徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

期待される(?)新たな抗インフルエンザ薬「アビガン」

2014年02月05日 07時10分22秒 | 小児科診療
 NHKニュースより;

インフル新治療薬 条件付きで承認へ
(2014年2月4日:NHK)
 インフルエンザウイルスの増殖を新しいメカニズムで抑える治療薬について、厚生労働省は近く承認する方針を決めました。
 しかし、重い副作用を引き起こす危険性が高いことなどから、新型インフルエンザが発生し、今ある薬がすべて効かない場合に限って使うとしています。
 このインフルエンザの治療薬は、東京に本社がある製薬会社「富山化学」が開発した「アビガン」と呼ばれるもので、3日に開かれた厚生労働省の部会で近く承認する方針が決まりました。
 タミフルやリレンザなどのインフルエンザ治療薬は、細胞で複製されたウイルスを細胞内に閉じ込めて増殖を防ぎますが、この治療薬は細胞の中でウイルスが複製されること自体を防ぐということです。しかし、妊娠中の女性などが服用すると胎児に重い副作用を引き起こす危険性が高いことなどから、3日の部会では使用について条件が付けられました。
 具体的には、安全性を確認するため引き続き臨床試験を行うことや、妊娠中の女性などに処方しないことを徹底するとし、そのうえで新型インフルエンザが発生し、今ある治療薬がすべて効かない場合に限って使うとしています。
 厚生労働省は来月にもこの治療薬を正式に承認する方針で、適切な使用方法や条件についてさらに検討することにしています。


 副作用に過敏な日本人ですから、死亡率が高い新型インフルエンザでなければ使用されないでしょうね。

 さて、インフルエンザ関連の話題追加を。
 先日扱った「尾木ママによる点滴治療もあるわよCM」問題を日刊ゲンダイが取りあげていました;

CMで大宣伝 インフル治療「点滴薬」はホントに効くのか
(2014年1月16日:日刊ゲンダイ)
「インフルエンザ治療には点滴薬もあります」
 尾木ママこと教育評論家の尾木直樹氏が出演しているシオノギ製薬のCMに対し、医療関係者の間から疑問の声が上がっている。「間違いだらけ」というのだ。
 このCMは、子供を抱える母親たちと尾木ママがカフェでお茶を飲みながらインフルエンザについて意見を交換。「早く病院に行くのが大事」「早く熱を下げてあげたい」「どんな薬があるの?」と言う母親たちに、尾木ママが「点滴薬もあるのよ」とオススメする内容だ。
 このCMを見ると、インフルエンザの早期治療には点滴薬が効果的なように思えるが、現場の医師から「問題だらけだ」といった批判が相次いでいるのだ。
 医薬品の評価監視研究機関「NPO法人医薬ビジランスセンター」理事長で、内科医の浜六郎氏は言う。
「点滴で使われるラピアクタは、飲み薬のタミフル、吸入のリレンザ、イナビルなどと同じ種類の薬剤です。抗ウイルス剤といわれますが、インフルエンザウイルスを死滅させてウイルスの数を減らしているわけではなく、用いた人の免疫を抑制して発熱などの症状を軽くみせているだけにすぎないのです。つまり、点滴しても早く完治するわけではありません」
 抗インフルエンザ剤を投与しても、症状の持続期間が1日たらず短縮されるだけだといわれる。それなのに、点滴を早く打つべきだとのイメージを与えるCMが流されている。医師たちが反発するのも無理はない。
 都内のある内科医もこう憤る。
「抗インフルエンザ剤を投与しても、重症化率や死亡率が低下するわけではありません。そもそも健康な人がインフルエンザに感染しても、もともとの免疫力で自然に治るケースがほとんどです。重症化しやすい65歳以上の高齢者や妊婦、慢性疾病がある人への効果も不明です。患者なら誰でも抗インフルエンザ剤を投与する必要はありません。それなのに、症状が軽かったり、重症化リスクの低い患者がCMを見て病院に殺到するようなことになれば、周囲への感染を拡大させてしまう危険が大きくなるのです」
 しかも、抗インフルエンザ剤はかねて副作用の危険が指摘されている。幻覚あたりで済めばまだマシで、最悪の場合は脳の中枢の働きが抑制されて呼吸が止まり、突然死する危険もあるという。
「抗インフルエンザ剤を用いると、インフルエンザに対する抗体が5分の1しかつくられなくなるため、再感染しやすくなることを警告している報告があります。また、免疫を抑制するので、他のウイルス疾患にかかりやすくなり、後から肺炎になるケースもあります。点滴はもちろん、吸入でもイナビルは作用が続くので、副作用のリスクも大きくなるといえます」(浜氏=前出)
 もともと健康な人にインフルエンザの薬は本当に必要なのか。


