木曽福島から塩尻までの特急という隠し球を使って はじめの予定より一時間ほど早く北飯山についた。 これなら人形館での鑑賞にじっくり時間が取れるはずである。
人形館は5時までの営業だけれど 4時半までに入らなければ成らない。
ひなびたかわいらしい駅の回りには何もなくて 人形館なら目だつだろうと思っていたけれど 地図が無いとわからなかった。 よく考えたら高橋さんがそんな目だつ建物を建てるわけ無いよね。
線路沿いにある人形館は平屋建て。 駐車場の表示が無ければすぐにはわからなかった。
さて ここからはカメラ禁止です。 ゆっくり見た後には買ってきた本や絵はがきから 大好きな人形のいくつかをご紹介します。
高橋まゆみさんの人形を初めて見たのは名古屋の松坂屋ギャラリーだったような気がします。 作家さんの名前も知らず 暇つぶしにふらっと入ったのです。
すぐに夢中になってしまいました。 ここで描かれるお年寄りは 泣いたり 怒ったり 笑ったり 悔しがったり 絶望したり 祈ったり
実は何処にでも見られるはずの世界なのに 私たちが見て見ぬふりというか 興味の外に追いやってしまっている姿をとても温かい目で ユーモアも交えて表現されていると思ったのです。
迎え来る
我を見つけて 満面の
笑顔が歩く 夕暮れの径
こんな姿 現実のもだったら 本当にどうしようか?って思ってしまうのですが ここでのおじいさんは愛情あふれる目でおばあさんを見守っています。
おばあさんはぼけて履き物も右左違う。 それでもおじいさんには全面的な信頼を寄せている。 このうれしそうな顔
ここまで来ると どうしても涙腺が緩み 知らぬ間に 嗚咽さえあげている。 ハンカチでそっとぬぐってあたりを見回すと みんなそうなんだよね。 普段は忘れてしまっている優しい気持ちが みんなの中にまだある。
これだけの 本やら絵はがきを買った。 スキャナーで取り込むと綺麗に撮せるのだけれど コピーを作ることにちょっと気がひけるので写真で いくつかご紹介します。 できが悪いのはそういう事情です。
ご了解ください。
愛おしく 痛く悲しき 日々なれど 笑顔の妻に こころなごめり
待ち続け 待ち続けてた 妻を抱く
あやまる言葉も みつからなくて
ほほう なかなかやるね 枕も鍋ももって。。。気合い一つで家を出る。 はは 良くわかるよ 位牌まで持ってる。
その後 行く当ても無くすごすごうちへ帰るのかな? おかしい 頑張れって応援したくなるような。。その後ちょっと哀しい。
下校のチャイム 待つ門の袖
口をへの字にに結んだ 頑固じいさん
負ぶわれた子供は とても楽しそうに背中ではしゃいでいる。 孫の顔を見る頑固じいさんは 顔くしゃくしゃにしているんだろうなぁ。
ここの出てくる人形たちの暮らしは 飯山の暮らしの中にあって それは幼い頃に飛騨の山中で体験した暮らしと似ていて
それで余計に 胸に来るのかもしれません。 ものは豊富ではないけれど ゆったりした 気持ちの豊かになれる暮らしだった。
見せたい人形はいっぱいあって まだまだ満足ではないけれど
本物を見に行ってください。 きっと 忘れかけていた 暖かいものに触れることができると思うのです。