第2問
次の宣言は、1943年10月に出されたものである。これを読んで以下の問に答えなさい。アメリカ合衆国、連合王国、ソヴィエト連邦および中国の政府は、各国が1942年1月の連合国による宣言、およびその後の諸宣言に従って、四カ国がそれぞれ交戦状態にある枢軸諸国に対する戦争を、枢軸諸国が無条件降伏を基礎として降伏するまで継続するという決意ににおいて結束し、四カ国自身及び四カ国と同盟を結ぶ人々を侵略の脅威から解放することを保障する義務を自覚し、戦争から平和への迅速で秩序ある移行を確保し、且つ、世界の人的及び経済的資源が兵器のために流用されることを最小限にしながら国際的な平和と安全を確立・維持する必要を認め、以下のように共同で宣言する:
1. 各国の敵国に対する戦争遂行のために誓約された四カ国の共同行動は、平和と安全を組織化し維持するために継続される。
2. 四カ国のうち共通の敵と交戦状態にある国は、その敵国の降伏及び武装解除に関する全ての事項について共同で行動する。
3. 四カ国は、敵国に課される条件の違反に対して、必要と認める全ての処置をとる。
4. 四カ国は、全ての平和愛好国の主権平等の原則に基づき、且つ、そのような大国小国の全てが参加し得る、国際的な平和と安全維持のための一般的国際機構を、実現可能な限り早期に設置する必要性を認める。
(以下略)
問い この宣言の名称を答えなさい。ところで20世紀には、この宣言で打ち出された目的を実現するための国際機構を作る試みが二度行われている。どのような国際機構が設立されたのか、またそれらはどのような問題に直面したのか、20世紀の国際関係を踏まえながら論じなさい。その際、次の語句を必ず用い、用いた語句に下線を引きなさい(400字以内)
総力戦 安全保障理事会 イタリア 冷戦 PKO*
*PKO=平和維持活動
[解答]
これはモスクワ宣言である。国際連盟は第一次世界大戦後にウィルソンの提唱で組織され、戦争の講和や経済制裁、文化の交流を目的とした。
総力戦で消耗し、秘密外交により信頼を失った英、仏が中心であり、債務国から債権国に転じたアメリカ、社会主義革命に成功したソ連が含まれなかったため、指導力を欠いた。
武力制裁権を持たなかったため、ドイツ、日本、イタリアのファシズムに対応できなかった。
国際連合は第二次世界大戦後に大西洋憲章を基礎として組織された。総会では全加盟国が一票を持ち、ユニセフやユネスコ等の機関を持った。大国は安全保障理事会で議論し、米、英、仏、ソ、中は常任理事国となり、拒否権を持った。冷戦中は米、ソが何度も拒否権を行使したため機能不全に陥った。武力制裁権を持ったが、冷戦以降はアメリカが主導権を握り、湾岸戦争のようなアメリカが当事者となる戦争では抑止力を発揮できなかった。