3回目の新型コロナワクチンは必要か、検索して調べてみました。
まず、基本的なことを抑えておきましょう。
ファイザー社の新型コロナワクチンを2回接種すると、
・感染阻止率:90%
・発症阻止率:95%
・重症化予防率:90%
という驚異的な効果が得られます(全て概数と考えてください)。
2回目接種後4ヶ月が経過すると、
・感染阻止率:50%
・発症阻止率:90%
・重症化予防率:90%
と感染阻止率だけが落ちてきます。
感染阻止率が落ちるけど、発症阻止率は保たれたまま・・・
これはどういうことかというと、
「感染者は無症状のまま」
ですが、
「感染者は他人に感染させる」
状態です。
つまり、無症状で社会活動をふつうにしている人たちが、
感染源となるということ。
これでは流行を抑制できません。
そしてハイリスク者が感染してしまうと、
重症化してしまうことの繰り返しが止まりません。
前置きはこれくらいにして、それではワクチン先行国イスラエルの状況を。
イスラエルでは国民の多く(78%)が2回接種を済ませてワクチンパスポート(グリーンバッジ)を導入し、2021年5月には一旦、1日の感染者数が二桁になりました。
しかし2021年7月に第4波が始まりました。
いわゆる「ブレークスルー感染」ですね。
すぐさまこれに対応し、7月末から3回目接種(追加接種)を開始しました。
当初は60歳以上が対象、8月末からは16歳以上で2回目接種から5ヶ月が経過していれば誰でも受けられるようになりました。
イスラエルのワクチンパスポートには期限があり、
追加接種対象でありながらまだ受けていない場合は接種完了とみなされません。
つまり、2回目接種後6ヶ月以上経過した人が3回目接種をしていない場合は、ワクチンパスポートは無効になります。
厳しいですね。
こうしてブレークスルーによる第4波をしのいだイスラエルでは、11月の陽性者の内訳はワクチン接種未完了者が75%以上を占めています。
10月に発表された入院患者の内訳は、60歳以上の重症者でワクチンを2回しか接種していない人の数は、3回接種者の4倍だそうです。
11月後半時点での3回目接種者は4割を超えたとのこと。
しかしワクチンを強硬に進めるイスラエルといえども、流行を完全に抑え切れているわけではありません。
9月以降は感染者が減少していますが下げ止まり状態で、
最近の「実効再生産数」は1を超えました。
最近の新たな感染の多くは、未接種者である5-11歳の子供達の間で起きており、
新規感染者の50%は11歳未満と発表されました。
この年齢層に対するワクチン接種も11/22から始まりました。
なお、ファイザー社の新型コロナワクチンの5-11歳に対する接種成分量は、
成人の1/3に減らされました。
これで副反応は成人と同等、効果は十分と認められました。
実際には成人用ワクチンを流用して1/3量使うのではなく、
子ども用の別のバイアルから調整して接種することになります。
イスラエルの事例から読み取れることは、
・ワクチンは流行抑制に極めて有効。
・ワクチンの効果には期限があり、追加接種が必要。
・ワクチン未接種者がいる限り、流行は繰り返される。
ということ。
アメリカでも最近、18歳を超えた全成人への追加接種が承認されました。
イスラエルのルールによれば、
日本のワクチンパスポートは、初期に接種した医療関係者はすでに失効している状態です。
その日本でも先日、追加接種が認められました。
原則として「2回目接種以降8ヶ月経過」した人が対象になります。
クラスター発生地域などは6ヶ月経過すれば接種可能。
3回目接種者が増えれば、ブレークスルー感染は抑制できるでしょう。
しかし、以下の懸念材料は消えません。
・ワクチン未接種者がいる限り、流行は繰り返される。
そう、日本では12歳未満の小児への接種がまだ行われていません。
最近のニュースでは、2022年2月以降になりそうです。
数日前に試聴したセミナーでは、
「日本の新型コロナ流行は、子ども中心の感染症として残るだろう」
「成人はワクチン接種で抑制できるが、子どもは成人ほど接種率が上がらないと予想されるため」
という専門家のコメントがありました。
さもありなん。
子どもへのワクチン接種はメリットとデメリットを天秤にかけると判断が難しくなります。
子ども個人への負担を考えると、
感染しても基本的に症状が軽いため、ワクチン接種後の副反応の方が気になります。
しかし社会全体のことを考えると、
感染した子どもから親や身内に感染拡大し、流行のくすぶりがずっと続くため、
社会活動・経済活動がダメージを受け続ける。
・・・これを国民がどう捉えるか、にかかっています。
現在話題になっている5-11歳への接種が始まっても、
その下の年齢層は未接種のままです。
アメリカでは生後6ヶ月-4歳の治験も始まったという情報もあります。
そして、変異株の問題もあります。
大きな変異があれば、現在行なっているワクチン免疫からすり抜けて感染する可能性が高くなります。
2021年11月現在、オミクロン株が話題になっていますが、
これが解決した後も次々と変異株は登場することが予想されます。
これはインフルエンザで経験済みで、そのために毎年ワクチンを接種する習慣がつきました。
ウイルスと人類のイタチごっこ。
おそらく、新型コロナワクチンも定期的に追加接種することになるのでしょう。
<参考>
■ 追加接種も先行 コロナ対策先進国・イスラエルから何を読み取るか
■ イスラエル、5~11歳のワクチン接種開始 首相「安全で効果的だ」