 浜六郎さんという方は薬の副作用に注目して喧伝するちょっと偏った存在(まあこういう視点も必要です)ですが・・・さすがに週刊誌は不安を煽るのがうまいですね。
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”輸入”麻疹に御用心。

2014年02月05日 06時41分50秒 | 小児科診療
 風疹騒ぎが収まらないまま、麻疹の患者数増加が話題になっています。
 以前、日本は「麻疹輸出国」と世界各国から非難される立場でしたが、乳幼児期のMRワクチンが定期接種になって数年したらあっという間に「輸入国」になりました。
 今回も流行地であるフィリピンから帰国した人が持ち込む”輸入”麻疹というカラクリです。

はしかの患者大幅増加 注意を
(2014年2月5日:NHK)
 国内のはしかの患者が、ことしに入って大幅に増えていて、国立感染症研究所はワクチン接種など注意を呼びかけています。
 国立感染症研究所などによりますと、先月26日までの1か月間に全国の医療機関から報告されたはしかの患者は46人で、前の年の同じ時期に比べ2.6倍と大幅に増えているということです。
 患者はワクチンを接種していない20歳以上の若者が多く、はしかの流行が起きているフィリピンに滞在し、帰国後発症したケースが目立つということです。
 国立感染症研究所感染症疫学センターの多屋馨子室長は、「はしかには特効薬がなく、最悪、死亡することもある。この時期はインフルエンザと紛らわしいため、はしかと気付かずに、感染を広げてしまうおそれもある。毎年春に流行が本格化するので、ワクチンを受けていない人はできるだけ早く受けてほしい」と注意を呼びかけています。


 国立感染症研究所のHPを見ても、今年に入りフィリピン経由の「B3型」というタイプの増加が示されています。
 先日紹介した「インタラクティブマップ」でも2014年現在、フィリピンやベトナムなど東南アジアで麻疹が発生していることが読み取れます。



 日本で危ないのは、ワクチン行政の狭間で接種率が低いまま終わっている成年層。風疹と同じですね。
 一方、小学生が発症して「臨時休校」措置を取った例もあります。

はしか:弟も感染 小学校臨時休校--延岡 /宮崎
(2014年2月5日:毎日新聞)
 県感染症対策室は3日、延岡市立南小学校の男子児童1人が、はしかに感染していたと発表した。同小は3~7日を臨時休校とした。
 児童は、1日に感染が分かった男子高校生の弟で、1月に父親と2人でフィリピン旅行に行った。同16~21日発熱や発疹があったが、既に症状はないという。延岡保健所が児童や職員の健康状態を調査している。


 高校生の兄と小学生の弟・・・MRワクチン世代なのに罹ってしまったことに疑問が残ります。この兄弟のMRワクチン接種歴を知りたいところです。
 それから、今の小学生はMRワクチン2回接種世代ですから、一律に休校措置を取る必要はないはずです。MRワクチン2回接種済みの子どもはふつうに授業を継続し、何らかの理由で1回あるいは0回の子どものみ自宅待機とすべきでしょう。校長から学校医への相談はなかったのかな?
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”花粉症避難”ツアー情報

