナ流行に翻弄された菅政権。
ワクチン事業に尽力した河野大臣。
功労者の二人とも、政治の表舞台から消えてしまいました。
あと1ヶ月、新型コロナ感染抑制が早かったら・・・と思うと、
政治ってタイミングや運もあるんだなあ、とつくづく感じますね。
河野首相が誕生していたら、小泉進次郎氏と共に内閣の若返りが実現したのに。
まだまだ昭和の古狸たちが居座っている政権の面々を見ると、
「変われない日本」が今後も続くようで、ため息が出ます。

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接種ミスが多発する新型コロナワクチン報道を見て小児科医が思うこと

2021年11月04日 07時30分16秒 | 小児科診療
まず、以下の記事をご覧ください。

新型コロナと他のワクチン、取り違え接種74件...厚労省が再発防止策示す
 厚生労働省は、新型コロナウイルスワクチンの接種について、国内でスタートした2月17日から9月30日までの計約1億6400万回のうち、インフルエンザワクチンなど他のワクチンと間違えて接種するミスが74件起きていたと公表した。重大な健康被害は確認されていないという。
 今後、インフルエンザワクチンの接種が本格化することから、同省は自治体に対し、
〈1〉ワクチンの種類ごとに接種する曜日や時間帯を分ける
〈2〉一つのトレーに置くワクチンは1種類に限る
〈3〉接種前、互いにワクチンの種類を声に出して確認する
――ことを再発防止策として示した。
 同様の接種ミスは10月中も続いており、静岡市、大津市、北海道七飯町など6市町がこうしたミスを公表した。大津市では、市内の診療所が同22日、インフルエンザワクチンを接種する予定だった12歳未満の子どもに誤って新型コロナワクチンを打った。子どもは一時発熱したが、軽快したという。

新型コロナワクチンをほかのワクチンと同時接種することは日本では許可されていません(外国では実施しているところもあります)。
一人の患者さん(それも成人)に一つのワクチンを接種するだけなのに、これだけのミスが発生しているのが現状です。

小児科開業医ではワクチン接種は毎日行っている日常業務です。
ワクチンの数が増えた現在、乳児期には複数のワクチンを同時に接種することが一般的です。
しかしワクチンの種類が異なると、接種スケジュールも異なります。
乳児期前半は一度に4種類以上接種することが多いのですが、
接種スケジュールの違いを加味して計画し(つまり毎回異なる組み合わせ)、
摂取量も異なる複数のワクチンを間違いなく接種しなければなりません。

そう、ご想像の通り複雑なんです。

そして兄弟が一緒に接種することも珍しくありません。
こちらは種類もスケジュールも違います。

そう、さらに複雑になります。

さらに、乳幼児は泣きます。
兄弟がみんな泣き叫び、阿鼻叫喚の世界と化します。
すると「声による確認」ができなくなります。
その中での複数のワクチン、それも接種間隔や接種量の異なるワクチン・・・この作業には集中力が必要です。

このように、小児科開業医では毎日、接種ミスが発生するハイリスクの現場が発生しています。
スタッフは「予防接種の時間が一番大変」と言います。

以上が小児科開業医での予防接種現場の状況です。

振り返って、新型コロナワクチンの接種現場は・・・
「一種類のワクチンを言葉のわかる成人に対して行う」
という、うらやましいほどの恵まれた低リスク状況です。

そこでミスが発生するということは「訓練不足」と批判されてしかるべきでしょう。

<追記>
次のようなニュースも流れました。

避けたいワクチン接種時のケアレスミス/厚労省
ケアネット:2021/11/12)より抜粋;
 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種が全国で順調に行われ、満12歳以上への接種も始まり、3回目の接種についても細部が決まりつつある。また、インフルエンザの流行を控え、COVID-19ワクチンとインフルエンザワクチンの接種というケースも散見されるようになってきた。こうした環境の中ではワクチン接種時の事故は避けたいものである。
 厚生労働省は、令和3年9月30日までに報告された予防接種の間違いの概要をまとめた「新型コロナ予防接種の間違いの防止について(その3)」を10月29日に全国の自治体に発出し、注意を喚起した。
 同省では、インフルエンザワクチンが多く接種される時期でもあり、これらの留意点を参考に、あらためて予防接種の手順を再確認することにより、間違いの発生防止とCOVID-19ワクチン接種の適切な実施に向けた取り組みを進めてほしいと記している。

◇一番多い接種上の間違いは「接種間隔」
1)間違いとして報告のあった回数(10万回当たり数)
延べ接種回数163,738,220回のうち
・間違い報告件数:1,805回(1.102)
・重大な報告件数:739回(0.451)
・上記以外の報告件数:1,066回(0.651)

2)間違いの態様別の上位5つ(10万回当たり数)
(1)接種間隔の間違い:526件(0.321)
(2)接種器具の扱いが不適切:350件(0.214)
(3)不必要な接種:246件(0.15)
(4)血液感染を起こし得る間違い:170件(0.104)
(5)接種間隔の間違い:99件(0.06)

◇トレイを分ける、声を出すなどでミスを防ぐ
・・・
【間違いの背景】
・同じ時間帯に新型コロナワクチンと他のワクチンの予約を受け付けており、物理的に患者が混在していた。
・接種者の手が届く範囲に、複数の異なる種類のワクチンが置かれていた。
・新型コロナワクチンの接種数が多く、接種に慣れてしまっていた(無意識、惰性で打ってしまった)。
・接種者が、接種直前に接種するワクチン名を確認していなかった。
※インフルエンザワクチンなどのバイアル製剤だけでなく、シリンジ製剤でも接種間違いは起こっている。

