
八月の終わり頃、前のお茶の先生に建長寺の四頭の茶会のお誘いを受けた
抽選だが
一緒に申し込みましょうか?と
手に入り、行けることになった
鎌倉五山のトップに君臨する建長寺は、北鎌倉から少し歩いたところにある
昨年は、円覚寺の四頭の茶会の儀式を全て見学できるチケットが手に入り、出かけた
四頭茶会といえば、栄西禅師が開山した京都建仁寺だけで行われるものと思っていた
禅宗の茶礼の儀式に則って、方丈の間で、頭と8人の相伴の四組が食事をして、お茶を飲む
円覚寺では、その一部始終を見れたが、あくまでも部外者の見学の立場
今回は茶礼を体験できるという
四頭茶会の他に、薄茶席ニ席と中国茶席一席あり、四回もお茶を楽しめる

時間まで、中国茶をいただき、薄茶の席にも一つ入れた
中国茶で使われた茶葉もとても珍しく香り高く甘いもので、終わってから同じものを買い求める
留守番のトトさんへのささやかな手土産
薄茶はニ席とも席主は、宗徧流
宗徧流はお家元も鎌倉なので、同門の方も多い
宗徧流のお点前や室礼は、裏千家より鄙びていて私の好みである
時間になり待合に入り、ビデオとお坊さんの説明で茶礼のマナーを即席で習う
大事なのは合掌の手の位置と姿勢
背中は真っ直ぐにうつむかないようにするのが、正しい合掌のポーズだそう
黙祷とごっちゃになってる人も多いのかな
もう一つは、歩く時の手位置
胸の高さで親指通しが挨拶するように右手が手前に、左手か向こうになるように重ね合わせて歩くそうだ
この手の組み方を叉手(しゃしゅ)というそうだ
一通りの説明を受けた後、頭を先頭に8人が後ろに続いて茶礼の部屋に移動する
私の札は、 8番で相伴の七番目
指定の位置に座り、茶礼が始まる
お菓子の入った縁高が配られ、次に天目台にのった黒塗りの茶碗にお抹茶が入ったものを受け取る
四人のお坊さんが頭の客の前にきて、左手で持った浄瓶から湯を注ぎ、その浄瓶を右脇下の位置で持ったまま、右手で茶筅を振り茶を点てる
次客は合掌して待つ
お薄をふっくらと点てるのは、なかなか力のいる仕事だ
水屋で続けて点てる時も三碗目あたりは力が入らず綺麗に点てるのは難しい
私は8番目
果たしてどの程度に点ててもらえるか、美味しいお茶なのか少し心配になる
順番が来て、天目台ごと茶碗を胸の位置まで持ち上げ
湯を注がれる
そしてしっかり押さえた状態で、茶筅が振られた
点てられたお茶は裏千家のお茶のように、ふっくらときめ細やかな泡が茶碗を覆っていた
次の客のお茶が点て終わるのを待って、菓子をいただくのが、四頭茶会のマナーだそうで、その通りの流れに従う
縁高の中には、菓子が二つと艶やかなツバキの葉の上に楊枝に刺されたこんにゃくの煮物が一つ
茶礼ではこんにゃくを食べてから茶を飲むそうだ
甘いものが手に入りにくかった昔は、菓子がわりに使ったそうだ
お茶はとても美味しかった
縁高の中の菓子は奉書紙ごと茶碗取り出し、椿の葉も楊枝も菓子ごと包んで懐中する
入ってきた時と同じように、お坊さんに先導され頭を先頭に順次退室して茶礼は終了した

この後、点心のお昼をいただき、二席目の薄茶席に入った
こちらは、待合で会記の印刷されたものを渡された
嬉しい心遣いである
終わったのは一時過ぎ
朝早くから臨んだ四頭茶会は、順調に終わった
円覚寺の四頭茶会との違いなどもわかり、面白いというか楽しい一日だった
円覚寺の方が、茶礼の給仕の動作がもう少し独特で、大仰というか難しかったように記憶している
去年、今年とニ年続けてこのような機会を得て、本の世界でしか知らなかった禅宗と茶の関わり、日本茶道の原点を見ることが出来た
終わってから、記念写真を撮り建長寺を後にした

着物は大島紬の訪問着
秋草が描いてある
帯は相良刺繍
草履は雨天時でも気にせずに済むカレンブロッソで
単の対丈のチリよけコートを着てきたが、帰りは汗ばむほどだった