徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

2025年春の花粉飛散量は過去10年で最多!?

2024年10月07日 06時37分01秒 | 小児科診療
これから冬のインフルエンザシーズンを迎えますが、
メディアは早くも来年春の花粉飛散量の予想を報じています。

なんと春の花粉(スギ・ヒノキ)飛散量は「過去10年で最多」との予想。
・・・お、恐ろしい。
花粉飛散量は前年夏の暑さが関係しますので、
今年夏の暑さを思い返すと頷けますね。

▢ 2025年春の花粉飛散量、西日本は過去10年で最多か
2024/10/02:日経メディカル)より一部抜粋(下線は私が引きました);

 2024年10月1日、ウェザーニューズが2025年春の「第一回花粉飛散傾向」を発表した。北海道や東北地方の一部などを除くほとんどの地域で、平年(2015~2024年の平均)を上回る花粉の飛散量になると予想した。特に、近畿から九州地方までの西日本では、過去10年で最多の飛散量となる可能性がある。なお、「第一回花粉飛散傾向」では、北海道以外の地域でスギとヒノキ、北海道でシラカバの花粉について報告された。

 2024年の夏は、全国的に平年より気温が高く、日照時間も長い地域が多かった。そのため、花粉の発生源となる雄花が成長し、飛散量も平年を上回る見込みだ。2024年春の飛散量が少なかった西日本では、特に大量の飛散が予想され、京阪神地域では前年比で4倍超、香川県では前年比で8倍超になる可能性もあるという。また、関東地方や北陸地方、東海地方でも、前年より多量の花粉飛散が予測されている(図1)。


図1 2025年花粉飛散傾向(2024年比)※weathernewsより引用

 一方、2024年の飛散が比較的多かった北海道や東北地方の北部では、前年を下回る予想。花粉の飛散が多い「表年」と少ない「裏年」が交互に訪れる傾向があることを踏まえ、2025年は「裏年」の傾向が強くなる見込みだとした。ただ、北海道で平年の84%、東北北部で平年の112%と、平年並みの花粉飛散は見込まれるため油断は禁物だ。

<各地域の花粉飛散予測>
北海道:平年比84%、前年比48%
東北地方北部:平年比112%、前年比60%
東北地方南部:平年比128%、前年比96%
関東地方・山梨県:平年比151%、前年比138%
北陸地方・長野県:平年比156%、前年比176%
東海地方:平年比140%、前年比112%
近畿地方:平年比213%、前年比302%(京阪神地域は平年比200%超、前年比400%超の予想)
中国・四国地方:平年比232%、前年比527%(瀬戸内地域は前年比800%超のエリアもある予想)
九州地方:平年比181%、前年比287%(平年比200%超、前年比400%超の地域もある予想)


当院では春の花粉症症状が重く、
薬を使っていてもつらい患者さんには「舌下免疫療法」を提案していますが、
近年人気があって薬が足らなくなり(スギ花粉をアナログ的に集めて作ってます)、
現在薬の供給が停止状態で、新たにはじめられない状況が続いています。

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この咳、マイコプラズマ?

2024年10月04日 05時51分06秒 | 小児科診療
「マイコプラズマが流行しています」
との情報が繰り返しTVから流れてきます。

当院外来にも心配して受診される患者さんが増えてきた印象。

さて、マイコプラズマとそれ以外の風邪の咳を見分けることは可能なのでしょうか?
「迅速検査をすればいい」
と仰る方が居るかもしれませんが、
咳をしている患者さん全員に検査するのは現実的ではありません。

では私はどうしているかというと・・・
発症からの経過で大まかに判断しています。
その特徴は・・・

・咽頭痛で始まることが多い。
・熱の勢いは弱いことが多い(高熱が出ることもあります)。
・咳は発症後1週間経っても勢いが止まらない。
・比較的元気。

等が揃うと可能性が高いと考えています。
とくに咳の経過が大切で、
ふつうの風邪の咳のピークは発症後3-4日目頃ですが、
マイコプラズマの場合はそれを過ぎて勢いを増してきます。

上記項目からマイコプラズマが疑われると、
私はマイコプラズマに有効な抗菌薬(=抗生物質)を処方します。
そして、マイコプラズマに有効な抗菌薬は特殊なのです。

高齢者の肺炎に使用される抗菌薬は、
伝統的なペニシリン系、セフェム系が基本ですが、
これらはマイコプラズマには効きません。
近年主流になったキノロン系は有効ですが、
小児適応のある薬剤が少なくあまり選択されません。

マイコプラズマにはマクロライド系という種類の抗菌薬が有効で、
私はこれを選択して処方します。

しかし発症後1-2週間が既に経過して咳がひどくなっている場合は、
抗菌薬で菌を消失させても咳の勢いは止まらないのも、
マイコプラズマの特徴です。

そんな時、私は漢方薬を提案します。
顔を真っ赤にして咳き込む、
咳き込んで吐いてしまう・・・
実はこんな症状に効く漢方薬が存在します。

さて、最近の記事からマイコプラズマに関係するモノを拾ってみましょう。

▢ マイコプラズマ肺炎の見分け方 「3日目の咳がポイント」 医師が解説する症状と対策
2024/10/2:テレ朝ニュース)より一部抜粋(下線は私が引きました);

▶ マイコプラズマ肺炎の見分け方 「3日目の咳がポイント」 
 いま急増しているマイコプラズマ肺炎は、風邪の症状とよく似ているということですが、どうやって見分ければいいのでしょうか。今年のマイコプラズマ肺炎の感染者数は、全国的に見ても去年の37倍と大流行しています。いとう王子神谷内科外科クリニックの伊藤博道院長に話を聞きます。

▶ 風邪とマイコプラズマ肺炎の見分け方

―風邪とマイコプラズマ肺炎の症状は非常によく似ています。発熱、咳、倦怠感、のどの傷み、鼻水などがあり、見極めが難しいとされています。自分が風邪なのか、マイコプラズマ肺炎なのか不安な人もいると思います。伊藤院長によると、見極め方のポイントは「3日目の咳」だということですが、これはどういうことでしょうか? 
伊藤院長 「最初の1日目や2日目は、通常の風邪との見分けを付けるのがなかなか難しいです。3日目になると、風邪であれば自然に治ったり、市販薬で治る頃です。マイコプラズマ肺炎の場合、3日目から咳がひどくなることが多いです。かなり深いところから出るような咳や、痰が絡んだり、ゼーゼーしたり、胸の痛みを伴うような肺炎の症状が出てきたら要注意です」


▶ 厚生労働省が注意呼び掛け

―つまり、3日目以降に症状がひどくなった場合、マイコプラズマ肺炎を疑った方が良いと思いますが、医療機関を受診する目安も3日目か、もっと早い方が良いのでしょうか? 
伊藤院長 「最初からマイコプラズマ肺炎だけを疑う場合、3日目で良いですが、他の病気もありますので、患者さんの立場になって見れば、つらい症状があれば、もちろん1日目や2日目でも相談していただいて大丈夫です」 「ただ、レントゲンで影が出てくるタイミング、あるいは抗原検査で陽性になりやすい時期は、新型コロナウイルスでもインフルエンザでも、1日目よりも2日目や3日目の方が検査結果がはっきり出るケースも多いです」 「症状が強ければ、最初に相談に来ていただく。症状が軽微であれば1日から2日様子を見て、いよいよこれは咳が深いところから出てくるようになって、悪い方向に向かっているという時点で受診をして、マイコプラズマ肺炎の検査をすることがよろしいかと思います」・・・

この記事でも「3日目の咳がポイント」と私の印象と同じ事を指摘していますね。

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