日本全国一斉に2013年11月1日付けで肺炎球菌ワクチンが変更されます。
現在の7価ワクチン(プレベナー®)から13価ワクチン(プレベナー13®)への切り替えです。
といわれても「えっ、どういうこと?」と思われるでしょう。
簡単に説明します。
肺炎球菌ワクチンは肺炎球菌による感染症を予防するワクチンです。
その肺炎球菌は、さらに約90種類の型に細かく分けられます。
しかし、全ての型がヒトに重篤な感染症を起こすわけではなく、悪さするのはその一部。
現在の7価ワクチンは「90種類からヒトに悪さしやすい7種類をセレクトした」という意味です。
では、13価ワクチンの意味もおわかりですね。そう、「90種類からヒトに悪さしやすい13種類をセレクトした」ワクチンです。
なぜ 7価→ 13価に変更したのか?
それは、7価ワクチンが普及して肺炎球菌感染症は全体的に減り、特にターゲットの7種類は劇的に減るという成果が得られましたが、7種類以外のモノが増えてしまうという困った状況になったのです。
ですので、従来のものに6種類を追加して7+6=13価と相成りました。
「それじゃあ、また同じ事が起こって数が13より増えるのではないか?」
と考えたあなたは鋭い!
まあ、その通りです。イタチごっこに似ています(苦笑)。
ちなみに、以前からある成人用の肺炎球菌ワクチンは「23価」(ニューモバックス®)です。
そろそろ本題に入ります。
現行の7価ワクチンも他のワクチンと比較して接種後の発熱率が高いとされています。
添付文書(薬の使用説明書)には20~25%、つまり4~5人に1人は発熱することになり、現場でも実感しました。
この度登場する13価ワクチンの接種後発熱率はもっと高く、添付文書によると各回30~50%です(ただし37.5℃以上)。
つまり「2~3人に1人は発熱する」ことになります。
さらに4回接種のうちどれかで発熱する子どもの頻度は71.3%と非常に高率!
こんなワクチンを慎重派の厚労省がよくもまあ認可したものだなあ、とヘンに感心する私。
米国のCDCのマニュアルには「3人に1人が微熱を、約5%(20人に1人)が39℃以上の発熱」すると説明するよう記載されています。わかりやすいですね。
日本の臨床治験の際の生データは下の表をご覧ください:
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6d/f3/6db75b5b744de81d2079cd8be6fb0784.png)
(プレベナー13®のインタビュー・フォームより)
わかりづらいので知りたい情報を抜き出すと・・・
38.0℃以上・・・1回目後(10.2%)、2回目後(15.3%)、3回目後(13.3%)、4回目後(32.1%)
39.0℃以上・・・1回目後(0.9%)、2回目後(2.6%)、3回目後(3.1%)、4回目後(5.4%)
というわけで、肺炎球菌ワクチン接種後に発熱しても「まれで重篤な副反応だ!」と驚かないでください。
ほとんど一過性で、翌日には下がってくれますので基本的に心配要りません。
万が一ですが、もし「ふだんと様子が違う、心配でたまらない」と親の第六感が働くような状況となったら、迷わず医療機関を受診していただくようお願い致します。
さらに生後2ヶ月から同時接種に組み込んで接種する赤ちゃん、発熱の原因は肺炎球菌ワクチンで同時接種ではない可能性が大であることをあらかじめご理解ください。
しかし以前死亡例が問題になった同時接種、その後に熱が出ると不安になるのは仕方がないことです。発熱の副反応を経験したら個別接種を選択する方法もあり、だと考えます。
当院ではこのような混乱をあらかじめ予測し、しばらくの間は13価肺炎球菌ワクチン(プレベナー13®)を同時接種から外すことにしました。
発熱の副反応が同時接種のせいにされることを危惧しての措置です。
世論が「肺炎球菌ワクチン後の発熱は珍しいものではない、ましてや同時接種のせいではない」と認識するようになったら再度同時接種に組み込む予定です。
何卒、ご了承ください。
<参考になるHP>
■ 「小児用肺炎球菌ワクチンの切替えに関するQ&A」(厚生労働省)
■ 「小児用肺炎球菌ワクチン(13価)」(KNOW! VPD)
現在の7価ワクチン(プレベナー®)から13価ワクチン(プレベナー13®)への切り替えです。
といわれても「えっ、どういうこと?」と思われるでしょう。
簡単に説明します。
肺炎球菌ワクチンは肺炎球菌による感染症を予防するワクチンです。
その肺炎球菌は、さらに約90種類の型に細かく分けられます。
しかし、全ての型がヒトに重篤な感染症を起こすわけではなく、悪さするのはその一部。
現在の7価ワクチンは「90種類からヒトに悪さしやすい7種類をセレクトした」という意味です。
では、13価ワクチンの意味もおわかりですね。そう、「90種類からヒトに悪さしやすい13種類をセレクトした」ワクチンです。
なぜ 7価→ 13価に変更したのか?