2014年02月03日 06時37分52秒 | 小児科診療
 日本の中でもスギ花粉が飛ばない地域があります。
 近年、それを売りに「花粉症避難ツアー」が企画されるようになりました。
 いくつか紹介します;

スギ、ヒノキなし…花粉症避難ツアー企画した釧路市
(2014年2月2日09時53分 読売新聞)
 首都圏の花粉症患者に、スギ花粉のない道東へ“避難”してもらう「避粉ツアー」を釧路市が企画し、1日に始まった。
 地元のホテルや旅行会社と協力し、割安な価格でツアーを提供する。冬から春にかけての閑散期に、道外客を呼び込みたい考えだ。
 同市は2009年、市内のホテルや不動産会社などと「くしろ長期滞在ビジネス研究会」を設立し、不動産の空き物件などを利用した長期滞在者の受け入れに取り組んできた。夏場は避暑目的の利用者が順調に増えているが、冬場の誘客が課題となっていた。
 同市は、市内にスギやヒノキが自生せず、花粉がほとんどないという点に着目。釧路プリンスホテルと旅行会社のエイチ・アイ・エス(東京)、北海道ツアーズ(札幌)など4社に呼びかけ、羽田空港発着のツアーを企画した。釧路プリンスホテルを使用して5泊6日する場合、飛行機代込みで1人4~6万円。夏の繁忙期の半額以下に設定した。4月まで受け入れる。

花粉症の「避粉地」 NPOが的山大島ツアー実施
(2012年1月13日 読売新聞)
 花粉を飛散させるスギやヒノキがほとんど生えていない長崎県平戸市の的山(あづち)大島が、花粉症に悩む人たちの“避粉地”として注目されている。
 地元のNPO法人が4年前から花粉症患者を対象に始めたツアーでは、参加者の大半が症状の改善を感じ、「鼻から思い切り空気を吸えた」と感激の声もあがっている。飛散量が増える春先から島への一時避難を検討してもらい、島おこしにつなげようと期待が広がっている。(河津佑哉)
 的山大島の住民約10人でつくるNPO法人「文化財匠塾」平戸支部によると、島内は自生の松やカシが多く、スギやヒノキの植林が占める面積は島全体(約15・5平方キロ)の約2%(約0・3平方キロ)。島は本土から北に約15キロ離れており、花粉が飛来してくる恐れもないという。
 長崎大が2009年度に島民のスギ花粉症についてアンケートを実施したところ、当時住んでいた1438人のうち1027人が有効回答を寄せ、「花粉症」は2・6%にあたる27人だった。全国平均(26・5%)の10分の1で、避粉地としても有名な沖縄県の6%を大きく下回る。
 実際に花粉症に悩む人から「島を訪れると体調が良くなる」という声が寄せられたため、同支部は08年から毎年2~3月に島外の患者を対象にした2泊3日の体験ツアーを行っている。
 旅館などを拠点に古民家が残る街並みや棚田を巡る一方、同行する耳鼻咽喉科の専門医から食生活の改善指導を受ける内容で、過去4回に東京、福岡などから計約40人が参加した。
 終了後、鼻づまりやくしゃみ、目のかゆみなどについて医師が実施したアンケートでは「久しぶりにマスクなしで過ごせた」といった声も聞かれた。
 評判は口コミで広がり、埼玉、神奈川方面からの問い合わせも増えている。今年2月24~26日のツアーは20人の定員がすでに埋まり、来年以降はより長い日程のプランも検討する。


 この他にも沖縄でも企画してますね。
 しかし、長期にわたる移動は仕事に支障がでてきそう・・・いったいどんな人たちが参加しているのでしょうか。
 定年退職後の夫婦が多いとの情報も。
 まだ私には無理そうです。
コメント (1)
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