江戸時代の貨幣制度に関する次の文章を読み、下記の設問に答えなさい。
1 幕府は金・銀・銭の三貨を鋳造させて、全国に流通させた。
これらの貨幣が取引の決済に利用されたが、江戸では主に( A )が、大坂では主に( B )が使用された。
2 貨幣には、(1)決済に際して目方を計り品位を確かめてから授受されるものと、(2)はじめから一定純度と分量を持ち、一定の形で鋳造され、価格が表示されているものとがあった。
3 金貨のうち大判は大判座で鋳造された。江戸幕府が大判座に最初につくらせたのは( C )であった。
しかし、この大判は通常の取引には利用されなかった。
4 金座は、金貨の鋳造・鑑定・封印を行うために設けられた。金座は、はじめ大判座と小判座の両座を指したが、後に( あ )のみを指した。
代々( イ )を名乗る者が( あ )を管轄していた。
5 各藩では、紙幣である藩札を発行した。しかし、藩札は発行したそれぞれの領内でのみ流通するだけであり、また、濫発の傾向が見られた。
6 1636 年にはじめて鋳造された( D )は、はじめは銅銭としてつくられたが、のちに鉄・真鍮でもつくられた。
この鋳造によって貨幣不足が解消された。
7 両替商は三貨の交換から預金・貸付、為替取組、手形発行を業務としていた。とりわけ金・銀を扱うのは本両替であった。
このうち( い )では十人両替が選ばれ、両替仲間を支配していた。
8 1695 年に金銀貨幣の改鋳が行われた。
これは種々の理由から、幕府の財政が悪化したので、時の勘定吟味役( 口 )の建議によって実現したものである。
問 1.文章 1 の( A )・( B )に該当する組み合わせを以下のうちから選び、その番号をマークしなさい。
1.A:金貨、B:銀貨 2.A:銭貨、B:金貨 3.A:銀貨、B:金貨 4.A:金貨、B:銭貨 5.A:銭貨、B:銀貨 6.A:銀貨、B:銭貨
問 2.次の貨幣のうち、文章 2 の下線部(1)に相当するものは 1 を、下線部(2)に相当するものは 2 を、それぞれマークしなさい。
ア.宝永永字豆板銀 イ.天保一分銀 ウ.宝永永字丁銀 エ.慶長小判
問 3.1772 年に文章 2 の下線部(2)に相当する銀貨を発行し、通貨の統一をめざすなど、当時の幕政の実権を握っていた人物は誰か。該当する人名を以下の語群のうちから一つ選び、その番号をマークしなさい。
1.松平定信 2.田沼意次 3.水野忠邦 4.松平信明
問 4.文章 3 の( C )に該当する貨幣は何か。以下の語群のうちから一つ選び、その番号をマークしなさい。
1.元禄大判 2.天正大判 3.享保大判 4.慶長大判
問 5.文章 4 の( イ )に該当する人物は誰か。以下の語群のうちから一つ選び、その番号をマークしなさい。
1.後藤祐乗 2.後藤徳乗 3.湯浅常是 4.後藤庄三郎
問 6.文章 4 の( あ )に該当するのは(A:大判座)と(B:小判座)のうちどちらか。該当する記号をマークしなさい。
問 7.文章 5 の下線部の「藩札」を 1661 年に最初に発行した藩は次のうちどれか。該当する記号を一つ選びマークしなさい。
a.備中松山藩 b.薩摩藩 c.越前藩 d.加賀藩 e.会津藩
問 8.問 7 の藩札を最初に発行した藩の出身者で、幕末にかけて藩を富ませるために藩札の活用を唱え、その後明治政府参与として財政を担当するに至った人物は誰か。
該当する人名を以下の語群のうちから一つ選び、その番号をマークしなさい。
1.福岡孝弟 2.由利公正 3.横井小楠 4.橋本左内問
問9.文章 6 の( D )に該当する貨幣は何か。以下の語群のうちから一つ選び、その番号をマークしなさい。
1.寛永通宝 2.天保通宝 3.慶長通宝 4.開元通宝
問 10.文章 7 の( い )に該当する地名は何か。
以下の語群のうちから一つ選び、その番号をマークしなさい。
1.江戸 2.京都 3.近江 4.大坂
問 11.文章 7 の下線部の「十人両替」に任じられていないものはどれか。以下の語群のうちから一つ選
び、その番号をマークしなさい。
1.白木屋 2.天王寺屋 3.平野屋 4.鴻池屋
問 12.文章 7 の両替商として発展した豪商のうち三井高利が江戸で開いた呉服店はなにか。以下の
語群のうちから一つ選び、その番号をマークしなさい。
1.紀伊国屋 2.奈良屋 3.近江屋 4.越後屋
問 13.文章 8 の( 口 )に該当する人物は後に勘定奉行になっているが、その人名を以下の語群のうちから一つ選び、その番号をマークしなさい。
1.堀田正盛 2.堀田正俊 3.荻原重秀 4.新井白石
問 14.文章 8 の下線部の「種々の理由」に当たらないものはどれか。以下のうちから一つ選び、その番
号をマークしなさい。
1.鉱山の金銀産出高が激減した。
2.時の将軍の賛沢な生活によって財政が悪化した。
3.明暦の大火の復興に多くの費用がかかった。
4.上米の措置が一時的なものに終わってしまった。
5.鎖国によって貿易利益が減少していった。
解答
問1 1 問2 ア 1 イ 2 ウ 1 エ 2 問3 2 問4 4 問5 4 問6 B 問7 c 問8 .2 問9.1 問 10.1 問 11 1 問 12 4 問 13 3 問 14 4
[解説]
問4.慶長大判は徳川家康による天下統一を象徴する貨幣として位置付けられる。
▼慶長大判