それは、7価ワクチンが普及して肺炎球菌感染症は全体的に減り、特にターゲットの7種類は劇的に減るという成果が得られましたが、7種類以外のモノが増えてしまうという困った状況になったのです。
ですので、従来のものに6種類を追加して7+6=13価と相成りました。
「それじゃあ、また同じ事が起こって数が13より増えるのではないか?」
と考えたあなたは鋭い!
まあ、その通りです。イタチごっこに似ています(苦笑)。
ちなみに、以前からある成人用の肺炎球菌ワクチンは「23価」(ニューモバックス®)です。
そろそろ本題に入ります。
現行の7価ワクチンも他のワクチンと比較して接種後の発熱率が高いとされています。
添付文書(薬の使用説明書)には20~25%、つまり4~5人に1人は発熱することになり、現場でも実感しました。
この度登場する13価ワクチンの接種後発熱率はもっと高く、添付文書によると各回30~50%です(ただし37.5℃以上)。
つまり「2~3人に1人は発熱する」ことになります。
さらに4回接種のうちどれかで発熱する子どもの頻度は71.3%と非常に高率!
こんなワクチンを慎重派の厚労省がよくもまあ認可したものだなあ、とヘンに感心する私。
米国のCDCのマニュアルには「3人に1人が微熱を、約5%(20人に1人)が39℃以上の発熱」すると説明するよう記載されています。わかりやすいですね。
日本の臨床治験の際の生データは下の表をご覧ください:
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6d/f3/6db75b5b744de81d2079cd8be6fb0784.png)
(プレベナー13®のインタビュー・フォームより)
わかりづらいので知りたい情報を抜き出すと・・・
38.0℃以上・・・1回目後(10.2%)、2回目後(15.3%)、3回目後(13.3%)、4回目後(32.1%)
39.0℃以上・・・1回目後(0.9%)、2回目後(2.6%)、3回目後(3.1%)、4回目後(5.4%)
というわけで、肺炎球菌ワクチン接種後に発熱しても「まれで重篤な副反応だ!」と驚かないでください。
ほとんど一過性で、翌日には下がってくれますので基本的に心配要りません。
万が一ですが、もし「ふだんと様子が違う、心配でたまらない」と親の第六感が働くような状況となったら、迷わず医療機関を受診していただくようお願い致します。
さらに生後2ヶ月から同時接種に組み込んで接種する赤ちゃん、発熱の原因は肺炎球菌ワクチンで同時接種ではない可能性が大であることをあらかじめご理解ください。
しかし以前死亡例が問題になった同時接種、その後に熱が出ると不安になるのは仕方がないことです。発熱の副反応を経験したら個別接種を選択する方法もあり、だと考えます。
当院ではこのような混乱をあらかじめ予測し、しばらくの間は13価肺炎球菌ワクチン(プレベナー13®)を同時接種から外すことにしました。
発熱の副反応が同時接種のせいにされることを危惧しての措置です。
世論が「肺炎球菌ワクチン後の発熱は珍しいものではない、ましてや同時接種のせいではない」と認識するようになったら再度同時接種に組み込む予定です。
何卒、ご了承ください。
<参考になるHP>
■ 「小児用肺炎球菌ワクチンの切替えに関するQ&A」(厚生労働省)
■ 「小児用肺炎球菌ワクチン(13価)」(KNOW! VPD)