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米国では5〜11歳への新型コロナワクチン接種開始

2021年11月04日 07時02分09秒 | 小児科診療
子どもへの新型コロナワクチン接種には賛否両論、
日本では医師でも慎重論を唱える専門家もいる中、
件名のようなニュースが届きました。

接種量は、12歳以上の1/3である0.1mlです。
治験では、0.1ml〜0.3ml(12歳以上と同量)が行われたと聞きますが、
最終的には0.1ml接種が「安全かつ効果的」のベストバランスだったようですね。

日本で認可されるのはいつになるでしょう。

<参考>
5~11歳への接種、米で始まる…「利益はリスクを上回る」とCDCが「推奨」発表
 【ワシントン=船越翔】米国で3日、米ファイザー製の新型コロナウイルスワクチンの5~11歳の子供に対する接種が始まった。米疾病対策センター(CDC)が2日、この年齢への接種を推奨すると発表し、米食品医薬品局(FDA)も緊急使用許可を出していた。
 バイデン大統領は2日の声明で、CDCの推奨は「ウイルスに打ち勝つための戦いの中で、大きな前進だ」と強調した。米政府はすでに5~11歳の約2800万人分のワクチンを確保済みで、8日には全米の学校や小児病院などで接種を行う態勢が整う見通しだ。
 CDCの諮問委員会は2日の会合で、この年齢へのファイザー製の接種による利益はリスクを上回ると判断した。これを受け、CDCのロシェル・ワレンスキー所長が接種の推奨を正式決定した。5~11歳の子供には、通常の3分の1の量を3週間間隔で2回投与する。

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新型コロナとインフルエンザの違い

2021年11月03日 07時10分07秒 | 小児科診療
秋も深まり、インフルエンザが気になる季節になりました。
すると、新型コロナとインフルエンザの違いが問題になります。

症状から区別することはできません。
診断は、周囲の流行状況と検査で総合的に判断することになります。

両感染症の特徴を比較した記事が目にとまりましたので、
要点を列挙します;

感染力(他人にうつす)のある期間
・インフルエンザ:発症1日前から7日間
・新型コロナ:  発症2日前から(少なくとも)10日間

小児患者の重症度
・インフルエンザ:高い
・新型コロナ:低い

合併症リスク
・インフルエンザ:心臓発作が6倍(→ ワクチンで死亡リスクを減らせる)
・両者:血栓症

感染対策
・両者同じ(マスク、距離、手洗い、ワクチン)

なお、アメリカ人の27%が「インフルエンザワクチン接種でインフルエンザに罹る」と誤解しているそうです。
トランプ派は新型コロナワクチンも信じてないし接種しないし、アメリカ人ってもう・・・(^^;)。


<参考>
■ インフルエンザとCOVID-19の相違点と類似点―AHAニュース
 インフルエンザと新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、病名も異なれば原因ウイルスも異なる。しかし両者は、自分自身を守るための手段を含め、多くの共通点がある。
 ・・・米疾病対策センター(CDC)によると、インフルエンザとCOVID-19はともに軽症で済むこともあれば重症化することもある。いずれも倦怠感、体の痛み、発熱、悪寒、咳、頭痛が現れやすく、COVID-19では息切れ、鼻水、嗅覚・味覚障害がより多く見られる。ただしSampathkumar氏によると、「症状だけから両者を区別することは難しい」とのことだ。
 ・・・また、両者ともに、感染した人に症状が現れる前に他者に伝播する可能性がある。CDCによると、インフルエンザウイルスは発症の1日前から7日間が他者に伝播するリスクが高い時期であるのに対して、新型コロナウイルスは発症の約2日前から伝播のリスクがあり、発症後の少なくとも10日間はそのリスクが続くという。
 さらに、両者ともに致命的となることがある。そして、感染した際の影響は人により大きく異なる。Sampathkumar氏は、「インフルエンザとCOVID-19の違いの一つは、幼い子どもへの影響だ。幼い子どもはCOVID-19罹患リスクがやや低いと考えられるが、インフルエンザに罹患した子どもは症状が重くなりやすい」と語る。
 一方、「ウイルス感染症罹患時の重症化リスクの高い人のリストには、心疾患患者が含まれる」と話すのは、米クリーブランド・クリニックのDeborah Kwon氏だ。同氏はまず、2018年に「The New England Journal of Medicine」に掲載された、インフルエンザと診断された後の1週間は心臓発作のリスクが6倍に上昇するというデータを紹介した上で、「インフルエンザとCOVID-19の原因ウイルスはどちらも同じように血小板の働きを高めるように働き、血栓を引き起こす可能性がある」と解説する。
 ただし幸いなことに、インフルエンザとCOVID-19は、その感染を予防するための対策も同じだ。マスクを着用し、物理的な距離を保つこと、少なくとも1回20秒以上の時間をかけて手をこまめに洗うことだ。そして、両者ともにワクチンがある。
 CDCは、12歳以上の全ての人にCOVID-19ワクチン接種を推奨し、生後6カ月以上の全ての人にインフルエンザワクチン接種を推奨している。「Journal of the American Heart Association」に今年3月掲載された研究では、インフルエンザワクチンは心疾患患者の死亡リスクを下げることが示されている。
 しかし、社会の混乱は続いている。米国心臓協会(AHA)が行ったオンライン調査によると、米国民の27%がワクチン接種によってインフルエンザに感染することがあると誤解していた。また、12%の人はCOVID-19とインフルエンザのワクチンの同時接種はできないと考えていた。実際は、米国では同時接種が可能だ。・・・

<原著論文>
・Yedlapati SH, et al. J Am Heart Assoc. 2021; 10: e019636.
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